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次々と魅力的な異業種コラボを実現。「サガプライズ!」プロジェクトリーダーの企画力&思考法とは

次々と魅力的な異業種コラボを実現。「サガプライズ!」プロジェクトリーダーの企画力&思考法とは

地元の魅力をいかに若い世代やほかの地域の人々へ訴求していくかは、自治体広報における大きな課題だ。ゆるキャラ作り、PR動画制作、アンテナショップの設置といった従来型の手法だけでは、狙った効果を十分生み出すことが難しくなっている。そんな中、大きな注目を集めているのが佐賀県が仕掛ける「サガプライズ!」プロジェクト。自治体や民間の垣根を超えて、企業やコンテンツとコラボレーションすることで、佐賀を新たな角度から魅せることにこだわり、情報発信している。プロジェクトリーダーを務める柴田晃典さんに、ご本人のキャリア、「サガプライズ!」とは、コラボを生み出す秘訣、今後の展望などについて語っていただいた。

柴田 晃典さん/佐賀県 政策部 広報広聴課 サガプライズ!プロジェクトリーダー
佐賀県出身。大学卒業後、コナミスポーツ株式会社に入社。フィットネスインストラクターとしてテレビ番組にも出演。その後、NBC長崎放送へ転職し、スポンサー営業を10年間担当。その後、民間企業で培った自身の経験・スキルを地元に還元すべく、佐賀県庁に入庁。文化課伝承芸能振興担当を経て、「サガプライズ!」プロジェクトリーダーに着任。

インストラクター、放送局の営業を経て、佐賀県庁に入庁

― 柴田さんは非常にユニークなキャリアを歩んでこられたそうですね。

部活の指導をやりたくて教員を志望し、採用試験を受けたものの合格できず……。それなら一度社会に出て勉強してみようと、スポーツに携われるコナミスポーツに入社しました。私のキャリアはフィットネスインストラクターからスタートしたのです。

勤務して2年目の後半頃、地元テレビ局からのオファーを受けて、週1回、ロケ番組のゲストインストラクターとして出演させていただいたんですよ。それがとてもおもしろくて、25歳でNBC長崎放送に転職。佐賀担当として8年、本社で2年の計10年間、ラジオCMやイベント参画を提案するスポンサー営業を担当。その後、佐賀県庁の中途採用試験を受け、35歳で入庁しました。

なぜ佐賀県庁へ転職されたのですか。また入庁後に携わってこられた業務は?

出身県である佐賀県に、自分が民間企業で培ってきた経験やスキルを還元したいという想いがあったからです。佐賀県は民間のキャリアを活かすことを目的とした中途採用に積極的ですし、「サガプライズ!」のプロジェクトもNBC長崎放送勤務時代から知っていたので、佐賀県庁は本気でおもしろいことをやるなというイメージがありました。何より東京・南青山にオフィスを構える地方自治体って他にはありませんからね。

最初に拝命した係は、伝承芸能振興担当です。佐賀県の各地に受け継がれる民俗芸能を後世に残していくための活性化事業がメイン業務で、県内各地の伝承芸能が一堂に会する「佐賀県伝承芸能祭」の立ち上げメンバーを任されました。この祭は現在も年1回開催されており、多くの方々が来場されるイベントへと成長しています。伝承芸能振興担当を3年間務めたのち、コロナ禍真っ只中のタイミングで「サガプライズ!」プロジェクトリーダーに着任しました。

佐賀県は民間企業経験者の採用を積極的に行っているという

ファンを持つコンテンツや企業とのコラボで地域資源を磨く

「サガプライズ!」とはどのようなプロジェクトなのか、ご紹介いただけますか。

2015年に「サガプライズ!」がスタートし、すでに39ものプロジェクトを発表しています。「サガプライズ!」の醍醐味は、すでにファンを持っているコンテンツや企業とコラボし、佐賀県の特産品や観光地など魅力ある地域資源をアジャストさせ、ニーズのあるコンテンツへと仕上げていくところ。広報というより“地域資源の磨き上げ”といった表現のほうが的確でしょう。

たとえば「有田焼を買ってください」と言うPRだけでは、若い世代から「買います」というアクションは生まれません。しかし、ゲームとコラボして、キャラクターが絵付けされたオリジナルの有田焼皿を販売すると多くの方が買ってくださる。1枚買って使ってみて、世界に誇る佐賀県の伝統工芸品の技や美しさに触れていただき、いいなと思ったら次の焼き物にも手が伸びる。そんなきっかけづくりの取り組みとしてコラボ事業を手掛け、成果を地元に還元し、地域がさらに盛り上がっていくことを目指しているです。

プロジェクトを10年継続しているのは素晴らしいですね。スタートのきっかけは何だったのでしょうか。

立ち上げたのは、佐賀県の民間企業経験者採用枠の第1期生で、現広報広聴課の課長です。今までにない新たな施策を手掛けてたパイオニアの先輩職員たちが、通り一遍ではない自治体広報にチャレンジしたのがスタートでした。当初は「とにかく若い人たちに任せる。まずは3年頑張ってこい」と送り出されたそうですが、あれよあれよとプロジェクト事業が話題となり、いまに至っています。

