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「アイデアや課題を持った人の“こんな世界やモノがあったらいいな”を具現化する」 3rd inc.代表 川村匡慶氏

「アイデアや課題を持った人の“こんな世界やモノがあったらいいな”を具現化する」 3rd inc.代表 川村匡慶氏

近年ファッション業界でも注目を浴びるD2Cブランド。インフルエンサーやSNSなど最新のマーケティング手法を用いて、Web上でダイレクトに顧客に販売するビジネスモデルです。そんなD2Cブランドの立ち上げを積極的に行い、成功に導いているのが、3rd inc.です。そこで今回は、代表である川村さんに、3rd inc.の具体的な仕事内容、求める人材、コロナ後のファッション業界についてなど、たっぷりとお話を伺いました。

川村 匡慶さん
3rd inc. 代表取締役

2012年、24歳の時にD2C型ファッションブランドの立ち上げを共同創業者として経営に関わる。現在、2016年からD2Cブランドを立ち上げ、成功させる為のインキュベーション事業行う「3rd inc.」を設立。5ブランドを運営している。

―まずは簡単にお仕事の内容を教えてください。

「3rd inc」は、D2Cと言われるデジタルネイティブなブランドのインキュベーションをしている会社です。3rdのミッションはアイデアや課題を持った人の“こんな世界やモノがあったらいいな”という想いを、ブランドという形で具現化すること。具体的には、企画やアイディアを持っていてブランドをやりたいという人や企業と一緒に、チームを作ってブランドが成功するようにマネジメント全般を行います。

―具体的に例を挙げて教えていただけますか?

いま準備をしているものでしたら、特定の骨格スタイルに特化したアパレルブランドでしょうか。本当に自分に似合う服で悩んでいる方に対し、ロジックベースで“課題解決”するブランドです。著名なイメージコンサルタントのディレクションの元アパレルデザイナー、生産管理、Webマーケターなど各分野のプロフェッショナルが集まり、5〜8名ほどのチームで進めています。

―なるほど、「こんなことをしたい」という願いを持った人に必要な人を集めるわけですね

そうですね。あとは、3rd社内で出たアイディアを自社で立ち上げることもあります。

ほかには、「つくる技術はあるが、どういった売り方をするべきか課題がある」というメーカーさんと組む事もあります。
我々はあくまで自社で事業を行うプレイヤーであり、D2Cブランド運営の受託事業をしているわけではないので、相談されればなんでも受けるというわけではありません。ただ、我々がご一緒する事で、価値のあるブランドが出来ると思えば、立ち上げや運営に関する費用など必要に応じて投資して僕らもリスクを取っていきます。

―どういったことを判断基準に依頼を受けているのでしょうか?

ブランドのディレクターになる人の熱量やセンスであったり、企画自体が世の中の課題解決になっていたり、これまでにない視点かというのは重視しています。いまは5ブランド展開していて、年内までに10になる予定です。3rdの役割は、プロフェッショナルな人たち全員にしっかりと力を発揮してもらって、ブランドを成長させるところまでマネージメントすることなので、年末まで大忙しですね(笑)。

―いま3rdで働いている方々は、元々はどんなお仕事をされていたのでしょうか?

DX推進やウェブマーケティングのコンサルティングをしている会社でプロジェクトマネージャーとして活躍していた方や、ファッション系のECプラットフォームで、マーケティングやSNSの戦略を考えていた方、あとは、IT系上場企業で経営管理をしていた方などですね。いまはいわゆるアパレル出身の方はいない状態ですね。

―どんな方を求めているのでしょうか。

スキルやバックボーンが異なる方々を一つのゴールに向けて先導していく仕事なので、事業会社でのブランドマネジメント経験者、広告代理店や、コンサルティング業界、IT系のプロジェクトマネジメントをされていた方などが向いていると思います。適切なKPIを設定したり、必要なスキルを持ったメンバーのアサイン、事業計画を作れる、などの経営スキルも重要です。

―なるほど、マーケティング力が重要視されるんですね。

そうですね。ただ、マーケティングを請け負う広告代理店やコンサルティング会社は、納品したり、プロジェクトの完了を持って仕事は終了すると思いますが、3rdの場合は、ブランドは基本的には永続していくことを目的としているので、運用面もずっと管理し続けるということになります。そういう意味では負荷のかかる仕事なので、インセンティブとしてブランドの利益の一定の割合をベースの給料に加えて支給するようにしています。ブランドによってですが、担当しているメンバーは、ブランドのインセンティブだけでもベースの給与より稼いだりもするので、そういう意味では結果が評価として還元されやすい仕事ではあるのかなと思います。

―話は変わってしまうのですが、コロナ禍になって、ファッション界はどう変わっていくと思いますか?

UNIQLO、ZARA、LVMHグループなどのインフラ的規模で優れたプロダクトを生み続けていくような超大企業と、クリエイターやインフルエンサーが、自分の価値観に沿って生み出すスーパーニッチなブランドの2極化が進むと思います。

ぼくらは後者のスーパーニッチなブランドを生み出したり、持続的な成長のサポートをしていきたいと考えています。ひとつひとつのブランド自体は闇雲に規模拡大を目指さず、しっかりとした世界観を持ち続けながら、物流やオペレーションなど標準化し、ノウハウ横展開する事でシナジーを生んで行く。ぼくらが目指すのは、“スーパーニッチなD2CのLVMH化”です。

―どんなブランドを手がけたいなど、こだわりはありますか?

