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自分の「好き」を明確に。─フリーランス セールス&PRの新井竜徳氏が、ファッション業界で活躍するまでの経緯を明かす。

自分の「好き」を明確に。─フリーランス セールス&PRの新井竜徳氏が、ファッション業界で活躍するまでの経緯を明かす。

販売職から本社勤務へのキャリアチェンジを成功させてブランドの第一線で活躍する方々に話を聞き、仕事への姿勢を学んでいく「本社の壁」企画。今回はフリーランスでPRとセールス、ファッション業界で幅広く活躍する新井竜徳(あらい たつのり)氏に話を聞く。ファッションとしての流行だけでなく、さまざまなコトが目まぐるしく変わっていく社会で、フリーとして生きていくために大切にしていることとは!?調理師から業界を変えながらも、自信を売り込むことを忘れずに攻め続けた新井氏の仕事術を紐解いていく。

新井竜徳さん/フリーランス セールス&PR
調理師専門学校卒業後、一度は調理師として働いていたがファッション業界への憧れと夢が捨てきれず、有名スタイリストに師事。約3年ほどアシスタントを経験した後、セレクトショップの販売員兼PRに転職。ショップでの経験と実績を評価され本社のセールス、PRとして採用される。現在はフリーランスのセールスとして独立。セールスだけでなくPRの経験も活かしブランディングや制作等様々な取り組みを行なっている。

調理師からファッション業界へ!販売から、よりブランドの核に携わるため本社に通い詰めた?!

― 新井さんの卒業後のキャリアについて教えていただけますか?

調理系の専門学校を卒業後、調理師として働いていたのですが、親からの影響もあり幼い頃から洋服が好きで夢が諦めきれず、当時尊敬していたスタイリストのアシスタントに応募しました。約3年ほど勤めたのですが諸々の事情で退社し、この先どうしようと彷徨っていた頃、ご縁があり10代から通い詰めていたDELUXEの旗艦店「BRIDGE」という店に、ショップスタッフ兼店舗PRとして働き始めました。そこで販売、PRとしてのノウハウを基礎から学び、ショップでの実績と姿勢が評価されブランドDELUXEのPR兼セールスとして本社勤務となりました。

― なぜご自身がPRとして抜擢されたと思いますか?

ショップスタッフ時代によく本社事務所に通っていたんです。休憩中や休日にも顔を出し、本社の方々と積極的にコミュニケーションをとっていましたね。それを続けたこともあり本社の方から認識していただきました。まぁ本当にブランドが好きだったんでしょうね(笑)。ただこの業界に入った時から販売だけでなく、よりブランドの核に携わりたいという思いは常にありました。だからこそ自分を売り込む行動と本社の方に認知して貰うことが最優先と考えていたので積極的にアプローチしていました。

― 販売から本社職になって苦労したことはありますか?

ショップのPRとして入社した際は直属の先輩がいなかったので、すべて自己流でやるしかなく、プレスリリース一つにしても、他ブランドでPRをしている友人やネットでリサーチをし正解が解らないまま資料作りに励んでましたね(笑)。 自分で動かない限りは、何も掴めない状況でした。ただ今となっては大切な時間であり勉強になったなと。更にはPRとして業務を務める傍ら、セールスの業務にも興味があったので、ディーラーが集まる年2回の展示会を見学させて欲しいと直談判したり、とにかく自分から動いていました。

趣味の活動が更に自分の幅を広げた。

― 自身を売り込むために意識してやっていたことはありますか?

ショップスタッフ時代に、営業担当からディ―ラーの情報を徹底的に聞き込みました。聞いて調べてを繰り返し、インプットすることを続けた結果、大手や地方のセレクトショップのバイヤーと繋がることができました。趣味で続けていたDJ活動でも、業界の先輩方や友人の幅の広がりが出来た気がします。どの業界もそうかもしれませんが、横の繋がりは勿論、縦の関係も大事だと認識しています。

― それは戦略的に行っていたんですか?

独立するタイミングでより自分の名前を広げるには社交場に居る事はマストな気がします。コロナ前は、レセプションやパーティーも多く、夜の場に限らず様々な場所にファッション、音楽、カルチャーの業界関係者の方々が居て出会うチャンスが沢山ありました。自ら挨拶しに行くのは勿論、紹介して頂いたら真摯につとめることを徹底的に。ブランドの看板を背負いながらも、一人の人間として自分の存在を知ってもらう事。フリーランスになれば過去の実績は通用しないと解っていたし、存在価値を高めることが重要だと気づくか気づかないかで大きな差が生まれるのかなと。戦略的というよりも「自分がどうなりたいか」を考えたら自然と行動に移していましたね。

ブランドの表舞台に出てこない裏方にこそ面白い人が多い。そういう人達こそ大切にしなければならない。

― そして現在はフリーランスとして活躍されていますが、フリーになった経緯は?またセールスの仕事について教えてください。

もともと独立志向が強い方でして(笑)。いざ自分が何を主として生活していけるのか考えた際に、得意なジャンルはセールスだなと。当時、フリーランスのセールスは少なかったのでタイミング的にも良かったですね。

アパレルは基本的に年2回のコレクションと展示会しか商品を見せられる場がなく、その限られた中でディーラー、消費者の方にアプローチをしなければならない競争率の高いジャンルです。セールスはその中でブランドの世界感や物作りの経緯をお伝えし、買い付けまでの流れを作る役目を担っています。

ただ自分の場合は、自信を持って紹介出来るブランドのみ取引をしているからこそ、そこに愛が生まれ、それに応えてくれるバイヤーとの信頼関係で成り立っていると信じています。ただ、駆け引きも嫌いじゃないのでせめぎあいも楽しんでます(笑)。様々なタイプのセールスが居ると思いますが、自分はブランド側の意志を尊重してブランディングに合った卸先を紹介する選択をとっています。

― ブランドからの信頼を得るためにしていることはありますか?

裏方の方々とのコミュニケーションを欠かしません。デザイナーやディレクターなどブランドの表舞台に出ている方はもちろんですが、生産や裏で支えてる方達こそコミュニケーションを取る様にしています。なぜなら物作りのスペシャリストの方がほとんどなので、ディテールなど細かい事を相談するにも話が早く、尚且つ面白い。彼らこそがブランドの核と云っても過言ではないと思っています。ファッション関係者って人を見た目で判断する方が多いような気もしますが、自分はパーソナルな部分を重視しています。

― 本社職やフリーランスとしての活動を目指している方にアドバイスをお願いします。

「自分は何が好きで、何をやりたいか」という部分を明確にしない限り本社には上がれないと思っています。何となくの流れで本社に上がった人は見たことがないですね。明確な目標があるからこそ、次のステージにもいける。

― 例えばやりたいことが見つからない方々に対してのアドバイスはありますか?

自分の「好き」を見つけること。そこさえ明確にすれば伴った行動になると思います。

撮影:Takuma Funaba

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