地方行政の中に民間企業出身の人間が入っていくことが、新しいイノベーションの創出につながっているのだと思います。

重要なのは佐賀県にとってプラスとなるものを見極める目や嗅覚

1期生からバトンタッチをしながら現在に至るわけですが、柴田さんが着任されてからの3年間で、特に印象に残っているプロジェクトをご紹介いただけますか。

直近ではシリーズ累計発行部数4,700万部を超える島耕作シリーズとコラボした「副知事 島耕作」です。日本を代表するビジネスパーソンであり、民間企業で上り詰めた島耕作が、今度は公務員、しかも佐賀県副知事に就任し、3つの公務に取り組んでいくというプロジェクト。NHKの全国放送のニュース番組でも取り上げられるなど、大きな話題となりました。

バンダイナムコの名作ゲームとコラボした「佐賀ゲー」は、“コロナ禍が終息したら佐賀県に来て遊んでね”というメッセージを込め、佐賀県にまつわるゲームで楽しんでいただきました。人気ドラマ絶メシロードとのコラボもたくさんの人々にご覧いただき、全国からお客様が佐賀県へお越しいただいた企画になりました。

「佐賀海苔主役祭り」も非常にユニークなプロジェクトです。日本一を誇る佐賀県の名産品「佐賀海苔®︎」と全国46都道府県のご当地食材を擬人化した妄想グルメ漫画46作品を制作。映像化したマンガ動画に人気声優の梶裕貴さん、石川由依さんを起用しました。このプロジェクトはオリジナルコンテンツと言えるかと思いますが、コラボで培ってきた経験が活きた企画ですし、いろいろなアワードでも受賞しました。

人気漫画シリーズとのコラボで島耕作が佐賀県 副知事に就任

佐賀の名産品「佐賀海苔」を題材にしたコンテンツも人気を博した

なぜ「サガプライズ!」では、さまざまな企業とおもしろいコラボができるのか、どうして攻めの姿勢のコラボ企画をつくれるのか、その秘訣をお教えください。

私たちは“クリエイティブのプロ”ではなく、“佐賀県の良さを知っているプロ”です。重要なのは、佐賀の良さをどこと結びつけるといちばんおもしろくなるかを嗅ぎつける“嗅覚を磨く作業”。東京・南青山にオフィスを構える意義は、世の中のトレンドをつくる場所にいて、そこで流行しているものを見て、何が佐賀県にとってプラスになるのかを見極める目を養うことだと考えています。

単に自治体が公募して民間からの提案を待っていても、私たち自身に熱量がなければいいコラボは生まれません。佐賀県の良さをきちんとお伝えし、佐賀県に興味を持ってもらうアクションをしっかり行うことが秘訣と言えるかもしれません。

また私たちは、自分が気になった情報やSNSで拾ったネタなどを共有するミーティングを毎朝実施し、密に情報収集・交換しています。そして流行の現場やイベントなどへ足を運んだ際には、企業の方、クリエイターの方といったキーパーソンといかにして知り合い、佐賀県や「サガプライズ!」の取り組みをお伝えしながら興味を持っていただくために心を砕いています。やっていることは企画会社とあまり変わらないのではないかと思います。

今後は、海外IPとのコラボ実現も目指したい

企画する上で大事にされていることは何でしょうか。

佐賀県の地域資源についてとにかく勉強すること。そして特産品の生産者、地元企業の人々、佐賀県庁の各課事業で尽力している人たちへのリスペクトを忘れないことです。「おもしろければいい」だけでは、間違ったメッセージを発信しかねません。地元の人々に応援される広報でなければならないのです。

コラボの難しさは、双方にとっていかにプラスαの効果を出せるかです。そのために一番大事にしていることは、関わっていただく人たちを、必ず一度は佐賀県にご案内することです。1泊2日でもいいので佐賀県を巡ってもらい、佐賀県のものを食べてもらい、佐賀県の人々と触れてもらって、佐賀県を感じてもらう。するとぐっと相手の熱が上がっていき、コラボの出来が全然変わってくるんですよ。

今後チャレンジしてみたいコラボや、打ち出していきたい佐賀の魅力などはありますか。

10年前は画期的だった自治体と民間のコラボも、現在はそう珍しくはありません。そんな中での新たな挑戦は、海外のIPとのコラボです。海外の人が日本を知るきっかけが佐賀県だったら嬉しいし、「佐賀県のことを知っているよ」という会話が世界中で行われるようになったらおもしろいなと。世界の人々が東京や大阪、京都ではなく“佐賀県に来ている”という現象が起きたら、普通に考えれば「何で?」となると思うんです。「サガプライズ!」の事業がそのきっかけになればと思っています。

特に東アジアは東京より佐賀県のほうが近いですし、直行便も多いので、何かユニークな仕掛けやイベントができたらと考えているところです。

日本だけではなく、海外にも広がりを見せる「サガプライズ!」。取材中に何度も出てきた「地域資源の磨き上げ」というフレーズが印象的だった

とても楽しそうにお話される柴田さんですが、その原動力は何ですか。

私たちの仕事が注目されているのは、地元の人々や目に見えないところで汗をかいている県庁職員たちが支えてくれているからこそ。関わる人々に感謝されたり、「一緒におもしろいことをやりましょう」と声を掛けていただいたりすると、また頑張ろうという気持ちになれます。今後も「次に何をやるんだろう」と期待してくれている人たちをがっかりさせない仕事をしていきたいですね。

自治体の枠にとらわれない幅広いコラボ実績をもつ「サガプライズ!」とのコラボレーションに興味を持っていただける企業様、クリエイター様を募集しています。佐賀県という素材の磨き上げに興味を持っていただける方はこちらからお問い合わせください。

文:カソウスキ
撮影:船場拓真

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