誰もが安心して暮らせる社会を目指して。世界的たばこメーカーが地域社会と連携し、主導する社会活動 NEW

フィリップ モリス インターナショナル(PMI)では、社会活動に積極的に取り組んでいる。日本でPMI製品のマーケティングや販売促進活動を展開するフィリップ モリス ジャパン(PMJ)では特に、災害支援や農業支援など、日本国内で深刻化する社会課題の解決に向けた活動に前向きだ。また、たばこ会社としての責任から「煙のない社会」の実現に向けた実証実験、プロジェクトにも取り組んでいる。同社の社会活動の背景や取組みの目的、これまでの成果などについて、CSR活動を統括する児玉紗梨さんと、自治体と連携した喫煙マナー向上プロジェクトを担当する鶴岡斉さんに伺った。
児玉紗梨さん/フィリップ モリス ジャパン合同会社 エクスターナル アフェアーズ サステナビリティ&アライアンス推進 部長(写真:左)
在外公館、航空・IT業界を経て、2022年9月にフィリップ モリス ジャパンに入社。現在は、災害支援や持続可能な農業支援、地域社会との共生を柱とするPMJの社会貢献活動を統括し、社会課題解決のための持続可能なプラットフォームづくりに情熱を注ぐ。
鶴岡斉さん/フィリップ モリス ジャパン合同会社 環境開発部 部長(写真:右)
消費財業界で国内外の事業開発に従事。2020年よりフィリップ モリス ジャパンにて「煙のない社会」の実現を目指し、自治体や企業へ次世代型の喫煙環境整備を推進。渋谷では産官学民の多様なステークホルダーと連携し、新たな都市体験の創出を目指す。
「地域とともに」発展するため、3つの領域で社会活動を実践
― フィリップ モリス ジャパンが取組む社会活動についてご紹介いただけますでしょうか。
児玉紗梨さん(以下:児玉):私たちの社会活動は、「災害支援」「持続可能な農業支援」「地域社会との共生(まちづくり)」の3つを大きな柱としています。全国に約1,600名の従業員とその家族が暮らす企業として、いつどこで起こるか分からない災害から地域社会を守る「災害支援」は、当社にとって当然取組むべき領域のひとつです。
また、熊本地震や豪雨災害後の支援に関わらせていただく中で、いわゆる「真の復興」は農業に代表されるような地域の基幹産業が回復しないと難しいということを実感しました。海外でたばこ農園からたばこ葉を調達している背景もあり、日本の農業が抱える課題に向き合う「持続可能な農業」の実現は弊社にとっても極めて大切な課題と考えております。
さらに、たばこを扱う企業として、地域の方々と誰もが快適に共存できる環境を目指すまちづくり、地域共生にも取り組んでいます。これらはいずれも、日本社会の一員である私たちにとって「ジブンゴト」の課題なのです。
― そもそもなぜ御社では、これほど社会活動に注力されているのでしょうか。
児玉:私たちのグローバルな企業文化として、創業以来「コミュニティとともに」という理念が深く根づいています。世界約100の市場にて煙の出ない製品を展開している中で、従業員は常にその地域社会の一員であり、「健全なコミュニティなしでは私たちの生活もビジネスも成り立たない」と常に意識しているのです。
そして私たちの企業ビジョンの根底には、「リスクを完全にはなくせなくても、その害を低減させる(ハームリダクション)」という揺るぎない考え方があります。この理念を事業だけでなく、社会活動においても実践していくこと、それが今の時代の事業に求められる責任の果たし方ではないかと考えています。
― 災害支援に関しては東日本大震災がきっかけとなったと伺っています。現在は平時の支援を中心とされているんですね。
児玉:はい。東日本大震災では従業員がボランティアとして現地に入ったのですが、専門的なノウハウも行政とのパイプもなかったため、本当に必要なものを届けることの難しさを痛感しました。そこで、その時のもどかしさや課題意識から、平時から準備しておいて、災害発生時に迅速かつ的確に動ける仕組みが必要だと考え、現在の取組みに繋がっています。
また、近年では避難生活での過酷な環境が精神的・身体的な負担となり亡くなってしまう災害関連死が問題となっています。平時から備えておくことで救える命があるという思いから、災害関連死をゼロにすることを目指し、2025年9月に特定非営利活動法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)と共同で、民間主体の避難生活に特化した支援ネットワーク「EDAN(Essential Disaster Assistance Network)」を設立しました。

