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世界の高級腕時計ファンを魅了する「Chrono24」ドイツCOOと日本代表が語る、成長の軌跡と今後の成長戦略とは?

世界の高級腕時計ファンを魅了する「Chrono24」ドイツCOOと日本代表が語る、成長の軌跡と今後の成長戦略とは?

世界最大級の高級腕時計専門マーケットプレイス「Chrono24(クロノ24)」。2003年の設立以降、本社のあるドイツ・カールスルーエのほかに、ベルリン、マイアミ、香港に拠点を展開し、めざましい成長を見せている。そして昨年、東京にも日本法人を設立し、日本市場での事業拡大に向けて大きく前進し始めた。他の追随を許さない、確固たるポジションを築き上げたChrono24の成長の背景にあったものとは何か。そして、日本市場における今後の展望とは――。Chrono24 COO(最高執行責任者)のスヴェン氏と、Chrono24 Japanを率いるアジア太平洋地域代表兼日本法人代表執行役の真木氏に話を伺った。

スヴェン・ヒンメルスバッハさん/Chrono24 最高執行責任者COO
経営管理を学んだ後、金融サービス企業に就職。カスタマーサービス代行会社を経たのち、Chrono24の前身である欧州の価格比較サイトPangora GmbHに転職。店舗サービス部門と事業展開部門の責任者を歴任する。その後、一旦会社から離れるも、再びChrono24に戻り、プロダクト部門の代表を経て、2016年に最高執行責任者に就任し現在に至る。趣味は料理、読書、自転車、スキー。

真木 可奈さん/Chrono24 Japan 合同会社/アジア太平洋地域代表 兼 日本法人代表執行役
学生時代にジュエリーや時計の修理等を扱う店舗でのアルバイトを通し、さまざまな時計や職人と出会い時計の世界に引き込まれる。大学卒業後、日系や外資系企業にて海外営業やマーケティング業務に携わり、2012年に渡豪。グローバルに展開するテクノロジー企業のアジア太平洋本部にて、主に日本市場での事業拡大に従事。独立を経て、2021年より現職に着任。

競合の少なさを追い風に、SEOの成功で好調にスタート

― スヴェンさんのこれまでのキャリアについて教えていただけますか。

スヴェン・ヒンメルスバッハさん(以下、敬称略):Chrono24へ入社する前は、ドイツ企業の間接部門や営業部門で働いていたのですが、妻の出産に伴って病院にいたところ、同じ状況でその病院にいた、のちのChrono24創業メンバーのひとりと知り合いになり、自然と会話するようになりました。そして、彼から「一緒に働かないか」と誘われたことがきっかけで、彼の会社で働き始めたのです。当時はまだChrono24という社名ではなく、その前身となる会社だった時代です。

― 偶然の出会いから一緒に働くようになったのですね!当時はどのような会社だったのでしょうか。

スヴェン:当時、会社が主軸としていた事業は価格比較サイトです。私が入社した頃は従業員が40名くらいの規模でした。Chrono24の根幹にある、オンラインマーケットプレイス事業のノウハウはこの時代に築いたものです。

― 高級腕時計に特化したビジネスを始めたきっかけは?

スヴェン:2010年にそのビジネスを売却し、新たに始めたのが、現在展開している高級腕時計専門のマーケットプレイス事業です。3人の創業者のうちのひとりで、現在Chrono24で代表取締役CEOを務めるティム・シュトラッケが、それまで培ってきたマーケットプレイスのノウハウを高級腕時計ジャンルで活かすことを思いついたのです。当時欧州では、高級腕時計を扱うマーケットプレイスは「ebay(イーベイ)」以外にはありませんでした。しかし、高級腕時計の市場自体は世界的に見ても非常に大きく、オンラインで展開する価値がある、つまりポテンシャルの高い市場だと捉えたのです。

― スヴェンさんは、Chrono24の事業開発の根幹を担ってこられました。これまでの成長の要因は何ですか?

スヴェン:初期段階での成長の要因としては大きく2点あります。1点目は競合が少なかったこと。2点目はSEOがうまくいったことです。その当時はまだ10名しかいない社員のうち4名がSEOを担当していました。それらの要因のおかげで、年間50~100%という高い成長率で歩むことができたと思います。

― 競合である「ebay」と差別化を図れたのは主にどんな点ですか。

スヴェン:「ebay」が扱う商品はジャンルが多岐にわたっており、高級腕時計に特化されていたわけではありません。一方、弊社は高級腕時計を専門に扱っているため、知識や商品数などにおいて圧倒的に抜きん出ていたのです。例えば、時計の商品数で比較すると「ebay」では2万点、弊社では30万点(当時)というレベルの差です。

偶然の出会いによりChrono24へジョインしたスヴェン氏。サービスの根幹を担うプロダクト開発や事業開発を担当してきた。

エスクローサービスの導入で、より信頼性の高いプラットフォームに

―Chrono24では、初期からグローバル展開をされています。海外拠点の立ち上げにも積極的ですが、その背景を教えてください。

スヴェン:弊社のプラットフォームでは当初から多言語に対応しています。ドイツ語をそのまま他の国の言語に翻訳したのですが、それはヨーロッパ各国の市場ではとてもうまくいき、成長に繋がりました。ただ、アメリカやアジア太平洋地域の市場においては、弊社が望んでいた成長には届きませんでした。そこでそれらの地域の市場おいては、それぞれに合ったやり方で展開することになったのです。もちろんそのためには多額の資金が必要となりましたが、2015年にアメリカの投資会社から大きな投資を受けたことで実現することができました。そして2016~2018年にかけて海外に拠点を展開していったのです。

― 海外拠点を設けたことで、どのような進展がありましたか?

