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面接で号泣する人続出。「応援購入」という新しい市場を作る注目企業の原動力は、本音で語り合うこと|株式会社マクアケ 共同創業者/取締役 坊垣佳奈氏インタビュー

面接で号泣する人続出。「応援購入」という新しい市場を作る注目企業の原動力は、本音で語り合うこと|株式会社マクアケ 共同創業者/取締役 坊垣佳奈氏インタビュー

ビジネス界のトップランナーのキャリアを「丸ハダカ」にする、新感覚対談「Career Naked」。第2回目は、株式会社マクアケ 共同創業者/取締役 坊垣佳奈氏に登場いただく。坊垣氏はサイバーエージェントを経て、2013年に同僚2人とともに応援購入サイト『Makuake』のサービスを提供する株式会社マクアケの設立に携わった。現在、取締役として会社を牽引する彼女に、業界屈指のエグゼクティブ人材紹介実績を持つ北川加奈氏がマクアケの企業文化、坊垣氏のマネジメントを行う上でのモットーなどについて、たっぷり伺った。

坊垣 佳奈さん/株式会社マクアケ 共同創業者/取締役
同志社大学卒業後、2006年に新卒で株式会社サイバーエージェントに入社。株式会社サイバー・バズの他ゲーム子会社2社を経て、株式会社マクアケの立ち上げに共同創業者・取締役として参画。主にキュレーター部門、広報プロモーション、流通販路連携関連の責任者として応援購入サービス「Makuake」の事業拡大に動きながらも、 様々な地方エリアでの講演や金融機関・自治体との連携などを通した地方創生にも尽力。

北川 加奈さん/エーバルーンコンサルティング株式会社 ヴァイスプレジデント
静岡県浜松市出身。大学卒業後イギリスへ留学。帰国後は地元の静岡にて塾講師として勤務。2008年にウォールストリートアソシエイツ(現エンワールド)入社のため上京。2017年にAllegis Group Japanに入社、ASTON CARTER プリンシパルコンサルタントとして勤務。2021年1月にエーバルーンコンサルティング入社。

Makuakeはクラウドファンディングではなく「応援購入」という新しいコンセプト

―最初に御社の事業について、詳しくお伺いできますか?

Makuakeというサービスを運営しています。私たちはクラウドファンディング業界ですよねと言われることが多いのですが、実はちょうど2年前の2019年12月にマザーズに上場して、そのタイミングで大きなブランディングの変更を図っています。今、私たち自身から「クラウドファンディングサービスです」と説明することはなく、「アタラシイものやサービスの応援購入」と言っています。

なぜかというと、クラウドファンディングの仕組みは、日本では東日本大震災があってサービスが始まったという歴史がある中で、個人の活動支援や困っている人がお金を集めること、といったイメージが定着しすぎていて。これは少し特殊で、世界的にはキックスターターやインディゴーゴーを代表するように、ベンチャー支援や新しいプロダクト・サービスが生まれるところに活用される、という登竜門的な使い方が浸透しつつあるのです。しかし日本でそこを地でいくサービスがなかったので、私たちが新しいビジョンを仕立てながら実現していこうと運営をしてきました。

そして運営の実態が伴ってくる中で、私たちがユーザーに提供できている体験は、非常にオリジナルだ、と感じました。なぜならクラウドファンディングサービスでも寄付よりの行為でもなければ、ただeコマースでものを買うのとも違います。「これをどう定義しようか?」と会議で話し合った中で、私が「シンプルですけれど、応援購入はどうですか?」と言ったんです。その後にコロナ禍がはじまって応援消費という言葉も出てきたので、少し混在しているところもありますが、実は応援購入と言う言葉は私たちが言い始めた言葉なんです。

これまで数多くのアタラシイものやサービスを「応援購入」でサポートしている

―坊垣さんの社内での役割についてお話いただけますか?

私は共同創業者なので、基本的にはビジネスサイドの執行部分をすべて見ています。提携関係にあるところや全国の金融機関、自治体といったビジネス領域に関わる皆さんの窓口になる部署の責任者です。さらにマーケティングやプロモーションの設計にも関わっています。

―日々の業務の中で役割として、特に注意されている部分は何でしょうか?