― 「EDAN」ではどのような支援を行っているのですか。
児玉:私たちは、避難生活における「人間の尊厳」を守るための最低限のインフラとして、「TKB」、すなわちトイレ、キッチン、ベッドの支援に注力しています。簡易トイレやキッチンカー、段ボールベッドなどを平時から備蓄し、災害時に迅速に避難所に届ける仕組みを整えています。
例えば、避難所ではトイレに行く回数を減らすために、食べない・飲まない方がいらっしゃいます。特に介助を必要とする高齢者や障がいのある方に多く見られるのですが、そうした方にこそ清潔な簡易トイレは役立ちます。また、過酷な状況でも誰かと温かい食事を摂ることは心と体を癒し、コミュニティの孤立を防ぐ力があります。
さらに、避難所の硬く冷たい床で寝ることでエコノミークラス症候群になってしまうことや、泥が乾いて粉塵化したものを吸い込んで気管支を悪くしてしまうケースもあります。就寝場所に間仕切りを置いて最低限のプライバシーを守ることも、心身の回復につながります。これらは、単なる「モノ」ではなく、一つひとつが命を守り、人の尊厳を守るための重要な備えなのです。
― 「EDAN」立ち上げの背景についてお聞かせいただけますか。
児玉:私たちはこれまでの支援活動を通じて、行政、NPO、企業では、物事の進め方が違うことを実感してきました。お互いに想いはあっても、その違いが壁となり、連携がうまくいかないこともあります。EDANは、その間を繋ぐ「通訳」のような役割も果たします。
行政機関は公的な情報集約を、NPOの皆さんは現場での専門知識を、我々のような民間企業は資金やネットワークといったリソースを提供することで、これまで手が届かなかった課題を迅速に解決できる、新しい官民連携のモデルを確立できればと考えて立ち上げに至りました。

自治体や一般社団法人と連携しながら喫煙マナーの向上に寄与
― 加熱式たばこ専用の喫煙場所を自治体に提供するプロジェクトは、どのようなきっかけで始まり、どのような成果が得られたのでしょうか。
鶴岡斉さん(以下:鶴岡):この取組みは、東京都港区が田町駅西口1階をパーティション型からコンテナ型喫煙場所に転換した際に、2階(ペデストリアンデッキ上)の喫煙環境を改善したいとの相談を受け、加熱式たばこ専用喫煙場所への転換を提案したことがきっかけでした。
以前、JR田町駅西口には紙巻たばこも吸える一般的な喫煙場所がありましたが、毎朝の始業時間に合わせて「煙が漏れている」「喫煙者が喫煙場所からはみ出している」といった苦情が区の環境課に多数寄せられていたそうです。
加熱式たばこ専用の喫煙場所に転換した後は、そうした苦情は少なくなったと伺っています。さらに実施したアンケートでは、非喫煙者や通行人を含む回答者の7割以上が「この環境に満足している」と回答しており、非常に良い反応を得られました。

