「この星の、走り方までデザインする。」エコ先進国・デンマーク生まれのe-BIKEブランド「MATE. BIKE」が掲げる 未来の自転車の走り方とは!?
エコ先進国のデンマークで誕生したe-バイクブランド「MATE. BIKE(メイトバイク)」。e-BIKE(イーバイク)普及率が約25%にもなっている同国で2016年に誕生し、メジャーとなっているブランドだ。スタイリッシュな見た目が特徴で、2021年3月の日本上陸後は移動にもオシャレさを求めるファッション感度が高い層を中心に支持を得ている。
同ブランドが特徴的なのは、ただオシャレなe-BIKEを量産するだけではなく地球環境に配慮した取り組みに積極的なこと。そこで、MATE. BIKE日本旗艦店でもある「MATE. BIKE TOKYO」でストアマネージャーを務める片田吉昭氏を直撃。昨年には、SDGsテックアワードも受賞した同ブランドが見据える自転車の未来、そして日本市場におけるコーポレートスローガン「この星の、走り方までデザインする。」の真意にも迫っていく。
片田吉昭さん/MATE. BIKE TOKYOストアマネージャー
埼玉県出身。デンマーク生まれのe-BIKE「MATE. BIKE」の旗艦店である「MATE. BIKE TOKYO」ストアマネージャー。2021年3月のオープンより現職を務めている。キャンプが趣味の自然志向。普段の近・中距離移動や出勤にはMATE.を使い、自宅から職場までの約9キロの道のりも軽々走行。
ライバルは同業他社ではなく「環境汚染に関わるすべての乗り物」!?見据えるのはエコノミーではなく、エコロジー。
― まだまだ聞き慣れない「e-BIKE(イーバイク)」とは何でしょうか?
意味合い的には従来の「電動アシスト付自転車」を言い換えたものなのですが、大きな特徴としてはママチャリタイプと異なり、マウンテンバイクやロードバイクといったスポーツタイプの自転車に電動のユニットを搭載しています。
今、インターネットで「e-BIKE」と検索すると弊社の商品を中心に、スポーツ自転車型の商品がヒットします。というのも、2018~19年ころが日本市場で“e-BIKE元年”と言われていて、海外からe-BIKEが続々と入ってきた年だったんです。その少し後になりますが、弊社も日本上陸しました。
― ブランドサイトでは「ライバルは環境汚染に関わるあらゆる乗り物」とありました。ライバルは同業他社だけではないのですね?
「MATE. BIKE」に乗るメリットとして、タクシー料金が抑えられる、co2の排出量が抑えられる、電車に乗っている時間のストレスも軽減されるという点があります。そういうことを突き詰めると、エンジン付きの乗り物や、公共交通機関のすべてがライバルになってくると考えています。
― 世界と比較すると日本のe-BIKEの普及率はどのくらいなのでしょうか?
ブランドの本拠地でエコに先進的なデンマークでは、e-BIKEのシェアは約25%。非電動自転車の普及台数は2015年時点では51万台だったのが、今では約40万台まで減ってきていて、その代わりにe-BIKEの普及台数が上がっているというデータがあります。エコロジー先進国を中心に着実にe-BIKEへの乗り換えが増えていて、当たり前になりつつあると思いますね。
― 普及が進む背景は何だと思いますか?
デンマークに限って言えば、車の税金がものすごく高いという点が挙げられます。2005年ころからは、自動車購入額に対して180%の税金が上乗せされます。一般的な収入の人でも金銭面的に車に乗れないということが大きいと思います。また、密集した都心部への自動車乗り入れ禁止エリアが増えてきている。国としてそういう動きが活発なので、近年の世界的な環境意識も手伝って自転車をはじめとしたe-BIKEのようなものに乗り換えているのではないでしょうか。
MATE. BIKEをライフスタイルに取り入れたエシカルな生活を提案。“気づいたら結果的に環境に配慮していた…”こそ理想
― MATE. BIKEの性能を教えていただけますか?
