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JOURNAL

コロナ禍におけるファッション・アパレル業界の求人傾向と、今求められるスキルとは?

コロナ禍におけるファッション・アパレル業界の求人傾向と、今求められるスキルとは?

新型コロナウイルスにより、私たちの働き方や生活が激変してしまってから早1年が経つ。厚生労働省の調べによると、2020年の平均有効求人倍率は1.18倍で、2019年度から0.42ポイント低下した。この下げ幅は、オイルショックの影響が続いた1975年以来45年ぶりの大きさである。このように雇用情勢が急速に悪化するなか、特に強い煽りを受けている産業のひとつがファッション・アパレル業界だ。その深刻さはリーマンショックや東日本大震災時よりも大きいと嘆く声が多く聞かれる。
しかし一方で、こうした状況下においても柔軟な対応や新たな取り組みによってコロナ禍を乗り越えようとしている企業やブランドがある。

今回のJOURNALでは、ファッション業界に特化した人材紹介サービスやM&Aコンサルティングを提供しているパートナー会社『エーバルーンコンサルティング』の協力を得て、ファッション・アパレル業界の採用状況と今求められているスキルについてまとめた。ファッション業界で働く方や、業界内での転職を考えている方への参考になれば幸いだ。

厳しさに喘ぐファッション業界の現状

ファッション・アパレル業界にはさまざまな職種があるが、コロナ禍においてもっとも悪影響を受けているのが販売職である。コロナ以前ではどの職種よりも求人があったが、コロナ禍による訪日外国人の激減や外出自粛によって、実店舗での接客・販売が難しくなった。それに伴い販売職の人員削減や店舗閉鎖、さらには市場からの撤退を決断する企業・ブランドも少なくない。
また販売職に限らず業界全体の求人は少なく、多くの企業では採用活動をストップ。販売職と同様に、クリエイティブ職(デザイナー、パタンナー)、オフィス職(PR、マーケティング、HR、品質管理、物流など)の求人も減少傾向にあり、例年に比べて求人全体の5割程度が減少している。

しかし、店頭販売はすべてストップしているわけではなく、店舗の仕事における人の動きもある。たとえば業績悪化によりインセンティブが発生しなくなったブランドから、業績が好調なブランドへの転職や、内部の人員整理による転職も散見されている。そしてその結果、欠員が生じたポジション、具体的にはマネジメントポジションである店長職(ストアマネージャー)が求められる傾向が強まっている。

求人が増加した職種もある

一方で業績がよいブランドでは引き続き採用が行われており、なかでもIT関連の職種は求人が増加している。
ファッション・アパレル業界におけるIT関連職種とは、EC運営、デジタルマーケティング、CRMなどが挙げられる。これまでもファッション・アパレル業界のIT化は課題のひとつであったが、コロナ禍の影響で実店舗での接客販売ができなくなったことにより、企業は急速にIT化を進める必要が生じた。否が応でもIT化が後押しされたことで、IT関連職種の求人が増加。なかでもSNSやデジタル広告など、ECに携わるデジタルマーケティングポジションの求人が増えている傾向が見受けられる。また職種の細分化も進み、デジタルに特化したPR、ファッションテック、D2Cブランドを展開するスタートアップなどが幅広いポジションで積極的に採用活動を行っているようだ。

求められる人材とは

とはいえ、全体的に採用人数は減ったため、以前に比べると採用基準は明らかに上がっている。ひとつの募集ポジションに対して応募が殺到することもあるので、競争率は極めて高い。そんな中、このような状況下でも採用される人材に目を向けてみると、次の3つの特徴を持つ人物像が見えてきた。

特徴① 「KPI思考」を持つ人材

1つ目は、「KPI思考」を持つ人材である。
KPI(Key Performance Indicator)は『重要業績評価指標』と訳され、目標を達成する上で達成度合いを測る定量的な指標だ。例えば、販売職であれば決定率やリテンション(リピート)、ミステリーショッパースコアなどが挙げられる。
最近では外資系企業を中心としてKPIカルチャーが浸透しており、数値を元に評価されるようになってきた。それに伴い、数値を把握した上でアクションできているかが求められ、数値を前提に考えられる人材が採用される傾向にある。ちなみに、面接では必ずと言って良いほど聞かれるポイントでもあるため、今までの実績を数値で示すことが非常に重要だ。

特徴② 「ITリテラシー」を持つ人材

2つ目は、時代の変化に対応できる「ITリテラシー」を持つ人材である。
ITリテラシーとは、情報技術を目的に合わせて取捨選択し、活用できる能力だ。コロナ禍で一気に拡大したリモートワークを例にとれば、様々なITツールを使いこなして情報収集や発信を行いつつ、スケジュール調整やビデオ会議などを実行できるスキルである。
今や仕事を進める上で、ITスキルは必須。採用される人材の多くはSNSやメディアを使って情報収集・発信を行い、いち早くトレンドをキャッチして自分の中に取り込み、ITツールを活用して業務効率化やスピードアップを図るなど、上手にITを使いこなしている。こうしたスキルは、採用時の面接で多く用いられるようになったオンライン面接にも活かされる。オンラインでの自己アピールやスムーズなやりとりができなければ内定には至らないであろう。

今後はどの職種でも従来のスキルに加えて、ITリテラシーが土台になることは間違いない。IT化に対応できない人材は時代に取り残されてしまい、仕事はまわってこない。ぜひアンテナを張り世の中のITサービスに触れて、何がなぜ流行っているのかを考えたり、仕事での活用法などを考える癖をつけておくと良いだろう。

特徴③ 「前向きなマインドとアクション」

3つ目は、新しいことにチャレンジできる人材である。
コロナ禍でも新しいことにチャレンジしていく姿勢を持ち、それを実践できる人材の評価は高い。大切なのは、外部からの影響ではなく、自ら考え旗を振り、アクションできること。そうした行動力を持つ人であれば、たとえそのアクションが上手くいかなかったとしても軌道修正をしながら進むことで、見えなかった課題を発見することができるだろう。

このような時代だからこそ物事を前進させる力は、チームや組織にとっても良い影響をもたらす。なぜならこのような人材が1人いることで周りは同調して良い方向に引っ張られる傾向があるからだ。リモートワークにおけるコミュニケーションの難しさを指摘する人は多いが、だからこそ円滑なコミュニケーションの取り方を模索し実践できればチームの連携は強化されるし、プロジェクトもスムーズに運ぶだろう。

強さよりも柔軟性

上記で述べた3つの特徴は、ファッション・アパレル業界に限らずこの時代に求められているスキルと言い換えて良いだろう。この3つに共通しているのは、『柔軟な対応力』。企業も人材も強いものが生き残るのではなく、柔軟に対応できるものが生き残る時代なのだ。
一方で、こうしたスキルはさして目新しいものではないが、実践できている人は多くない。まずは1つでも意識して行動してみてはいかがだろうか。続けることで見える景色が変わってくるかもしれない。

【会社概要】
会社名 :エーバルーンコンサルティング株式会社
代表者名:池松 孝志
所在地 :東京都港区南青山5-4-29 伊万里南青山ビルB1F
事業内容:有料人材紹介(厚生労働大臣許可番号13-ユ-303700)、人事コンサルティング及びリサーチ業務、ファッション関連企業のM&Aコンサルティング、イベントやセミナーの企画・運営、デザイナー支援

※エーバルーンコンサルティングの求人案件はこちらから

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