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泣くほど不安だった来日から30年以上、ハートを軸にするマーケッター&リサーチャーが考える、キャリア形成における大切なこと|ハート・データ株式会社/代表取締役社長 大嶋バニッサ氏インタビュー

泣くほど不安だった来日から30年以上、ハートを軸にするマーケッター&リサーチャーが考える、キャリア形成における大切なこと|ハート・データ株式会社/代表取締役社長 大嶋バニッサ氏インタビュー

ビジネス界のトップランナーのキャリアを「丸ハダカ」にする、新感覚対談「Career Naked」。第8回目は、ハート・データ株式会社の代表取締役社長である大嶋バニッサ氏が登場。学生時代に日本に留学した大嶋バニッサ氏は、さまざまな企業でマーケティング・リサーチの仕事に携わる一方、「データは人間の目線、心と合わせることで生かされる」という信念でハート・データ株式会社という企業を立ち上げた。そんな彼女に業界屈指のエグゼクティブ人材紹介実績を持つ北川加奈氏が大嶋バニッサ氏のキャリアに対する考え方、ダイバーシティ&インクルージョンなどについてじっくり伺った。

大嶋 バニッサさん(Vanessa Oshima)/ハート・データ株式会社/代表取締役社長
ニュージーランド出身。文科省スカラーシッププログラムの一環として京都大学に留学、日本女性の雇用・賃金格差を研究し、経済学修士号を取得。マーケティング・リサーチ業界で20年以上のキャリアを経て、現在はスターバックスのマーケティングに携わる。その傍ら、自らの会社、Heart-data Incを運営。環境、ダイバーシティ&インクルージョン、次世代育成など日本そして世界に前向きな変化を起こす活動を進めている。

北川 加奈さん/エーバルーンコンサルティング株式会社 ヴァイスプレジデント
静岡県浜松市出身。大学卒業後イギリスへ留学。帰国後は地元の静岡にて塾講師として勤務。2008年にウォールストリートアソシエイツ(現エンワールド)入社のため上京。2017年にAllegis Group Japanに入社、ASTON CARTER プリンシパルコンサルタントとして勤務。2021年1月にエーバルーンコンサルティング入社。

「面白そう!やってみたい」素直な気持ちでキャリアを選択してきた

―まずバニッサさんのキャリアストーリーからお話しいただけますか?

私の出身地はニュージーランドで、人口7千人ほどの小さな街です。学生の頃から海外に行きたいと思い、友人もいるカナダへの留学を考えていました。でも最終的には、交換留学で日本へ行くことに。正直に言うと、日本に行く前は泣くほど不安で仕方なかったです。しかし母が「もしも合わなかったら、すぐに帰ってきても大丈夫。でもせっかくのチャンスなんだから、まずはトライしてみたら?」と言ってくれて。万が一うまくいかなかった時も、ちゃんと帰る場所があるんだと思わせてくれたことに、本当に感謝しています。それで千葉県の成田高等学校に通うことになりました。

当時の年齢は高校3年生だったのですが、3年生だと受験勉強一色になってしまうので、2年生に編入。実は1つ上の学年に陸上部のキャプテンがいて、それが私の夫です。日本の高校で出会ったんです(笑)。

成田高等学校の陸上部は室伏広治さん、増田明美さん、澤野大地さんといった有名なスポーツ選手をたくさん輩出している名門で、当時は増田明美さんのコーチだった瀧田(詔生)先生という監督がいらっしゃいました。瀧田先生は選手を連れてニュージーランドをたびたび訪れていたので、私は故郷の話をしたり、いろいろ相談にのってもらいました。

そういったご縁もあって、どんどん日本が大好きになっていったんです。交換留学の後はニュージーランドに戻り、大学で学びました。さらに文科省スカラーシッププログラムの一環で京都大学に留学。その時はちょうど日本で男女雇用機会均等法が施行された頃だったので、男女賃金差について勉強し、社会学の分野に興味を持つことになりました。

