LA/香港発のテックアクセサリーブランド「CASETiFY」の日本責任者が語る日本マーケットへの想いとは
カスタムできるスマホケースが国内外の著名人・インフルエンサーによって話題になり人気に火が付いたグローバルライフスタイルブランド「CASETiFY(ケースティファイ)」。日本マーケットへの本格的な進出もすでにスタートし、その動向が注目されている。日本チームの責任者である永田智恵氏に、日本マーケットへの想い、今後の展望についてお話を伺った。
永田 智恵(Chie Nagata)さん
CASETiFY株式会社 カントリーマネージャー
日本の外資系企業で、ファッションブランドや化粧品のマーケティング・PRを担当したのち、2016年、香港を拠点とするCASETiFYに入社。現在は日本チームの責任者として日本マーケットの展開業務すべてに携わる。
スタートアップ&外資系ならではのスピード感に魅かれた
―CASETiFYに入社された経緯を教えてください。
勤務していた東京の外資系企業のビジネスはリテールのみで、マーケティング活動においてオンライン出稿がやりたくてもランディング先がなく雑誌がメイン。マーケティングやPRの仕事は楽しかったのですが、デジタルに対応していない状況に危機感を感じはじめ、需要が高まるEコマースやデジタル系をやりたいと思うようになりました。Eコマースやデジタルにシフトするなら、思い切って海外に出て働きたいと考えていた際に出会ったのが香港を拠点とするCASETiFYです。2016年当時は設立5年目の会社で、スタートアップならではの勢いがありました。ちょうど会社も日本への展開を考え始めていたタイミングで、日本のマーケットを知る人材を探していたんです。
―そこで永田さんに白羽の矢が。CASETiFYのことはご存じだったのですか?
いえ、会社や展開しているブランドのこともまったく知りませんでした。でも元々私は香港が好きで、海外で働くなら香港がいいなと思っていました。実は、当時エージェントから別の日系企業も紹介されていたのですが、私は日本でも外資系で働いていたので、日系より外資系のほうが自分に合っていると思いました。
また、創業者と話をして、CASETiFYのことを知るにつれて香港の会社ならではのスピード感に魅力を感じましたし、自分の経験を活かせるポジションで働けることもチャンスだな、と。とはいえ実際に仕事をしてみると、経験を活かせるマーケティングなどの業務が半分、あとの半分は初めて経験する業務。営業も初めてやりましたが、それによって仕事の幅も広がりました。
創業者のアイディアがSNSで広がりビジネスに、SNSの影響力と可能性を実感
―CASETiFYはどのような事業からスタートした会社なのですか。
代表のWesley Ngが、Instagramの写真でスマホケースを作るというアイディアからビジネスを始めたことがきっかけです。当時流行り始めたInstagramによって注目され、DtoCのブランドとしてスタートしたのが2011年10月。数年後、CASETiFYブランドのカスタムフォトケース(写真のカスタムケース)を世界の著名人が使用したことで人気が高まりました。
―オンラインのオーダーでここまでスマホケースをカスタマイズできるのは、なかなかないですよね。
一部のプロダクト、たとえばレザーケースなどはあってもプラスチックでここまでカスタマイズできるブランドはあまりないですね。また、SNSをうまく活用したこともブランドの認知度アップにつながったと思います。
―日本でのブレイクのきっかけは何だったのでしょう。
海外のマーケット同様、著名人に気に入っていただき、SNSで発信されたことでしょうか。森星さんがカスタマイズスマホケースを使用してInstagramで発信した翌日は、ものすごく売上がアップして驚きました。また、コラボレーションにも注力するようになったのですが、ポケモンとのコラボによって日本マーケットでの認知度が高まりました。
とはいえ、ひとつの発信やコラボレーションで瞬く間に人気が広がったわけではありません。SNS発信などいろいろなことを試し、その積み重ねによって認知されていったという感じですね。
―コラボ商品も大ヒットしていますよね。