― 素晴らしいですね。渋谷駅前の中心街で実施している、路上喫煙ゼロ/ポイ捨てゼロを目指すプロジェクト「ACTION for 0 (ゼロ)」についても教えていただけますか。
鶴岡:渋谷駅前の中心街では路上飲酒、路上喫煙、ポイ捨てといった都市課題が浮き彫りになっていました。そこで、産官学民連携で社会課題の解決策をもって都市の可能性をデザインする「一般社団法人 渋谷未来デザイン」さんとともにプロジェクトを立ち上げました。
まずは「誰が、いつ、どこで路上喫煙やポイ捨てをしているのか」を把握するため、定量調査を実施しました。道玄坂やセンター街では、わずか2時間で約800本もの吸い殻が回収され、そのうち約7割が紙巻たばこ、3割が加熱式たばこでした。
紙巻たばこは火を消す手段が限られているため、地面に捨てて踏み消すケースが多く、結果として「汚いゴミ」として放置されやすい傾向があります。加熱式たばこに比べてポイ捨てが起きやすいという特徴があるのです
また、路上喫煙者の属性を調べたところ、85%以上が日本人であることが分かりました。渋谷では「外国人観光客によるマナー違反」というイメージがありましたが、実際には日本人による行為が大半だったのです。
― それは驚きですね。このプロジェクトは今後どのように展開されるのでしょうか。
鶴岡:今後は、公共空間の美化や、来街者へのマナー啓発活動をさらに強化していく予定です。喫煙の課題を「ジブンゴト」として捉えてもらい、一人ひとりがマナーを意識することで、誰もが心地よく過ごせる渋谷の環境づくりを、ステークホルダーの皆様とともに目指します。
地域課題解決のパートナーとして「社会的共生」を目指す
― 地域課題解決のために、フィリップ モリス ジャパンが果たすべき役割とはどのようなものでしょうか。
鶴岡:取組みにあたっては「社会的共生」をキーワードにしています。20歳以上の喫煙者と非喫煙者、民間と行政が互いにリスペクトしあい、安全に、安心して生活できる社会を実現するため、自治体には喫煙者の受け皿作り、20歳以上の加熱式たばこのユーザーはマインドセットの転換が求められるのではないでしょうか。双方の架け橋になることが当社の役割だと思っています。
― 最後に、社会活動に関する今後の展望をお聞かせください。
児玉:冒頭にご説明した3つの領域と当社のビジネスの共通項に、「人の手によってポジティブなベクトルを作る」があります。私たちの企業ビジョンである「ハームリダクション」の考え方が根底にあり、例えば健康リスクを完全にはなくせなくとも、その害を低減させていくことは十分にプラスなベクトルだと考えています。
災害支援にしても、災害が発生したこと自体はマイナスですが、そこでアクションを起こすことによって、生存者を増やすというプラスの結果が生まれます。究極の目標は「災害関連死ゼロ」の実現であり、これは決して夢物語ではありません。そのため、EDANのような持続可能なプラットフォームづくりに今後さらに注力していきたいと考えています。PMJだけでなく、多くの企業や市民の皆様がこの活動に参加し、「自分たちのまちは、自分たちで守る」という防災文化が日本社会に力強く根付くことを目指しています。
鶴岡:引き続き、事業活動と社会活動を同時に進めていきたいです。それぞれの取組みを持続することで企業価値も高まると思います。単なるたばこ会社ではなく、主体性を持った、社会に必要とされる企業を目指したいですね。

【11/27(木)開催】フィリップ モリス ジャパンが描く、次世代リテール戦略
NESTBOWLは、ブランド・リテール業界の皆様を対象に、フィリップ モリス ジャパンのトップメンバーをお招きした特別イベントを開催します。
今回のテーマは「フィリップ モリス ジャパンが描く、次世代リテール戦略」。当日は、各リテールチャネルを統括するトップメンバー4名が登壇。ダイレクトチャネル戦略の全貌から、顧客体験を高める実践事例、そしてブランドが描く未来のリテール像まで、トークセッション形式で深く掘り下げます。
後半には、登壇者・参加者が交流できるネットワーキングタイムもご用意。ブランドやリテールビジネスに携わる皆さまにとって、次世代のブランド体験を学び、つながりを広げる貴重な機会となるはずです。
皆さまのご参加を心よりお待ちしております。
▼イベント詳細
https://nestbowl.com/journal/18324
■日時:2025年11月27日(木)18:00–20:00(受付 17:30–)
■場所:渋谷
※参加者のみに会場名をお知らせしています。予めご了承ください。
■参加費:無料(事前申込制)
■定員:50名(予定)
■参加対象者:
・リテール・ブランドビジネスに携わるマネジメント層
・リテール営業・店舗運営・リテールマーケティング担当者
・ブランド構築・顧客体験デザインに関心のある方
・新規チャネル開発・リテール戦略企画に携わる方
※参加対象ではない方からのお申し込みについては、運営側の判断にてお断りさせていただきますので予めご了承ください。(イベントの主旨に沿わない営業目的でのご参加はご遠慮いただいております)
■当日スケジュール:
・17:30 受付スタート
・18:00 トークセッション
・19:00 ネットワーキングタイム
・20:00 イベント終了
※状況によりスケジュールが変更される可能性がございます。
■お申し込み方法
以下フォームより必要事項を入力のうえ、お申し込みください。
▶︎ 申し込みフォーム
※上記Googleフォームを利用できない場合は、最下部のメールアドレスよりお問い合わせください。
※応募多数の場合は抽選となります。
※運営よりお送りする正式なご招待メールが確認できない場合、ご入場をお断りする場合がございます。予めご了承ください。
■締め切り:11月24日(月)18:00まで
■問い合わせ:NESTBOWL株式会社:info@nestbowl.co.jp
文:大貫翔子
撮影:船場拓真