1. HOME
  2. 最新ニュース&インタビュー
  3. 「キャリアは、自分ひとりでは築けない」転職エージェント 北川加奈のキャリア論 Vol.2

JOURNAL

「キャリアは、自分ひとりでは築けない」転職エージェント 北川加奈のキャリア論 Vol.2

「キャリアは、自分ひとりでは築けない」転職エージェント 北川加奈のキャリア論 Vol.2 NEW

学習塾の講師からリクルーターへ転身して18年。現在、人材紹介会社・エーバルーンコンサルティングのヴァイスプレジデントを務める北川加奈さんは、これまで3,000人近くもの人々の仕事人生の岐路に立ち会ってきた。このコラムでは、北川さんがリクルーターとしてキャリアを積み重ねてきたなかで得た学びや気づきを、自分自身の体験も交えながら綴る。
※過去記事はこちら→Vol.1


30歳を過ぎて知った、厳しいビジネスの世界

大きな決断をして東京へ出てきた私の最初の勤務地は銀座でした。

現在、GINZA SIXが建っている場所の裏手に、当時のオフィスがありました。浜松から出てきたばかりの私にとって、銀座という街はまさにキラキラした場所で新しいキャリアのスタートとして、これ以上ない環境のようにも思えました。

しかし、そこで待っていたのは華やかな世界ではなく、自分の未熟さを思い知らされる日々でした。

当時の私は、人材ビジネスがどのような仕事なのかをほとんど理解していませんでした。地方では転職そのものがまだ珍しく、ましてや転職エージェントを利用して転職するという文化はほとんどなかったからです。

私はそれまで塾講師として教室の運営を任され、生徒や保護者からは先生と呼ばれていました。教室の責任者として働いていたため、ある意味すべてが自己流でも成り立っていました。

しかし、東京で待っていたのは、厳しいビジネスの世界。
組織の中で働くという意識。
メール一通の書き方。
クライアントへの対応。

30歳を過ぎて東京に出てきた私は、そうしたビジネスの基本を年下の先輩たちから一つひとつ教えてもらうところからのスタートでした。

自分はこんなにも仕事ができなかったのか。

そんな思いを抱えながら過ごす日々は、試練の連続でした。当時の会社はエグゼクティブ層を対象とした転職支援を主な事業としていましたが、私が配属されたのはジュニア層向けのサービスを立ち上げる新しいチームでした。入社して1年後の2009年2月、私はアシスタントからコンサルタントに昇進しました。

しかし、そのタイミングは決して良いものではありませんでした。

トップセールスの言葉、同僚たちの支え

世界はリーマンショックの影響の真っただ中。企業の採用活動は大きく冷え込み、転職市場も厳しい状況にありました。それでもコンサルタントとして数字を上げなければなりません。ところが結果は思うように出ませんでした。

半年間、売上ゼロ。

途中、設定されたKPIを達成できなければ退職するという内容の契約書に、2度サインをしました。そのときの私は「やるだけのことをやってダメなら仕方がない」と覚悟を決めていました。

どうせなら後悔のないように、できることはすべてやろう。

そう思って仕事に向き合いました。朝は誰よりも早く出社し、夜遅くまで働く。週末にオフィスへ行くことも当たり前でした。

とにかく行動量を増やすしかない。
少しでも多く活動すれば、いつか数字につながるかもしれない。

そんな思いで、目の前の仕事に向き合っていたある日、オフィスで印象的な出来事がありました。当時、会社で最も売上を上げていたオーストラリア人のコンサルタントが、オフィス全体に聞こえるような声でこう言ったのです。

「クライアントや候補者とコミュニケーションを取るのに、メールばかりしているんじゃない。メールは一方通行だ。電話をしろ」

それを聞いた私は、「数字を出しているトップセールスの人が言うことなのだから、とにかくやってみよう」と思いました。

そこから、とにかく電話をかけるようになりました。クライアントにも、候補者にも。

誰よりも電話をする。気づけば、周囲から「加奈はいつも電話をしている」と言われるようになっていました。それでも結果が出ない日々は続きました。気持ちが折れそうになることも何度もありました。そんなとき、同僚たちが声をかけてくれました。

「こんな候補者がいるよ。加奈の案件に合うんじゃない?」

違うチームのメンバーが、わざわざ候補者を紹介してくれたこともありました。ある同僚は、スマイルマークが描かれたポストイットを私のデスクにそっと貼ってくれました。

振り返れば、私は決してひとりで戦っていたわけではありませんでした。周りの人たちが、支えてくれていたのです。そして6か月目。最初の転職支援が決まりました。その瞬間のことは、いまでもはっきり覚えています。

当時を振り返ると、私はとにかく一心不乱にもがいていました。
結果を出さなければならないという思いだけで、がむしゃらに働いていました。けれど、そんな姿を見てくれていた人たちがいたのです。

私を信じてくれ、応援してくれる人たちがいたからこそ、リーマンショック後という厳しい状況の中でも、最初の結果を出すことができました。東京に出てきたばかりの頃、私は仕事の厳しさと同時に、仲間の存在の大きさを知りました。

そして今でも思います。
キャリアは、自分ひとりでは築けない。
誰かが信じてくれたとき、人はもう一度前に進むことができるのだと。

■著者プロフィール
北川加奈/エーバルーンコンサルティング株式会社 ヴァイスプレジデント・人材コンサルタント

静岡県出身。英国留学後、塾の講師を経て人材業界に転身。2021年エーバルーンコンサルティングに上級職として就任。ラグジュアリー、ファッション、ライフスタイル、コスメ業界に強みを持ち、外資系エグゼクティブサーチに従事。1,000件以上の紹介実績があり、業界屈指のネットワークを誇る。平日は都会的なライフスタイル、週末はアウトドアを愛し、愛犬と共に都市と自然の調和の取れた生活を送る。

SNSでこの記事をシェアする

Brand Information

A Balloon Consulting

A Balloon Consulting

「エーバルーンコンサルティング(A Balloon Consulting)」は、東京と大阪を拠点にしたファッション業界に特化した人材紹介サービス会社。販売スタッフからエグゼクティブクラスまで、ファッション業界の優良な人材と企業をつなぐエージェントとして、多くの紹介実績を持つ。