【公募】「クリエイティブ×コミュニティ」でファッション業界に新しい活力を与える “ファッション・ディストリクト構想”に参加するメンバーを募集
衣食住学をテーマに、アパレル雑貨のOEM/ODM事業から海外ブランドの日本法人運営、シェアオフィス事業、ホテル事業、レストラン事業、学びの場まで、ここ数年で精力的に事業を広げてきたログズ株式会社。革新的な取り組みでファッション業界でも注目を集める同社が、次に力を入れているのが“ファッション・ディストリクト構想”だ。「クリエイティブ×コミュニティが新たなビジネスを生む」—そう話す武田悠太CEOに公募に際して話を伺った。
武田悠太さん/ログズ株式会社 代表取締役CEO
日本橋横山町の老舗問屋、丸太屋の4代目として生まれる。慶應義塾大学経済学部卒業後、コンサルティング会社アクセンチュアに入社。2014年、赤字経営の衣料品卸ニューカネノに入社し、経営責任者として1年で黒字再生を果たす。2016年にログズ株式会社に社名を変更。OEM/ODM事業、シェアオフィス事業、ホテル事業、レストラン事業、学校など幅広い事業を展開中。
―ログズ株式会社の成り立ちとは?
もともとは日本橋横山町の古い問屋街の一角にあったニューカネノという衣料品の現金問屋が母体です。僕はもともとアクセンチュアで働いていたのですが、家業である丸太屋がニューカネノの経営を引き継ぐこととなり、そのタイミングで経営責任者として2014年に入社しました。コストカットを重ね1年で黒字転換できたものの、問屋業だけを続けても事業継続は難しかった為、ビルの空きフロアにファッション業界の人たちが集まれるような拠点をつくろうとシフトチェンジしていき、いろいろなクリエイティブな人たちに出会う機会が増え、ログズに社名変更をしました。その後ファッションだけでなく、ホテルやアートギャラリーなど、ライフスタイル全般に業態を広げてきました。
―衣食住学がテーマとのことです。
衣食住学の4分野でクリエイティブとコミュニティを掛け合わせましょうというのが僕らのテーマです。もともと問屋というのは、“流通業”です。では「これからはなにを流通させるべきか?」そう考えたときに、これからの流通はクリエイティブに対して共感して形成されるコミュニティがひとつの消費・体験の場になるのではないかと思ったんです。既存の市場経済には必ずしものっていない属性のコミュニティを、どう組み合わせて、新しい流通を生みだせるか。今はアパレルのOEM/ODMを中心に、さまざまなジャンルのクリエイターが関わり衣食住学で事業を展開しています。食は「nôl」というレストラン事業、住は「DDD HOTEL」というクリエイター向けのビジネスホテル、アートギャラリーの「PARCEL」、学は渋谷PARCOで開催している10代向けのクリエイティブの学び舎「GAKU」。例えば一人の才能あるクリエイターが、我々の事業内で、洋服をつくることができるし、先生として授業をすることもできて、さらに作品の展示会も行うことができる。そういったなかでたくさんのコミュニティとつながることで新たなビジネスに発展していく。これが僕らの考えている新しい問屋の形です。
―従来のファッション業界の課題とは?
ファッションビジネスに限らずですが、市場経済の中では、どうしてもお金のある企業の寡占状態に行き着くため、才能ある人が食べていくには資本と結びつくしかない側面があります。突出した一部の才能が一流企業に回収されることは、単純にいいものをつくるためにはよいことが多いですが、ことカルチャーを支えるためには、その次の階層の才能やお店が自立できることが大切です。個性が一瞬で市場経済に消費されてしまう時代だからこそ、才能のある人が、点ではなく、面として、コミュニティに経済的にも精神的にも支えられていること、それが継続できることが、カルチャーを醸成するために、とても大切なことだと思います。
―クリエイティブ×コミュニティを実現するための今の問題点は?
僕はファッション業界に詳しいわけではないですが、漠然と3つの問題について考えています。
1つ目は、日本のファッション業界は他の業界に比べ、比較的閉鎖的である気がします。カルチャー界隈では音楽の人がアパレルをつくったり動画をつくったり、いろいろな分野に広がっていますが、ファッションの人は良くも悪くもファッションに向き合っている感じがします。だから、様々な分野の人が関われるプロジェクトとして「GAKU」を始めました。
2つ目は、ファッションにはアカデミズムがないということ。日本の大学にはファッション学部がありません。洋裁の延長線上で洋服を考えることと、学術的に洋服を考えることは大きく異なりますし、知的レベルの高い人材がファッション業界に増える大きなきっかけともなります。できれば、日本においても国立大学にファッション学部が創設させることが望ましいと考えています。
3つ目は、ファッションの商品の特性上、糸をつくるところから消費者に届くまで、一つひとつのものづくりやデザインが分断されてしまうため、技術と感性、デザインとプロダクトの距離が遠くなってしまうということです。互いの仕事が見えづらいため、パターンとデザイナーでさえ遠い存在になっています。いいものをつくっていくためにはものづくりとデザインが近いところにないといけない。ヨーロッパではデザイナーと同じぐらいクラフトマンが尊敬されていますが、日本においても、ものづくりとデザインの距離を縮める必要があると思います。それこそ、今回の“ファッション・ディストリクト構想”がはじまった理由です。
―“ファッション・ディストリクト構想”の理想は?
