制度と服の両面から支える、女性の活躍。オープンハウス×FABRIC TOKYO対談 NEW

2026年1月、株式会社オープンハウスグループ(以下、オープンハウス)は、株式会社FABRIC TOKYOのレディースライン「FABRIC TOKYO WOMEN’S」が手がける、女性向けオーダースーツの新商品「オーダースカートスーツ」の発売にあたり、 モニターとして協力した。不動産とアパレルという、一見接点のなさそうな両社を結びつけたのは、「働く女性が力を発揮できる環境をどう作るか」という共通の問題意識だった。オープンハウスグループ管理本部人事部課長の会見春香さんと、FABRIC TOKYOカスタマーサクセスチーム長の佐々木智子さんに、女性活躍推進の考え方や協業の背景、仕事服づくりへの思いを聞いた。
会見春香さん/株式会社オープンハウスグループ 管理本部 人事部 課長(写真左)
不動産仲介の営業として都内の戸建て販売を担当した後、ライフイベントを機に情報システム部へ異動。社内研修や業務改善、ITツールの導入に7年間携わる。二度の産休・育休を経て管理本部総務部 へ。2024年から女性活躍推進業務を兼務し、現在は人事部にて、主に人事企画業務に従事している。
佐々木智子さん/株式会社FABRIC TOKYO カスタマーサクセス チーム長(写真右)
下着の販売職、インナーメーカーでの企画営業を経て、2016年に株式会社FABRIC TOKYOへ入社。以来、顧客の声を商品やサービス、サイトの改善につなげる役割を担う。育休・産休を経たのち、2023年に立ち上がったWOMEN’Sラインでは、顧客インタビューを通じて商品開発にも携わる。2026年春に長野県へ移住し、現在はリモートを中心に勤務している。
社員の声から始まった女性活躍推進
― オープンハウスでは、女性活躍推進に力を入れていると伺いました。具体的な取り組みを聞かせてください。
会見さん(以下、会見):柔軟な働き方や子育てを支える制度に加え、社内研修や社外への情報発信にも取り組んでいます。
始まりは2013年です。当時は、法定の産休・育休などの基本的な制度は整っていたものの、 復職後の両立を支える制度が十分ではなく、働き方の選択肢も限られていました。自身のライフイベントを控えた女性社員が声を上げたことをきっかけに、有志でダイバーシティ推進委員会を立ち上げました。
2020年10月には人事部の傘下に女性活躍推進グループを設置。2024年には取締役会直下に「ワークデザイン推進委員会」を設立し、組織として推進する体制を強化しています。
― 2013年からとは、かなり長く取り組んできたのですね。軸にしてきた考えは何でしょう。
会見:根底にあるのは、当社の企業理念です。「やる気のある人を広く受け入れ、結果に報いる組織を作る」という考えを大切にしています。
子育てや介護といったライフステージの変化により、従来と同じ働き方が難しくなることもあります。そのなかでも、仕事を頑張りたい、成長したいという人が実力を発揮できるよう、制度で制約を補っています。また、現場の声も重視しています。社員が何に困り、何を必要としているのかを聞き、制度に反映してきました。
― 「働きやすさ」の先に、活躍まで見据えていることが伝わります。現場の声から生まれた制度には、どのようなものがありますか。
会見:例えば、「OPENキャリアデザイン制度」があります。始業と終業の時間を変更でき、1日の勤務時間も4時間から設定できます。子育て中の社員を対象とし、子どもが生まれてから小学校を卒業するまで、個人の状況に合わせた柔軟な働き方を実現できます。当初は小学校入学までとしていましたが、両立が難しくなるのは入学後だという声を受けて、2022年に利用期間を延ばしました。
またベビーシッター手当があり、月額30万円を上限に、子どもが小学3年生になるまで使えます。小学校入学後も送迎などで大人の手が必要になる場面も多く、私自身も活用しています。
― 制度は、多くの社員が利用しているのでしょうか。
会見:「OPENキャリアデザイン制度」は、対象となる社員の約9割が利用しています。ベビーシッター手当は、研修で利用事例を紹介したり、社内報でも事例を配信するなど認知向上に力を入れ、必要な人に届くよう工夫しています。育休からの復帰率は6年連続で100%です。社外への発信にも力を入れ、女性活躍の取り組みや、実際に活躍する女性社員を紹介する特設サイトも公開しています。

