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「TikTok Ad Awards 2026 Japan」、受賞作が持つ3つの要素とは NEW

最新のマーケティング戦略を発信する「TikTok Marketing Summit 2026」では、「TikTok Ad Awards 2026 Japan」の贈賞式も行われた。TikTokが掲げるのは、「広告もエンターテインメントであるべき」という考え方だ。思わず最後まで見てしまう、楽しさや驚きが興味を生み、購買や行動へつながる--。その力でビジネスや社会を動かした広告が表彰された。

開催3回目となる今回は、会場で各部門の受賞作が発表され、日清食品の「完全メシ カテゴリーエントリーポイント施策」がグランプリに選ばれた。TikTokを前提とした広告表現が広がる中、受賞作はどこで差を生んだのか。審査員の評価と共に各作品を紹介する。


「TikTokっぽい」だけでは、もう届かない

贈賞式に先立ち、審査員によるトークセッションが行われた。モデレーターを務めた長谷川 圭介さんが最初に取り上げたのは、TikTokを取り巻く環境の変化だ。

TikTokの浸透で、活用はフルファネルへ広がる

なえなのさんは、調べものや買い物、LIVE配信、コミュニケーションにまでTikTokを利用するようになり、「使わない時間の方が少ないのではと思うくらい、毎日お世話になっています」と生活への浸透ぶりを表現した。

広告主から見ても変化は大きい。花王の小林 達郎さんによれば、TikTokの活用は話題や認知づくりにとどまらず、事業全体の成果につなげるフルファネルの取り組みへと広がっている。

「TikTokっぽいというだけでは、受賞に足るレベルにはなりません」と言い切るのは、3年にわたり審査員を務めた明石 ガクトさんだ。以前はTikTokを意識した広告クリエイティブをつくること自体が差別化になっていたが、今ではそれが当たり前になったと指摘した。

TikTok for Business Japan, Global Business Solutions, 上級執行役員 Executive Director, Division Head of Agency Group 長谷川 圭介さん(左)
株式会社電通 CX クリエイティブセンター プランナー/アートディレクター 大淵 玉美さん(左中)
seju所属 タレント/俳優 なえなのさん(中央)
花王株式会社 スキンケア事業部 ブランドダイレクター 小林 達郎さん(右中)
ワンメディア株式会社 代表取締役 CEO 明石 ガクトさん(右)
(TikTok Marketing Summit 2026)

差を生むのは、距離感・インサイト・企業の本気度

では、その先で何が評価を分けるのか。なえなのさんが挙げたのは、「押し付けがましさのなさ」だった。共感できる、誰かに話したくなる、自分事として捉えられる。そうした自然な感情の動きこそが、視聴者を引きつける。「広告っぽさを消すというよりも、人と人との会話に入っていける内容かどうかが大事だと、審査をしていて感じました」と実感を込めた。

電通の大淵 玉美さんが企画段階で意識しているのは、「どんなコメントが生まれるか」だ。コメントがブランドを肯定するものになるかまで想定し、「運営様神」「運営様ありがとう」などの反応が生まれることを一つの目安にしている。企画の起点となるインサイトもTikTok上から拾い上げる。「TikTokはインサイトの宝庫です」と、その価値を強調した。

さらに小林さんは、事業会社側の姿勢に目を向けた。クリエイターに思いを託す際の熱量やリスペクトは、最終的なアウトプットにも表れると見る。「課題に対して、事業会社側が腹をくくったと感じる作品がいくつかあります。その覚悟も見どころです」と注目点を挙げた。

明石さんが「今年はクリエイターコラボレーション部門に革命が起きました」と予告すると、なえなのさんも「今ここで4人が話したことをすべて兼ね備えたものが、グランプリを獲っている気がします」と応じた。

「TikTokらしさ」の先で問われているのは、ユーザーとの距離感、インサイトに根ざした企画、企業側の本気度だ。各部門の受賞作から、その具体像を見ていく。

「TikTok Ad Awards 2026 Japan」 受賞作品と審査員の評価

各部門の受賞作品と、審査員・受賞者のコメントは以下の通り。

■Grand Prix:日清食品「完全メシ カテゴリーエントリーポイント施策」

「完全メシ カテゴリーエントリーポイント施策」日清食品株式会社

審査員長 眞鍋 亮平さん(電通):これだけの機能訴求を盛り込みながら、飽きずに最後まで見てしまう。元ネタを解像度高くいじりながら反感を買わず、双方にとってWin-Winの関係を築いた、クリエイターコラボの進化形です。

審査員 なえなのさん:訴求ポイントが多いにもかかわらず、すべてを自然にコンテンツへ組み込み、視聴者が求める動画に仕上げていました。広告としても「完全バランス」でした。

