名古屋のラグジュアリー顧客・購買・外商ビジネスの特徴とは?某ジュエリーブランドの店長が語る
歴史や観光、独自の文化が充実し、東京や大阪とはまた違った魅力を多く持つ名古屋。それは、ラグジュアリービジネスにおいても同様だ。名古屋の顧客層や購買行動、売れ筋商品にはどんな特徴があるのか。また、外商ビジネスの強さから名古屋で働く魅力とは――。某ラグジュアリーブランド ストアマネージャーに取材しました!
Sさん/松坂屋名古屋店 某ラグジュアリーブランド ストアマネージャー
大学卒業後、不動産業界に従事した後、ラグジュアリー業界に転職。現在までにフランス系・イタリア系のジュエリーブランドにて販売職を経験。京都・大阪・名古屋にある店舗で約20年にわたって勤務する。店舗運営やマネジメントに加え、外商ビジネスの経験も豊富。
壁がなくなると、長い付き合いになる名古屋顧客
― Sさんのこれまでのご経歴について教えてください。
大学卒業後、不動産会社に3年ほど勤務した後、もともと興味のあったラグジュアリー業界に入りました。最初はフランス系のジュエリーブランド2社で約10年勤務し、その後は現在のイタリア系のジュエリーブランドに移り、約10年になります。京都・大阪の百貨店内で勤務していたため、外商ビジネスにも長く従事してきたほか、新規出店のオープニングスタッフやチーフ副店長も経験しました。現在の松坂屋名古屋店に移ってからは、2年になります。
― 約20年にわたり、京都・大阪・名古屋で勤務してこられたのですね。それぞれの地域で客層の特徴に違いはありますか。
一概に言えることではありませんが、京都の場合は、歴史ある街並みや建造物、文化に日頃から触れている方が多く、奥ゆかしく洗練されたデザインを好む特徴があります。大阪のお客様はトレンドに敏感な方が多く、新しいものを積極的に取り入れる傾向にあります。名古屋のお客様は、トレンド感をお持ちの方やブランドの歴史やストーリーに興味のある方が多く、新作はもちろんアイコニックなコレクションを好む方が多いです。
― そうなのですね、とても興味深いです。
名古屋のお客様の場合、関西と比較すると最初は壁があるように感じることもあり、心を掴むまでに時間を要したように思います。ただ、壁が取れると一気に心を開いてくださる方が多い。
そして、かなり長いお付き合いになるケースが多いのも特徴です。私も松坂屋名古屋店に来て驚いたのですが、10~15年の付き合いになるお客様がかなり多いのです。なかには20年来のお客様も。一般的には1~3年、長くて10年くらいで途切れてしまうケースが多いですからね。
売れ筋は、わかりやすいロゴやシグネチャーアイテム
― 名古屋の場合、売れる商品にも傾向があるのでしょうか。
例えば、東京・大阪の場合、最新トレンドを取り入れたい、最新モデルを身に着けたい方が一定数おられる印象です。名古屋も勿論トレンドのものを身に着けられるのですが、仕事関係やご友人同士で横の繋がりが強く、お互いにお勧めのものを紹介し購入されるケースが多いように思います。交流の場を大切にされているので、少し華やかなもの、それぞれのブランドのアイコニックなコレクションを持たれている印象があります。
― では、Sさんのブランドでもそういったアイテムが売れているのですね。
はい。シグネチャーアイテムの売り上げが4~5割を占めます。このアイテムは100万円以上の価格帯が中心ですが、よく売れていますね。そのため、私のいる店舗は全国的に見ても顧客平均単価が高くなっています。存在感、ボリューム感があり、ひと目でこのシリーズだとわかるデザインのため、そこも名古屋のお客様に好まれる要因なのかな、と。
― なるほど。顧客平均単価が高いとのことですが、顧客層はどういうご職業の方が多いのでしょう。
愛知には世界的企業のトヨタがありますし、その関連企業がたくさんありますので、そういった関連企業のトップや役員クラスの方のほか、最近は20~30代くらいの若い起業家の方も増えてきました。愛知以外ですと、岐阜の会社経営者や役員クラスのお客様も。業種は、製造業から建設業、不動産業などさまざまです。
全国の中でも目立つ、外商比率の高さ
― Sさんは外商のご経験も長いですよね。特に松坂屋名古屋店は、“外商発祥の地”でもあります。やはり全国的に見て、外商ビジネスは強いですか。
そうなんです。これも名古屋店に勤務して驚いたことですが、ふらっと来店されて何かご購入されるお客様でも、そのほとんどが外商顧客なんです。一般的な外商比率は10~20%ですが、当店の場合は約50%とかなり高めです。これはやはり松坂屋名古屋店ならではの特徴でもあるでしょうね。
松坂屋は400年くらいの長い歴史があり、一流百貨店として名古屋に根付いています。外商顧客であることは、当然ステータスになっているでしょうし、3世代にわたってお付き合いしているお客様も多くいらっしゃるようです。
― 先ほどの、顧客とは「長い付き合いになる」というお話とも通じますね。ブランドとしてもSさんの店舗では外商ビジネスを重視されているのでしょうか。
そうですね。ポテンシャルのあるお客様への接客、アプローチが行える良さがあります。店舗のスタッフにも商品情報を密に共有し、それぞれが顧客との接点をたくさん持てるように心がけています。そうすれば、お客様が「こういうリングが欲しい」とおっしゃったときに、すぐに「新作が出ていますよ」とご案内できます。
今後も注目を集める名古屋。仕事を通じて、自己成長も
― 名古屋は、「高島屋のある名駅エリア」と「松坂屋のある栄エリア」の2大商業エリアがありますね。それぞれで、顧客層は異なるのでしょうか。
まず名駅エリアは、若い層からご年配の層まで行きやすいという利便性がありますね。そういう意味で、現在は名駅エリアの方が勢いづいている印象も。ただ、栄エリアには、2026年に高級ホテルやオフィス、商業施設が入る「ザ・ランドマーク名古屋栄」が開業予定ですので、今後は人の流れも変わってくるでしょうね。栄エリアでは、さらなる富裕層やインバウンドの流れを期待できると思います。
― 栄エリアはますます注目され、盛り上がっていきそうですね。関西での勤務経験が長かったSさんから見て、名古屋で働くスタッフについてはどうお感じになりますか。
真面目で素直なスタッフが多いですね。先輩・後輩の間で意見交換がしやすい環境がありますし、コミュニケーションも取りやすい雰囲気があります。店頭でのお客様対応や催事においてもチームとしての動きを大切にするスタッフばかりです。
― ありがとうございます。最後に名古屋で働く魅力、ラグジュアリービジネスに携わる魅力について教えてください。
名古屋で働く魅力は、先述したようにお客様と長くお付き合いできること、また今後ますます富裕層やインバウンドの流れを期待できることです。
私個人としては、ラグジュアリービジネスの醍醐味は『ハイジュエリー』を取り扱うことにあると感じています。お客様との信頼関係を築き上げ、自らの経験を積んでいくことにより販売スキルは勿論、『人』と繋がりを持つ大切さを学んでいきます。それは自己成長に繋がり、仕事に対するモチベーションが保たれ、お客様に最高のおもてなしができるようになります。その人間力を持って『ハイジュエリー』を販売することこそラグジュアリーで仕事をするやりがいです。
きっと誰しも、「何でこの会社に働いているんだろう」「何でこの仕事をしているのだろう」と思う瞬間があると思うのですが、そんなときも、自己成長に繋がると思えるのは大きいのではと思いますね。
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