「ChatGPT」を活用して転職活動をさらに効率化しよう! AI姉さんに聞く、生成AI活用術 vol.2
AIの活用が身近な現代社会。「ChatGPT」などの生成AIを活用することは転職活動にもおおいに有効だ。好評だった前回の記事に引き続き、今回は転職活動における生成AI活用術vol.2として、“AI姉さん”ことCynthialy代表の國本知里さんに転職コンサルタントの疑問に回答いただいた。
國本 知里さん(チェルシー)/Cynthialy株式会社 代表取締役
早稲⽥⼤学⼤学院卒業後、SAP・外資ITベンチャー・AI スタートアップにてSaaS・AI領域の大手向けコンサルティング営業・事業開発に従事。その後、1 社創業し AI ・DX特化ハイクラスエージェントを⽴ち上げ等。2022 年に Cynthialyを創業し、企業向け生成AI人材育成・導入コンサルティング・開発支援等を展開。女性AIリーダーコミュニティ「Women AI Initiative」創設。一般社団法人 生成AI活用普及協会 協議員。「ビジネスパーソンのためのChatGPT活用大全」「クリエイターのためのChatGPT活用大全」監修。
大塚公二さん/エーバルーンコンサルティング シニアコンサルタント
外資系ラグジュアリーブランドでの販売経験を経て、人材紹介業界へ転身。2024年よりエーバルーンコンサルティングに入社。高級消費財の販売職から本部職まで、幅広いサーチを担当。
LinkedInと「ChatGPT」の相性は良い?効果的な自己紹介文の作り方
大塚さん(以下、大塚):はじめに、ビジネス型SNSにおける「ChatGPT」活用術をお聞きしたいと思います。近年、日本でもLinkedInの活用が一般化していますが、LinkedInと生成AIの相性について教えていただけますか。
國本さん(以下、國本):LinkedInは私もずっと使用していますが、生成AIとLinkedInの相性は良いと感じています。実は、私のLinkedInページはすべて「ChatGPT」で制作したものなんです。自己紹介文からアピールポイント、経歴まで「ChatGPT」の活用はおすすめです。
大塚: LinkedInにどうプロフィールを載せていいのか分からなかったり、自信がなかったりする人も多いと思います。具体的な活用方法があればぜひ教えてください。
國本:LinkedInはグローバル企業に多く導入されているプラットフォームなので、自己紹介文や経歴を英語で載せることも有効ですよね。英語に抵抗がある方でも、例えば「ChatGPT」に「この自己紹介文をLinkedIn用に魅力的に英語でサマライズしてください」と入力すると、LinkedInで効果的な英語の自己紹介文を作ってくれます。
大塚:ただ「自己紹介文を英語にしてください」ではなく、「LinkedInで効果的な」や「魅力的に」といったワードを入れることが重要なのですね。このように活用すれば、慣れない人も簡単にLinkedInを使いこなせるかもしれませんね。
書類通過率をアップさせる「ChatGPT」活用術
大塚:書類通過の確率をアップさせられるような生成AI活用術はありますか?
