撤退するも、再始動して急成長!シニア向けでも、若づくりでもない、50代のリアルに寄り添う「PLUS OTO.HA」 NEW

20代からファッション業界に身を置き、デザイン、VMD、販促、ブランディングなどに携わってきた高平英里さん。纏うことで50代がハッピーになれる服を届けたいという想いから、コロナ後の新しい時代を生きる大人の女性のための日常着ブランド「PLUS OTO.HA」を立ち上げた。現在は多彩なブランドを扱う3rd株式会社との協業でブランドを展開。年齢にとらわれずポジティブにファッションを楽しむ多くの女性から支持されている。アパレル業界に新たな風を吹き込む高平さんに、ブランドに込めたメッセージを聞いた。
高平英里さん/3rd株式会社 「PLUS OTO.HA」ブランドディレクター
旧サンエー・インターナショナル(現TSIホールディングス)で約10年間VMD・販促を担当後、数々のブランドの立ち上げ・再生に携わる。自らの体験から「PLUS OTO.HA」を立ち上げ、大人世代に寄り添う服づくりを行っている。
自分が感じた違和感からブランドを立ち上げ
― これまでのご経歴をお聞かせください。
ファッション系の専門学校を卒業後、フリーランスのファッションデザイナーとして経験を積みました。その後アメリカ留学を経て、サンエー・インターナショナル(現TSIホールディングス)にご縁があり入社しました。そこでは10年ほど、20代向けブランドのVMDと販促を担当していたのですが、店舗だけでなくスタッフのビジュアルもプロデュースに携わったり、モデルを探してアサインしたりと、かなり自由にプロモーション活動をしていましたね。その後、当時低迷していたブランドのリブランディングにも携わりました。
― 多彩な経験を積まれてきたんですね。「PLUS OTO.HA」立ち上げのきっかけは何だったのでしょうか。
2018年に、大人向けアパレルの路面店を偶然見かけたことです。メンズ・ウィメンズ混合のブランドで、店内は60代前後のお客様で大混雑だったんです。「これこそアパレルの未来だ!」とひらめきました。
日本は2人に1人が50代以上という時代なのに、ブランド側も消費者側も、どこか「ファッションは若者のもの」ととらえていて、「私はファッションが好きだけど、どこかで続けられなくなるのかな」と、違和感があったんです。それがきっかけで、大人世代の求める理想のブランドについて自分なりのイメージを固めてみました。そしてコンセプトシートを作成し、大手アパレルにいた当時の仲間と共にプレゼンテーションを行い、ブランド化することになりました。
― ブランドのコンセプトと、商品の特徴について教えてください。
コンセプトは「大人のハッピーを追求する服」。着ているだけでマインドが上がり、出かけたくなる服をお届けしています。私は「シニア」という言葉にも違和感があるんです。60代になったからといって、いきなりおばあさんになるわけじゃないですよね。“大人こそファッションを楽しんでもらいたい”、“オトナのハッピーを作りたい”という想いから「PLUS OTO.HA」と名付けました。
また、ストレスを感じず快適に着られるという点もポイントです。というのも、実はその頃、私自身が50代に入って体の変化を感じていたんです。更年期やホルモンバランスの影響で肌に触れるものに敏感になり、何を着てもチクチクと感じたり、着ている洋服がしっくりこなくてどう見られているかとても気になったりしていました。どちらかというとポジティブで積極的だった私自身がこう感じるということは、同世代の女性も同じか、より顕著にそうしたストレスを感じるのではと思いました。ですから、肌に優しい素材を使い、体形も自然にカバーしてくれるようなデザインを意識しています。


コロナ禍で打撃を受けるも、3rdとの協業により再デビュー
― 2019年にブランド提案、2021年にブランドデビューでした。当時はどのような状況でしたか。
雑誌や百貨店ともコラボしてPRしたのですが、立ち上げの時期がちょうどコロナ禍と重なってしまって、思うようにブランド価値をお客様に伝えることが出来ず、結果として1年を待たずブランドは撤退することとなりました。
残念でしたが、この期間にブランドコンセプトが固まり、テストマーケティングができました。ブランド自体はうまくいっているのに、ここでやめるわけにはいかないと思い、ブランドの商標を買い取ることにしました。当初は個人で写真を撮ったり商品を発送したりしていたのですが、やはり一人では限界があると感じ、改めて協業先を探すことにしました。
― コロナ禍ではどのブランドも苦戦していましたよね。そんな状況でも諦めないのが高平さんの強さだと思います。パートナーに3rdを選んだのはなぜですか。
ECで売れる仕組みを持っている会社と組みたいと考えていました。数社とお話する中で、川村社長は何度も面談の機会を設けてくれて、真剣に話を聞いてくれたんです。当初は個人契約としてスタートしましたが、現在は3rdのメンバーが一緒にブランドを運営してくれています。ブランドのコンセプトに理解を示してくれて、撮影や物流のリソースも提供していただいており、まさに「命の恩人」だと思っています。

