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「車との出会いで世界が広がることを伝えたい」ベントレー東京のマーケティングマネージャーが手掛ける、多岐にわたるPR活動

「車との出会いで世界が広がることを伝えたい」ベントレー東京のマーケティングマネージャーが手掛ける、多岐にわたるPR活動

1919年に設立され、イギリスを代表する高級自動車ブランド「ベントレー」。その正規販売店であるコーンズ・モータースは、1964年にベントレーの取り扱いを始め、来年の2024年で60周年を迎える。日本でも多くのファンを抱えている同ブランドだが、ラグジュアリーでゴージャス、というイメージを思い浮かべる人も多いだろう。もちろんそういった特別感はベントレーを象徴するものだが、それだけでは語り切れない魅力がある。今回は2023年4月22日にグランドオープンした「ベントレー東京 芝ショールーム」に伺い、マーケティングマネージャーの土田 裕之氏に、ベントレーのこれまで知られていなかった一面や、ブランドが目指している方向性について詳しく伺った。

土田 裕之さん/コーンズ・モータース株式会社 ベントレー東京 マーケティングマネージャー
1992年にコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドに入社。経理部に4年間在籍し、97年に自動車事業部の輸入事業部に異動。その後、2003年の青山ショールーム開設に伴い営業として配属されることに。2009年にブランドマネジメントチームを経て、2012年にコーンズ・モータースの設立に合わせてベントレーのマーケティングマネージャーに就任。

コーンズ・モータースの企業活動の根源は「車で楽しいを作る会社」

― 土田さんは現在、コーンズ・モータースの中でベントレーを担当されていらっしゃいますが、どのようなお仕事をされていらっしゃるのでしょうか。

まず、親会社のコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドについて簡単にご説明します。私たちの会社は、イギリス人であるフレデリック・コーンズが設立し、横浜で紡績、絹を輸出して、海外のものを輸入するといった、いわゆる貿易業からスタートし、いろいろな変革を経て総合商社になりました。損害保険や農業機械などの特殊機械から食品やテーブルウェア、そして子供服まで、範囲は多岐にわたります。

その中で1964年にロールス・ロイスとベントレー・カーズ社の輸入権と販売権を獲得してスタートしたのが、コーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドの自動車事業部でした。1976年には、フェラーリ社の日本総代理店としてフェラーリの正規輸入も開始しています。

2001年以降、各ブランドの日本法人が設立されたので、輸入権を返上し、インポーターからディーラーになったのです。その後、2012年に子会社化して、コーンズ・モータースとなり、販売に特化するようになりました。

― コーンズ・モータースはコーンズ・アンド・カンパニーグループの一企業となった訳ですが、具体的にはどういう事業活動を行っていますか?

車の販売は勿論ですが、長らく日本のベントレー市場開拓の一翼を担ってまいりましたので、ヴィンテージカーから最新モデルまで、国内最大規模のサービスセンターにて、多くのお客様のベントレーを整備しております。

今は車以外の商材やサービスに関しても非常に力を入れています。たとえば会員制ドライビングコースを作ったというのも大きな出来事でした。また、銀座にお客様専用のバーラウンジ「1861」を構えていたりしています。

お客様の車を活用するために高品質なツーリングを企画し、究極のものとしてはお客様の車をヨーロッパに運び、ご自分の車でポルトガルからスペインを旅して頂きました。約1週間弱の行程で、普段は入れないような施設にご案内して食事をしたり風光明媚な場所を巡るロングツーリングとなりました。

旅程の1シーン

― コーンズ・モータースとして、至上のブランド体験を生み出すうえで、つねに気にされていること、もしくは会社としてどのような流儀があるか教えていただけますか? 

「車で楽しいを作る会社」という方針がありますので、販売するだけではなくて、「この車を手に入れたら、こういった世界が待っていますよ」ということをいかに楽しく伝えるか、ということにも力を入れています。

― ちなみに、今まで至上のブランド体験を作られてきた中で、お客様からどんな反応が得られましたか?

例えばバーについては、定期的に希少なワインやシャンパンなどをテーマにしたコースをご用意しているので、「非常に面白い」とご好評をいただいています。定期的に開催している、「コーンズ・ドライビングアカデミー」では、サーキットや、ジムカーナのような様々なステージをご用意しているので、お客様も「“次は何が来るんだろう?”というワクワク感がある」と楽しみにされているようです。

コーンズ・モータースの会員制レストラン&バー「1861」

2023年8月オープン!ハイパーカーを心ゆくまで楽しめる、会員制ドライビングクラブ

― 御社のブランドエクスペリエンスの一つとして挙げられるのが、今年の8月にオープンした会員制ドライビングクラブ「THE MAGARIGAWA CLUB」だと思います。まず、これはどのようなコンセプトの施設なのか、お伺いできますか?

