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「これからの時代に求められる、デジタルを絡めたビジネスマインド」ASTON CARTER北川加奈さんインタビュー

「これからの時代に求められる、デジタルを絡めたビジネスマインド」ASTON CARTER北川加奈さんインタビュー

Allegis Group Japan ASTON CARTERのプリンシパルコンサルタント、北川加奈さんにインタビュー。コロナ禍による転職マーケットへの影響からこれからの時代に求められるエグゼクティブのスキルセット、企業と人材を繋ぐリクルーターとの付き合い方、自身の社会貢献活動についてお話を伺いました。

北川加奈さん
Allegis Group Japan ASTON CARTER プリンシパルコンサルタント
静岡県浜松市出身。大学卒業後イギリスへ留学。帰国後は地元静岡にて塾講師として勤務。2008年にウォールストリートアソシエイツ(現エンワールド)入社の為上京。2017年12月、現職Allegis Group Japanへ入社。ASTON CARTER プリンシパルコンサルタントとして就業中。

企業と人材を繋ぐ、リクルーターとは

−北川さんが勤めている会社について教えてください。

私は2017年からAllegis Group Japan ASTON CARTER事業部に勤めています。本社はアメリカで、上場していない人材会社としては世界最大です。主にIT業界への人材紹介、派遣事業をメインとしています。

−専門は何ですか?

外資のラグジュアリーブランドを主に、セールスでは店舗運営やGeneral Manager、マーケティングではPRやCRM、VMD、Merchandising(バックオフィス以外)の領域を担当しています。

−年収帯について教えてください。

今の会社に入社してからは、データベースを一から作り上げる必要があり、ある程度フォーカスしないと売上には結びつかないので、年収1,000万円以上の4,000万円弱でサーチを行っています。

−この業界に入られたきっかけは?

2008年2月にウォールストリートアソシエイツに入社しました。当時ウォールストリートは年収800万円以上のサポートをターゲットとしていましたが、実際にはそれ以下の年収の若手から多くの登録をいただいていました。しかしその方々へのサービスが全然行き渡っていなかったんです。その課題を解決するため新しいチームが立ち上がり、まずはここに配属されました。その後2009年頃よりセールスマーケティングやファッションコスメ業界を専門として担当することになりました。

−ヘッドハンターとしての実績について教えてください。

2008年から12年半ヘッドハンティングに従事しています。具体的な例でいえば、毎年有名ブランドの部長級を成約させています。対応している年齢は幅広く、最近では61歳の方を担当しました。

コロナ禍による転職マーケットへのインパクト

−コロナ禍の影響による変化を教えてください。

コロナ以前では外資においてMerchandisingを任せられる人材は常に取り合いでしたが、彼らの仕事の醍醐味であった海外出張がなくなったこともあり、コロナ後には一切の求人案件がなくなりました。また、リテールマネージャーに関しても同じくです。
売り上げの減少により増員はできなくなり、転職を希望する方がいないのでポジションが空かないという理由があります。
組織のスリム化を行うブランドも多く、求人を減らすことはあっても増えることはないですね。

−逆に増えたポジションはありますか?

コロナになって需要が一気に増えたのは、EC部門を管理できる人材です。ブランド側の採用意欲は高く、リテールに匹敵する売り上げをECでも取れる体制にしていきたいという明確なオファーがあります。

−エージェントに対する影響は感じますか?

エージェントフィーを削りたいというブランドは増えており、ポジションによってエージェントを使わないブランドも出てきています。求人依頼の数でいうと、これまでの1/3以下です。

−北川さんはリーマンショックも経験されていると思いますが、比べてみて違いはありますか?

リーマンショックでは半年後くらいから回復傾向が少しずつ見られたんです。しかし今は本当にどうなるのかわからない。回復の見通しは立たず、ブランド側の動きもスローです。

これからの時代にエグゼクティブが求められるスキルセット

−これからエグゼクティブに求められていくスキルは何ですか?