その研究が終わってから、夫とニュージーランドに7年間住み、仕事は大学で社会学を教えていました。それから日本に戻ることになったのですが、自分が大学で教えていた理論が本当に市場で実践できるか気になって、企業に就職することを決めました。私がラッキーだったのは、最初にIT系のスタートアップ企業に入って、リサーチの仕事に関われたことですね。日本の携帯電話調査などを行って、リサーチの仕事の基本を学びました。

それからクライアントサイドを経験したいと考え、たばこメーカーのフィリップ モリス・ジャパンに戦略担当として転職。私はたばこを吸ったことがないのですが、フィリップモリスのマールボロというブランドが好きで。マールボロは当時、TVCMや大がかりな広告といった宣伝を行わないけれど、広告の世界ではトップ10のブランドでした。ここまでブランドが愛されている背景に、何か学ぶことがあるのではないか、と思って興味を持ったんです。そこでまたいろいろなことを学び、次にナイキジャパンに入社。フィリップモリスでは戦略を担当していましたが、ナイキではランニングのブランドマネージャーになりました。それから日本コカ・コーラを経験し、再びナイキに戻ったのです。

私はキャリアを選択する基準として、同じことを繰り返すのではなく、「次に経験したいことは何だろう?」と考えるようにしています。それはあらかじめ計算するというよりも、転職の話が来た時に、「これは面白いかも」と感じるかどうか。さらに会社を辞める時は、その会社に対して不満があるから辞めるのではなくて、また戻れるように、関係を途切れさせないような辞め方をする、ということを大切にしてきました。

―バニッサさんが次の会社を選ぶ基準は、「次に何を学ぶことができるのか? 経験できるのか?」なのですね。

社会人になった息子たちにも言うんですけれど、嫌だから転職するというのは“逃げ”にあたるから、正しい選択ができない時もあるんですよ。だから転職するかどうかは別にして、いろいろ話を聞いてみたり、調べたりすることが大事。それで「転職した方がいいな」と感じたらすればいいし、現実を知って「そんなものなのか」と感じて思いとどまるという場合もあると思います。

会社は辞め方も大事。”Don’t burn your bridges” 渡った橋を燃やさないでおけば、もう1回戻れる、と語る大嶋氏

―実際に働いている人の声を聞いてみないと、分からないことはたくさんあります。そしてナイキの後が、現在働いていらっしゃるスターバックスなのでしょうか?

はい。次は海外に行くという道もあったんですけれど、私は日本に対してすごく感謝しているので、今は日本のために何かしたいと思っているんです。それでスターバックス コーヒー ジャパンに転職しました。

家族を大事にするとか、日本を大切にしたいなど、何らかの自分の芯があると、仕事も探しやすいし、決めやすくなります。アパートを探すことと似ていますね。軸を作ると、どんどんフィルターが増えて選択肢が狭まり、決めやすくなります。

それと中途入社の私たちは、それまで会社を築き上げてくれた土台を尊敬しながら仕事に取り組まないといけない、と思います。もちろん外から人材を採用したのは、新しいアイデアが欲しいということでもあるから、このバランスがすごくポイントになります。だから中途入社する時は、ものすごく一生懸命勉強しました。

―会社から与えられるだけではなく、ご自身でどう開拓していくのか、経験していくのかは、非常に大事ですよね。

あと、一緒に働く人たちの課題をしっかりと把握すること。それぞれの部署にそれぞれの課題があるから、それを理解して、自分だけではなくいろいろな人たちの目線で考える。

それから「方法は一つでない」ということ。よく私が例として挙げるのは登山です。たとえば、富士山の頂上に登ろうとする。でも登り方は、山梨から入る、静岡から入るなど、いくつかあります。それぞれの方法があるから、自分のやり方がすべてではないことを理解しました。

雨でも二日酔いでも走り続けて10年、実現できたのは周囲のサポートがあったから

―バニッサさんは企業で働きながら、ご自身の会社も設立されました。Heart-dataという会社と伺いましたが、どのような思いで起業されて、今はどんな事業を行っているのでしょうか?