誤解を恐れずに言うとプロダクトにこだわりはないんです。カルチャーを感じられるものや、誰かの課題解決になるもの、少数でも熱狂的なファンがいる物事であれば、どこにでもチャンスはあると思っています。

昔であれば店舗が必須で、それに伴い在庫もある程度用意しないとならず、ブランド立ち上げのコストは非常に高かったと思います。立ち上げた後も、成り立たせて継続していくことは一握りのブランドに限られていたと思います。
それに比べると、今はピンポイントでブランドを求めているお客様にアプローチする事が出来るし、ブランドを成り立たせる分岐点は下がっていると思います。

―話が戻ってしまうのですが、そもそもなぜこういった事業を起こそうと思ったのでしょうか?

個人的に「ブランド」という概念がすごく好きだったんです。エルメスでも、フェラーリでも、Supremeでも、熱狂的なファンがいて、常に需要が供給を上回っていて中古でも価値が下がっていなかったり…。これは物そのものだけではなく、ブランドとしての情報価値があるからこそ、起きている事だと思います。

単純に商品の原価や機能性以外の部分、文脈や感情で付加価値が作られている。これからの物販ビジネスは、プロダクト自体は手段に過ぎず、いかに人の気持ちを動かせたかという、エンタテイメント性も非常に重要になると思うのですが、僕らの会社でもそうした人の気持ちにフォーカスした仕事をしていきたいですね。
あとは、日本は今後人口が減ってしまうので、ひとり当たりが生み出せる生産性を高める事も重要だとも考えています。その為には、闇雲にコストパフォーマンスを追い求めるのではなく、少数でも熱狂的な支持を受ける高付加価値なブランドをどうやって作るのか、を考えていかなければいけない時代だと思っています。

―確かに、いまはインフルエンサーなどの影響力のある人が出てきているので、これまで以上に付加価値の重要性を感じます。

そうですよね。ぼくらの目指している一番大きいところでいうと、高付加価値を生み出せる環境を作っていくという事なんです。安くて良い物だけでなく、「高くても買う! 」と言う人に支えられて、少数を売るだけでも充分なお金が循環する様になれば、結果的に小規模でも持続可能なブランドが成立すると考えています。

―今後、ファッション界はどう動いていくと思いますか?

服というプロダクトの範囲を越えて、消費者との関係値を作っていく事が重要になると思います。

SNSの普及で、消費者の自己表現の手段が家具やアート、食事や働き方など、服以外のものにも拡がり、ライフスタイルのファッション化がより進んで行くでしょう。服自体に消費する額は前よりも下がったけど、100万円のアートが家にある、というような消費者も増えてきています。
服だけでなく、広義な意味でファッションをどう捉えて価値を作っていくかが、求められると思います。

―確かに、コロナ禍になって、家の充実度をあげたい人は増えていると思うので、インテリアにこだわると言う意味でも、アート作品を購入する人は増える気がします!

今後はより、適当に選べるものが少なくなると思います。自分が買うものに理由を持つことが当たり前になっているというか。
食べるものや、住む場所、通う場所など、あらゆる消費行動に、自己表現や意思表示が絡んできていますよね。
いま展開させていただいているものの中で、アパレルはもちろん、家具や雑貨、焼き物の伝統工芸などもあるんですが、どんな人達が、どんな場所で作っているのか、という商品の背景を伝える事が非常に大事になっていると感じます。

―地方の助け舟にもなりそうですね。

そうですね。それはあると思います。これまでは大きい流通にのせなければ届かないものだったのが、いまは、個性があって、それが消費者に届けば、地方発でも可能性はあると思います。例えば、今”伝統工芸×D2C”というテーマで長崎県の波佐見挟み焼きをサポートさせていただいています。

―わたし、波佐見焼きのマグを持ってますよ!上京するときに食器はほとんど置いてきたのに、それだけは唯一持ってきたんです。口触りが滑らかで、すごくお気に入りなんです。

プロダクト自体の完成度も当然良いのですが、波佐見町という土地に根ざした生産背景がしっかり機能している点も素晴らしいですよね。

他にも地方には、まだまだいいものが埋まっていると思うのですが、消費者に直接販売するD2Cはそういったストーリーや作り手の想いを伝える手段として最適なのでないかなと思います。

―素敵ですね!また話が戻ってしまうのですが、コロナになって、ほかの業界もそうですが、ファッション業界も流れががらりと変わったと思うんです。川村さんはもともと、こうなることは予想していましたか ?

一つの感染症がここまで短期間に世界を一変させてしまう事は、想像出来ませんでした。

ただ、コロナをきっかけに変化を求められている事の多くは、いずれ未来はこうなるだろうと言われていた事でもあるのかなと思います。もう少し長い時間をかけて変化するはずだった事柄が、コロナによって急速に早まったと感じています。
あらゆる手続きがデジタル化したり、オフィスに行かなくても仕事を進められるようになったり、EC化率が急伸したり。そういう意味では、悪い話ばかりではないとも思っています。気が滅入る話も多いですが。

―DXなど昔から言われていましたもんね。

そうですよね。

とはいえ、従来通りの方法でもビジネスが成り立っていたから、急いで変える必要性を感じてなかったと思うんです。でもコロナの影響を受け、これまでの方法を維持する事が出来なくなった為、今すぐに変わらなくてはならなくなった。だから、もともとその準備を進めていた企業は強いと思います。

―ありがとうございました。

外出自粛要請期間に内省する時間があったために、多くの企業や個人が、体勢を変えたり、新規事業を始めようと考えたと思います。そうした中で、経営のノウハウや気鋭のクリエーターとの繋がりを持ち、声を上げた人の手助けをしてくれる3rdはとても心強いと感じました。少しでも多くの、人の心を動かすような作り手が、3rdとタッグを組むことを願っています。

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3rd(サード)

3rd(サード)

3rd inc.は”こんな世界やモノがあったらいいな”という想いを、ブランドとして形にする事をミッションにしています。 ファッション、ライフスタイル、雑貨など多彩なジャンルのD2Cブランドを展開しています。