これまでポケモンをはじめ、DHL、コカ・コーラ、NASAなどさまざまなコラボを発信してきました。CASETiFYの特徴は、ただコラボレーションするだけでなく、よりファッション性のあるデザインを取り入れていることです。社内に大きなデザインチームがあり、ほとんどがインハウスでデザインできることも当社の強み。たとえばポケモンも、ただキャラクターを使うのではなく、デザインを重視し、ファッション感度が高い方々にも支持されるものを作りあげています。
Eコマース×実店舗の拡大で、より幅広い層にアピールを
―2021年は、4月に大阪、9月に東京・渋谷に常設店「CASETiFY STUDiO」がオープンしました。Eコマースがメインの会社が、なぜ今店舗展開をされるのでしょう。
Eコマースをあまり利用していない年齢層の方々にも知っていただき、販売チャネルにバラエティを持たせることがその理由です。こうしたマーケットの拡大については日本に限ったことではありません。現在はアメリカのマーケットが最も大きく、次が日本。中国、韓国、台湾、オーストラリア、ヨーロッパでも人気が高まっているので、各国にオフィスを置き、出店の拡大にも注力しています。日本へのマーケット展開ももともとは香港ベースで日本チームを作って対応していたのですが、それだけでは足りなくなり、東京にもオフィスを置くことにしました。
―日本国内には、今後も店舗を増やしていく予定ですか?
2022年には新たに10店舗を展開する予定です。
―1年で10店舗というのはすごいスピードですよね。
もともとスピード感がある会社で、香港にある7つの店舗も2年ほどで増やしたので、日本国内に10店舗を増やすことも当社にとっては違和感がないんです。
―店舗展開に力を入れるにあたっては人材も必要ですが、どのような方とともに仕事をされたいですか。
インターナショナルなバックグラウンドを持ったスタッフが多いので、外資系企業の経験があったり、語学力を持つ方が向いているかもしれません。また、スピード感があって自発的に動ける人、常に変化している会社だからこそ柔軟性も必要。トレンドに敏感でクリエイティブな発想力を持つ方も求められています。
展開する国々のローカル色を大切にしながら、ワールドワイドで共有される組織力
―永田さんから見て、会社の魅力はどのようなところですか。
皆がオープンマインドを持てる会社なんです。会社もスタッフの声を大切にしてくれるので、自分の意見が会社の成長につながることも多いですよ。フラットな組織で、各国での店舗展開においてもローカルの意見を信頼し、取り入れてくれます。とはいえ、日本は日本、香港は香港というスタンスではなく、世界中どこにいても会社としてのつながりがあります。だから日本のオフィスで働いていても、グローバル感を実感しながら仕事ができると思います。日本にある外資系の会社って、日本寄りの雰囲気がありますが、うちはもっとインターナショナルな環境ですね。
―日本マーケットでは、今後どのような展開を予定されていますか?
2022年はまずは予定している10店舗をしっかり出店し、定着させることですね。コロナ禍もようやく落ち着いてきて、来店されるお客様も増えてくると思うので、店舗でしかできない企画を考えています。コロナ禍ではイベントといえばオンラインが主流でしたが、これからはオフラインのイベントもどんどん行っていきたいです。
また、コラボに関しては日本のアーティストとのコラボを増やして世界に発信し、アーティストが活躍できるプラットフォームにしたいです。人気アーティストである長場雄氏とのコラボもおかげ様で大好評だったので、そうした経験値を次のコラボにつなげ、新たな発信をしていく予定です。商品に関しては、従来のテックアクセサリを主軸としながらアイテムを増やし、CASETiFYをライフスタイルブランドとして成長させていきたいと考えています。
一方で当社はサスティナビリティにも力を入れています。スマホケースのプラスチックはリサイクル素材を多く使用しており、例えば人気商品のインパクトケースは原料の65%がリサイクル素材から作られています。お客様が使い終わったプラスチックケースの回収率も高まってきていますので、将来的には100%のリサイクル率を目指します。
Brand Information
CASETiFY
Real Cute, Real Tough.