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「世帯年収3,000万円」を境に大きな変化あり。「新富裕層調査2025」から富裕層インサイトを探る

「世帯年収3,000万円」を境に大きな変化あり。「新富裕層調査2025」から富裕層インサイトを探る NEW

株式会社博報堂の「博報堂富裕層マーケティングラボ(HAML) 」は、2024年5月に公開した「新富裕層“インカムリッチ”生活者調査」の発展版として、特に世帯年収3,000万円以上の高所得世帯の対象者を拡充した「新富裕層調査2025(※対象詳細については記事末参照)」を実施した。今回の調査では世帯年収1,500万円以上の所得富裕層(インカムリッチ)と、金融資産1億円以上の資産富裕層(ウェルスリッチ)の境界に着目した分析結果をご紹介する。

調査結果のサマリー

  1. インカムリッチは世帯年収3,000万円以上を境にウェルスリッチ化する傾向。世帯年収3,000万円以上では金融資産1億円以上の富裕層世帯が5割を超え、同5,000万円以上では金融資産5億円以上の超富裕層世帯が5割を超えた。職業では「会社役員・経営者」の比率がおよそ2割に。キャリア意識でも「自己成長志向」や「社会的地位志向」も高まる傾向が見られた。

  2. 世帯年収3,000万円以上では「株式」や「NISA」に加え、「アクティブファンド」や「REIT」などの投資信託や、「仮想通貨・暗号資産」等のオルタナティブ資産、「金」や「時計・宝飾」「アート」等の保有率が高く、同5,000万円以上で更に高まる傾向。所得および資産の拡大と比例して投資対象も「高リスク資産」「現物資産」へと拡大していく傾向が見られた。

  3. 前回調査でも見られたインカムリッチの特徴である「タイパ志向」や「健康・ウェルビーイング志向」は世帯年収に比例して高まる傾向が見られた。一方、「家事・育児の分担志向」は世帯年収が高いほど低いという結果に。また、世帯年収3,000万円以上を境に「家事・育児の外注志向」が急速に高まる傾向も見られた。

  4. 「子育て・教育ファースト志向」や「子供の海外留学志向」も世帯年収3,000万円以上を境に高まる傾向が見られた。

  5. インカムリッチは「アート・カルチャー志向」や「ストーリー消費志向」も強く、世帯年収3,000万円以上で特に際立つ結果となった。

調査結果のポイント

■インカムリッチは「世帯年収3,000万円以上」を境にウェルスリッチ化。
■「会社経営者・役員」比率はおよそ2割。「自己成長志向」や「社会的地位志向」が高まる傾向も。

世帯年収3,000万円以上・金融資産1億円以上……51.6%
世帯年収5,000万円以上・金融資産1億円以上……68.6%
同・金融資産5億円以上……50.7%

職業が「会社経営者・役員」の比率
世帯年収1,500万円以上……8.8%
同3,000万円以上……18.0%
同5,000万円以上……20.9%

「常に新しい知識や経験を追い求め、自分を成長させ続けたい」意識
世帯年収3,000万円以上……57.6%
同5,000万円以上……51.5%

・「仕事を通じて、高い社会的地位やステータスを手に入れたい」意識
同3,000万円以上……48.3%
同5,000万円以上……47.0%

世帯年収3,000万円以上で「リスク資産」や「現物資産」の保有が拡大。

・「株式」や「NISA」の保有率はインカムリッチ全体を通じて高く世帯年収による差は小さい。

世帯年収3,000万円以上の投資信託
「アクティブファンド」……20.9%
「REIT」……20.7%
仮想通貨等の「暗号資産」……21.8%

世帯年収5,000万円以上のオルタナティブ資産
「FX」……28.2%
「社債」……22.9%
「先物・オプション」……16.0%
「プライベートエクイティ」……15.4%
「時計・宝飾等」……23.5%
「金(等の貴金属)」……21.0%
「アート」……16.8%

