出産後のブランクを乗り越え、どう働く?
「結婚・出産を経ても働き続けることは当たり前」の世の中にはなってきたものの、働く女性のキャリア形成において、出産は大きなターニングポイントとなります。なかでも結婚・出産を機に一度退職してしまった場合は、次のステップとの間に数年間のブランクが生じてしまいます。今回は、『退職後に出産し、ブランク期間を経てもう一度働きたい女性』にスポットをあて、スムーズな仕事復帰の方法とその後のキャリア形成へのヒントについてお伝えします。
ブランク女性に立ちはだかる壁とは?
産後の働き方にはさまざまなパターンがあります。産後は仕事を休む女性がほとんどですから、多かれ少なかれブランクは生じるものの、出産前も後も同じ会社に勤める場合はスムーズに職場復帰ができるケースが多いでしょう。
一方で、もっとも仕事復帰への壁が高く立ちはだかってしまうのは、出産を機に退職し、育児期間中は完全に仕事から離れていた方です。さらにブランク期間が長ければ長いほど、仕事復帰へのハードルはより高くなる傾向にあります。
壁にもさまざまな種類がある
では、ブランク中に再度働きたい!と思ったときに、具体的にはどのような壁にぶつかるのかを考えてみましょう。
(企業の壁)
- デジタル化が進み、仕事のスタイルが変化したことによって、業務内容も、求める人材も変わっている。
- 小さな子どもがいることで、就業時間が限られる。平日だからといって、仕事にフルコミットできない。
(自分自身の壁)
- 数年の間に自分の価値観が大きく変化し、仕事に対する興味が変わってしまった。
- 過去の実績や経験から「できる仕事・わかる仕事」は多少あるものの、心境&環境変化のため、かつて仕事をしていた頃と同じ情熱で、仕事ができるかどうか不安。
- 子育てとの両立による限られた時間、中途半端な自分のスキル、さらに加齢も重なり、全く知らない環境に飛び込むことが不安。
- いざ「転職したい」と思っても、身軽な独身時代の転職とはまったく違う。
- 子育てに追われるなか、じっくり業界・企業・競合他社研究をし、仕事内容や自分と向き合って準備する「時間」と「心の余裕」がない。
企業が求める人材と、本人の希望がピタリとマッチした職場を見つけることこそが、理想的な仕事への復帰であることは明確です。しかし総じて出産・育児によるブランクは、自分そのものの自信のなさと不安感につながり、最初の一歩を踏み出す勇気が出ないこともあります。また、会社を選ぶうえで一番のチェックポイントともいえる、「ワーキングマザーにとって本当に働きやすい環境であるかどうか」については、求人票だけではなかなか確認しづらいことも現状でしょう。
解決の糸口は必ずある
立ちはだかる壁が多ければ多いほど、仕事復帰への不安は大きくなります。けれども少し冷静になって周囲を見回してみると、新しい世界に飛び出して、育児・家庭・仕事を両立している人が、あなたの近くにもいることに気づくはずです。
せっかく「もう一度仕事がしたい」と思ったのですから、壁を理由に復帰を諦めてしまうなんてもったいない。まずは、自分にだってできる!と自信を持って、復帰のためにやるべきことを前向きかつ段階的に考えていきましょう。
なぜ働きたいのかを自分に問う
「もう一度働きたい」と思ったら、その理由をしっかりと明確にしましょう。「収入が必要」「好きなファッションの世界をもう一度体感したい」「やりたい仕事がある」など、まずは自分自身の気持ちと向き合って、働きたい理由を今一度考えてみます。
どんな働き方がしたいのか
独身時代の転職であれば、仕事を第一に考えて転職先を探していけばよいでしょう。しかし家庭や育児がある以上、仕事だけを優先するわけにはいきません。そのためまずは、具体的な勤務時間(例:朝は9時以降ならOK、勤務終了は遅くとも18時まで)など、育児と仕事を両立させるうえで最低限必要な勤務条件をリストアップしておきましょう。
