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地方こそ外商ビジネスに商機あり。仙台で顧客と末長い関係を構築していくために必要なスキルとは

地方こそ外商ビジネスに商機あり。仙台で顧客と末長い関係を構築していくために必要なスキルとは

NESTBOWL編集部は今までさまざまなアパレル販売員にインタビューを実施し、販売職スタッフの想いや働き方のリアルに迫ってきた。今回は仙台エリアのラグジュアリーブランドで、マネージャー職として働く方にインタビュー。東日本大震災前後のラグジュアリー市場の変化や地方の経済状況から、仙台の富裕層の購買行動、東北最大の都市・仙台で働く魅力、ラグジュアリービジネス事情まで話を聞いた。

震災後は復興バブルでラグジュアリー市場も伸長

― 東北エリアの客層に特徴はありますか。

大都市圏と比較すると富裕層の比率は少なく、ラグジュアリー市場も大きくはありません。出店しているストアやブランド数も少ない分、競争は激しくはない印象です。しっかりと地域に密着した商売を展開していければ十分成長の余地がある地域だと思っています。

― お客様がよく購入する商品の特徴はいかがでしょうか。

他の人が持っていないものというより、ブランドの定番商品を好む傾向にあります。アパレル業界に関わらず、車=ベンツのように各分野のナンバーワンが圧倒的に強い。ナンバーツーとの差は圧倒的だと感じます。身につけていることが、ステータスなのでしょう。

― 仙台の富裕層は、どのような職業の方々が多いのでしょうか。

土木、建築、設備系の比率が高いと感じます。2011年の東日本大震災をきっかけに、他の地域から事業拡大を目的に集まっている背景が大きいと思います。他は地主として先祖代々財を成した方々も多く、起業家や大企業勤めで高収入の方の比率は首都圏と比べると少ないと思います。

― 東北エリアで盛り上がっている場所はどこですか。

やはり仙台市が圧倒的に盛り上がっています。東北エリアの一部の地域では、ラグジュアリーブランドが撤退していたり、地場の百貨店が廃業しているケースもあります。東北エリアでまだ生き残っている地場百貨店は藤崎くらい。宮城県外にお住まいの方は、3か月に1回は仙台に出てきて買い物をする習慣があると思います。半年から1年に1回は東京に行く富裕層も多いのではないでしょうか。

インバウンドの恩恵がない地方こそ外商に商機あり

― 撤退するブランドや百貨店も多い中、外商ビジネスは成長しているようですね。

藤崎百貨店も、外商売上に関しては前年プラスで推移しているようです。外商は購買を高確率で見込めるお客様をアテンドしてくれますし、効率よくビジネスを拡大できるという意味で重宝するブランドは多いと思います。これからは今以上にその流れが見られるでしょう。現在、ブランド店はインバウンド型とローカル型のストアに二分化されていて、仙台は間違いなく後者。首都圏では売り上げの5割超がインバウンドという店舗がありますが、仙台は数パーセントと真逆。いかにローカルのお客様を顧客化してセールスを構築するかを考えた時、特に地方では外商ビジネスというチャネルは魅力的です。

― 外商を拡大するうえでのポイントはありますか。

いかに外商員と良い関係を構築するかがポイントだと思っています。一人の外商員の後ろには、100名に富裕層の顧客がいると考えて、コミュニケーションにはエネルギーを注いでいますね。

― 震災前後で客層や購買行動に変化はありますか。

震災前、仙台は転勤族が多い街といわれていました。大企業に勤めて仙台支社に異動してくる方々は都内の所得ベースなので、地主さん同様に取り込みを狙うブランドは多く見られました。震災後は土木、建築、設備系の方々を中心に復興バブルの恩恵を受けた方々の景気が良くなった。その流れと共に、夜の歓楽街で働く方々にまで好景気の恩恵が波及していったといわれています。あるブランドでは国内中位くらいだった売上が、震災後はトップ5まで食い込んできたほど。13年経った今では震災前の状況に戻りつつあるようです。

 末長い関係性を築ける接客スキルが必要

― 店舗運営側の視点で見た際、仙台で働くスタッフの特徴について教えてください。

比較的おとなしい人が多く、自己主張が強い人は少ない印象です。社交的で上昇志向がある人は、早々に上京してしまう印象です。その反面、仙台のスタッフは1カ所に長く在籍してくれます。東京ではトップ販売員になったらすぐヘッドハンティングで他店へ…というようなケースもありますが、仙台では自分にとって満足度が高い場所で長く働く傾向がある。それは顧客と長く付き合っていくという面では、すごく良いポイントでもあります。

― 仙台で活躍する人の特徴はありますか。

新規顧客や富裕層の流動が少ない地域では、今いるお客様をガッチリ掴んで長くお付き合いできる関係構築が大切です。ファーストコンタクトでの接客で、それ以降の関係性が決まってきます。最初の接客が良いものでないと顧客になっていただけない。プロフェッショナルでラグジュアリーな接客ができるのは大前提で、そのうえで本人のキャラクターを生かしてヒューマンライクなアプローチができる販売員が、顧客を獲得できる人の特徴ではないでしょうか。

― 最後に仙台で働く魅力を教えてください。

しっかりと腰を据え、中長期的な戦略を立てながらビジネスを伸ばしていくことができるところですね。東京ではインバウンドで売上が急激に上がったとしても、人を増やして対応して…と、一過性なことに対して柔軟に対応することが多い。逆に仙台はインバウンドの見込みがない分、じっくりと戦略を立てて戦っていくのでビジネス的には面白いと思っています。マネージャーとしてのスキルが問われていて面白いですね。 

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