Makuakeというサービスは、「実行者」と呼んでいる事業者様と、一般消費者のユーザー、これを「サポーター」と呼んでいますけれど、両方がお客様になります。なのでユーザー、事業者様にとってどうなのか、両面で考えなくてはいけません。難易度も高くバランス感覚も必要とされます。

新しいものを生み出すプラットフォームである以上、ユーザーの皆様、事業者様を応援したい。でも「それはユーザーに不利益を与えないですか? お約束したものを提供できますか?」とチェックしていかないと、ユーザーが不利益を受けてしまうかもしれません。だからすべて私たちの審査基準を通して、一つひとつのプロジェクトを見ていて。おそらくMakuakeはクラウドファンディング業態のプラットフォームの中で、世界一審査が厳しいと思います。この業態の中で、世界で上場している企業はマクアケだけ。それはたぶん運営が難しいからだと思います。

ただ極限まではリスクは軽減されていると思いますが、トラブル0にはならない。やはり新しいものを生み出すためには、購入者側にもリスクがあるということを、ユーザー様に理解していただく啓蒙活動を含めて、必要なことだと思いながら運営しています。だから私たちはサービスをただ運営しているのではなく、新しい市場と、市場に紐づく体験と、それを取り巻く生態系を作っていると思っていて。それが応援購入市場であり、壮大なチャレンジをしていると感じます。

問題の予兆を感じられるから、半期に1回、約80人もの1on1を一人で担当

―ダイバーシティアンドインクルージョンや文化形成について、御社としてはどのような指針をお持ちでしょうか?

マクアケは私が創業に携わっているため、性別の話においては、かなり皆さんが目標としているところの到達率が高い会社でしょう。社員の比率は半分、管理職も半分。経営も実は執行役員以上の半分が女性です。

上場会社で経営層が男女半々です、という会社はあまり聞いたことがないと思います。あるとして、女性向けの商品を作っている会社や女性マーケティングの会社や特化したケースでしょう。周りからも言われますけれど、私が意思決定の現場にいることが大きいと思っています。細かいルールや給与制度だけでなく、結局はケースバイケースの対応が必要で、いかに柔軟に対応できるかです。またマクアケは男性の育児休暇取得も非常に進んでいて、全社での育児休職率は62.5%。最初のお子さんが生まれたら、皆さん必ず6ヶ月程度休んでいます。自分も、最近お子さんが生まれて育児休暇を取得した男性の部下がいて、休んでいない人はいないと思います。

それは制度というよりは、文化や空気です。女性の社員が多かったり、上司が女性で「育児休暇を取ればいい」と言ったり、部下から「取ってください」と言われると、とても休みやすい。自分が決断するよりも、人に勧められる方が絶対取りやすいし、そういう人たちに囲まれてみんなが代わりにサポートしてくれるので、復帰もしやすい。制度も重要ですが、それがいかに推進できて、使いやすい空気感があるかが、とても重要でしょう。

マクアケは創業から私がいるからいいとして、いないケースで「何から真似したらいいですか?」といった相談は多いです。当然「まずは中から育てることをしましょう」という話ですが、中から育てるには時間がかかるようだったら、社外取締役でも監査役でも、女性にお願いしましょうとお伝えしています。

私も実は外部アドバイザーを務めている人材系の会社があり、そこでは女性の社外取締役を斡旋するマッチングサービスを始めているのですが、私は必要なことだと思っています。どうしても性別差による認知の違いは起きるので、「女性からは、こう見えますよ。感じますよ」といってくれる人は絶対にいた方がいい。それは逆もしかりで、女性だけの経営層であれば、「男性からはこう見えますよ」と言える人がいた方が良いでしょう。

女性の取締役を育てるには、意識的に引き上げることが重要です。私の経験上、同じ能力値の男女でも、新しいことを任せた時の反応がまったく違います。男性は「新しいミッションを任せる」といった時に、二つ返事で「やります」と言います。でも女性は、だいたい1回目は断られるんです。なぜかと言うと、女性は責任感の強い生き物で、男性は野心が強い。だから大きなことにチャレンジするのは、男性の方が積極的です。

でも女性は与えられたものを、しっかりやろうという意識が強い。だから私は「できるよ。私が責任取るから」と言って、任せてしまいます。そうすると、「できました」となるんです。ですから男性上司の皆さんは、断られたことをそのまま真に受けないで、2度、3度話してください、とアドバイスするようにしています。

―マネジメントする上で、他に意識的にしていることはありますか?

