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【セミナー参加レポート】BEAMS JAPANプロジェクトリーダー佐野 明政氏が語る!コラボレーションに託す熱い想いとは

【セミナー参加レポート】BEAMS JAPANプロジェクトリーダー佐野 明政氏が語る!コラボレーションに託す熱い想いとは

RX Japan株式会社が主催する「第5回ライフスタイルWeek春」の併催セミナーに、株式会社ビームス クリエイティブ BEAMS JAPAN のプロジェクトリーダーである佐野 明政氏が登壇。「日本の魅力再発見!BEAMS JAPANの発信力ヒト・モノ・コトをつなぐコラボに込めた想いとは?-」をテーマに、コラボレーションに託した熱い想いを語った。今回は、その様子をレポートする。

佐野 明政氏/BEAMS JAPANプロジェクトリーダー
2000年BEAMSに入社。ショップスタッフを経験したのち、アウトレット事業、ライフスタイル業態であるビーミング ライフストアの立ち上げを手掛ける。その傍ら、社内運動会、ギネス世界記録チャレンジなどのインナーブランディング活動にも実行委員長として情熱を注ぎ、5度にわたって社長賞を受賞。 2016年にスタートしたBEAMS JAPANのプロジェクトリーダーを務め、立ち上げから現在まで、「日本の魅力的なヒト・モノ・コト」を国内外に発信する数々の企画を主導。

BEAMS JAPANの目指す世界感

1976年の創業以来、モノを通して文化をつくる“カルチャーショップ”を目指してきたBEAMS。国内外約160の店舗を通じたファッションやライフスタイルにまつわるセレクトショップとしての発信に加えて、近年目立つのは、企業と企業を繋げ、ヒトからヒト、モノからコトへと繋げるコラボレーションの事例だ。

佐野氏は、BEAMSが日本の良さや面白さを発信する事業であるBEAMS JAPANのプロジェクトリーダーとして、「日本の魅力的なヒト・モノ・コト」に関連する数々の企画を主導し、「え?この業界とBEAMSがコラボ⁈」と、誰もが驚くコラボを実現させ、大きな成果を残してきた。コラボの対象となっているのは、匠からサブカルチャーまでと幅広く、日本の伝統文化、地域、メーカーなど、想像を超えたユニークかつ大胆なコラボ企画が並ぶ。

佐野氏が紹介したのは、彼ならではのユニークなコラボ企画4例であった。

1.焼酎×BEAMS JAPAN【焼酎のススメ。】

麦焼酎「いいちこ」のメーカーである、三和酒類様からのオファーをきっかけにスタートした。その背景には、①お酒の種類が豊富になったことで、何を飲めばよいのかわからない人が増えた ②愛飲家の高齢化 ③若い世代の酒離れ などの理由により、ますます焼酎を飲む人が減ってしまうのではないかというメーカー側の危機感があった。そこで佐野氏は、若い世代が焼酎を知り、飲みたい!と思えるしかけをつくりながら、日本に伝わる「飲みにケーション文化」にも改めて着目。プロジェクトをスタートさせた。

BEAMS JAPANがラベルデザインを担当した焼酎の飲み切りボトル、メーカーのロゴが入ったファッションアイテムなどによって、焼酎のイメージをオシャレに一新。さらに、女優ののんさんがスナックのママを演じる「スナック びーむす じゃぱん」のWEBムービーを公開。スナックに集う客は、プロの役者ではなく、個性的なBEAMSの社員が演じたことでリアリティのある雰囲気になった。

スナック びーむすじゃぱんの”のんママ”と。彼女の手掛けるグッズとともに撮影

2019年11月にスタートしたコラボ企画は大好評で、WEBムービーの再生回数は10万回を越えた。2020年も引き続き新たなコラボ企画を予定していたが、予期せぬコロナ禍によって、これまでのように「焼酎が人と人をつなぐ」ような企画はできなくなってしまう。