理想ではないですが、ひとつの考え方のモデルは、ニューヨークのガーメント・ディストリクトです。問屋をはじめ、生地やボタンを取り扱う専門店やアパレル工房がそこには密集していて、デザイナーなどカルチャーを愛する人たちのコミュニティが存在し、話しながらものづくりをしていく。日本ではおそらく昔の原宿がそうだったのではないかと思いますが、次のアップデートまではいかず、カルチャーにはなったけれど、ものづくりとの接続はできなかったと感じています。それを日本につくっていくことが理想です。
―今考えている“ファッション・ディストリクト構想”とは?
現段階ではあまり決めていなくて、参加してくれる人たちの案がすごく重要だと思っています。僕は、中核となる人たちの個性を、事業コンセプトや事業内容の中心におくことで、その人たちの個性の発露が、直接的に事業の成長に結びつくことが大事だと考えています。そういう意味では、このファッション・ディストリクト構想でも、事業目的等は僕のほうで決めるけれど、何を実際にするかということは、中核の人たちが何に課題意識をもっていて、それが世の中の流れに合っているかどうかで決めていきたいです。
―事業の中心を担っていくメンバーとは?
まず、この事業の中心の一つに考えているのが「ここのがっこう」です。「ここのがっこう」には学ぶ場所はあるけどつくる場所がありませんでした。イギリスのセント・マーチンズには、生徒の技術面のアドバイスをしてくれるクラフトマンが常に学校にいて、いつでも相談することができます。日本にそのような環境を作れたらよいと考えています。あとは、「シンフラックス」という会社で、アルゴリズムクチュールなどテクノロジー×ファッション×サステイナビリティのさまざまな取り組みをやっているのですが、テクノロジーとファッションをつなぐ一つの中心です。また、日本の技術力のある工場さんにも協力してほしい。この場所には、擬似的に工場のサンプル室があって、工場と連携して人員を共有し、スピーディに量産できるような構図をつくっていきたいと考えています。ほかにもいろいろな人と今アイデアを構想中ですが、素材、デザイン、テクノロジー、工場などそういった人が集まっていろいろなものが生まれていけばいいと思っています。
―個性のある人が集まると、コミュニティをつくるということも大変なのでは。
僕が考えているのは「喧嘩しないで1年過ごしたら、仲良くなったと同じ」ということです(笑)。だいたい1年の間に問題が起きなければ、そこから自然に話すようになる(笑)。コミュニティをつくるにはもちろん時間はかかりますが、今までホテルやギャラリー、レストランという全く違う業態をやっていてそう思います。不思議ですが、最初はまったく交わらなかった人たちが、1年経った頃に自然とコミュニケーションを取り出して、自分たちでいろんなことをやりだしているんです。時間をかけることで生まれることがあって、それはすごく面白いですよ。
―“ファッション・ディストリクト構想”はどのくらいの期間での構想なのか?
10年くらいだと考えています。できればこのビルに日本のファッション・クリエイションのエッセンスをすべて集めて、そのうち行政が支援してくれるような形にしていきたいです。
―今回の公募でどんな人を集めたいですか?
個性がある人がいっぱい集まってほしいとは思っていますが、個性がある人たちを集めるためには、それをキュレーションする人も必要です。さらに、コミュニティをつくるためには人と人とをつなぐファシリテーターや企画ができる人も必要。どんなことをやっていけば人が集まって、コミュニティになり、ビジネスにつながっていくのか。継続するためにもある意味そこを戦略的に考えられる人も必要だと考えています。今回は個人でも事業者でも、ジャンルを問わず募集しようと思っていて、募集がきたら、その人と一緒に構想を深堀して考えていきたいと思っています。あとは、つくる側も必要なので工場さんにも参画いただきたいです。例えば地方に拠点があって、東京に進出したくても賃料が出せない方や、いい素材があるけど自力で広がっていかない方など。アーティストももちろん。いいもの・いいアイデアを共有できれば、ジャンルは問わず、間口は広いので、ぜひ応募いただければと思います。
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好き嫌いの価値をいまの世の中に問いかけます。