105年の歴史をタペストリー展示。イタリアで開催された「Gucci Memoria」を振り返る NEW

グッチは、2026年4月に行われたミラノデザインウィーク2026「フォーリサローネ」に合わせ、アーティスティック・ディレクター デムナのキュレーションによる没入型エキシビション「Gucci Memoria(グッチ メモリア)」を、イタリア・ミラノのサン・シンプリチャーノ大回廊にて開催した。105年にわたるグッチの歴史をひと続きの物語として紡ぎ、フィレンツェに息づくルーツを礎に、進化し続けるブランドのアイデンティティを描き出した本展。タペストリーによるインスタレーションを中心に、フローラ プリントに着想を得たボタニカル空間や特注の自動販売機など、インタラクティブな要素を織り交ぜた多彩な演出を展開し、重層的な体験が創出された。本記事では、その展示の一部をご紹介する。
「Gucci Memoria」展示について
ブランドの歩みを視覚的に表現した12点のタペストリー
「Gucci Memoria」の中心を成すのは、ブランドの歩みを視覚的に表現した12点のタペストリーです。フィレンツェの伝統的な織物技術を背景に制作されたこれらの作品は、グッチの歴史における象徴的な瞬間を、緻密で重厚なタブローとして昇華させています。物語は、若き日のグッチオ・グッチがロンドンのホテル ザ・サヴォイで過ごしたブランドの原点となる日々から始まり、フィレンツェでの最初の工房の誕生、デザインコードの確立、そして国際的なラグジュアリーブランドへと発展する軌跡を辿ります。
続く章では、〔グッチ ジャッキー 1961〕や〔グッチ バンブー 1947〕といったアイコニックなハンドバッグの登場に加え、トム・フォード、フリーダ・ジャンニーニ、アレッサンドロ・ミケーレ、サバト・デ・サルノといった歴代クリエイティブ・ディレクターによる革新的なビジョンから、ブランドを進化させてきた創造の時代が映し出されます。そして物語は現在へと至り、最後のタペストリーでは、デムナのもとで始動した新たなクリエイティブの方向性が示され、クラフツマンシップ、実験精神、チームの創造性が交差するスタジオの情景へと回帰します。
Early Beginnings(原点)
最初のタペストリーは、ブランド創設前の時代へと遡ります。ここには、若き日のグッチオ・グッチがポーターの制服に身を包み、ロンドンのホテル ザ・サヴォイで経験を重ねていた日々が描かれています。すべての始まりとされるこの都市での体験から、のちに世界的なラゲージブランドとして名をはせるグッチの最初のインスピレーションが生まれたのです。

The Birth of a House(グッチの誕生)
第2のシーンでは、インスピレーションが形となって現れます。ブランド創設の地フィレンツェのルンガルノ・グイッチャルディーニ通り11番地に構えた最初のグッチの工房で、職人たちが仕事に打ち込む姿が描かれています。道具やレザーに囲まれた空間で、トスカーナの都を背景にグッチのヴィジョンが具現化されていきます。1955年、「グッチ クレスト(Gucci crest)」の商標登録を機に、グッチの神話が形を成し始めます。このタペストリーには、その瞬間がアーティストのキャンバスに描かれたスケッチとして表現されています。

Flourishing Growth(世界進出)
第3のタブローは、家族経営のレザーグッズおよびラゲージ ショップとして始まったグッチが、ジェットセッターやハリウッドスターに愛される国際的なブランドへと成長していく様子が描かれています。前のタペストリーに登場した「グッチ クレスト」は、黄金の鎧をまとった騎士へと姿を変え、両腕にラゲージを抱えています。トスカーナの丘陵と花々に彩られたこのタペストリーは、ブランドのルーツを想起させると同時に、その世界的な発展を描き出しています。

Defining Moments(時代の先駆者)
第4のシーンは、1960年代のグッチに焦点を当てています。〔グッチ ジャッキー 1961〕の発表とともに、ブランドはウェアの領域へと進出しました。フィレンツェから世界へと広がったグッチは、エレガントでありながら先進的なスタイルを確立し、ラグジュアリーの新たなヴィジョンを提示します。

The Weight of Success(成功の重圧)
第5のタブローでは、グッチが拡大路線を進んだ1970年代から1980年代の拡大期が描かれています。背景に立ち込める曇り空は、グッチオ・グッチの3人の後継者であるアルド、ロドルフォ、ヴァスコの間に生じた緊張感を暗示しています。グッチが数多くのショップを開設したこの時代は、ニューヨークの「グッチ ガレリア」の誕生によって頂点を迎えます。