國本:まず、応募前の企業調査の段階ですが、リサーチにも「ChatGPT」はおおいに活用できます。例えば自分が受けたいと思う企業のIRデータをもとに、向こう3年でこの会社がどうなっていくのか、そしてどのような人材を求めていくのかを調べることもできます。その上で、レジュメの作成に「ChatGPT」を活用するとより効果的かと思います。
大塚:レジュメを作成する際のポイントは前回お話いただきましたが、今回はより具体的な求人案件を用いた活用術をお聞きしたいと思います。例えば、リテール(小売)業界におけるマーケティングポジションの求人案件のジョブディスクリプションから、効果的なレジュメを作成するにはどのようにすればよいでしょうか。
國本:例えば「SNSマーケティング職に応募します。効果的なレジュメのサンプル経歴書を作ってください」と入力するだけでもかなり細かい項目までサンプルを出してくれますが、そこからさらに「リテール(小売)業界のSNSマーケティング職の応募時に、アピールすべきポイントを教えて下さい」と入力すると、アピールするべきポイントまで具体的にサマライズされます。候補者の方が自分の強みをどう企業に伝えると良いのか、活用できる部分だと思います。
次に、実際の求人案件のジョブディスクリプションを使ってみましょう。例えばこのラグジュアリーブランドのマーケティング職のジョブディスクリプションと自分のレジュメをプロンプト内に入れた上で、「以下の #求人に対し、 #求職者 が何がマッチしているか、何が欠けているか、教えて下さい」と入力します。すると、マッチしている点と欠けている点を具体的に提示してくれます。
大塚:欠けている点まで出してくれるのは参考になりますね。この求職者は「データ分析の経験が少ない」と出ています。
國本:必ずしも「ChatGPT」が出す情報が正しいとは限らないので、あくまで参考として使うことが重要です。ただ、例えば本当はデータ分析の経験があるのにレジュメでそれが十分にアピールできていない場合などは、それを追加すべきだというのが分かりますよね。さらにそれをレジュメに追加したい場合も「このレジュメにデータ分析の経験を強調したアピールポイントを追加してください」と入力すると、修正ポイントまで提案してくれます。
志望動機を魅力的に書く際にも活用できる
大塚:なるほど。出た回答にさらに続けて改善案を求めていけば、精度が上がっていきますね。ちなみに、どの面接でも必ず聞かれる志望動機ですが、志望動機を考える際におすすめの「ChatGPT」活用術はありますか。
國本:これも実際に「ChatGPT」に聞いてしまいましょう。例えば「面接の時に、志望動機を魅力的に伝えたいです。どのような観点で志望動機を話すと良いですか」と入れるとします。
すると、
1.企業への共感と興味
2.自身のスキルと経験の整合性
3.キャリアの目標と企業の方向性の一致
4.独自の貢献と付加価値
5.継続的な学習意欲と成長意欲
など、項目ごとに細かく情報整理してくれるので、次はそれを前提に志望動機のサンプルまで提案してもらうと良いでしょう。ただし、ここでもあくまで参考として使用することをおすすめします。
大塚:あくまで「ChatGPT」の回答は、答えではなく“ひとつの材料”として使用することが大事なのですね。例えば、長所・短所も面接で聞かれることが多い質問ですが、個別のジョブディスクリプションに応募する場合に有効な長所・短所まで出すことはできるのでしょうか。
國本:可能です。例えば「上記の山田さん(仮名)の長所、短所をなるべく多く出してください」と入れると長所・短所がこのように出てきます。
大塚:希望するジョブディスクリプションに対して長所・短所を出せるという点がいいですね。
國本:例えばここで短所として出てきた“業界経験の不足”について、「業界経験の不足について、どのように対応すべきか教えてください」と入力すると、そこからどう短所を改善していくかまで出てきます。
近年増えるAI面接の対策や注意点
大塚:最近ではAI面接を導入する企業も増えてきました。AI面接における対策や注意点を教えてください。
國本:AI面接にはさまざまな意見が分かれています。「なぜAIに面接されるのか?」という求職者側からのマイナスなイメージもあるようです。やはり大事なのは、AIはあくまでサポートとして、アシスタントとして活用したほうが求職者とのコミュニケーションとしてはデメリットが少ないです。
大塚:確かに、実際に「AIに面接された」とSNSなどで投稿する人も目にしますね。印象はあまり良くないかもしれません。
國本:AIがもたらすリスクへの理解というのは、生成AIを使用する上で重要なポイントです。考えられるさまざまなリスクのなかでも個人への影響というものがやはり大きいんですよね。大事なのは、AIは決して必ずしも正しくはないということ。先生ではなく、あくまでアシスタントであるということです。AIはサポートするものであり、最終的な意思決定は自分が行うことが重要です。
大塚:確かに活用したほうが生産性が上がりますし、自分だけだとできないことをサポートしてくれるという意味でも、アシスタントとして傍においておきたいですよね。
國本:そうですね。自分にない観点でチェックをしてもらえるところなどもAIの良いところだと思います。例えば採用時のチェック機能として採用者側がAIを活用するなどはおすすめですね。
次の面接へ向け、取り入れたいリカバリープラン
大塚:例えば、面接までこぎ着けたものの、面接がうまくいかなかった……という場合に、自分に何が足りていなかったのか、次につなげるリカバリープランを「ChatGPT」に提案してもらうこともできるのでしょうか?