そして、リストアップした勤務条件を可能にできるかどうか、自分の置かれた環境と照らし合わせておくことも大切です。
- 子どもの預け先の有無と預けられる時間帯
- 家族からどの程度の協力を得られるか
- 仕事復帰に対する想いが家族へ伝わっているか(もしくはどう伝えるか)
次に、自分のスキルをチェックします。
- 経歴・経験・できることの洗い出し
- デジタル化に対する理解や興味がどの程度か
- リモートワークへの対応はどうか
在宅勤務を叶えるためには、すぐ使えるPCと快適なネット環境が必須です。その準備が整っているかを確認すると同時に、ご自身のスキルの棚卸しをし、多少ブランクがあっても今すぐ対応できそうな得意分野が何かを考えてみてください。
単純に「また仕事がしたい」という想いだけでは、いきあたりばったりの就職活動となってしまい、決まるものも決まりません。何より大切なのは、自分の意志を明確にかつ具体的にすることです。
このように、転職活動のスタート地点で自分の立ち位置や優先順位が何かを明確化しておくことで、初めてどの程度の負荷の仕事を、どの程度の時間や頻度でできるかなどの具体的な働き方のスタイルが見えてきます。ここがしっかりと固まっていれば、会社選びの条件が揃いますし、会社側に条件をきちんと伝える準備も整います。また、それに応じて子どもの預け先や家族への対応なども変わります。あなたの仕事への考え方を関係者に共有することで、サポートする家族側の理解度や協力姿勢もグンと変わっていくでしょう。
さあ、アクションを始めよう
以上を踏まえながら、明確な転職理由を見つけた上で、自分のスキルを掛け合わせ、それにまつわるアクションを始めてみてください。
(アクション例)
業界新聞などの定期購読、気になる企業やブランドの動向を追う、今人気のブランドやサービスのリサーチ。自分が今好きなブランドやサービスはどこが優れているのか、自分だったら、そのブランドやサービスをどうしていきたいか、ワーキングマザーも多い人気の企業はどこかなどをチェック。
人とのつながりを大切に
また、就職活動においては「人とのつながり」がとても大切です。まずは第一線で活躍中の友人や知人が周囲にいれば、連絡をとってみましょう。第一線で活躍している彼らであれば色々な決定権があり、情報通でもあり、さまざまな面において助けてくれることがあります。こうした横のつながりから、昔の知り合いが、思いがけない形で仕事のご縁を持ってきてくれることもあります。いろいろな制約があるワーキングマザーだからこそ、状況への理解がある知り合い経由で入社するのも一つの方法です。
さらに可能であれば、あなたと同様に子どもを持ちながら、一足先に仕事を再スタートさせたママ友や知人に、どのような働き方をしているのか、何が大変か、時間のやりくりの工夫など、リアルな体験談を聞いてみましょう。子育て環境や仕事内容が異なっていたとしても、リアルな声はとても参考になるはずです。
こういったアクションのひとつ一つが、やりたい仕事や働きたい企業を探す上で、とても大切なポイントになります。あなたに合った方法で何か一つからでも始めてみてください。
事前準備は、すべて完璧に行わなくてもかまいません。なぜなら仕事というものは、実際に始めてみないことにはわからないことの方が多いからです。ただし、軸足と意志だけはしっかりと固めたうえでアクションに移りましょう。
働き方のスタイルは、どんどん多様化しています。またコロナ禍をきっかけにリモートや在宅勤務も当たり前になりました。こうした変化は、子育てとの両立によるさまざまな制限が生じがちのワーキングマザーにとっては、むしろ追い風になっているのかもしれません。時間はかかるかもしれませんが、動かないことにはチャンスは巡ってきません。ハードルを上げすぎることなく自分の可能性を信じ、一歩ずつ前に踏み出していきましょう。
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