■前回調査でも見られたインカムリッチの特徴である「タイパ志向」や「健康・ウェルビーイング志向」は世帯年収に比例して高まる傾向。

■一方、「家事・育児の分担志向」は世帯年収が高いほど低いという結果に。世帯年収3,000万円以上を境に「家事・育児の外注志向」が高まる傾向も。

・「タイムパフォーマンス(タイパ)を重視した生活をしたい」意識
世帯年収1,500万円以上……50.9%
同3,000万円以上……57.6%
同5,000万円以上……61.3%

・「自身の健康や心の豊かさのためにお金をかけている」意識
世帯年収1,500万円以上……61.1%
同3,000万円以上……66.3%
同5,000万円以上……69.9%

・「夫婦・パートナーと協力して、家事や育児を分担すべきだ」意識
世帯年収5,000万円以上の55.4%が最も高く、世帯年収が高いほど低い。

・「家事代行や育児サポートの外注サービスは積極的に利用するべきだ」意識
世帯年収1,500万円以上……35.7%
同3000万円以上……47.6%
同5,000万円以上……51.8%

「子育て・教育ファースト志向」や「子供の海外留学志向」は世帯年収3,000万円以上を境に高まる傾向。

・「子供のためなら仕事や居住地、ライフスタイルを変えることもいとわない」意識
世帯年収1,500万円以上……44.5%
同3000万円以上……54.7%
同5,000万円以上……54.2%

・「子供には留学をさせたい」意識
同1,500万円以上……35.2%
同3000万円以上……44.9%
同5,000万円以上……41.7%

インカムリッチは「アート・カルチャー志向」や「ストーリー消費志向」も強く、世帯年収3,000万円以上でその傾向が特に際立つ。

・「文化や芸術に触れることで自分自身の教養やセンスを高めていきたい」意識
世帯年収1,500万円以上……48.2%
同3,000万円以上……62.6%
同5,000万円以上……67.0%

・「商品そのものだけでなく、その背景にあるストーリーが大切だと思う」意識
同1,500万円以上……40.8%
同3,000万円以上……54.3%
同5,000万円以上……51.3%

調査結果への所見

今回の調査を通じて「世帯年収3,000万円」が所得富裕層(インカムリッチ)と資産富裕層(ウェルスリッチ)の両面を併せ持つ「超インカムリッチ」の分岐点であることが見えてきました。世帯年収5,000万円以上では金融資産5億円以上の「超富裕層」が実に5割を占める結果となりました。経済的余力は、ファミリー層であれば、家事や育児といったタスクの外部化や、より良い子育て・教育環境への投資につながっているようです。また「文化」や「芸術」など、自分自身の感性や教養を高めることへの関心の高まりは、彼らの物性的・機能的な価値にとどまらない「ストーリー」を重視した消費とも密接に関わっているように感じます。「超インカムリッチ」のような、経済的にも文化的にも成熟した新しい富裕層の共感を獲得するためには、物性的・機能的価値に加えて、「ストーリー」のエビデンスにもなるような、「モノづくり」全体に宿る文化的・芸術的な独自の価値、つまり「文化的意味性」が重要になってくるのではないでしょうか。(分析担当)

調査概要

〇調査名称:「新富裕層調査2025」
○調査手法:インターネット調査
○対象者:20~69 歳の男女計3,512名
・今回の調査では「インカムリッチ」と「ウェルスリッチ」の境となる世帯年収等、インカムリッチの中でも「世帯年収」による特徴の分析を強化することを目的に高年収世帯の対象者を拡充。
・全体で3,521サンプルのうち、世帯年収1,500万円以上のインカムリッチ層を2,009サンプル、同3,000万円以上を609サンプル、同5,000万円以上を209サンプルを確保、実際の人口構成に基づきウェイトバック集計を実施した。
○対象地域:全国
○調査時期:2025 年3月14日~25日
〇調査機関:QO株式会社

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