毎月70、80人くらいの1on1(ワンオンワン)ミーティングを私が担当しています。今は毎月が難しくなってきてはいますが、半期に1回は必ず行っています。

なぜこれだけ労力をかけるかというと、1on1を行うと、数字に出る前に、数字に出そうなポイントが見えるんです。数字は結果。だから皆さん結果を見てチューニングしているけれど、私の感覚的には遅くないですか、と感じるんです。数字になる前に、これがうまくいってない、あれがうまくいってないなど種が拾えるので、比較的に悪くなる前にその芽を摘んでおくことができるんです。日々対話をしていると、「ちょっと様子がおかしいな」というのことも分かるじゃないですか。プライベートで問題があったり、人間関係で悩んでいたりする。仕事のアウトプットはいろいろなことが影響していますし、男女関わらず、実はプライベートが影響していることの方が大きいんです。

自分より若い人たちでしたら、仕事以外でもアドバイスできることもありますし、話を聞くだけでも「すっきりしました」という人もいます。当然ながらいろいろな影響を受けるから、そこを一緒に解決してあげたい。問題を共有する、ということも大事だと思っています。

社員ひとりひとりと徹底的に向き合い、日々の対話を意識している

社員が作る24時間番組、看板番組は社内版「恋のから騒ぎ」

―これまでのお話で御社がカルチャーをすごく大事にされていることが分かります。その中で御社にはカルチャー担当の方がいらっしゃると伺ったのですが、この担当を置こうと思われた経緯を教えてください。

これは自然な流れでした。私も共同で創業した代表の中山(代表取締役社長 中山亮太郎氏)も、木内(共同創業者/取締役 木内文昭氏)も、もともとサイバーエージェントにいて、3人で立ち上げているため、マクアケは比較的サイバーエージェントの文化づくりの影響を受けています。それをうまく取り入れよう、という気持ちはありますね。サイバーエージェントはカルチャー色の強い会社で、みんな会社が好き。一体感があって、経営の工夫もあって楽しく仕事している。その手法を見てきているので、それは今に生きていると思っています。

その中でも特に面白かったのが、一昨年コロナ禍のゴールデンウィークの時に、若手社員が「24時間番組をやる」と言い出したことです。オンラインで24時間、1コマ30分から1、2時間くらいで、それぞれ担当が変わって、料理を作るコンテンツや、取締役の木内が本に詳しいので、「どんな相談にも本で答えます」というコーナーなどがあります。私は「恋のから騒ぎ」というコンテンツを持たされていて、若手社員の恋愛相談にのるという視聴率が一番高い看板番組なんです。役員は格付け番組に参加して、社員からいじられるといった娯楽的なコンテンツも混ざっています。この社内番組の取り組みはリクルート社の「GOOD ACTIONアワード」でコミュニケーション促進や企業理念の浸透に優れているとしてトレンド賞に選ばれました。

だからカルチャー担当を置いたこと自体がキーではないんです。どういう空気の会社を目指しているか、どういうカルチャーにしていきたいかが経営の頭の中にあって。それを形にしているうちに、社員が自然と真似するようになってくれました。「こういう活動をより推進する人がいたら、もっと進むよね」となってカルチャー担当を置いた、といった感じです。

―カルチャーを作りあげているから離職率も低い、と聞いているのですが、そういったことにつながっているのでしょうか?

採用の時に、多くの世の中の会社は、たぶんスキルを一番見ていると思うんです。でもマクアケの採用ではスキルの優先順位は圧倒的に低くて、重要視しているのはビジョンフィットとカルチャーフィットです。ビジョンフィットとカルチャーフィットをしていたら、スキルが少し足りなくても、それは後でつくからと考えて採用します。そうすると、基本あまりずれないので、辞める人も少ないし、一体感は生まれやすいと思います。

社員の一体感を醸成するための「ビジョン」は自社で作り上げている。お手持ちの書籍は坊垣氏が書き綴った「Makuake式「売れる」の新法則」

―採用の時に必ず聞く質問はありますか?

もう1つ重要なのが、その人のやりたいことがマクアケにあるか、ということです。「もし『給料はいくらでも払う』と言われたら、何をしたいですか?」、「人生をかけてやりたいことは、何かあるの?」といった質問をして、これは本音だな、というところが出るまで聞きます。

そうすると「実は起業したい」といった思いが出てきたりします。起業するタームがかなり先なら良いのですが、起業を目指していて、私たちの会社はステップにしかならない、と感じたら、「もう、起業した方がいいですよ」とアドバイスすることもあって。人生相談みたいで、面接を行うと泣く子も出るんです。その子が本当にやりたいことがマクアケにある、と思ったら採用しています。

弱音を吐いてもいい、人と人として話したい

―坊垣さんが上司、部下、同僚とコミュニケーションをするうえで、つねに心がけている点があれば教えてください。

上司、部下ではなく、できるだけ自然体で接して、人と人として話をするように心がけています。特に弱音を吐くとか相談するのは、私はまったく恥ずかしいことではないと思っていて。私も上司である社長の中山はサイバーエージェントでの同期なのですが、「ちょっと今、これを悩んでいて」とか、「どう思う?」といったことは、結構聞きます。