しかしそこでも歩みを止めないのが、佐野氏である。「コロナ禍で、『お酒のある楽しい時間』などと無邪気には言えない状況でしたが、テレビをつければ”夜の街“が悪者扱いされ、BEAMS JAPANの店舗近くにある新宿ゴールデン街も閑散としていました。新宿ゴールデン街といえば、これまでたくさんの人と人をつなぎ、酒文化の象徴ともいえる場所。今はコロナで、ゴールデン街に来てほしいとは言えないけれど、街を、文化を守るために何とか応援したいと思ったんです」(佐野氏)。

佐野氏は、新宿ゴールデン街の魅力を多くの方々に伝えるために、エリア内に2つある商店街それぞれの看板を「新宿ゴールデン街」で統一する仲介役を買って出た。新しい看板はBEAMSのデザインチームがデザインし、2020年12月に設置をスタートした際には、「コロナ禍で大変な街を盛り上げる企画」としてメディアにも取り上げられた。

焼酎から始まった数々のコラボ企画は、焼酎の枠を超えて広がっていき、結果としてコラボグッズの販売点数は約4,000点となった。

2.銭湯×BEAMS JAPAN【銭湯のススメ。】

老舗の石鹸メーカー、牛乳石鹸様からのオファーをきっかけにスタート。両者の話し合いで見えてきたのは、若者の固形石鹸離れのなかでいままでリーチできていない新規顧客へのアプローチだった。そこで佐野氏が仕掛けたのは、日本の銭湯文化の復活だ。銭湯は、長年に渡って庶民のコミュニティの場として地域に根付いてきた。しかし現在は自宅内に風呂があることで、銭湯を利用する客は年々減り、銭湯そのものの数も減少している。しかし、銭湯の持つ解放感や、壁画を目にしながらゆっくりと湯につかる独特の雰囲気や気持ちよさは、家庭内の風呂では体感できない。

そこで2019年1月から、東京都内にある約550の銭湯を対象としたスタンプラリーを企画。冊子も作成し、のれんや銭湯の壁画も従来とは一線を画す斬新なデザインに。また限定のアパレルアイテムだけでなく固形石鹸をはじめとした、「銭湯に持っていきたいグッズ」も制作。牛乳石鹸といえば、赤箱、青箱がイメージされるが、コラボ企画としてBEAMSのコーポレートカラーのオレンジ色を採用し、「カウブランド橙箱」を作成した。定番品を除いたコラボグッズは、発売からわずか3日で完売し、これまでの累計販売点数は1万点を超えた。ニュースにも取り上げられるなど大きなイベントに発展し、銭湯への若い層の客足も増えた。

ヤマザキマリ氏の手掛けた銭湯の壁画

2020年も銭湯の魅力を伝える企画がスタートしていたが、こちらもコロナ禍によって1年延期となる。再開された2021年では、銭湯とスポーツの相性の良さに注目し、スポーツ用品メーカー、ミズノ様の協力のもと、銭湯店主が勧めるランニングコースを巡り、最後は銭湯で汗を流す「銭湯ランのススメ。」を実施。テルマエ・ロマエの作者としても知られる漫画家・文筆家のヤマザキマリ氏が様々なアスリートを描いた銭湯の壁画が話題になった。世界最大級のVRマーケットである「バーチャルマーケット6」 にも「バーチャル銭湯」を出現させ世界中の人々に日本の銭湯体験を提供した。さらに、Jリーグの最強仕掛け人として知られる天野春果氏が銭湯文化を世界に発信するために手がけ、述べ730万人が訪れた「TOKYO SENTO Festival 2020」にも参画した。

3.名古屋×BEAMS JAPAN【鯱の大祭典】【大名古屋展】

Jリーグチーム、名古屋グランパス様からの「スタジアムだけでなく、街でも着たいユニフォームをつくりたい」との制作オファーをきっかけに、企画がスタート。名古屋グランパスのホーム戦では、BEAMSデザインのユニフォームを来場者全員にプレゼント。その結果当日のチケットは完売し、約43,000人が来場した。スタジアムへの来場者を増やし、たくさんの人にユニフォームを楽しみながら着てもらうことと同時に、名古屋の魅力を発信し、名古屋・愛知を盛り上げようという企画「大名古屋展」もスタートした。

