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【イベントレポート】斬新コラボを次々と実現!「ベビースター」役員が語る、コラボ成功の秘訣と裏側

【イベントレポート】斬新コラボを次々と実現!「ベビースター」役員が語る、コラボ成功の秘訣と裏側 NEW

ロングセラー商品「ベビースターラーメン」でおなじみの株式会社おやつカンパニーは、近年、異業種コラボレーションを積極的に展開している。その背景には、長年親しまれてきた「ベビースター」ブランドの認知度向上と、顧客の再獲得という課題があった。同社はどのようにコラボレーションを成功させているのか。常務執行役員兼マーケティング本部長の赤沢 佳代さんをお招きし、コラボ成功の秘訣を語っていただいた。

ゲストスピーカー:赤沢 佳代さん/株式会社おやつカンパニー 常務執行役員 マーケティング本部長
メルシャン、日本コカ・コーラ、日本マクドナルド、資生堂に在籍し、複数のブランドで市場創造やマーケティング戦略の構築・強化・実行業務を担当。2021年6月より株式会社おやつカンパニーにて現職。市場の変化が急速に進む昨今、看板ブランドの「ベビースター」を始めとしたマーケティング業務全般と、ブランドを通した新たな価値提供の実現へ向けて様々なパートナー企業との共創に取り組んでいる。

モデレーター:田崎 直人/NESTBOWL株式会社 CEO
1989年、埼玉県生まれ。大学卒業後、クリエイティブに特化したエージェンシー事業を展開するクリーク・アンド・リバー社にて、ゲーム、ファッション、XRなど、主に新規事業立ち上げに従事。「NESTBOWL」ではCOOとしてサービス運営に携わり、2024年1月、現職に就任。家業である創業30年のもつ焼き専門店「せんとり」の経営サポートも担う。趣味はサッカーやランニング、テニスなどのスポーツを中心に、社会人漫才コンビとしての活動もしている。

「ベビースター」の課題解決に、コラボが一役

― おやつカンパニーさんの概要と「ベビースター」の現状や課題について教えてください。

おやつカンパニーは、1959年に「ベビースターラーメン」を発売開始して以来、60年以上にわたり、多くのお客様に愛されてきました。ベビースターをはじめ、「ブタメン」やパンスナック菓子「宅バル」など、さまざまなスナック菓子を製造販売しています。

ベビースターは、実は乾燥麺から始まりました。当時、近所の方が工場へ集まって、家内工業として即席麺を作っていたんです。天日干し工程で出てしまう麺のかけらを創業者がアレンジして従業員に配ったところ、「おいしい」と評判になり、商品化に至ったというユニークな誕生秘話があります。

― 麺のかけらを商品化するとは、日本らしい「もったいない」精神から生まれた商品ですね。

そうですね。今では3世代にわたって愛されるロングセラー商品になっています。しかし駄菓子屋という出会いの場が少なくなったこともあり、近年は課題も見えてきました。ベビースターを1年以内に食べたことがある“アクティブユーザー”の減少です。「ベビースターをよく食べています」と、さまざまな方から有難くお声がけいただきますが、調査をしてみると、最後に食べたのは数年以上も前のケースがほとんどです。つまりブランドの認知度は高くても、実際に購入して食べている方が少なくなっているのです。

これは深刻な課題だと認識して、私たちは調査を進めていきました。昔はベビースターを食べていたが、直近1年以内は食べていないユーザーを「離反ユーザー」と定義し、離反ユーザーへその理由を尋ねてみました。すると、「特にない」という回答が最も多く、次に「店頭で見かけない」という回答が続きます。お客様はベビースターの存在を忘れかけているのです。

たしかに、子供のころに食べたという記憶の方が鮮明かもしれません。

こうした現状を打破するために、スナック菓子の棚を越えて、コラボレーション戦略に力を入れはじめました。「こんなとこにもベビースター」というキャッチフレーズには、消費者にベビースターを思い出してもらう、再発見してもらうという意味が込められています。同時に、消費者の日常の中にベビースターが存在する、身近な存在であることを感じてもらうという狙いもあります。

「ベビースター」は発売から65年経った今でも国民に愛され続ける日本を代表するお菓子だ

野球、鉄道、アパレルなどユニークなコラボ展開

― 具体的なコラボレーションや取り組みの事例をいくつかご紹介いただけますか?

大きく4つの取り組みについてご紹介します。1つ目が磯丸水産さまとのコラボレーションです。「食品×体験」を軸に、磯丸水産さまの名物「蟹味噌甲羅焼」を表現したベビースターラーメンを共同開発し、期間限定で全国のコンビニエンスストアで販売しました。

同時に磯丸水産さまの店舗メニューにもベビースターを採用いただき、こちらも期間限定で、ベビースターをトッピングしたアレンジメニューが提供されました。居酒屋のメニューとコンビニエンスストアでの商品販売を同時に展開することで、相乗効果を狙った事例です。

― 外食産業と小売、両方の販路で展開したわけですね。

磯丸水産さまにとっては、コンビニに置かれたベビースターを通して、新たな顧客層へのアプローチが可能になりました。そして私たちにとっては、ベビースターをメニューに取り入れていただくことで、商品を思い出していただけるというありがたいお取り組みでした。

