1. HOME
  2. 最新ニュース&インタビュー
  3. 「STAFF OF THE YEAR 2025」グランプリ・仁藤はるかさんが大切にする「好き」を突き詰めた販売スタイル

JOURNAL

「STAFF OF THE YEAR 2025」グランプリ・仁藤はるかさんが大切にする「好き」を突き詰めた販売スタイル

「STAFF OF THE YEAR 2025」グランプリ・仁藤はるかさんが大切にする「好き」を突き詰めた販売スタイル NEW

2025年10月、全国の販売スタッフが接客の技術を競い合う「STAFF OF THE YEAR 2025」のファイナルステージが開催され、トゥモローランド 丸の内店販売員・仁藤はるかさんがグランプリに輝いた。販売歴10年以上、華やかな色使いのスタイリングを得意とし、ファッションで心を豊かにすることがモットーの仁藤さんに、今回のコンテストで心がけていたことや販売という仕事への想い、今後の目標について伺った。

仁藤はるかさん/トゥモローランド 丸の内店 販売スタッフ
紳士服を中心とする老舗外資系ブランドのレディースやラグジュアリーブランドの販売員を経て、2017年6月、株式会社トゥモローランドに入社。丸の内店配属後、2018年9月に日本橋髙島屋S.C店のオープンに伴い異動し、約2年半の勤務を経て2021年3月に丸の内店へ戻る。現在は販売業務に加え、バイヤーと連携したインポートブランドのセレクト業務やオンラインでの販促活動、店舗運営なども担当。

“自分ならではのスタイリング”を強みに

トゥモローランドへの入社理由を教えてください。

このブランドが本当に好きだからです。もともと、アパレル業界を志望したのは“好きなことを仕事にしよう”との思いからです。外資系ラグジュアリーブランド2社での販売員を経て、約8年前に商品や販売員も含めたセンスに魅力を感じていたトゥモローランドに転職しました。最初は丸の内店に勤務し、その後、他店舗でオープニングスタッフも経験したあと、再び丸の内店に異動して現在に至ります。

ファッションは、子どもの頃から好きでしたね。毎年お正月になると着物好きな祖父母に着物を着せてもらっていたんです。着物特有の色彩の組み合わせや柄の重ね方……そんな美しいものを身にまとう喜びやうれしさから、服が好きになっていったのだと思います。

現在、店頭での販売以外にはどんな業務を担当していますか。

バイヤーと共にインポートブランドのセレクトを行ったり、国内の展示会へ足を運んだりしています。セレクト業務は、自身が希望していたこともあり、数年前にバイヤーから声をかけていただいたのがきっかけです。セレクトした洋服の魅力を自分の言葉で伝え、お客さまにお届けできることをやりがいに感じています。

接客やセレクトの業務以外には、SNSなどオンラインでの販促活動や店舗運営、後輩の育成などにも携わっています。

仁藤さんがお得意とするスタイリングについても教えていただけますか。

色物を使った華やかなスタイリングです。社内から「色使いの魔術師」というキャッチフレーズもつけてもらいました(笑)。

色物をよく使うようになったきっかけは、おしゃれな仲間がたくさん働く職場で埋もれないよう、自分なりにチャレンジしてみようと考えたことからです。“色物をもっと素敵にセンス良く着こなしたい!”との思いで、手にとられにくいような派手な色やデザインの服をあえて試していきました。そんな風に着こなし方を研究するうちに、自分の得意分野になっていったんです。

手に取っているのは、仁藤さんがセレクトに関わっているイギリスのブランド「ERDEM」のスカート。仁藤さんが提案する色使いは、社内外から好評だ

社内でもとくに好評だったスタイリングは、「STAFF OF THE YEAR 2025」の自己紹介動画でも着用した「TOMORROWLAND .B」のピンクのブラウスですね。ひと目見たときに、「これはもう、私のブラウスだ!」と直感したアイテムで“私らしさ”を伝えることが重要なファイナルステージでも、そのシャツを使ったスタイリングで挑んでいます。

「ファッションで心を豊かにする」を楽しんだステージ

「STAFF OF THE YEAR 2025」は昨年に続き、2回目の出場だったそうですね。

そうですね。新しいことにチャレンジするのが好きな性格もあって、昨年初めてチャレンジしました。初出場して大会の難しさや厳しさを実感したので、実はもう出場しないつもりでしたが、お客様から「来年も出ますよね?」とお声をかけていただいて。そんな風に楽しみにしてくださっている方の存在も大きな後押しとなり、今年はしっかり結果を残したい、と再び出場を決めました。

予選の1stステージ、2ndステージを勝ち上がるために、とくに意識していたことはありますか。

予選での評価は、SNSに載せたスタイリングからの売上とWEB投票数が中心になるので、まずはオンライン上の露出を増やして売上を伸ばすことに注力しました。そのとき、私が絶対に妥協しなかったのはスタイリングのクオリティです。お客さまの気分や求めているものを想像した上でバリエーション豊かに、そして多くのスタイリングを上げ続けました。この大会では、ある程度は先の流れを読んで進めることが重要。そのための勉強や分析をしたことに加えて、社内の仲間のサポートにも助けられて勝ち進められたと思っています。