A House Reborn(ブランドの再生)
第7のタペストリーは、1994年から2004年までクリエイティブ・ディレクターとしてブランドを率いたトム・フォードによる新たな黄金期を表現しています。中央の人物は、1995年のMTV ビデオミュージック アワードで着用されたことで脚光を浴びたシグネチャールックをまとい、周囲に集う人々の視線を集めています。

Glamour and Poise(華やぎと気品)
第8のシーンでは、これまでのタペストリーにも登場してきた花々のモチーフが、より現代的な感性で再解釈されています。2004年から2015年までクリエイティブ・ディレクターを務めたフリーダ・ジャンニーニのもと、フローラ プリントは再び脚光を浴び、ブランドのデザインコードの中心的な存在となりました。

The Age of Everything(折衷の時代)
第9のシーンは、アレッサンドロ・ミケーレの世界観を象徴する神話的な庭園です。2015年から2022年までクリエイティブ・ディレクターを務めた彼は、馬にまたがり、未知なる道へと導く存在として表現されています。その後に続く人々の装いやアクセサリーは、多層的で豊かなイマジネーションに満ちた世界観を思い起こさせます。

Rosso Ancora(ロッソ アンコーラ)
第10のタブローでは、シグネチャーカラーであるロッソ アンコーラが全体を包み込みます。柔らかな空気感が漂うこの表現は、より静謐な方向へと移行した時代のグッチを象徴しています。より静かな表現へと移行したこの時代のグッチを象徴するように、タペストリーは柔らかな空気感に包まれています。サバト・デ・サルノがクリエイティブ・ディレクターを務めた2023年から2025年にかけて、この深みのあるレッドはグッチの新たな節目を象徴するカラーとなりました。

La Famiglia(ラ ファミリア)
最後から2番目のタブローは、グッチの現在の姿を示しています。澄み渡る青空の下、「La Famiglia」コレクションを象徴するルックが彫像として再解釈され、アーティスティック・ディレクター デムナによる新たな時代の幕開けを告げています。

Work in Progress(創造は続く)
最終章となるタペストリーでは、視線を再びグッチのスタジオへと戻し、ブランドのすべてのクリエイションを支えるクラフツマンシップの芸術性に焦点を当てています。デムナとそのチームが「La Famiglia」コレクションを象徴する鮮やかなレッドのコートの前に集まっています。デムナの背後に置かれたゲーミングチェアが、伝統的な空間の中に意外性をもたらし、過去と現在の対話を物語っています。

フローラ プリントを再構築したインスタレーション
大回廊の中庭では、ブランドを象徴するフローラ プリントを立体的な空間へと再構築したインスタレーションを展開。1966年にヴィットリオ・アッコルネロがデザインしたオリジナルのフローラ プリントは、四季折々の花々やベリー、蝶、昆虫を37色で表現しています。1色ずつを丁寧に重ねて完成するシルクスカーフは、グッチの卓越したクラフツマンシップを体現。フローラ プリントはグッチの豊かなインスピレーション源として、時代とともに繰り返し再解釈されてきました。没入型ランドスケープとして広がり、記憶と再創造の物語にさらなる奥行きをもたらしました。
フローラ モチーフのハンドバッグ、アクセサリーを発表
「Gucci Memoria」展を祝して、グッチはフローラ モチーフをあしらったハンドバッグおよびアクセサリーのセレクションを発表。〔グッチ ジリオ〕や〔グッチ ジャッキー 1961〕を含む本セレクションは、2026年4月16日(木)よりミラノの4店舗(グッチ モンテナポレオーネ、グッチ ガレリア、グッチ リナシェンテ、グッチ マルペンサ)にて先行発売され、順次グローバル展開される予定です。
各タペストリーは、構図や色彩、空気感の変化によって、神話的な起源から現代的な再解釈へと移ろう流れを視覚化。人物やシンボル、風景が連なりながら変容することで、進化し続けるグッチの姿を映し出します。
Brand Information
GUCCI
1921年イタリア・フィレンツェに高級皮革製品専門店として創設したグッチ。
イタリアの卓越したクラフツマンシップとファッションが融合したラグジュアリーブランドとして、約1世紀にわたり世界中の人々に愛され、2021年には100周年を迎えました。