私は中山に意思決定をさせたくないんです。なぜかというと、材料がそろっていれば自然に答えが出るから、意思決定は必要ないことだと思うんです。逆に「えいやっ」とものごとを決めると、とんでもなくリスクが発生する。材料をそろえて「これしか答えがないです」といった状態をいかに作るのかを考えているんです。

だからいかに上位概念を自分ごと化して考えて、答えを導けるような状態で相談に来てもらえるか。私も上司に対してそうしていますし、部下からもそうして欲しいなと思っていて。ものごとは現場で動いているから、そこに答えを導くための答えの材料があるはずです。それをしっかり集めて考えます。

―ビジネスには失敗がつきものだと思いますが、今まで失敗したと思うことは?

失敗は日々あるのですが、それをつねに細かく改善し、課題と思った時点で対応しているため、あまり課題ではないというか。失敗はするものですし、時間をかけるよりは、やった中でチューニングしていく方が良いと思っています。

―プライベートでも、「やってみよう精神」でしょうか?

結構、感覚的なところはあります。イメージがわく方を選ぶことを意識しているかもしれないです。PDCAの数が多いからなのか分かりませんが「Aを選んだ時に、こうなる。Bを選んだらこうなる」とイメージができるのです。その分、悪い予感もたくさんあります。人を見る時も「この人は、ここのポジションにしてもあまりピンとこない」といったこともありますし。だからこそ、大きな失敗がないのかもしれないです。

―メンタルについては、どのようにケアしていますか?

悪いことが起こるのは、長い目で見ると、何かの気づきのポイントだと考えています。だいたい悪いことは、何かの気づきを与えてくれるターニングポイントだったり、良いことの前兆だったりすることもある。物事を短期的にとらえないようにすることは、自分でもコントロールしています。

―セルフブランディングの点で、人前で話す時に意識されていることは?

私はつねに自分のそばに違う自分がいて。この人が「それはこういうふうに伝わるけれど、大丈夫?」といったように聞いてくるんです。それにより第三者目線で考えられることで、「こういうふうに感じる人がいるかも」といった360度の視点を持つようにしています。

セルフブランディングも、自分が思う自分を作ることは、独りよがりだと思っています。これはサービスブランディングも、コーポレートブランディングもセルフブランディングも一緒で。意外とセルフブランディングにおいてだけ、それができない人はいます。自分をどこに据えると受け止めてもらいやすいか、自分はどこにいると目立ちやすいか、ということをよく分かっていない人が多い印象です。

輝いている人は、自分の選択や日々に納得できている

―ファッションがお好きであると伺っていますが、選ぶポイントを教えてください。

仕事でものづくりに関わっているので、できるだけ知り合いの物を買う、顔が見える消費をする、というのはポイントとしています。今日身に着けているものも、実は友人のブランドです。あと最近はどう作られたのかを知ってから買います。

それから私は背が小さいので、バランス良く見える服を買います。唯一サイバーエージェントの藤田に褒められたのが、「取材ごとに雰囲気を変えている」ということでした。男性は特にそうなりがちなのですが、取材が増えてくると、全部同じに見えるんです。だから新しい記事がアップされても、「この前も載っていたのと同じ記事か」と読んでもらえないことが起きるけど、「坊垣は服装や髪型をちゃんと変えていて全部違う面だと思われるから、みんな結構読んでくれていると思うよ」と言われて。それは意識していたんですけれど、改めて言われて正しいんだと思い、頑張っています。皆さん取材となるとスーツやジャケットになりがちだと思うんですけれど、私は比較的仕事をしているそのままの格好を意識していています。

取材時のファッションコーディネートもセンスが光る

―坊垣さんのように生き生きと働きたい、と考えている方にメッセージをお願いします。

楽しく生きている人は輝いて見えます。そして楽しさの原点が何かというと、私は自分の選択や日々に納得できているかだと思っていて。自分の心と向き合い、心が欲していることを選んで向き合っていると、本質的にはお金やポジションではない、自分にとって本当に重要な納得感が得られるはずなんです。その結果、ものごとがうまくいったり、いい仲間が集まったり。それによってお金がついてきたりすることもあると思うんですけれど、私はどちらでもいいんですよ。

あとはそうやってせっかく得ても、そこでまた調子にのると崩すこともあるでしょう。大事なのは、自分の中にあるものを、1ついかに純粋に突き通すか、ということだと思います。

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