私は2017年に乳がんにかかり、治療しながら自分の会社を準備していました。自分の会社を持てば、自らのペースで働くこともできますし、働きたい人と一緒に働けるというメリットがあります。

最近はどの会社でも、データ分析やデータアナリティクスの重要性が言われています。でもデータばかりではなく、やはりハートも大事。人間の目線でいろいろなことを一緒に作っていかないと、戦略はできないですし、ブランドも作れません。

長く生きるブランドというのは、売上だけではなく、多くの方たちに愛着を持ってもらえているから、今日まで存続しているのです。だからこそ、ブランド戦略ではそういった愛着をいかにして作るのかがポイントでもあります。Heart-dataは、どんな会社でも持っているさまざまなデータと、ハートや人間といった私たちが目指してるパーパスを合わせて、戦略を作る、マーケティングを作る、そういったブランドストレッチを作る会社です。

―数字だけでもダメだし、ハートだけでもビジネスを成功させるのは難しい。うまくバランスを取っていかないといけない、ということですね。話は変わりますが、バニッサさんは今、毎日10キロ走るという目標を掲げていらっしゃるそうですね。しかし続けるのは非常に大変だと思います。どのようにして実行されているのでしょうか?

私が毎日走ることを始めてから、2022年は10周年にあたるんです。きっかけはニュージーランドの高校の友だちが、がんになって、ある日彼女から「今日、あなたがジョギングをしている様子を見て、すごく気持ちよかったから、今日は少し頑張る気力が出ました」とメッセージをもらったことです。それで「あなたの頑張る気持ちに役立つなら、私は走り続ける」と約束しました。

その時はたとえ雨だろうと、二日酔いであろうと、“彼女との約束を守ろう”という一心で、毎日5キロ走ることを続けました。これを実現できたのは、周りのサポートがあったからです。10年前はちょうど息子たちが高校生だったのですが、家に帰ったら夫が「今日はまだ走ってないよね。私がご飯を作るから、走っておいで」と言ってくれたりしたから、継続できたんです。

地道にジョギングとトレーニングを継続して、ついにはニュージーランド女性初の世界6大マラソン初制覇を達成

―ご家族は快くサポートしてくれたのですね。

大きいことにチャレンジする時、家族など周りの理解と応援があると、追い風になってやりやすくなるんです。それで今年は「走り続けて10周年」だったので、1月1日に毎日10km走ろうと宣言しました。ただ、最初はすごく良いペースだったんですけど、8日に友だちが家に遊びにきてくれて。人を迎えると、どうしてもドタバタするので、「今日は、10kmは無理!」となり、3kmだけ走ることにしました。

もともと連続ランというのは国際ルールがあって、1マイル、つまり1.6km走ればそれがカウントされるんです。でも10km中の7kmが残ってしまい、さらに友だちは3日間いたので、走らなくてはいけない距離がどんどん伸びていったんです。一気に走って返そうとはしたんですけれど、それは無理で。だから少しずつ返すことにして、「今日は体力に余裕があるから、このままもう少し走ろう」とか、「夜に時間があるから、1日2回走ろう」と積み重ねていき、ようやく最近、通常の10kmに戻すことができました。

ここで言いたいのは、毎日続けるにはプランが必要、ということです。仕事も同じでしょう。KPIを達成できてなくて、「うわー! 何とかしなきゃ」と慌てふためくのではなく、少しずつ積み重ねていく。そうすれば、自然に変わっていきます。

例えば「1時間を見つけて走らないと、あなたは明日死んでしまいます」と言われたら、必ず方法を見つけようとしますよね。だからできない理由ではなくて、できる方法を探す。突破口は必ずあるんですよ。解決法がない、というのは、自分で条件や制限をつけているからなのかもしれません。もし誰かの手が必要なのであれば、誰かに頼んでみる。「いいよ」と言ってくれるかもしれないから、最初からあきらめないことですね。

