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福岡でもやれることを証明したい。「APPLE BUTTER STORE」店主が大事にする人やブランドとの繋がりとは

福岡でもやれることを証明したい。「APPLE BUTTER STORE」店主が大事にする人やブランドとの繋がりとは

福岡の中心地・天神でストリートブランドを中心に扱うセレクトショップ「APPLE BUTTER STORE」。福岡生まれ福岡育ちの店主・和泉慎也さんがセレクトした国内外の気鋭ブランドが数多く並び、福岡県外からファンが訪れる。古着バイヤーの経歴も持つ和泉さんだが、店で扱うブランドの選定理由は「自分の感覚でカッコいいと思うかどうか」と単純明快だ。国内ブランドだけでなく海外ブランドとのコラボレーションやポップアップ企画も多数仕掛けている和泉さんに、福岡で店を出すことのこだわりや、ブランドとコラボする際のポリシーを聞いた。

和泉 慎也さん/株式会社APPLE BUTTER代表
1981年生まれ、福岡県出身。19歳からアパレル業界に入り、福岡を中心に展開していた古着店で接客や店長職、古着買い付けに関わった。その後も卸売業などに従事し、2013年に31歳で独立。セレクトショップ「APPLE BUTTER STORE」をオープンした。さまざまなブランドやアーティストのコラボを積極的に仕掛けながら、福岡から世界に向けてファッションの魅力を発信する。昨年10周年を迎え、4月には「FARAH®︎」とのコラボレーション、また4月後半には「atmos」と「Reebok」とのトリプルコラボスニーカーを発売予定。
Instagram:@apple_butter_store

「自分がカッコいいと思うもの」だけをセレクト

― 「APPLE BUTTER STORE」のコンセプトを教えてください。

特に凝ったコンセプトはなく、自分の感覚でカッコいいと思ったストリート系ブランドを中心に国内外問わずセレクトしています。国内のブランドでは「BoTT」や「NOROLL」、「COMFORTABLE REASON」、「ALWAYTH」、「Diaspora skateboards」を取り扱っています。海外ブランドではカナダの「DIME」やオーストラリアの「ButterGoods」、ドイツの「Civilist」、タイの「Blue Boyz Sports Club」などをセレクトしています。他にも不定期ですが、オリジナルの商品も作っているんです。

―店名の由来は何でしょうか。

アパレル業界で働き始めた当時の上司に「お前は口だけはうまいな」と言われていたんです。当時は笑ってごまかしていたのですが、独立してお店を出すときにふと、そういう口が上手い人のことを英語で何ていうのか調べてみたんです。そうしたら「Apple Butter」ということがわかって。なんだかしっくりきてそのまま店名にしてしまいました(笑)。最初はスイーツ店だと思われたりしていたのですが、なんだかんだハマっていると思います。

海外ブランドともSNSきっかけで繋がっていく

― 取り扱うブランドについてはどのようにリサーチしていますか。

インスタグラムでブランドの情報をキャッチすることもありますし、海外の友達が「俺の友達がブランドやってるから紹介するよ」と話が来たりしてブランドの取り扱いやコラボレーションが実現したこともあります。「TALL CAN BOYZ」というブランドはどうしても自分の店で取り扱いしたくて、DMでコンタクトを取って実際にロサンゼルスまで会いに行きました。DMでやり取りする中で「L.AのSupremeまで来てくれ」と言われて行ってみたら「Supreme」のクルーがデザイナーで。その人に直接交渉して取り扱いがスタートしました。繋がった後は、会いに行って直接話して信用してもらうのが自分のポリシーです。

― 海外でも積極的にポップアップを開催していますね。

最近は、タイで初の海外ポップアップを展開しました。ブランド側からのメールでの問い合わせがきっかけで取り扱いがスタートした「Blue Boyz Sports Club」のデザイナー・ポールとは、今でも友人なのですが、タイで何か一緒にやりたいと漠然と思っていたんです。相手側にもメリットがあればいいなと思い、タイの原宿的なエリアでポップアップを開催しました。ポールに憧れている若い男の子たちが来て、現地の若者からしたら高額な5,000円のTシャツを買ってくれたり。タイの方々にも知ってもらう良い機会になりました。

チェンマイでのPOPUP
バンコクでのPOPUP

― 海外ブランドとSNSをきっかけに繋がることも多いんですね。SNSはオープン当初から力を入れているのでしょうか。

インスタはオープン当時から続けています。当時はアパレルブランドでもインスタを運用しているところは少なかったのですが、東京や大阪など大都市圏とは違う福岡でお店を出すことでSNSには力を入れようと考えていました。オープン当初はお店も暇だったので、どうせならECサイトもやろうとすべてひとりで運用していました。

― お店が理想に少しずつ近づいていくきっかけは何でしたか?