どのポジションであっても、デジタルやEコマースを含めた形でビジネスを考えられることが必要です。ある程度デジタルに精通している方でないと、正直これからは生き残っていけないでしょう。
ラグジュアリー業界にありがちなのですが、デジタルに注力すると言いつつも、結局は実店舗ありきだという思考が根深いです。しかし今回のような事態に陥り、デジタルの利用を前提としてビジネスを伸ばしていけるのかは最重要事項になりました。

−北川さんの経験から考える必要なスキルについても教えてください。

決断力の速さです。ビジネスはタイミングであり、迅速に意思決定できれば、コロナがあってももう少し違ったのでは? というケースが目につきます。とくにエグゼクティブにとっては需要なポイントです。

−年収の交渉におけるテクニックやアドバイスできることがあれば教えてください。

候補者が持つ付加価値で年収は変わります。デジタル系のスキルを持つ方の年収は他の方々と比べ年収の上がる割合が高くなります。また、面接の中でどう売り込むかについて、ご自身の経験や実績をストーリー仕立てで語れるかどうか、そのアピール次第で年収は変わります。
基本的なことですが自分のいまの年収について把握していることも重要で、ボーナス等いつどれ位の割合で支給されているかなどの明確な理解が必要です。

−ヘッドハンターとの上手い付き合い方や優秀なヘッドハンターの見極め方を教えてください。

私自身、常に心がけているのは「コミュニケーションをしっかりとる」ことです。面談の際には「面接ではないので私の前ではすべてお話しください」と伝えます。
私が専門とするセールスマーケティングポジションでは、スキルセットだけでなく、人柄がとても重要です。プライベートについて突っ込んだりすることもありますね。リクルーターの余裕の有無がわかりますし、そういうざっくばらんな話ができるかどうかを、ヘッドハンター選びの基準にしてもいいかもしれません。

−コロナ後のマーケット予測についてどう考えますか。

まだまだ厳しいとは思いますが、来年からは良い兆しが戻ってくるのではと期待はしています。現在もラグジュアリーブランドの全てが落ち込んでいるわけではなく、伸びているブランドも出始めています。
デジタル・Eコマースの重要性は増していますが、お店に行くことでしか得られないカスタマーエクスペリエンスを求めている方も多いです。どちらも大事ですね。

ファッション・コスメ業界の方々に育てていただいた恩返しを

−リクルーターとして日々忙しくされている北川さん自身の週末の過ごし方は?

愛犬と過ごしています。名前はディズニーのアラジンに出てくる3つの願いを叶えるランプの魔人「ジーニー」から付けました。実はジーニーと暮らす前は別の犬と生活していましたが、一緒に住んで3か月目に車にはねられて亡くなりました。もう犬は飼わないと思いましたが運命的に出会い、“とにかく元気に育ってくれさえすればいい”との想いからジーニーと名付けました。しかし実際は仕事が大変な時など心の部分で支えてくれています。
また毎日エクササイズをし、ワインを楽しんでいます。
クライアント、候補者との関係性構築においてはこのような週末の過ごし方や共通の趣味などで盛り上がるのも重要ですね。

−北川さんは、リクルーターの前は塾講師をされていたとか。

地元浜松市で10年近く塾講師をしていました。その後、ご縁があり上京しリクルーターという仕事に就き今に至りますが、教育を通して社会に貢献したい思いはずっと持ち続けています。
私を社会人として育んでくれたのはファッションやコスメ業界の方々です。恩返しの一つとして、学生たちに私なりに伝えられることがあるのではと感じていました。そのとき出会ったのが、元ケリングアイウェアのセールスヘッドである金沢政浩さんです。彼がグローバル人材を教育する目的で立ち上げた新規事業「GG Japan Inc.」に参画しています。

−具体的にはどういったことをされていますか?

講師として8月プレセッションに参加し、2021年には講義を予定しています。私自身、学生時代に感じていたことなのですが、早い段階で「社会とは何なのか」「転職のノウハウ」など大学では知り得ない事柄について話したいと思っています。 また、先日いただいた学生からのフィードバックの中に「女性なのに活躍されていることに感動した」というものがありました。私は現職の東京オフィスの代表としてWomen’s In Leadershipのグローバルミーティングに参加し、社内でも定期的にセッションを行っています。毎回多くの学びがありますので、リクルーターとしてだけでなく女性の立場からも話ができたらと思っています。

企業と人材を繋ぐリクルーターとして、多くの関係を紡いできた北川さん。自身のキャリアスタートである教育分野にて、今だからこそ伝えられることを、と社会貢献の一環として活動されている新しいチャレンジは、まさにコロナ禍による若い人材が抱える社会への不安を払拭していくもの。さらに今回のインタビューでは、これからファッション業界で求められる人材について重要なポイントが語られています。ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

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