スヴェン:その国の市場で何が求められているのかをより深く理解し、きめ細やかなカスタマーサポートや技術サポートなどを行えるようになりました。今後も、国ごとの文化や習慣の違いに着目しながらうまく適応していきたいと考えています。

― ほかに、大きな成長に繋がった取り組みがあれば教えてください。

スヴェン:2018年に、ビジネスモデルを大きく変革したことが挙げられます。それまでは時計を販売したい事業者が、手数料を払って商品広告をプラットフォームに掲載するクラシファイド広告形式だったのですが、2018年からはサイト上で発生した各売買取引ごとに手数料が発生するトランザクションモデルへと切り替えました。

また同時に、もうひとつの施策を導入したことも成長に大きく寄与したと思います。トランザクションモデルを採用するにあたり、ご購入者様がより安全に取引が行えるよう、エスクローサービスも導入したのです。このサービスは、ご購入者様から時計の代金を一旦Chrono24のエスクロー口座に送金いただき、時計がお手元に届くまでその口座で安全に保管する仕組みです。保管期間は時計の受取日から最大14日間で、到着した商品にご満足いただけた時点で初めて、弊社より販売業者に代金を受け渡すという流れとなっています。このサービス導入の結果、ご購入者様はより安全に時計を購入することが可能になり、サイトの信頼度は一段と上がりました。変革にはもちろんリスクもあったのですが、結果的には非常に大きな成長に繋がりました。

― 高額商品を取引する上で、信頼性や安全性は非常に大きな要素ですね。今後の展望と日本の市場に期待することを教えてください。

スヴェン:引き続き、ローカライゼーションを強化していきたいと考えています。日本市場は高級腕時計市場においてとても高いポテンシャルを持っていますが、お店での対面販売・購入が一般的で、マーケットプレイスに関してはヨーロッパに比べるとまだ未成熟です。より多くの日本のお客様にご利用いただけるよう、必要なことを市場ニーズから見出し、それに対応するサービスや施策を打ち出していきたいと考えています。

スヴェン氏は今回の来日で、日本の顧客を訪問をし、直接顧客の声をヒアリングしたという。高いポテンシャルを秘めている日本市場だからこそ期待も大きい。

“人間らしさ”を大切にしながら、ユーザーの購入体験の向上を目指す

― ここからは、日本代表の真木さんにお伺いします。Chrono24の日本市場をどのように捉えていますか?

真木 可奈さん(以下、敬称略):他国の市場との違いとしては、日本市場では販売事業者の持つ商品数がとても多いことが挙げられます。他国の場合は1販売事業者あたり100~数100点ですが、日本では500点は割と普通で、1,000~10,000点近くの商品を展開する事業者も多くいらっしゃいます。ただ、日本市場と海外市場を比較する際、存在するプラットフォーム数の違いも視野に入れながら考えなければなりません。海外では「amazon」「ebay」が一般的ですが、日本ではそのほかに、「楽天市場」、「yahoo」、「メルカリ」など国内特有のプラットフォームが数多くあります。そのため、日本でChrono24が成長していくためには、そういった多くのプラットフォームの中からお客様に選ばれる必要があります。

― 日本市場をさらに拡大していくためのカギは何でしょうか。

真木:大事なのは、お客様の購入体験の向上だと考えています。そのために、日本市場におけるニーズの収集、分析、ヨーロッパやアメリカ市場との違いについて理解を深めていきたいです。日本市場には潜在顧客がたくさんいますので、今後はプラットフォームをよりオプティマイズ(最適化)していけたらと思います。

海外では高級時計を購入する時に日常的に使われているChrono24。日本でも身近なサービスにするため、さまざまなローカライズ施策を考えているという。

― 具体的にはどんな施策、サービスをお考えですか。

真木:ヨーロッパやアメリカ、香港では既に導入している「クライアントアドバイザー」を、日本でも導入していこうと思っています。このサービスは高額商品をご購入されるお客様に対し、時計に関するさまざまな情報をご提供したり、ご要望の時計をお探ししたりというものです。お客様にとって、オンラインで腕時計を購入するという体験がもっと楽しく、充実したものになると考えています。

私たちはテクノロジーカンパニーですが、大切にしている理念の要素のひとつとして“ヒューマン”があります。“人間らしさ”を失わずに、この事業を進めていきたいです。

― Chrono24は独自のテクノロジーを導入したアプリも充実していますよね。ぜひアプリの活用法について教えてください。

真木:主な機能としては、自分の腕時計あるいは雑誌やSNSに載っている腕時計の画像にスマホをかざすだけで、瞬時にモデル名、リファレンスナンバー、相場価格などを知ることができる「ウォッチスキャナー」や、自分の持っている腕時計の相場価格や資産価値の変動を追っていける「ウォッチコレクション」などがあります。ちなみに、「ウォッチコレクション」上における日本のユーザーの平均所有本数は6.4本で、その平均合計金額は世界第2位でした。そんなデータからも日本にはコレクターや時計ファンが大勢いらっしゃることがうかがえます。今後はそういった方々はもちろん、より多くの方々にChrono24を楽しんでいただけるよう、プラットフォーム、アプリ両面での充実化を図っていきたいと考えています。

世界中から集結した50万本の時計からお気に入りが探せるChrono24の公式アプリでは、スマホをかざすだけで時計の詳細情報や出品状況がわかる「ウォッチスキャナー」、手持ちの時計を登録して市場価格の動向をチェックできる「ウォッチコレクション」など、時計に特化した各種機能を楽しめます。ご興味がある方は下記よりぜひダウンロードを。

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文:鈴木 里映
撮影:加藤千雅

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