車の世界が急激に変わりつつある中で、われわれベントレーは2025年から毎年一車種ずつEV(電気自動車)を出していく予定で、2030年にガソリン車の製造を終えることになっています。その後は、全てのモデルをEVにすると宣言しています。

一方で、これまで販売してきた車たちに対する取り組みもあります。今やスポーツカーでなくても、700馬力、800馬力は普通になってきている時代。テクノロジーが進化して、ハイパーカーと呼ばれる車もあります。しかしそういった車は環境問題や騒音問題によって、どんどん走るステージがなくなりつつあります。

ではそういった高性能な車はどこで走るのか?というと、サーキットという選択肢が浮かびます。しかしサーキットというと、しゃかりきになって走る人向けのイメージがある。それならば、ラグジュアリーで楽しく、かつ走るステージもある施設を作ろう、と。そうして「THE MAGARIGAWA CLUB」が数年前に場所の開拓をするところから始まったのです。

数多くのF1のサーキットを手がけるティルケ氏が設計した全長3.5㎞のコースは、800mのストレートや、起伏にとんだ高低差が巧みに組み合わさったテクニカルなコースレイアウトになっており、タイムアタックするだけではなく、ゆったりとワインディングロードを走るような、多様なドライビングスタイルに対応しています。ただし競争はせず、あくまでもお客様ご自身のペースで走れるようにしています。さらに同行者の方も一緒に楽しめるように、プール、温泉、ジム、レストラン、ドッグランもあります。いわゆる一般的なサーキットのイメージとはまるで違いますね。完全プライベートのワインディングロードと、それを楽しんでいただけるラグジュアリーな空間が融合された複合施設といった感じでしょうか。

THE MAGARIGAWA CLUB全景
山頂に位置するインフィニティプール

― このような施設は、世界的に見てもめずらしいのでしょうか?

めずらしいですね。都心から遠い場所ならば、こういった施設はできると思いますが、。「THE MAGARIGAWA CLUB」は、都内から1時間半ほどの距離です。羽田空港からも近く、ヘリポートもありますので、自由な交通手段でお越し頂けます。また、ガレージサービスも完備していますので、車を弊社に預けておいて、身一つで現地で合流するという方法もとれます。

ブランドの本質は変えずに時代の変化にしなやかに対応していく

― 今までベントレーブランドは、経営者や上場企業の役員など、成熟した大人のブランドというイメージがあったのですが、お話を聞いていると、必ずしもそうではないようですね。

ベントレーは1919年に創業し、2019年に100周年を迎えました。創業当時からル・マンに出場したり、エンジンを設計したウォルター・オーウェン・ベントレーという創始者はメカニカルの天才肌で、レースで車を作っていく本田宗一郎氏のような感じの方でした。だからベントレーの源流は、スポーツなんです。

80、90年代は日本におけるバブルによって台数が急激に伸び、その頃はやはりクラシカルなイメージで、重厚で、レザーととウッドといったイメージだったと思います。でも2001年にフォルクスワーゲン・グループに傘下に入り、旧体制から一気にモダナイズされていきました。その第一弾がコンチネンタルGTというモデルなのですが、当時は他に類を見ない、美しいデザインと圧倒的なパフォーマンスで、以後のモダンベントレーを牽引してくエポックメイキングなモデルとして存在感を放ってました。

コンチネンタルGTがデビューしたのは2004年。フォルクスワーゲンの傘下に入ったので、エンジンやシャシーはグループ内の最先端の技術を採用しつつ、目に見える部分に関しては、ベントレーの強み、つまり高品質な素材を使いハンドメイドで内装を誂えていくというまるで連合艦隊のようなモデルとなりました。。加えて、販売当初からトラブルフリーというのも印象的でした。そして従来のモデルとの大きな違いとして、3年間のメンテナンスフリーも付いている。これはメーカーの品質への自信が現れている、といえますよね。このモデルからブランドは確実に変わりました。

そして2016年にSUV(スポーツ向け多用途車)のベンテイガがデビューしますが、当初から大きな反響を呼び、現在でもベストセラーになり続けています。SUVというスタイルゆえに、門戸が広がり、他ブランドからくるお客様が一気に増えました。このようにして、ベントレーは多様なニーズに対応しつつ、ユーザー層の若返りに繋がっているのです。

今後のプランとしては、長年ベントレーを支えてくださっているロイヤルカスタマーに関しては、従来のイメージに則した最高級のモデルをご用意し、ヤングジェネレーションの方々には、スポーツバージョンや、SUVを中心としたモデルの拡張を進めます。

歴代のコンチネンタルGT
左:ベンテイガ S ハイブリッド / 右:ベンテイガ アズール

― これからどんなプロダクトに注力されていかれますか?

若い方はやはりハイブリッドやハイテクに興味があると思うので、私たちもモデルを拡充していく必要があります。来年以降には新しいハイブリッドが出たり、スポーツモデルも出る可能性があります。

見せ方に関しても、PR側の意識が変わってきています。広報写真の色も以前はモノトーンのイメージでしたが、今はすごくカラフルになっています。これまでのブランドイメージを、いい意味で壊すことに挑戦しているというのが、今のベントレーの大きな特徴です。

― 今後の展望について、教えていただけますか?

ベントレーは嗜好品ゆえに、車を楽しんでいただくことが大切だと思うので、ショールームで様々なサンプルを見ながらお客様と誂えていく、というこれまでのオーダーメイドも充実させていきながら、ショールーム以外の場所でも、「ベントレーにもっと身近に触れる」機会を設けて、ベントレー体験をしていただく場を提供していきたいと思っています。

そうした企画の1つとして、8月21日(月)~ 9月19日(火)までの期間限定でポップアップショールームを表参道で開催します。そこでは、誂えに拘った「マリナー」仕様の、コンチネンタル GTCを展示いたします。いろいろなオーダーメイドのサンプルを置いて、「実はこんなことができますよ」といった体験を皆さんにPRしますので、楽しみにしていただきたいです。

会場となる「ヴァルカナイズ・ロンドン @ザ・プレイハウス」

文:キャベトンコ

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