2つ目は、横浜DeNAベイスターズさまとの取り組みです。8月2日の「ベビースターの日」に合わせて冠試合を開催し、球場内での広告展開、サンプリング、ベビースターを使った限定フードメニューの販売など、様々な施策を実施しました。さらに、始球式ではベビースターのキャラクター「ホシオくん」が登場し、会場はとても盛り上がりました。

― 私も会場に行きましたが、とても盛り上がっていましたね。

おかげさまで、球場のいたるところでベビースターを登場させることができ、SNSでも大きな反響がありました。およそ2万人のお客様にミニサイズのベビースターを配布したことも、離反ユーザーが思い出すきっかけ、さらには新規顧客の獲得にも繋がったと考えています。

3つ目の事例は、江ノ島電鉄株式会社さま(以下、江ノ電)と、台湾にある高雄メトロさまの3社が関わる取り組みです。

2023年に江ノ電さまとのコラボでベビースターのラッピング電車を運行し、話題を呼びました。こちらのコラボに手ごたえを覚えましたので、私どもと江ノ電さまで台湾の高雄メトロさまに3社のコラボを打診しました。お話がとんとん拍子に進み、2024年は江ノ電さまだけでなく、高雄メトロさまともコラボレーションし、日本と台湾で相互にラッピング電車を走らせるという企画が実現しました。

そもそも、台湾ではベビースターを1983年から発売しており、「おやつカンパニー」の工場も2017年から稼働していることもあってベビースターの認知度も高く、江ノ電さまと高雄メトロさまは観光連携協定を締結されていらっしゃいます。それらが今回のコラボレーション実現の大きな要因になったと考えます。

― 国外でのコラボレーション事例ですね。海外といえば、アパレルブランド「NEW ERA」とのコラボも話題ですね。

はい、4つ目の事例です。「NEW ERA」さまとは、ベビースターのデザインを取り入れたキャップやTシャツなどを共同開発させていただき、若年層へのアプローチを試みました。「082」という数字を「おやつ」と読ませるなど遊び心のあるデザインが好評で、SNSでも話題を獲得でき、ありがたいことに一部の商品は完売となりました。

「こんなとこにもベビースター」というキーワードで異業種との斬新なコラボレーションを次々と生み出している

コラボ先企業にメリットがあることがマスト

― ユニークなコラボを多く実現されていますが、これらの企画はどのように生まれているのでしょうか。

企画の立案は、20代から50代まで幅広い年代のメンバーによるブレストから始まります。自由にアイデアを出し合い、実現可能性や費用対効果などを検討します。最近になってようやく私たちの活動が注目されるようになり、企業様からコラボレーションのオファーをいただく機会も増えました。どんなオファーでも、まずは検討するようにしています。

あとは、地道にやっていくことでしょうか。実は最初、社内ですら私たちの活動の認知がありませんでした。最近ようやく営業の方からも「見たよ!」と声をかけられたり、お得意先で話題になったりと、認知が広がってきましたね。

― さまざまな企業からオファーが来るのは、企画が成功している証ですね。コラボするうえで、大切にしていること何でしょうか。

大前提として、お互いにウィンウィンであることは絶対です。一緒にコラボする企業様にメリットがあることがマスト。そのうえで、「お客様がワクワクする、楽しい」を大切にしています。

弊社と関わりのあるクライアント様へ、弊社のお菓子をお渡しすると皆さん「うわーっ!」と喜んでくださるんですね。お菓子ってそんな明るくてポジティブなパワーをもっていると思うんです。そして、楽しい感情を提供できる企画を実施することで、ブランドへのロイヤリティもより大きくなると思っています。それに、最近はSNSでお客様の反応をすぐに確認できます。リアルタイムかつダイレクトに反応がみてとれるので、とてもやりがいを感じますね。

日用品からハイブランドまで。コラボ戦略の未来

― 今後の展望についてお聞かせください。

コラボレーションを通して「ベビースター」の喫食頻度と認知度の向上に手応えを感じています。今後は、若年層へのアプローチも強化していきたいです。子どもたちが「ベビースター」をもっと好きになり、手に取りたいと思っていただけるような企画で、より多くの接点を作れる企画を考えています。

また、これまでとは異なる層へのアプローチも視野に入れています。駄菓子というイメージが強いベビースターですが、高級ブランドとのコラボレーションも検討したいと考えています。意外だけど、楽しい、またベビースターを食べてみたいと思っていただけそうな組み合わせによって、新たな注目を集めたいと考えています。

コラボレーションのハードルは年々上がっていますが、お客様に喜んでいただける企画を実現させていきたいです。今後も、ベビースターブランドをより多くの方々に愛していただけるよう、挑戦を続けていきます。

NESTBOWLでは、さまざまな企業やブランドがコラボレーションを実現できるプラットフォームを提供しています。既存の枠組みを超え、新しい価値を創造するためのコラボレーションを促進する出会いのプラットフォームです。「おやつカンパニー」とコラボを通じ新しい価値を作り出したい方は、ぜひこちらからご相談ください。

文:金井みほ
撮影:船場拓真

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ベビースターでおなじみの“たっぷりたのしい”「おやつカンパニー」