一番はスタッフの成長です。そして、スモールブランドの頃から取り扱っているブランドがどんどん大きくなっていって認知度も上がったことで、「APPLE BUTTER STORE」も同じように成長していった部分があると思います。

福岡からでも世界に出られることを証明したい

― 様々なブランドと積極的にコラボしていますが、どのような経緯で実現するのでしょうか。

最近コラボした「BoTT」に関しては、デザイナーのTEITOさんが前身ブランドを立ち上げた当初からお付き合いがあって、当時のブランドで2018年にポップアップを企画したんです。当時は電話で話す程度の仲だったのですが「福岡でポップアップしましょう」の一言で実現したんです。TEITOさんとの出会いも取り扱いの問い合わせがきっかけでした。ポップアップやコラボもそういう問い合わせをきっかけに実現することが多いですね。

― ポップアップの反響はいかがでしょうか。

すごく良い反響をいただいています。福岡に東京ブランドのデザイナーが来たり、ポップアップでコラボしてオリジナル商品を販売するお店は福岡にはなかなかないですから。

地元の福岡で店を出したのは「福岡でもやれる」ということを見せたかったからですし、福岡で店をやって世界にも出ていけるぞと証明したい気持ちは今でもずっとあるので、こういった反響は嬉しいです。

福岡でのPOPUP

心と心で通じ合える人とコラボレーションしていきたい

コラボ先の選定に基準はありますか。

ブランドのデザイナー自身がカッコいいかどうか、ちゃんとブレずに何かを続けているバックボーンがある人、そして何よりも知り合いじゃないと一緒にできないと思っています。やっぱり「人と人」なので、心が通じ合える人とビジネスがしたいという想いがあります。自分のことをしっかり知ってくれている人たちと一緒にしたいですね。

― 今まで実施したコラボで印象的な事例はありますか。

尊敬している方々としかコラボはしないので、全部思い入れが強いです。ただ、その中でも昨年の10周年という節目で大好きなブランドや憧れている先輩たちとコラボができたのは10年間やってきて良かったなと感じています。特に東京は池の上にある「MINNANO」のゴローさんや「ALWAYTH」のデザイナーさんには周年のアイテムだけではなくオリジナルのデザインやコラボをしてもらったりと本当にお世話になっていますし大好きな方達です。

10周年記念のTシャツを製作したときは信頼している方々とのコラボだったので、デザインなどは先輩方にお任せしてしまいました。通常のポップアップ限定商品のときも、基本的に大きなデザインの要望はありません。好きなブランドとの協業は自分自身のテンションが上がりますし、福岡のお客さんも喜んでくれるので、これからも積極的にやっていきたいです。

コラボやポップアップで得られるものはありますか。

ブランドや関係者の方々とさらに深い仲になれることに尽きます。「次はあれをやろう、これやろう」「次はあの人も含めて一緒にやりたい」とか。ポップアップが終わった日の打ち上げでそういう話をしたりもします。ビジネスなので売上ももちろん大事ですが、それ以上に人やブランド、企業の人たちと深い関係になれることがすごく大きいですし、売り上げよりもそのような関係になれることが一番価値がある事だと思います。

今後の展望を教えてください

いつかはアメリカでポップアップをすることをずっと思い描いています。あと、今年は福岡で新しいお店も出したいですね。7月くらいまではいろいろとコラボやポップアップの企画が決まっているのですが、それ以降は少し休んで新店の準備に入りたいと考えています。長期的な展望としては、お店がしっかり続いていければいいなと。5年後には店をもっと増やせていければと思っています。

― 直近でのコラボ情報など教えていただけますか。

実は4月に二件のコラボがあります。一つは「FARAH®️」というブランドとのコラボです。APPLE BUTTER STOREでは取り扱いが無いブランドで、お店とブランドが交わることで起こる化学反応がとても楽しみなコラボです。そしてもう一つは「APPLE BUTTER STORE×atmos×Reebok」トリプルネームのスニーカーが発売予定です。スニーカーの商品企画はずっと昔からやってみたかったことでしたし、自分が大好きなブランドなので本当に幸運でした。

自分の中でどうしてもカタチにしたいデザインがあって今回のコラボが実現していきました。「atmos」と「Reebok」側には本当に自由にさせていただきました。「Reebok」のロゴマークをあえて消したかったのですが、それすらもOKいただきまして…良いものが完成しそうなので、楽しみにしていてください!

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