國本:できます。その場合、はじめにどのような求人に応募し、どのような話を面接で聞かれて、どのような答えをしたのか。情報を整理して伝えることが前提として必要です。ちなみに音声での入力も可能なので、実際の受け答えを聞かせることもできます。ただ、実際の面接を録音するわけにはいかないので、例えば事前にロールプレイングを録音して、それを音声入力する形もおすすめです。
リカバリープランについては、例えばSNS以外のマーケティングスキルが不足していたことで落とされてしまった可能性が高い場合に、「SNSマーケティング以外のマーケティングスキルを身につけるためにすべきこと、学習プランを教えてください」と「ChatGPT」に入力します。すると、不足しているスキルを習得するのに効果的な学習ツールを教えてくれたり、おすすめのeラーニングを教えてくれたりします。さらに、何ヶ月で何をどのくらい習得すべきかという学習スケジュールまでプランニングしてくれます。
大塚:学習スケジュールまで出てくるのですね。これはぜひ活用してみたいです。
キャリアップに活用したいリスキリングの制度
大塚:AIで置き換えられる職種についての話題は絶えないですが、例えばリテール(小売)業界において、AIへの置き換えが進む職種というのはどのようなものが考えられるのでしょうか。逆に、増える可能性のある求人もお聞きしたいです。
國本:これも「ChatGPT」に聞いてみましょう。見てみると、キャッシャーや在庫管理、カスタマーサービスなどが置き換えられると出てきました。逆に増えていくのはデータアナリストやAIスペシャリスト、デジタルマーケティング担当など。「ChatGPT」だけでなく、ほかの対話型AIに聞いてみると回答が異なる場合があるので、正しい情報かを精査しながら、調べていただくと良いと思います。
大塚:確かに、実際に考えられているものと近いものが出てきていますね。生成AIの種類によっては参考元のリンクも掲載されているので参考になります。ちなみに、最近リスキリングという言葉をよく耳にしますが、リスキリングについても教えていただけますか。
國本:リスキリングは、業務上に必要なスキルや知識を習得することを指します。DX化を進めるための国策として5年で1兆円の予算がつけられていて、政府がリスキリングへの取り組みを呼びかけています。一般的には新たな業務を行うためのデジタル分野での学び直しを指すことが多いですが、既存業務で用いるスキルを強化するニーズも増えています。
大塚:新しい職種にチャレンジをする求職者の方にもぜひおすすめしたい制度ですね。
國本:また、Cynthialy株式会社が提供する生成AIスキルアッププログラムは、現在企業向けに展開しておりますが、今年から個人向けにもサービスを開始します。このプログラムでは、生成AIとExcelを駆使した業務効率の向上スキルや、生成AIを活用したマーケティングスキルの向上を目指すプランなど、多岐にわたる学習内容を提供します。皆様のキャリアアップに役立てていただきたいなと思っていますので、ご興味ある方は是非こちらまでご相談ください。
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「エーバルーンコンサルティング(A Balloon Consulting)」は、東京と大阪を拠点にしたファッション業界に特化した人材紹介サービス会社。販売スタッフからエグゼクティブクラスまで、ファッション業界の優良な人材と企業をつなぐエージェントとして、多くの紹介実績を持つ。