1回目の「鯱の大祭典」「大名古屋展」は大盛況。初年度のユニフォームは、鯱(シャチ)から生まれた名古屋グランパスの人気マスコット・グランパスくんにちなんで鯱をモチーフとしたが、2回目はより地域性を出そうと、2019年に日本遺産に登録された有松(愛知県名古屋市)の伝統工芸である「有松絞り」をデザインに採用し、地域の持つ宝にも光を当てた。このほか、共催の中日新聞社様をはじめ、地元の企業や事業者との連携やコラボ商品も展開。また、名古屋・愛知の魅力をInstagramでハッシュタグをつけて投稿してもらうキャンペーンも実施し、投稿数は1,000件を超えた。

大名古屋展にむけて手掛けたグッズの数々。伝統工芸を取り入れたものも。

4.農業×BEAMS JAPAN【たがやすBEAMS JAPAN】

農林水産省が実施している「ニッポンフードシフト」に共感し、BEAMS側から企画を提案。日本の「食」を支える農業の課題に対して、新宿にある店舗の一角に野菜の直売場を設置するというBEAMS JAPANならではの斬新なアプローチで「農業カルチャー」を紹介した。

こうした企画が実現する背景を佐野氏は「BEAMSのファッションを好む若い人たちにとって、身近な衣食住を通じて世の中の問題を考えることは、今や自然なライフスタイルであり、BEAMS JAPANが事業を通じて行っている幅広い社会課題解決に共感してくれているのではないか」と分析する。(佐野氏)。「たがやすBEAMS JAPAN」開催期間中、開催3店舗への来店者は延べ5万人。

すべてのコラボ、取り組みに共通する想い

コラボ企画の紹介を終え、佐野氏が語ったのは、すべてのコラボや取り組みへの共通した想いだ。「もっとも大切にしているのは、日本を元気にしたい。あきらめたくない、という強い想いです。今の日本には明るい話題が少ないし、何より勢いが感じられません。けれども日本の文化は世界に通用するものである、と自信を持って言えますし、だからこそそれを発信してたくさんの人々に知ってもらいながら次の世代につなげ、彼らの誇りになれるようにしていきたい」(佐野氏)。

コラボの際に大切にしていることは、コラボ先とBEAMS JAPANで、目的とゴールを共有することだと語る。「コラボを持ち掛けていただいた際は、まず課題をしっかりヒヤリングし、なぜBEAMS JAPANと組みたいのかを明確にします。というのも、コラボ企画はひとりでやるものではなくチームでやるもの。だから最初に互いに納得いくまで話し合いを重ねて、目的やプロセスを共有してから企画をスタートします」(佐野氏)

とはいえ、スムーズに話が進まないことも当然あるという。「でも、決めたからには突き進むことが私の信条。持ち前の粘り強さで、しつこく交渉します(笑)。相手に納得してもらえなければ、先には進まないし、信頼関係も生まれませんから。今回ご紹介したコラボ企画は、クライアント様も一緒に楽しんでくれて、『ぜひまた佐野さんと一緒にやりたい』と言ってくださっているものです。信頼関係がしっかり構築でき、とことんやりきったからこそ、いただけた言葉だと思っています」。

そしてコラボの最終的な目標は、ただコラボを実現させるのではなく、「コラボに共感してくれた人、とくに若い世代がアクションを起こしてくれること」だと語る。だからこそ佐野氏はアクションによって、どのような効果が生まれたかを、さまざま指標をもとに冷静に分析している。

セミナー参加を終えて

セミナー終了後の佐野氏との交流の時間も大人気を博し、コラボへの興味を持つ方々や企業が多いことがうかがえた。佐野氏の「情熱、勢い、そして粘り強く突き進むことが私の武器です。興味を持っていただいた方、ぜひ一緒に熱く仕事をしましょう!」という熱いメッセージも印象的だ。

コラボレーションを進める上で、大きな視点を持ち、長期的に効果のあるイベントに昇華させる佐野氏のフィロソフィー。NESTBOWLもコラボレーションの可能性にさらに着目し、積極的にチャレンジしていきたいと改めて感じた、とても有意義なセミナーであった。

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