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ピエトロをもっと好きになってもらうための “ファンベース経営”とは。そのきっかけとしてのコラボやキャンペーンを続々と生み出す社風に迫る

ピエトロをもっと好きになってもらうための “ファンベース経営”とは。そのきっかけとしてのコラボやキャンペーンを続々と生み出す社風に迫る

1980年、福岡市・天神のパスタレストランとして誕生した「ピエトロ」。オレンジのキャップが目印の看板商品「ピエトロドレッシング 和風しょうゆ」は、きっとご存知の方も多いだろう。2022年から、同社ではもっと「ピエトロ」をもっと好きになってもらう“ファンベース経営”を推進中だ。例えば、「ピエトロドレッシング 和風しょうゆ」の累計出荷本数3億本突破に感謝して、ピエトロおじさんに叶えてほしい願いを募集した「ありがとうチャレンジ」企画では、その願いを叶えるべく、工場見学や出張レストラン、「ビームス」とのコラボ商品の発売を実現した。そんな魅力的な企画やコラボを実現する「ピエトロ」の企業カルチャーとファンベース経営について、広報室長の松田詩織さんに伺った。

松田 詩織さん/株式会社ピエトロ 広報室長
2011年、株式会社ピエトロに新卒入社。社長室や営業企画を経て、2015年から広報業務を担当。2020年の創業40周年を機に、全社でファンベース経営を進めるにあたり、同年新設の「ファンコミュニケーション室」の立ち上げに参画。2年間、広報室と兼務。2022年3月より現職。

社員の意見を実現しやすい「ピエトロ」の社風

「ピエトロ」創業のエピソードを教えていただけますか。

「ピエトロ」は1980年12月に福岡市の天神で、小さなパスタレストランとして創業しました。創業者の村田邦彦が東京で食べた茹でたてのアルデンテのパスタの美味しさに感動し、自身も提供したいと「ピエトロ」を立ち上げました。

当時のパスタはミートソースやナポリタンが主流でしたが、“炊きたてのご飯に合うものは、茹でたてのパスタにも合う”という考えのもと、高菜や明太子などを使った和のテイストのパスタを提供し、お客様から好評を得ました。

さらに、前菜のサラダに使われていたドレッシングも好評でした。新鮮な国産玉ねぎと、九州の甘めの醤油をベースにしたドレッシングで、「ピエトロのドレッシングだと、野菜嫌いの家族がサラダを食べるので分けてほしい」とお客様からリクエストを頂き、ワインの空き瓶に入れておすそわけしたことが、現在の看板商品である「ピエトロドレッシング 和風しょうゆ」の始まりです。その後、店頭販売を始めると口コミで広まり、またたく間に人気商品となりました。

創業当時からの定番ドレッシング「和風しょうゆ」

2017年に、代表が創業者の村田さんから2代目の高橋さんに代わられましたが、社内の様子は変わりましたか。

創業者の村田はカリスマ性とリーダーシップが強く、社員を引っ張っていくような存在でした。村田の意思を引き継いだ2代目の高橋は、新しいことにたくさんチャレンジさせてくれます。高橋曰く、「乗り物に例えると、村田社長は先頭の車両が他の車両を引っ張っていく機関車のようなスタイルだった。これからは各車両にモーターがついた新幹線のように、みんなの力で進んでいくような会社にしていきたい」と。今は、これまで以上に各部署が意見を出しやすく、実現もしやすいような雰囲気になっているのを感じます。

一方で、トップが変わっても経営基本方針はブレていません。基本方針がしっかりあるからこそ、新しいことにどんどんチャレンジしていこうという今の社風が成り立っているのだと思います。

ーより社員の意見が実現しやすいようなカルチャーになったのですね。

そうですね。例えば、2023年度から横のつながりを意識したユニット体制がスタートしました。ドレッシング、パスタ、スープ、冷凍、デリカの5つのユニットがあり、それぞれのリーダーが中心となって、各部署が連携して、レストランやオンライン販売など戦略的に打ち出し方を練っています。5つのユニットは連携していて、相談し合ったり、一緒にキャンペーンをしてみたり、どんどん活動の幅が広がっていますね。

「ピエトロ」の社風は、経営陣と社員の距離が近いのが特徴です。ピエトロでは、社員研修の一環として、福岡市・能古島(のこのしま)にある自社農場で、毎週土曜日、福岡在住の社員が入れ替わりで農業研修を行っています。社長の高橋は、20年ほど前から、この能古島に毎週通っているのですが、この研修を通して社員といろんな話をするのが至福の時だそうです。仕事の場以外での交流を大切にしていて、それが結果として社内の風通しの良さにつながっているのだと思います。

左上)高橋社長と社員が交流する様子

「ファンベース」を大切に、さまざまなコラボを実現

ー「ピエトロ」のファンベース経営について教えていただけますか。

私たちは「ピエトロファン」を、“「ピエトロ」が大好きでいつも応援してくださる方”と定義づけしています。「ピエトロ」では2020年に「ファンコミュニケーション室」を新設。ファンを大切にし、ファンの声を経営に活かすことで、中長期的に売上や事業価値を高める考え方である ファンベース経営を進めています。

