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キャリアストーリー TAAKKデザイナー森川拓野氏

キャリアストーリー TAAKKデザイナー森川拓野氏

ビジネスとして世界へ、デザイナーを目指す若者に夢を与えるキャリアストーリー

―まず、キャリアのルーツについてお聞かせください。

子供の頃から、家庭環境を含め、もの作りの思想が身近な環境でした。高校卒業後は、文化服装学院に入学。僕の代は優秀だったので、同級生からの刺激を受ける環境の中で、強くデザイナーになりたいと思いました。卒業後、縁があってイッセイ ミヤケに入社し、30歳で独立して今に至ります。やはりイッセイ ミヤケで学べたことは大きいです。

―いろいろと苦労してきたと思いますが、どのように困難を乗り越えていましたか?

人に助けられているという大前提があって、すごく感謝しています。だからこそ、どうやって返せるかを考えつつ、コツコツ少しずつできることをやる。自分たちが一生懸命がんばって、感謝の気持ちを伝えていくということしかできないです。言葉として軽く捉えられがちですが、いいものを作り続けることが、基本的に僕たちの仕事です。みんなが協力してくれることに対して、本当に感謝しているし、自分たちが成長しているのを感じます。

―毎日の努力の積み重ねで賞を受賞したり、周りからの評価に繋がっていると思います。制作意欲という点でのインプットはどこから得ていますか?

僕たちはアーティストではなく、プロダクトを作るデザイナーなので、デザイナーとして日々生きていることがインプットになっています。最大のインプットはひたすら作品を発表し続けること。ものを作る時には調べなきゃいけないし、勉強しなきゃいけないので。

―学生時代、イッセイ ミヤケにいた頃、今と仕事の楽しさは変わってきていますか?

今が一番楽しいです。イッセイ ミヤケの時は仕事のやり方もわからない中、仕事を盗みながらやっていく苦しさもあって、もがいていました。その頃は嫌でしたけど、今となっては面白かったと思えるようになりました。独立した時は、ただただしんどかったです。悔しい日々が続いていました。今も不平不満を持ち合わせているから、次へと向かうことができるので、悔しさは必要だと思います。

―クリエーション、ビジネス、数字はそれぞれ反対にあるので、両立することは難しいのでは? 

デザイナーがビジネスを考えずにものを作っていたら、それはデザイナーという職業としてはダメ。僕の場合はクリエーションをもっと掘り下げて、ものを見て、ちゃんと伝えることで、どのようにビジネスに繋げていくかというコアな部分を意識しないといけないと考えています。

―森川さんはすでに世界にも進出していますが、世界的に見て、日本のものづくりに対して思うことは?

日本のものづくりに助けられています。日本語を使って、感情がちゃんと伝わって、電話一本で時差もなくコミュニケーションが取れる。僕らは伝統工芸を作っているわけではないので、技術がいいからいいものができるということではありません。生産背景ができている中に、デザイナーとしての考えを持ち込んで、角度の違う見せ方ができるから、日本の工場がいいのです。

―最近の日本のファッション業界は元気がないですね。工場なども生産が減っています。今後、事業を続けていくうえでの課題は何かありますか?

課題はいろいろとありますが、今、直面しているのは、コロナで卸先が納品をちょっと待ってくれとか、資金繰りが狂ってくること。僕たちは基本的に、機屋や縫製工場と直接取引しながら作っています。予測できないので、この大変な状況の対処が一番の課題です。

―若者がデザイナーを目指す、ブランドを立ち上げるということについて、成功している方がどうやっているのか、何をしているのかに興味を持っていると思います。

成功している・してない、どこの位置に立っているというのは自分では言えません。ただ同じことを繰り返している感じです。自分たちを助けてくれる人、服作りに携わってくれている人が、ブランドや会社に携わることで幸せになってもらえたら、少しは成功してきているのかなと感じます。

―いいインターンとは何でしょう? インターンは必要ですか?

すごく前向きに目的意識を持ってインターンをしながら学んで、生活して、この業界で伸びていきたいという気持ちを持っている人とは仕事がしたいです。先生に言われたから来たという人は続かないです。本気の人は自分で探してくると思っています。

―20代の若者に、これをやっておいたほうがいいとか、やらないほうがいいといったことがありましたらアドバイスをお願いします。

自分は、留学しておけばよかったと思います。今、海外に出る機会があって、支えてくれる人たちと直接コミュニケーションが取れないことが残念です。いいものだったとしても、言葉一つでチャンスが掴めないことがある。デザイナーとして自分の言葉でコミュニケーションが取れたら、パリコレの舞台にもっと大きなチャンスが眠っているのだと気がつきました。ショーのスタイリングチームはNYのスタッフですが、ファッション談義をしている時に「ダイレクトに話せたほうがいいから英語がんばって!」といつも言われています。だからこそ語学のサポートをしてくれるパートナーは、僕にとって大きい存在です。

―今後のビジョン、思い描いていることはありますか?

今は、生き残ること。いい形で、どうやって乗り越えていくのか。取引先のためにも、みんなと一緒に生き残ること、チームが残ることが大切。二人だけじゃ作れないから。今、色々と考えているので、楽しみにしていてほしいです。ポジティブに乗り切ろうと思っています。

―ありがとうございました。

ありがとうございました。

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Brand Information

TAAKK

TAAKK

ターク(TAAKK)は日本のメンズブランド。
ブランドのコンセプトは「形に、中身に、素材に、技術に、方法に、体験をなぞり新しい体験を重ねる。終わりのない探索をデザイン」。生地、素材の新しい表現方法を常に提案し続けている。