―ダメと言われてもいいから、ちょっと相談してみようとか、コミュニケーションをとってみようといった、そのマインドが大事なのですね。

キャリア形成も同じです。マーケティングで働きたいのだったら、何をすれば、何の勉強をすればいいのかは、詳しい人に相談すればいい。最初から、「私は女性だからダメ」とか、「私は若くて経験がないから」とあきらめない。最近はよく、企業側からの「5年間の経験がほしい」という条件を目にします。5年間の経験を積んだ人というのは、22歳で学校を卒業した人は、27歳くらいでないと、その仕事に応募できないということです。でも何もしないで5年間過ごした人と、1年間で留学をするなど多様な経験をした人と、いろいろいますよね。それぞれのストーリーがあるのだから、しっかりその中身を聞くべきだと思います。

パワフルな仲間たちがいる女子会も自分を支えてくれる

―バニッサさんは落ち込んだ時、どのようにしてその状況から脱するようにしてますか?

「できることにフォーカスする」です。私は世界の6大マラソンに挑戦していて、最後がベルリンマラソンでした。その時はサブ4、つまり4時間を切ることを目標にしていたのですが、ゴールの位置を間違えて認識していたため、4時間1分という結果でレースを終えたんです。もう、本当に悲しくて。でも友だちが、「何を言うの。あなたはニュージーランド女性で初めて6大マラソンを制覇したのよ」と言ってくれて。彼女はできなかったことではなく、できたことにフォーカスしてくれたんですね。

仕事でも同様のことがあります。スターバックスでの話ですが、前月は記録を作るほど好調だったプロモーション活動だったのに、翌月の反応は鈍かった、という時がありました。その際、上司から「大谷翔平だって、三振の時もあるじゃないですか。でもそれで彼がダメ、ということにはならない。全体を通してどうか、を見られている。だからバニッサさんも、その時だけを取り出すのではなく、全体で見たらどうですか」と言われたんです。

大嶋氏は女子会などのネットワークを大切にしている。「本音で語り合う仲間と話していると、自分を客観視することもできます」

―目の前のことだけを見るのではなく。

そうです。一歩ひいて、自分の全体をもう1回リマインドします。ただ、それを自分でやるのはすごく難しい。だから私は友だちの力を借りたりします。パワーガールズというグループ、つまり女子会に参加しているんですけれど、自分が落ち込んでいる時、「あなたは、こういうところができているよ」と言ってくれると、リマインダーになるんです。できれば、そういったなんでも話せる人たちとのネットワークを持つと良いと思います。

あとはいったん置いておく、という方法もあります。私も「今日はすごく大変だった」という時は、とりあえずランニングをします。それでリフレッシュしたり、海が好きなので、海沿いを歩いたりして、混乱した状況から一度抜けてみると、新たに見えてくることがあります。

―ところで、バニッサさんのキャリアの中で一番の失敗は何でしょうか?

自分が一番の失敗と思うのは、会社にとって宝物だった人材が転職してしまったりして、その人のキャリアデベロップメントをうまくできなかったことです。特にマネージャーやボスといった役割の仕事の半分以上は、人を育てることだと思います。もちろん私も次の機会を求めて何回も転職しているから気持ちは分かるんですけれど、でも“この人に対して、もう少し何かできたんじゃないか”、と思うんです。あと自分は物事をテキパキ進めて前に前に行ってしまうので、みんなが追いついてない、という状況になってしまうこともあります。

それから私の母国語は日本語ではないから、自分では伝わっていると思っていても、実際に伝わっていなかった、ということもあります。それに人には知らないことがたくさんあります。実は病気を抱えて悩んでいる、実はパートナーが仕事をなくして困っているとか、本人が言わない限りは、知ることができません。だからこそ、相手の反応をちゃんと見る必要があるんですよね。それが自分の反省です。

私はランニングクラブに入っていて、メンバーの中には初心者から元箱根駅伝のランナーまで幅広い人たちがいます。駅伝出身の人たちはバーッと走れてしまうんですけれど、ちゃんと周りを見ているんです。だから初心者の人たちに「あなたはこうだから、こうした方がいいですよ」とアドバイスができる。いろいろな立場に立って考えられるんです。それは見習いたいですね。