フル充電までの所要時間が4~5時間程度で、最大距離80キロの走行が可能です。通常バッテリーでは80キロですが、ラインナップでは120キロまでのバッテリー容量を揃えています。
ちなみに私はプライベートでMATE. BIKEの他にバイクも乗っていて、それはレギュラーガソリン6.5リットルで100キロほどしか走らないんです。料金的には一回満タンにすると約900円。よく湘南の方に行くのですが、往復90キロほどでco2もかなり出していると思います。でもe-BIKEにすると、時間は少し掛かりますが、料金がグンと下がりますし、かなりエコだと思います。
バッテリーに関しては環境面にも配慮していて、すべてのバッテリーに再生可能であるリチウムイオンを使用しています。今まではニッケル水素やアルカリやマンガン電池などが使われる例が多かったのですが、再利用できるフィルタータイプのリチウムイオンを採用しています。
― 性能が素晴らしいだけでなく、製造過程にもこだわって地球環境に配慮されているんですね。
なるべくゴミを出さないよう梱包も極力少なくしています。もちろん自転車本体に傷をつけてはいけないので、最小限の梱包はしている上で、シンプルな梱包を心掛けています。最初は見た目の良さにこだわった梱包でしたが、決まった素材でないと(梱包用の)段ボールもリサイクルできないので、最近はパッケージをリニューアルしたんです。ダンボ―ルの中身も変えて、できるだけゴミを出さないように変えました。
そういった様々な取り組みが評価されて、本国では「SDGsテックアワード2021」を受賞しました。北欧の企業を対象にSDGsに沿った17項目の目標に対して取り組みができているか、もしくは目指しているかという部分が審査基準なので弊社としても栄誉あるものだと思います。
― 今後の展望を教えてください
今期から、日本での企業スローガンを「この星の、走り方までデザインする。」をスローガンとしています。まずはe-BIKE市場でリーディングカンパニーになって、スローガン通り人々の「走り方」まで提案していきたいです。
今、旗艦店にご来店された方には試乗をしていただいているのですが、その際に通行中の手信号など最低限の乗車マナーもお伝えしています。製品の良さだけでなく、乗車時のマナーなども提案していきたいですね。
また、MATE. BIKEはファッション、テクノロジー、エコの三拍子をコンセプトに設計しているので、これをライフスタイルに取り入れることでよりエシカルな生活ができるという点も提案していきたいです。今は「MATE、かっこいい!」「オシャレ!」といって来店してくださる方が大多数なのですが、そういった方も気づかないうちにエシカルな生活の一部に寄与できているというのがいい流れなのかなと思います。元々エコロジーに関して興味関心があるお客様がもちろんですが、気づかないうちに環境に配慮した行動ができているんだよ、ということを広めていきたいですね。
自転車を起点に循環型経済を模索。我々ならそのシステム構築も自信を持ってできる!
― シェアを伸ばしていくための目標設定などありますか?
社内では2030年までに再生可能なエネルギーで充電ができる、「充電スポット」を日本中に広げていく目標を掲げています。海外でもまだ充電スポットというのはできていませんが、MATE. BIKE以外のe-BIKEも使えるようにすることで、普及は伸びていくと考えています。やはり日本でe-BIKEが普及していない理由の一つとして、出先で充電できないということもあると思うんです。その電気を作るのがソーラーなど再生可能エネルギーであれば、よりクリーンで普及にもつながると考えています。
― MATE. BIKEはどこで買えますか?
弊社ウェブサイトでも買えますし、恵比寿の旗艦店「MATE. BIKE TOKYO」、卸店舗も都内に4、5店舗あります。今後は直営店を大都市中心に出していけたらと考えています。
店舗の話をさせていただくと、無機質な内装に対して盆栽などのグリーンを点在させることでインテリアデザインという点でも環境に配慮しています。内装に麻炭なども使用しています。
― 最後にメッセージをお願いします
今後はバッテリーのリサイクルなど、循環型経済をどう体現していくか考えています。
まだMATE. BIKEの展開が始まって数年なので、高齢を迎え自転車の運転ができなくなった、というかたは少ないですが、今後は「乗り終わったらどうする?」という問題が出てきます。これがそのままゴミになってしまったら無意味なので、私たちでいかに循環できるかを提案していきます。最近MATE. BIKEに似た模倣品も多いのですが、真似されているということはニーズがあるということなので、今後の循環型のシステムを作る際も我々としては自信を持ってやっていきたいですね。
東京都でも自治体単位で2030年までに自転車道路を整備していくようなので、よりいっそうe-BIKEが乗りやすい環境になっていくと思います。
【MATE. BIKE Official Movieはこちら】