テレビCMを一旦お休みしているのも、ファンベース経営の一環です。テレビCMは全国に広くPRできますが、現在はピエトロと接点があったり、応援してくれる人に「ピエトロ」をより好きになってもらうための施策に力を注いでいます。

2023年に実施された「ありがとうチャレンジ」もファンベース経営の一環なのでしょうか。

そうです。1981年の販売開始から42年を迎える看板商品の「ピエトロドレッシング 和風しょうゆ」が累計出荷本数3億本を突破したことへの感謝の気持ちを込めて、これまでピエトロを支えてくださった皆様からお願い事を募集。そのなかから3つの願いを叶えるという、「ありがとうチャレンジ」を実施しました。募集にはなんと3,212個の願いが集まり、3つに絞るのはとても大変でした。

一番多かった願い事である「ピエトロの工場見学がしたい」という声を第1弾で実現しました。工場見学の募集に対しても約1,500件の応募があり、最終的に12名の方に見学いただきました。第2弾は「家の近くにピエトロレストランがないため、出張レストランに来てほしい!」という願い事を叶えるべく、岐阜県飛騨市神岡町で出張レストランを開催。多くの住民の方にお越しいただき、行列ができるほどでした。

「ピエトロおじさんのグッズが欲しい」という声も多かったため、第3弾では「ビームス」とコラボグッズを作り、販売しました。「ビームス」と「ピエトロ」はコーポレートカラーがオレンジという共通点があります。さらにお互いにライフスタイルを提案しており、理念が似ていたためコラボに至りました。どれもピエトロからの一方的な企画ではなく、ピエトロを支えてくれているお客様の願いを実現でき、喜んでいただけたことが何よりの感謝につなげられたと感じています。

工場見学後の集合写真

ー他にも、多くのコラボ商品を発売されているようですね。

そうですね。例えば、応援購入サービス「Makuake」で一躍脚光を浴びた「レトルト亭」とコラボしました。「レトルト亭」は水も鍋もラップも使わずにレトルト商品をより簡単に温めることができる便利な調理家電です。コラボでは「洋麺屋ピエトロ パスタソース」シリーズをより簡単においしく食べるための調理家電「レトルト亭 洋麺屋ピエトロ限定デザイン」をつくり、販売を開始。シェフをはじめとするメンバーが試行錯誤を繰り返し、「ピエトロ」のパスタソースを一番美味しく食べられる温度を再現したので、ぜひ試していただきたいです。

さらに、発芽大豆を使用した大豆ミートブランド「Soycle(ソイクル)」とコラボした「ピエトロ×Soycle 畑生まれのボロネーゼ」も販売中です。昨年からレストランでも「Soycle」を使用したメニューを提供し始めています。カフェでソイラテが提供されているように、レストランでもプラントベースの料理が楽しめるようにメニューの幅を広げていけたらと思います。

ー多くのコラボを経験されたからこそ感じるコラボの価値は何だと思いますか?

1つ目は、お互いのファンの方にそれぞれのブランドについて知っていただける点だと思います。お互いに理念に共感し合えるブランドさんとコラボしているので、相乗効果が生まれやすいように感じます。お客様だけでなく、コラボ相手の企業の社員の方が「ピエトロ」を好きになってくれることもありますね。私も、ここ最近「Soycle」を毎日食べていますし、今度は「ビームス」で洋服を買おうと考え中です(笑)。 2つ目は、コラボした企業の働き方や考え方などが勉強になる点です。例えば「Soycle」をを企画・販売する株式会社上向きは、スタートアップ企業ならではのスピード感があり、お客様により良いものを届けるためにはどうすれば良いかを強く意識されていて、私たちも原点に帰る大切さに改めて気づかされました。それに付随して、「『ピエトロ』とコラボしたい」「『ピエトロ』とコラボして良かった」と言っていただけるように、成長する機会でもあるのかなと捉えてます。

お客様、働く私たち、社会が幸せになる未来を目指す

ー「ピエトロ」の今後の展望を教えていただけますか。

ピエトロでは、「お客様・働く私たち・社会が『しあわせ、つながる』」を『PIETRO VISION』として掲げています。以前、「10年後、2030年にピエトロをどんな会社にしたいですか?」という問いに社員全員が回答し、集まった2,175個の回答をもとにつくられました。

お客様や地域社会など周りが幸せになることで、結局は自分たちも幸せになっていくと思っています。『PIETRO VISION』に掲げた言葉を実行していくことで、さらに幸せな未来が実現できると信じています。

ー最後に、ぜひ松田さんのおすすめの商品を教えてください。

「ピエトロ PATFUTTE(パットフッテ) フライドオニオン&ナッツ」です!

カリッと揚げた国産たまねぎに「ひまわりの種」「かぼちゃの種」「アーモンド」「松の実」の4種類のナッツを組み合わせた万能トッピングです。企業秘密の調味料が入っていて、クセになりますよ。レストランのメニューにも使われているのですが、食べて気に入った方がよく買って帰られます。これから、さらに人気が出ること間違いなしの商品なので、ぜひ召し上がっていただきたいです。

左)松田さん一押しの万能トッピング「PATFUTTE(パットフッテ)」

文:吉田櫻子
撮影:Studio Fiction

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