「諦めない仕事服」を軸に、レディースオーダースーツを展開
― FABRIC TOKYOは、オーダーメイドのビジネスウェアを手がけています。2023年には女性向けラインも立ち上げたそうですね。
佐々木さん(以下、佐々木):それまでは男性のお客様向けのスーツをご提供してきましたが、2023年にFABRIC TOKYOのWOMEN’Sラインの販売を開始しました。
立ち上げにあたり、何十人もの働く女性にインタビューしました。仕事服に対する意識を聞くと、スーツについて「自分には似合わない」「窮屈でも仕事上必要だから着ている」という声が多く、前向きに選ばれているとは言い難い状況が見えてきました。
悩みは、機能と見た目の両方にありました。 市販のレディーススーツは、ポケットが飾りで物が入らなかったり、体のラインを拾うデザインが多い傾向があります。人前に出る機会があっても、その場にふさわしい服が見つからないという声もありました。
― 服が、仕事で一歩踏み出すことを妨げていた面もあったのでしょうか。
佐々木:服には、人を前向きにする力があります。好きな服を着れば気分が上がり、自信が生まれ、行動も変わります。スーツにも同じ力があるはずなのに、十分に発揮されていないことに違和感を覚えました。
社内では「諦めない仕事服」を一つの軸にしています。無理をしなくて良いと伝えるのではなく、もっと活躍したい、素敵に見せたいという気持ちを後押しすることを大切にしています。
― オープンハウスさんとの協業は、どこから始まったのでしょう。
佐々木:オープンハウスさんの女性の活躍推進サイトを拝見した時に心をつかまれました。出産後の復帰だけでなく、保育園、小学校とライフステージの変化を見据えて制度を整えている。自らの経験や、当社がお客様から聞いてきた悩みと重なる部分が多く、ぜひご一緒したいと思いました。
会見:ちょうど特設サイトを公開しただったかと思います。活躍する女性を前面に出した外部への発信は形になりましたが、次に何をするかは模索していた時期です。お話をいただき、女性活躍の取り組みを次に進める良い機会になると感じました。

「鎧」のようだったスーツが、着て楽しい一着に
― オーダースカートスーツの協業では、具体的にどのような取り組みを行ったのですか。
会見:「オーダースカートスーツ」の発売にあたり、バックオフィスや採用担当の社員がモニターを務めました。実際に仕事で着用し、その感想をお伝えしています。
― 実際に着てみて、どう感じましたか。
会見:私自身、出産後に仕事へ復帰した頃は、スーツを着ることに負担を感じていました。ゆったりした服に慣れたあとで、再び鎧のようなものを身につける感覚があり、しばらくはカジュアル寄りの服装を選んでいました。
今回は自分の体に合わせて仕立てていただき、素直にうれしかったです。着ること自体も楽しく、スーツで働くことへの印象が変わりました。社内でプレスリリースを共有した際には、女性活躍推進に関心のある役員からも前向きな反応がありました。
― 利用者の声は、商品にどのように反映されていますか。
佐々木:これまでお客様から伺ってきた声が、今の商品の土台になっています。当社が目指しているのは、女性らしさを強調する服ではありません。働く人が自分らしく、仕事で力を発揮できる一着です。
サイズ設計では、体型に合わせて適度なゆとりを持たせながら、直線を生かしてすっきり見えるよう工夫しています。お客様の声をもとに、何度も検討を重ねてきた部分です。
細かな仕様にもこだわっています。例えば、男性用ジャケットには一般的にある内ポケットや、社章をつけるためのフラワーホールが、女性用には設けられていないことがあります。当社では、こうした機能も備えています。実際に、社章をつけられるスーツは初めてだったという声もいただいています。
― お客様の声を聞く中で、どのような課題が見えてきたのですか。
佐々木:女性社員が限られ、身近に参考にできる同性の先輩がいないという方も、インタビューを通して多くいらっしゃることに気付きました。営業職では特にその傾向が強く、立ち振る舞いや服装を自分で模索しながら、どう見せるかを考えている方も少なくありません。
女性が活躍する姿を身近に見られる環境には、まだ企業ごとの差があります。オープンハウスさんのように、実際に活躍する女性が多い会社から発信していただくことで、一つのロールモデルを示せると思っています。

― 最後に、今後の展望を聞かせてください。
会見:女性管理職比率を2030年までに15%にする目標を掲げています。意欲ある優秀な女性人材を採用し、長期的に活躍できる土台づくりを進めてきた結果、次世代のリーダー候補が社内に着実に育ちつつあります。
次のフェーズとして、彼女たちのキャリアアップをより力強く後押しする様々な支援を展開していく予定です。また、組織全体の多様性が高まるなかで、個々の強みを引き出すマネジメント層の育成も重要となります。今後は制度の拡充にとどまらず、誰もが最大限のパフォーマンスを発揮できる全社的な教育・研修体制を一層強化してまいります。
佐々木:現在はスーツが中心ですが、今後はインナーなど商品ラインアップを広げ、仕事服をトータルで提案できるようにしたいです。着こなしに悩む企業に向けたセミナーも少しずつ始めています。仕事服に迷う時間や不安を減らし、本来の仕事に力を注げる女性を増やしていきたいです。
文:中谷藤士
撮影:船場拓真
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