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木村拓哉さんがアンバサダーを務める「MARK&LONA」デジタル戦略の裏側 Cube Co., Ltd.の 執行役員 波多野 奨氏インタビュー

木村拓哉さんがアンバサダーを務める「MARK&LONA」デジタル戦略の裏側 Cube Co., Ltd.の 執行役員 波多野 奨氏インタビュー

巧みなデジタル戦略でコロナ禍においても売上を伸ばし続けているゴルフアパレルブランド「MARK & LONA(マークアンドロナ)」。その仕掛け人とも言える株式会社キューブのマーケティングを統括するDivision Director 波多野奨氏のファッション業界でのキャリアは多岐にわたる。アナログからデジタルへのシフトを自らのキャリアを通じ体現してきた波多野氏に、これまでのキャリアとマークアンドロナのデジタル戦略、求める人材について話を聞いた。

波多野 奨さん
上場企業でのイタリアブランドの営業職、MD職などを経て、外資系企業GLADD(現ラヴェルヴィー株式会社)のMDやバイイングそしてHRまでを経験。その後ベンチャー企業にて経営層を経験し、テック系スタートアップの登竜門である「Red Herring Top 100 Asia・Global Winner」を獲得。自身でのコスメブランド立ち上げや、ラグジュアリーブランドの公式サイトコンサルティング経験などを経て、現在、株式会社キューブ 執行役員を務める。

―波多野さんが現職に就かれるまでのキャリアはとても興味深いです。

トラサルディ等を取り扱う上場企業で営業職を3年程やりまして、当時は既存店の売上拡大に加え、新規ブランドの売上拡大を目指し飛び込みで新規開拓などをして「営業って面白いな」と感じたのがファッション業界のキャリアのスタートです。その後、FC店舗の開拓や店舗開発などを手掛け、MDに抜擢されました。その時はMD未経験だったのですが、有り難いことに会社から自身に投資をして頂き、MD養成講座のビジネススクールに通い勉強し、雑貨を中心としたMDやバイイング職を6年ほどやっていました。20代はそんな感じでしたね。

―営業、そしてMD。そこから少しずつデジタルへとシフトしていったのですか?

20代後半あたりでデジタルがぐんぐん伸びてきて、このまま店舗の売上だけの戦略では厳しいのでは、と思い始めました。当時はMDとしてヨーロッパを中心に海外の展示会に直接行くことも多く、海外ブランドの買付をやっていたこともあって、インポートブランドをEC販売する会社に興味を持ち、そこでグラムール セールス(現ラベルヴィー株式会社)の香取さん(現在同社のCEO)に出会い、これから間違いなく伸びるデジタル分野で他には無いビジネススタイルに強く関心を持ち、移籍しました。アパレル以外にもコスメやライフスタイル、チケットやワインやオシャレ家電まで取り扱っている業態が面白くて。そこでのキャリアが初めてのデジタルでした。

―波多野さんが入社されたタイミングあたりから、Glamour-Salesも一気に成長し、ビジネス規模がかなり大きくなりましたよね。

私が退職する頃、Glamour-Sales (現GLADD/GILT)の売上規模は入社時の10倍以上になっていました。取り扱いブランドも4,000以上に拡大していましたし、ビジネスとしては大きな飛躍を遂げましたね。マーチャンダイジングやブランドバイイング業務に加えて、アナリティクスやHRなども経験し、組織づくりを広範囲で学ぶことができた会社です。入社時にはまだGlamour-Salesもレポートを手作業で分析していたり、デジタル系の会社といってもまだまだアナログな部分も残っていました。分析をもっとビジュアライズしていこうと、Tableauの導入をイチから行い、会社の分析ツールを作るところから始めました。行動履歴の可視化やデータの分析など、売上を上げるために必要なことを手探りながらも学び習得していって、ユーザーがどんなものを求めているのか、データを根拠に出すことで大きな外れも無く、大きく利益を上げることができました。

―データをもとにビジネスを拡大していく。まさにデジタルの醍醐味ですよね。失敗談はありましたか?

僕自身のことですが、アナログからデジタルへのキャリアチェンジだったので転職時はエクセルのピボットすら高度に使いこなせていなかったです(笑)、とにかく必死で分析部分を含め勉強しました。現CEOの香取さんにはすごく良くしてもらって、デジタルに関してはかなり鍛えられました。あとは、成長過程のデジタルの会社ならではかもしれませんが、HRとしては会社の成長度合いに人材確保が追いついておらず、人材が足りていなかったという点ですね。ブランドのカテゴリが広い分、幅広さに楽しみを見いだせる人は良かったのですが、その領域のスペシャリストの確保が難しかったと思います。

―そして次の挑戦として、なぜ現職へ?

