ケリング、3年ぶりに増収へ回帰、組織改革とグッチの立て直しが同時進行。2026年上期決算

ケリングは7月28日、2026年上期(1〜6月期)決算を発表した。第2四半期の売上高は比較可能ベースで前年同期比2%増となり、グループ全体では3年ぶりに増収に転じた。上期の売上高は72億2000万ユーロで、比較可能ベースでは1%増。グッチの減収幅が縮小したほか、北米やジュエリー、アイウェア事業などが成長を支えた。
第1四半期の足踏みから第2四半期に増収転換
上期の売上高は72億2000万ユーロとなり、報告ベースでは前年同期比3%減となったものの、為替・事業範囲の影響を除いた比較可能ベースでは1%増となりました。第1四半期は横ばいでしたが、第2四半期には比較可能ベースで2%の増収を確保し、3年ぶりの増収に転じました。なお、ユーロ高が重しとなり、報告ベースの増収率を4ポイント(金額にして2億8000万ユーロ)押し下げています。とりわけ米ドル建て(1億500万ユーロ)、日本円建て(7200万ユーロ)、韓国ウォン建て(4300万ユーロ)の減少が響きました。
地域別(グループ全体)では、北米が比較可能ベースで9%増と最大の成長エンジンとなり、日本もプラス成長(+2%)に復帰しました。西欧は現地・域内観光需要の持ち直しにもかかわらずアジアからの観光客減少を補いきれず2%減、その他地域(中東など)は観光客の落ち込みにより8%減となりました。直営店・ECを含む小売売上高は53億5100万ユーロと、比較可能ベースで前年並みを維持しています。店舗網も引き続き最適化を進め、2025年末の1,719店舗から84店舗純減の1,635店舗となりました。
営業利益率は12.8%に改善も、純利益は税負担増で大幅減
経常営業利益は9億2100万ユーロとほぼ横ばい、利益率は12.8%(前年同期比+0.4ポイント)に改善しました。粗利益率は71.6%(同-1.1ポイント)に低下したものの、店舗網の最適化や裁量的支出の抑制、仕入条件の見直しなどにより営業費用は5%減少し、収益性を下支えしています。経常EBITDAは19億3500万ユーロ(同1%減)、マージンは26.8%(同+0.5ポイント)でした。
一方、グループ帰属純利益は1億8900万ユーロと、前年同期の4億7400万ユーロから60%減少しました。この背景には、実効税率が前年同期の29.5%から48.8%へ急上昇したこと(経常項目ベースでは32.5%)に加え、ミラノの旗艦物件売却に伴う資産処分損などの非経常項目(純額2億2300万ユーロの費用)が影響しています。非経常項目を除いた継続事業の純利益は3億5500万ユーロ(同12%減)となりました。
グッチが大幅改善、地域別ではアジア太平洋が高シェアを維持
最大セグメントであるファッション&レザーグッズは上期売上高58億ユーロ(報告ベース-5%、比較可能ベース-1%)、経常営業利益8億2800万ユーロ(マージン14.3%、+0.7ポイント)となりました。うちグッチは売上高27億5700万ユーロ(比較可能ベース-5%)で、第2四半期の直営店・EC売上高は第1四半期から7ポイントの大幅改善を記録しました。新作の「ボルセット」「パパラッツォ」ラインが牽引し、レザーグッズ売上が第2四半期にプラスへ転じています。地域別では北米が8%増と唯一のプラスとなった一方、日本は現地・観光需要の弱さから17%減、中東情勢の影響を受けるその他地域も15%減となりました。グッチの経常営業利益は4億6800万ユーロ(マージン17.0%、+1ポイント)、店舗数は478店(純減19店)でした。
サンローラン、ボッテガも勢い加速
サンローランは主要市場の大半で勢いを取り戻し、VIP顧客・コア顧客層で力強い伸びを示しました。ボッテガ・ヴェネタも日本・アジア太平洋を中心に前四半期から一段と加速しています。ブリオーニは引き続き堅調、バレンシアガはクリエイティブ・商業両面での移行期にあり、マックイーンは新CEOのもとテーラリングなど得意分野への回帰を進めました。なお、ボッテガ・ヴェネタでは1月にバルトロメオ・ロンゴーネ前CEOが退任し、9月1日付でロマン・スピッツァー氏が新CEOに就任する予定です。
ジュエリー・アイウェアは大幅増収、組織再編も本格化
ケリング・ジュエリー(ブシュロン、ポメラート、DoDo、Qeelin)は上期売上高5億2100万ユーロ(比較可能ベース+20%)と大きく伸び、経常営業利益は3200万ユーロ(マージン6.2%、+2.7ポイント)となりました。日本(+60%)、アジア太平洋(+26%)が特に好調でした。3月には新会社「ケリング・ジュエリー」が設立され、ジャン=マルク・デュプレ氏がCEOに就任、イタリアの高級ジュエリー製造会社ラゼリ・フランコ・グループの株式20%取得(1億1500万ユーロ、2032年までの完全子会社化を予定)も進めています。ケリング・アイウェアも売上高9億6500万ユーロ(比較可能ベース+8%)、経常営業利益2億2200万ユーロ(マージン23.0%、+2.9ポイント)と伸長し、ヴァレンティノのアイウェア新規参入などが寄与しました。
このほか、事業運営の効率化に向け「インダストリー」「クライアント」の2つのグループ横断組織を新設し、ステファヌ・ノエル氏(最高製造責任者)、カルロ・モッチ氏(最高顧客責任者)を新たに任命したほか、ピエール・ウレス氏を最高デジタル・AI・IT責任者に起用するなど、経営体制の刷新も進んでいます。資本参加先であるヴァレンティノ(出資比率30%)は2026年上期に2600万ユーロの持分損失を計上しています。
Brand Information
SAINT LAURENT
1961年に創設された「イヴ・サンローラン」は、
ラグジュアリー・プレタポルテというコンセプトを発表した初のクチュールメゾンです。
現在もなお、アンソニー バカレロののクリエイティブ ディレクションによりラグジュアリー ファッション業界をリードし続けています。