企業の7割が、新卒の初任給を引き上げ。ファストリ新入社員の年収は500万円強に! NEW
株式会社帝国データバンクは、企業に対し「新卒社員の初任給」についてのアンケートを実施(アンケート期間は2025年2月7日~12日、有効回答企業数は1,519社)。本記事では、その調査結果を要約してご紹介する。
初任給の平均引き上げ額は9,114円
2025年4月入社の新卒社員に支給する初任給(※1)について、前年度から引き上げるかどうかを回答した企業のうち、「引き上げる」企業の割合は、71%に達しました。引き上げ額の平均は全体で9,114円。引き上げの理由として、主に以下のようなコメントが上がっています。
・「物価上昇のなか、社員の生活のために初任給を引き上げる」(中小企業、情報サービス)
・「最低賃金の上昇に合わせて引き上げている」(小規模企業、農・林・水産)
・「応募が来ないため引き上げるが、固定費が上がるのは中小企業にとってかなり死活問題」(小規模企業、建材・家具、窯業・土石製品製造)
・「初任給の引き上げにともない、既存の若手社員との逆転現象が起こらないよう給与の引き上げを行う」(大企業、飲食料品・飼料製造)
・「物価高による既存社員の生活への影響を考慮して全体の賃上げも行う」(中小企業、情報サービス)
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初任給の引き上げを契機に、既存社員の賃上げを行う予定または今後の課題としてあげた企業も多数あったようです。一方で、「引き上げない」と回答した企業は29%。以下のようなコメントがあがっています。
・「物価が上昇中で利益が出ない状態のため、初任給引き上げの原資がない」(小規模企業、不動産)
・「前年度にすでに引き上げたため、今年度は行わない。その代わりに既存社員の賃上げを行い、新卒社員との差をつける」(中小企業、専門サービス)
※1 初任給は、HPや求人票に明示していたメインとなる学歴・職種の、2025年4月に新卒枠で採用する社員への月給を指す
初任給を引き上げる中小企業が増えている
「初任給を引き上げる」と回答した企業の割合を規模別にみると、「中小企業」は71.4%で、「大企業」(69.6%)よりも高くなっています。大企業を中心に加速する賃上げの流れについていくため、中小企業でも初任給を引き上げる動きが強まっているとみられます。
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2025年度の初任給の金額については、「20万~25万円未満」の企業の割合が62.1%で最も高い結果に。次いで「15万~20万円未満」が24.6%、「25万~30万円未満」が11.4%。大手企業で増えている「30万円以上」は1.7%と、前年度(0.2%)から上昇しています。
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ファストリも年収最大54%アップ! 新入社員初任給は33万円に
大手企業で増えている「30万円以上」。アパレル業界でまず思い出されるのがファーストリテイリングではないでしょうか。こちらは帝国データバンクのアンケート調査結果ではなく、ファーストリテイリンググループの発表によるものですが、合わせてご紹介します。
同グループは、グローバル水準での競争力と成長力を強化するため、2025年3月から日本の報酬を大幅に強化するとのこと。新しい報酬体系によると、新入社員の初任給は現行の30万円から33万円にアップするため、年収換算では約10%増の500万円強になります。また、入社1〜2年目で就任する新人店長は月収39万円から41万円にアップし、年収は約5%増の約730万円にそれぞれ増える予定です。
新入社員にとって、初任給引き上げは入社の決め手に大きく影響することもあるでしょう。給与は、仕事内容や企業カルチャーと共に重視すべきポイントです。就職活動の際は、自分の目指す企業や業界の給与動向にもぜひ注目してください。