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2025年は、「感動体験」を提供できる人材が活躍!? 昨年のラグジュアリーブランドの動向から今年の採用トレンドを紐解く

2025年は、「感動体験」を提供できる人材が活躍!? 昨年のラグジュアリーブランドの動向から今年の採用トレンドを紐解く NEW

長く停滞している日本経済はいまだ回復の兆しすら見せていないが、円安進行の影響もあり訪日客数は年々増加傾向にある。その恩恵を受け、大手ラグジュアリーブランドは2024年も概ね好調傾向にあった。しかし一方では、夏に日向灘で発生した大地震を皮切りに南海トラフ地震臨時情報が発表され、さらには一時的に円高基調に振れたことでインバウンド売上が鈍化。ラグジュアリー業界内では改めて外的要因に左右されない日本人顧客獲得の重要さを思い知らされた。そこで今回はエーバルーンコンサルティングの五十野正人さんが、外資系ラグジュアリーブランド数社にヒアリング。その結果から2024年の売上&採用動向と、2025年のトレンドを探っていく。

五十野 正人さん/エーバルーンコンサルティング株式会社 シニアヴァイスプレジデント
大阪府出身。大学卒業後、セレクトショップにて販売、外資系ラグジュアリーブランドにてマネジメント職を経験。2011年にエーバルーンコンサルティング入社。大阪オフィスに在籍し、自らのネットワークを活かし、マネジメントからストアオペレーションまで全国のショップ系求人を担当する。

大地震でインバウンド鈍化はあったが、概ね好調な1年

ヒアリングされたラグジュアリーブランドの2024年動向を教えてください。

A社:2024年初頭は好調でしたが、8月に日向灘で発生した大きな地震と、一時的な円高進行の影響でインバウンドの売上が鈍化。ブランド価値の回復を目指し、抜本的な改革を行うという情報もあり、それに伴って退職者が増えることも予想されます。

B社:2023年に続き、2024年度も1年を通して非常に好調。8月の円高によるインパクトは一時的なもので、すぐにインバウンドは戻ってきたとのこと。高めに設定された年間予算も順調にクリア。特に国内最大規模の店舗では売上が前年比160%と大きな伸びを見せました。

C社:2024年の初動は良好。全体的に大きな売上伸長はありませんでしたが、予算は達成見込み。デザイナー交代による売上に影響が出ていたものの、ローカル(国内顧客)・インバウンドそれぞれに対してのイベントを実施。また、旧デザイナーによるアイテムのセールイベントを実施するなど、デザイナー交代による数字のインパクトを最小限に抑えました。

D社:全店舗で前年売上比200%超えを達成した絶好調の1年。なかでも都内にある旗艦店は前年比270%と非常に好調。以前は、比較的若年層をメイン顧客としていたが、Z世代の親世代の獲得に成功。デザイナーの実力を証明する、リブランディングが奏功した結果に。2025年は“脱トレンドブランド”を目指し、顧客シェア率を上げて健全な運営を目指すようです。

複数社にヒアリングされた感想を教えてください。

どのブランドも2024年の初動は比較的順調な動き出しでした。しかし、8月の円高進行、南海トラフ地震の警報によるインバウンド鈍化によって“勝ち組”と“負け組”がはっきり分かれる結果になったように思えます。

8月のインパクトで売上を落とさなかったブランドに共通していたのは「ローカル顧客」と「ブランド力」の2点。インバウンドが減り、一時的に売上はストップしたものの、この2点が強いブランドはすぐに売上を回復させることに成功しました。アポイントセールスやリテールエクセレンス(顧客の接客体験)などローカル顧客獲得に向けてのKPIを設定しているブランドにこの傾向は強く見られ、逆にローカル顧客を囲い込めずインバウンドに注力し過ぎていたブランドは売上の回復に遅れをとりました。

2024年は販売員人材がラグジュアリーブランド領域に大きく流入

売上に関しては概ね好調だったようですが、採用動向はどうだったのでしょうか。

2024年のラグジュアリー業界は好調なスタートだったこともあり、多くの販売スタッフの採用が行われました。なかには300名を超える中途採用を実施したブランドもあったほどです。それに伴い、転職市場における販売スタッフの求職者が枯渇してしまい、様々なブランドで「ポテンシャル採用」が行われました。

「ポテンシャル採用」とはどういったものでしょうか。

経験値が低くても、将来性の見込める若手の販売員を採用することです。以前は「ラグジュアリーブランドでの販売経験必須」など条件付きの求人が多く、敷居が高かったラグジュアリー業界ですが、2024年はラグジュアリーブランドでの勤務を希望される方にはチャンスの多い1年になりました。

具体的な採用サポートの事例を教えてください。

ハイジュエリーブランドの採用事例が印象に残っています。ジュエリーブランドは特に採用の敷居が高く、基本的には「ジュエリー、もしくはラグジュアリーブランドでの販売経験」が求められます。私がサポートさせていただいたのはコスメブランドで1年程度しか販売経験のない20代前半の女性Aさんでした。希望されていたブランドは業界内でも人気が高く、応募者も少なくなかったのですがAさんは採用を勝ち取りました。

どのようなポテンシャルを見出されたのでしょうか。

「高いホスピタリティマインド」を認められたようです。接客技術や商品知識はトレーニングで教えることは出来ますが、「ホスピタリティマインド」はトレーニングで教えることが難しいパーソナルスキル。近年、様々なブランドでホスピタリティに関するトレーニングが行われていますが、言葉ではなかなか伝えきれない暗黙知も多い。Aさんの場合、もともと持っていた「素直さ」や「おもてなしのマインド」といったパーソナルスキルを見出されたようです。

インバウンド売上の比重が大きいラグジュアリーブランドは「ローカル顧客の獲得」が課題。ローカル売上のシェアを上げることが、コロナや地震のようなイレギュラーなことがあってもブレない健全な企業経営に繋がるため、ホスピタリティマインドを持つスタッフの採用が重要となるのでしょう。

ローカル客獲得のため感動体験を提供できる人材が活躍

ラグジュアリーブランドにおける2025年の採用動向はどうなりそうですか。

2024年は円高や地震の影響で一時的にインバウンドが減り、売上を落としたブランドもありましたが、全体的に好調な1年でした。それに伴い多くの店舗スタッフの採用が行われ、販売スタッフは充足傾向にあり、2025年は求人が減ることが予想されます。そのため、ポテンシャル採用のチャンスも減少すると考えています。

各ブランドではローカル顧客の獲得がカギとなる中で、どのような人材が求められますか。

2025年は大阪万博が開催されることもあり、引き続きインバウンド客が見込まれます。その一方で、2024年を勝ち切ったブランドに共通したキーワードは「ローカル顧客の獲得」でした。外的要因に左右されない日本人顧客を獲得する施策は、2025年はどのブランドにも求められるポイントだと思います。

そのような状況で販売スタッフには、買い物を通じて顧客に満足度の高い「感動体験」を提供できるスキルが求められるでしょう。商品知識やコーディネート力などはもちろん、お客様に「この人から買って良かった」と思われる接客ができる人材が、企業からのトップニーズになるでしょう。

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「エーバルーンコンサルティング(A Balloon Consulting)」は、東京と大阪を拠点にしたファッション業界に特化した人材紹介サービス会社。販売スタッフからエグゼクティブクラスまで、ファッション業界の優良な人材と企業をつなぐエージェントとして、多くの紹介実績を持つ。