受賞者:商品理解を進めるため、当初予定していたテレビCMからウェブへ切り替えて取り組みました。

■Greatest Full Funnel Impact部門:サントリー「コンビニは冷蔵庫|限界ちゃん Official MV 」

「コンビニは冷蔵庫|限界ちゃん Official MV」サントリー株式会社

審査員 小林さん:「コンビニは冷蔵庫」という強いコンセプトを軸に、TikTok上だけでなくリアルな店頭までつなぐフルファネルの設計をやり切り、高い実績を上げた点を評価しました。

審査員 篠原 直樹さん(博報堂):飲みたくなる、コンビニに寄りたくなる。そうした気分をうまくすくい取ったコミュニケーションで、見ていて楽しく、実際に買いたくなる理想的な作品でした。

受賞者:生活者が自ら面白がり、行動につながるTikTokの特徴を生かし、認知から購買までを設計しました。

■Greatest Branding部門:日清食品「日清食品ポックンミョン×おひなさまTikTokキャンペーン」

「日清食品ポックンミョン×おひなさまTikTokキャンペーン」日清食品株式会社

審査員 なえなのさん:おひなさまの起用タイミングが絶妙でした。ブルゾンちえみさんのネタのオマージュも重ねることで、10代から30代の女性まで、狙ったターゲットに広く届く作りになっていました。

審査員 杉山 芽衣さん(博報堂):人気クリエイターを旬のタイミングで起用するだけにとどまらず、日清食品さんらしいスパイスを加え、新しい魅力を引き出していました。好意的なコメントも生まれており、ブランディングとして優れていました。

受賞者:流行を取り入れながら、見たことのない驚きを生む掛け合わせで、ブランドのトレンド化を目指しました。

■Greatest E-Commerce & Performance部門:「味の素『YumYum(R)』ローンチ」

「味の素『YumYum(R)』ローンチ」味の素株式会社

審査員 明石さん:受賞の秘密はコメント欄の運用にあります。5秒の動画で興味を引き、「どこで買えるのか」と尋ねるコメントには公式が購入先を案内する。動画とコメント欄を通じて、購買までの流れを一気通貫で設計していました。

審査員 谷口 優さん(宣伝会議):BtoBtoCメーカーの味の素さんがこの部門で受賞したことは画期的です。新商品が店頭に並びにくい中、TikTokで興味を持った人をECへ導く動線を築いた、新しいマーケティングの仕組みです。

受賞者:情報がすぐに流れていく中で新商品を強く印象づけるため、あえて短い動画で訴求しました。

■Greatest TikTok Creator Collaboration部門:日清食品「完全メシ カテゴリーエントリーポイント施策」

「完全メシ カテゴリーエントリーポイント施策」日清食品株式会社

審査員 淵之上 弘さん(リクルート):伝えたいことをしっかり伝えながら、とにかく面白い。個人としても検索してもう一度見て、シェアしたくなりました。広告でそこまで行動させるのは本当にすごいことです。

審査員 長田 麻衣さん(SHIBUYA109エンタテイメント):クリエイターの文脈や作風を借りて、別の出演者が再現する構造は、これまでのクリエイターコラボとはまったく異なる新しさがありました。誰かの面白さに乗っかるTikTokのカルチャーを、商品理解につなげた点を高く評価しました。

受賞者:まだ認知率が半分ほどの完全メシへの理解を進めるため、入り口となる人気動画を探しながら企画を磨きました。

■Greatest Innovative部門:メルカリ「メルカリ×AIクリエイティブPDCA」

「メルカリ×AIクリエイティブPDCA」株式会社メルカリ

審査員 洞ノ上 茉亜子さん(サイバーエージェント):AIを手段として使うだけでなく、自社の顧客インサイトを抽出して企画に昇華し、PDCAを回していく。AIを活用した新しいつくり方を、企業の文化にしようとしている点を評価しました。

審査員 大淵さん:トレンドをとらえても、企画から公開までに時間がかかり、熱が冷めてしまう。そうした企画の課題をAIの活用で乗り越え、表現の幅を広げた点に可能性を感じました。

受賞者:鮮度と速度を重視し、忘年会シーズンの動画は企画からリリースまで1週間かかりませんでした。

時代の変化をいち早く映し出すアワードに

電通 執行役員 エグゼクティブ・クリエイティブ・ディレクター 眞鍋 亮平さんは、応募総数が飛躍的に増え、作品の質も高まったことで、例年以上に難しい審査になったと総括した。

眞鍋さんが送り手に求めるのは、視聴者が許容できる表現のラインを、解像度高くつかみ続けることだ。「数ある広告アワードの中でも、時代の変化を一番映し出すアワードだと捉えています」と位置づけた。

TikTok Marketing Summit 2026

文:中谷藤士

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