私は人を傷つけてしまうのが、一番嫌なんです。そのため、最近は事前に「今から変化球を投げるから、自分でキャッチするか、スルーするかしてね」「今からちょっと厳しいことを言いますからね」「日本語が雑だったらごめんなさいね」とワンクッションを入れるようにしています。そうすると、まったく相手の反応が違うんです。私もそろそろ52歳になりますが、いろいろなミスを重ねてそのことに気づきました。

外からの承認ではなく、自分の内側から生まれるものを信じる

―ダイバーシティ&インクルージョンについてお伺いします。今、いろいろな企業で女性のリーダーシップやダイバーシティ&インクルージョンの重要性がうたわれています。しかし一方で、言葉だけが一人歩きしてしまって、トレンドの言葉になってしまっている傾向もあると感じています。実際に実現されていくには、何が重要だと考えられますか?

最近、私たちが働いてるところでは、インクルージョンの方が先で、つまりインクルージョン&ダイバーシティと言われるようになっています。なぜかというと、例えば50%女性・40%男性というデータは多様性があるとみなされ、ダイバーシティが進んでいる、と言われるでしょう

でも本当に居心地が良くて、受け入れてもらっているかどうかの判断は、インクルージョンなのです。だからインクルージョンの方が、より大切ではないかな、と思います。

もう1つ、同じような人たちが集まると居心地がいいけれど、そのコミュニティの中でポツンと1人でいたら、それはインクルージョンではないですよね。セグリゲーションと同じ。インクルージョンというのは、本当に全部混ぜて、一緒にいられることを指します。だからインクルージョンのところがハートで、ダイバーシティが数字、だと捉えています。

私は20何年も日本に住んでいて税金も払っているけれど、私自身は国籍を変えない限りは、選挙権がありません。ニュージーランドの国籍は捨てたくないけれど、日本は大好きなんです。あと税金は払っているから、税金の使い道については、やはり声に出したいんですよ。だからまだ外国人というか、時々“外の人”と感じることもあります。これは日本だけではありません。他の国でも同様です。

インクルージョンというのは、本当に受け入れてもらっている状態を言います。あとその人の特徴が本当に分かっているか、見ようとしてるか、というところですね。それは私も完璧にはできてはいないと思います。でも皆が「ダイバーシティとは何ですか?」「私たちの会社にとっては何でしょう?」「インクルージョン、受け入れられてるというのは、どういう状態ですかね?」という、そういった会話からスタートしても良いのではないでしょうか。

―働き方やビジネスに関して、これからどのようなことに取り組んでいきたいですか? 

大好きなブランドの仕事とか、ブランド戦略の仕事もしたいです。一方で、乳がんの人たちのためにも、何かやりたいですね。それからリサーチ業界は今、大きな変化の波が来ているので、世界のリサーチ業界の次のことにも関わりたい。

働くスタイルとしては、やはり収入は必要なので。あとは自分が気になっていることと、十分な時間を費やせることに対して、バランスを取ろうとしています。

―今、働く人たちに向けて伝えたいメッセージをお伺いできますか?

よく「リーダーシップとは何?」とか「リーダーとは何?」という話が出るのですが、リーダーは別に社長にならなければならないとかではなくて、夢を持って勇気をもって夢を目指そうとする存在です。だから誰でもリーダーになれるんです。近所の人たちのコミュニティのリーダー、サッカーチームのリーダーとか。大きな会社の社長にならなくても、自信を持って自分の身近なところでリーダーになれば良いのだと思います。

私は「自信」という日本語が面白いと思うんです。自信って“自分を信じる”という言葉だけれど、今、自信というのは、他の人たちからの信頼で自信になることが多いですよね。たとえば、「いいね」数が結構きたから、自分のコンテンツに自信を持った、とか。つまり外から褒められて自信になっている。でも本来、自信というのは自分を信じていることから生まれるもの。だから私は、自分の頭の中で言っていることを信じたいと思います。

企業と人材について深く向き合っている二人。「今度は私が北川加奈さんのお話を伺いたい」と大嶋氏は笑顔で語る

取材=キャベトンコ
撮影=Takuma Funaba

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