― 3rdでのブランド再始動はどのように進めていったのでしょうか。
当時は3rd自体が創成期であり、人員も拠点も今ほど整っていませんでした。荷物でいっぱいのスタジオで、現場にあるものを使いながら工夫しながら撮影してという感じで。多少の不安はありましたが、徐々に体制が整い、2023年の中頃からは担当のスタッフがついてくれて売り方を確立できるようになりました。リニューアル後は、毎週ゲストをお迎えし、大人が日常を楽しめるスタイリングを提案。大人が笑顔になれるラインナップと購買しやすい価格帯を念頭に置いたスタイルを構築していきました。
プロモーションに関しても、ブランドマネージャーアシスタントを中心に3rdの方針に沿ってSNSを運用し、月に150本ペースのショート動画を投稿しています。ある時は動画をきっかけに1週間で600点、1カ月後に1,200点の売上を上げたこともありました。フォロワーはブランド撤退時に3,000人だったフォロワーが、現在は12.5万人にまで増えています。諦めずに続けると、結果はついてくるものですね。
― 素晴らしいですね。現在も売上は好調だそうですが、ブレイクポイントは何だと思いますか。
ユーザーが憧れつつ、等身大だと感じるモデルさんの力が大きいと思います。ユーザーの年齢層に近く、魅力と発信力のあるモデルさんの起用は、他のブランドとの差別化になっていますし、いろいろなスタイルを提案出来るのが強みだとも思います。
また、売上はインスタグラムのフォロワーと比例関係にあります。新卒入社のメンバーがショート動画を新作発売に合わせて続々と発信をしてくれています。20代のメンバーとチームを組んでいることで、そうした化学反応や反響が生まれるんです。年代の異なるスタッフがそれぞれの能力を活かせるというのも、3rdという会社の魅力だと思います。
ただ、その新卒のメンバーにインスタグラムアカウントを任せきりにせずに、50代の私も運用に関わっています。なかには350万再生の動画も。自分自身が、粘り強く向き合うことも大事なのかもしれません。
年齢を重ねたからこそ楽しめるファッションを届けたい
―「PLUS OTO.HA」において、「マインドアップできる服」とは素材やディテールでどのように表現しているのでしょうか。
当初は素材やシルエットを重視していましたが、3rdとパートナーシップを結んでからは少し方向性を変えて「シンプル、ベーシック、でも華やかな大人服」というコンセプトにしています。というのも、ターゲットである50~60代の女性はとてもアクティブで、外食や海外旅行に行ったり、行動的に過ごしているんですよね。そんな時にちょっと華やいだ気持ちになれるよう、トレンド要素をディテールに取り込んでいます。
“艶のある大人の女性”に愛されるブランドになっていきたいですね。加齢をネガティブに受け止めるのではなく、むしろ年齢を重ねるごとにより人生を楽しんでほしいと思っています。実際、今も真っ赤なニットが大変人気なんですよ。お客様の中には赤のワンピースを還暦のお母さまにプレゼントされた方もおり、むしろ加齢を楽しむ時代になってきていると感じています。


― 今後はどのようにブランドを発展させていきたいとお考えですか。
あまりかしこまった「目標」は掲げていなくて、自然体で続けていればいい方向に扉が開くんじゃないかなと思っています。川村社長との出会いもそうでしたし。ただ、インスタグラムのフォロワーの一部に海外のお客様が含まれるようになり、海外の大人世代のお客様にも興味が出てきました。ブランド創設期からこだわっていた、素材が良くストレスフリーなものづくり、大人世代に楽してキレイで笑顔になって欲しい--そんな想いをしっかりとこめた素材にこだわった製品の開発を行っていきたいです。そして、ニーズに即した地方の国産アイテムを国内外にご紹介して、新しい発見や喜びを海外のお客様にも提供したいなと考えています。
2025年には新しく敏感肌にもやさしい化粧品のライン「OTO.HA Beauté(オトハ ボーテ)」もスタートしています。「OTO.HA Beauté」については、知名度を上げていくことが現在の課題です。3rdではこのような新しいチャンスもいただけました。
いずれは、国内産地のメーカー様からの発信や、お客様、あるいはお客様同士が交流し、大人世代の悩みや楽しさを発信できるコミュニティとしてのコンテンツメディアの開発もできたら、と考えています。歳を重ねても、大人世代の未来が少しでも明るくなるように、スタッフと協力しながらいろいろな形で挑戦していきたいなと思っています。
現在3rdでは、ブランドマネージャー、アシスタント、ディレクター、EC運営などのポジションで積極的に採用を行っています。D2Cブランドをゼロから育てていくことに興味のある方、グローバル展開を見据えたスピード感ある環境で、自身の可能性を広げたい方は、ぜひこちらをご覧ください。
文:大貫翔子
撮影:船場拓真
Brand Information
3rd
ブランドインキュベーションカンパニー
“こんな世界やモノがあったらいいな“という想いをブランドとして形にする企業です。
ファッション、ライフスタイル、雑貨など多彩なジャンルの自社ブランドを展開しています。
会社サイト:https://3rd-inc.jp/