ファイナルステージでは「1on1形式の接客ロールプレイング」や「90秒間の自己PRスピーチ」があったそうですね。

”自分らしさ”を意識して、私だからこそ伝えられる洋服の魅力をしっかりと言葉にすることを心がけました。例えば、疲れている会社員の方を接客するロールプレイングでは、私の得意な華やかな柄のジャケットを使いながらも、トゥモローランドらしいエレガンスさを添えた大人のスタイリングで気分を上げることをご提案しています。

また、自己PRスピーチでは “ファッションで心を豊かにしたい”という私のモットーをお話ししました。洋服を着ることは心がときめいたり、背中を押されたりといった「前向きな気持ちになれる力」があると信じています。コスパ重視で、ただ着られればいいという洋服もたくさん溢れていますが、私は袖を通す高揚感など“ファッションが持つ力”を大事にしたいのです。

グランプリ受賞が発表された瞬間はどんな気持ちだったのでしょう。

ステージを楽しんでやり切った満足感から審査結果にはこだわっていなかったので、「え、私!?」と驚きましたね。とくに楽しかったのは、服装に悩むお客さまを変身させる決勝戦の「Before Afterバトル」です。私のスタイリングでお客さまがどんどん変わっていき、さらに素敵になったご自身の姿を見て微笑んでおられました。“ファッションが持つ力”で気持ちが変わる瞬間を目の当たりにできたことが楽しくてしょうがなかったです。

今回の大会では、自分の強みを再認識することもできました。普段の接客では、お客さまの様子や雰囲気、気分を受け止めた上で心地よい空気感をつくりながら、その方に合ったスタイリングをご提案するよう心がけています。審査コメントから普段の接客を評価されたこともわかり、素直に嬉しかったですね。

グランプリ受賞に驚いたという仁藤さん。「自分が店頭で頑張っているだけでは成り立たなかった優勝。感謝の気持ちを伝えたいです」(写真:STAFF OF THE YEAR 2025 PRODUCED by STAFF START)

大会では、お客さまや社内の仲間、友人に支えられていることを改めて実感しました。だからこそこれからは自分の言葉で感謝の気持ちをもっと伝えていきたいですね。また、私の接客を楽しみに来店してくださるお客様の期待を裏切らないよう、これまでと変わらない丁寧な接客を心がけながら店頭に立ちたいです。

“好き”を追求&体験を重ねることを大事にする

仁藤さんが思う販売員の魅力、やりがいを教えてください。

普段の生活ではめったに出会えないお客さまと出会えて、さまざまな人生に触れられることが魅力のひとつだと思います。また、この仕事のやりがいは自分の提案や販売した商品でお客さまの気持ちを動かし、前向きな気持ちになっていただく瞬間ですね。

大会に出場した私を見て心を動かしてくださったお客さまや販売員の方がたくさんいることを知りました。例えば、ご自身も販売員をしているお客さまからは、「最近は、仕事で少し気持ちが疲れていました。でも、仁藤さんの楽しそうな接客でお客さまが喜ぶ姿を見てもう一度頑張ろうと思えました」というメッセージを頂いたんです。「この仕事をやっていてよかった」と改めて実感しましたね。

「グランプリ受賞は、販売員人生の新たなスタート地点。ここからもっとパワーアップできるチャンスをもらえた気持ちでいます」と仁藤さん

― 販売員はリアル接客とオンライン接客で多様なスキルを求められる時代ですが、販売員がスキルを高めて成長していくには、どのような考えや行動が必要だと思いますか。

「洋服が好き」という気持ちを忘れずに、突き詰めることが大切だと思います。好きなものをとことん追求し、よいものに触れたり、憧れの場所に実際に足を運んだり……。そうした実体験をもとに提案、発信するからこそ、お客さまの心を動かすリアルな言葉で伝えられるようになるはず。実際に私も、好きなことを突き詰めたことを評価していただき今があると感じています。

今後はお仕事でどのようなことにチャレンジしていきたいですか。

店頭での販売がベースになりますが、今回の受賞をきっかけにさまざまなチャンスが目の前に広がっていると感じました。大会を通じて心を動かしてくださったお客さまや仲間がたくさんいたので、店頭での接客以外でも自分の経験や思いを言葉にして伝える機会を増やし、勇気づける活動ができればと思っていますね。

また、自分の現状に満足せず、今後も”好き”を突き詰めながら、自分にとって有意義な経験を重ねて学び続けていきたいです。そしてアパレルに紐づくさまざまな分野の知識を取り入れ、これからも成長していきたいです。

取材・編集:鈴木里映
文:流石香織
撮影:船場拓真

SNSでこの記事をシェアする