組織づくりについて多くを学び、少しずつ経営に関わりたいと思うようになって、当時大手鉄道会社が出資していたベンチャー企業に経営層として移りました。そこはファッション系のEC運営や、自社でオムニチャネルのPOSを開発していったり、学べることが多かったです。在庫の一元管理からオムニチャネルまで、幅広い経験を積むことができました。その会社で、世界のベンチャー企業の登竜門である「Red Herring Top 100 Asia」ならびに「Red Herring Top 100 Global」に選ばれ、フィリピンのマニラに行き、少し難易度は高かったですが英語でのプレゼンをプレゼンターとして行い、アジアのアワードを受賞することができました。その後にロサンゼルスのパサデナで開催されるグローバルのアワードにも参加したのですが、そこでもアワードを取ることができて、個人としても色々ベンチャーで経験ができ、出資元が変わるタイミングで一区切りだと感じました。その後、自身でのコスメブランドの立ち上げや、ラグジュアリーブランドのECコンサルの経験を経て、現職へのキャリアにつながっていきます。

さまざまなキャリアを経て、唯一無二のブランド力をもったファッションとこれまでの自分の基盤にあるスポーツ、そして経験してきたデジタル戦略を絡めてビジネスで何かできないかと考えていたときにMARK& LONA(マークアンドロナ)に出合いました。自分もスポーツも真剣にやっていましたし、ゴルフも好きで、代表のカリスマ性に惹かれ、これからのマーケティングを含めたデジタル戦略でビジネス拡大に貢献したい!とジョインしました。

―まさに今までのキャリアをフル活用できる場所に出合ったわけですね。マークアンドロナについておしえてください。

マークアンドロナはもともと2008年にLAでデビューしたラグジュアリーゴルフアパレルブランドです。LAでデビューした後に日本でデビューした、まさに逆輸入版です。海外では当たり前だったラグジュアリーゴルフのライフスタイル文化はまだ日本になく、このLAスタイルを日本にも浸透させようと、日本マーケットに展開した背景があります。ブランド名のマークアンドロナは、ロサンゼルスのスーパーセレブであるマークさんとロナさんから由来したものです。保守的なスタイルが常識だったゴルフウェアの世界に、独特なデザイン感覚を持ち込み、世界に類のない “Luxury Golf”というコンセプトを築いたマークアンドロナ。ゴルフアパレルとは思えない斬新なデザインでありながらも、上質な素材と高い機能性を追求し、妥協のないモノ作りを行ってきました。 また、毎シーズン展開されるユニークなコラボレーションは、世界的に著名なキャラクターやミュージシャン、マニアックなゴルフギアからフィキュアまで幅広く展開。 ブランド設立から10年以上経った今でも唯一無二の存在として注目され続けています。 2018年の”10 YEARS ANNIVERSARY”を期にブランド初のアンバサダーとして木村拓哉氏を迎え、「ゴルフに自由を」をスローガンに世界に向け更なる挑戦と改革を発信し続けています。現在は日本と韓国をはじめとしたアジアやとアメリカ、ハワイで展開しています。

―商品のクオリティが素晴らしいですよね。

マークアンドロナの特徴的なアイコンであるスカルマークはトラディショナルなゴルフの現場ではNGなイメージを持たれますが、従来のスタイルばかりではゴルフというスポーツはいつまでも“お硬い”のイメージのまま。格好いいスポーツを格好良いスタイルでやる。ゴルフ業界に風穴をあけるイメージでマークアンドロナは挑戦的なデザインを作り続けていますが、日本においてもより本物を知るセレブの方々は、クオリティかつデザイン性の高いモノづくりアイテムや、挑戦的で斬新なスタイルを求めて頂ける傾向があります。もちろんこういったデザイン以外にも、ゴルフのスポーツシーンを意識したスイングなどの動作をするときの快適さ機能性を追究してアームホールやボトムスなど様々なポイントにストレッチ性をかけるなど、接触冷感機能、保温機能、撥水機能、ドライ機能といった機能面でも多くの点でこだわっています。マークアンドロナは上質な自社開発素材が大半を占め、有名メゾンが使っている素材を使い、デザインも特別です。ゴルフウェアとしてだけでなく、タウンユースで着てもトップの服、ハイクオリティな服である。そういったこだわりが詰まったブランドです。
まさに「退屈を着るか、自由を着るか。ゴルフに自由を」をブランドコンセプトに掲げ、体現しております。

―さまざまなライン展開もされているそうです。

ゴルフアパレルブランドとしては珍しく、メゾンと変わらないコレクション展開で、現在は「MARK & LONA GENERAL」というラインに加え、”Efficient 効率” をコンセプトとするPLAY ON / OFFを問わず着用が可能な汎用性を重視したハイランクな「CODE」、FUSIONをテーマとし、警鐘を鳴らすコンセプトで今年の秋冬にデビューし、ポケモンとのコラボも展開する「ALARM」、裕福なセレブの家庭に育ったちょっとやんちゃなお嬢様をイメージしたレディースの「RICH & FAMOUS」という4つのラインがあります。ブランドとして進化をしていて、色々なブランドとのコラボレーションも増えています。アシックスやグラヴィスとのコラボシューズや、ジョンマスターオーガニックとコラボしたギフトボックス、スイスの高級時計ブランドHUBLOTとのランウェイファッションショーのコラボレートや、昨年にゴルフコンペを実施した際には協賛パートナーとしてイギリスの高級車ベントレーとのコラボレーションもしました。

また、当社では2006年 ニューポートビーチを拠点にスタートした 「HORN GARMENT / ホーンガーメント」も展開。ブランド名の由来は、幸運を呼ぶとされる”角笛/ホルン”から名付けられました。象徴的なフリーダムロゴは、海、太陽、そしてHAPPYとHOPEの”H”からデザインされ着用する人たちに喜びや楽しみを提供し人生に彩りを加えるブランドとして今後、日本そしてアジアを中心に大きく展開をしていく計画です。

他にも1874年 英スコットランド・ホーウィックにて創業を開始した「LYLE & SCOTT/ライル & スコット」のライセンスアイテムも展開し、様々なブランドの切り口を持っているのも当社の強みであると感じます。

―コロナウィルス感染拡大による変化はありましたか?

コロナウィルス感染拡大の真っ只中に、マークアンドロナの公式オンラインストアではかなりのデジタル戦略やストーリー性のあるPRコンテンツの仕掛けを行いました。アンバサダーである木村拓哉さんの動画コンテンツをはじめ、「ALARM」のローンチ、コラボアイテムのリリースや契約プロのコンテンツ発信など、リモートでの業務でしたが、かなりの多忙を極めました。こうした仕掛けがヒットし、コロナのピークでも過去最高の収益を生むことができました。また、ステイホーム期間中にデジタルで施策を打ったことでECでの売上が増加し、ECでご購入頂いたお客様の方々が今、実際の店舗に足を運んでくださっています。コロナ禍でも、ゴルフはアウトドアスポーツなので安全というイメージが多く、ゴルフに出かける人が多かったことも要因となり、デジタルでの売上は数倍以上、リテールも倍近く売上が伸びています。

―苦戦しているアパレルブランドが多いなか、素晴らしいですね。コロナ関連で一番ヒットした施策はなんですか?

アンバサダーの木村拓哉さんにご出演いただいた動画コンテンツですね。独占インタビューなど、貴重なコンテンツの数々がヒットしました。他にもASICSとのコラボシューズやgravisとのコラボシューズの動画配信など、アンバサダー区切りとアイテム区切り、認知訴求とアイテム訴求、それぞれの観点で戦略的に配信しています。これまではアナログ中心のメディアに多く出稿していたプロモーションコストを徐々にこういったデジタルへシフトしたことも功を奏しました。

―アンバサダーの木村拓哉さんについて教えて下さい。

木村拓哉さんはアンバサダーに就任いただき3年目になります。ブランドのアンバサダーとして、ただ企業の顔、という感じではなく、マークアンドロナであるからこそ全力でやっていただく姿勢からも、ブランドを本当に好きでいてくださることを強く感じます。先日撮影したインタビューの際にも、マークアンドロナをこういう形で皆に知ってほしいと、情熱を持ち一緒に取り組んでくださっています。

―これからのマークアンドロナにも大きな飛躍の可能性を感じます。ブランドの成長に伴い新しい人材も募集されているとのことですが、どのような人材を求めますか?

デジタル分野に知識があるに越したことはありませんが、これまでのマーケティング手法をベースにさらにデジタルシフトへ切り替えていければと考えております。「ブランドをこういう風にしていきたい」という自分の考えを持ち、ブランドコンセプトに沿ったデジタルマーケティングを積極的に実行していける人を求めています。自主的に動くことができる、アンテナをしっかり張って前向きに動ける方がいいですね。日本でも少しずつ認知度は増えてきていますが、ブランディングを最重要視しながら、伸ばしていける余地があると思います。また、今後アジアや北米のマーケットを広げていく計画もあるので、広い視野を持ち取り組める方に期待しています。

―最後にメッセージをお願いします。

海外から始まった我々のブランドは、今このオフィス・ショールームをヘッドクオーターとして、LAチームやアジアパートナーと連携しながらさまざまなクリエイティブや判断、戦略が生まれ、海外に広げていっています。”時代の顔を創る”。当社はこの理念のもと、日々複雑に変化する市場に対し、”価値のある商品の提供”を通じ、当社でしか出来ない事にチャレンジしそれぞれが「その時代の記憶となる商品」の提供に取り組んでおります。我々のビジョンに共感してくれる方からのご応募を、ぜひお待ちしています。

―ありがとうございました。

多くのブランドが苦戦しているなか、独自の戦略で新たなファンを獲得し好調なマークアンドロナの成長の裏側には、自身もアナログからデジタルに転身し常に幅の広い視点でさまざまなチャレンジをしてきた波多野さんのストーリーが詰まっていました。日本やアジアそして世界で成長を続けるマークアンドロナの今後の成長にさらなる期待が高まります。

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Brand Information

MARK & LONA

MARK & LONA

「マーク&ロナ(MARK&LONA)」は2008年にスタートしたゴルフウェアブランド。 ブランド名の「マーク&ロナ(MARK&LONA)」は、ハリウッドセレブのカップルの名前に由来する。