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「アークテリクス」が挑む原点回帰 。「山へ」に込めた想いと体験価値の再設計

「アークテリクス」が挑む原点回帰 。「山へ」に込めた想いと体験価値の再設計 NEW

アウトドア業界に革新をもたらし、機能美と洗練さを両立してきた「アークテリクス」。都市での着用シーンが広がり、ブランドの存在感は一層高まっている。だが同社は今、原点の「山」へと人々の視線を引き戻そうとしている。その実装が、2026年4月17日(金)に高尾山でオープンした期間限定のトレイルランニング体験拠点「ARC’TERYX TRAIL HUB TAKAO」だ。「アークテリクス」でブランドマネージャーを務める林 克洋さんと関根由美子さんに、日本市場の現状、中長期で掲げるメッセージ「山へ」に込めた意図、ブランドの思想、ブランドが求める人材像について伺った。

林 克洋さん/アメアスポーツジャパン株式会社 アークテリクス ブランドマネージャー(写真:左)
学生時代から自転車競技を行っており、大学卒業後、大手自転車パーツメーカーへ入社。中国市場でのB2Cマーケティングに従事した後、外資系大手スポーツブランドでアウトドアカテゴリのマーケティングを担当。高品質なものづくりに惹かれ、2021年9月に「アークテリクス」へ入社。現在はハイクやクライミング領域でのGTM(Go to Market)戦略の立案やPRを担う。

関根 由美子さん/アメアスポーツジャパン株式会社 アークテリクス ブランドマネージャー(写真:右)
富士登山をきっかけに山の魅力に惹かれ、その後、エベレスト街道のトレッキングや日本各地の山々を登る。約18年にわたりアウトドア業界でのキャリアを築き、これまでの自身の経験や山への想いに共感して2026年1月に「アークテリクス」入社。現在はトレイルランニングやスノー領域のGTM戦略立案などを担う。

拡張する接点と「山」という揺るがない原点

― 最近は街で「アークテリクス」を見かける機会も増え、ブランドの見え方が大きく変わってきているように感じます。この広がりをどのように見ていますか。

林 克洋さん(以下、林):コロナ禍以降、ブランドのタッチポイントが広がり、多くの方に知っていただけたことは大きな前進だと捉えています。

一方で、長く取り扱っていただいている専門店や社内からは「山に挑むアスリートの課題解決のためのギア」というブランドの核心部分が伝わりづらくなっているのではないか、街のファッションブランドとして認識されつつあるのではないか、と懸念する声も上がっています。

創業時から、当社のものづくりの根幹は変わっていません。プロダクトはアスリートの課題を解決するために存在しています。グローバルでもこの姿勢は一貫していますが、日本には独自の文脈があります。アウトドアウェアを日常着として取り入れる文化が早くから根づき、広く受け入れられました。アジア他国と比べて街でアウトドアウェアを着る歴史が長く、都市で着用する文化が強いからこそ、改めてルーツを正しく伝えていく必要があります。

― その流れを受けて打ち出されたキャンペーンタグが、「山へ」。これには、どのような意図が込められているのでしょう。

林:当社は「山に行くことで人はより良き存在になれる」というブランドビリーフを持っています。発祥の地、カナダ・ノースバンクーバーは街と山が非常に近く、生活の中にアウトドア・アクティビティが溶け込んでいる場所です。そうした環境で生まれたブランドだからこそ、自然の中で過ごすことの価値を改めて伝えたいと考えました。

これを受け、社内でミッションを整理した際、「人々をインスパイアし、山へお連れすること」がその中心にあると再確認しました。その考えを内外に共有する言葉として、「山へ」というシンプルなメッセージが自然と導き出されたのです。

関根由美子さん(以下、関根):これは一時的なキャンペーンではありません。中長期で掲げるべき当社の意思そのものです。これまでは製品の機能や違いを中心に伝えてきました。店頭に並ぶハードシェルの違いを説明するようなコミュニケーションです。しかし、今後はブランドがなぜ存在するのかという背景やストーリーまで届けていきたい。「山へ」を通じて、変わらないブランドの軸を多くの方々と共有していきたいと考えています。

ブランド内でディスカッションする中で自然と「山へ」という言葉がでてきたと語る関根さん

「ARC’TERYX TRAIL HUB TAKAO」で「山へ」をどう実装するか

― 「山へ」というメッセージを、高尾山でのトレイルランニング体験ではどう届けていくのでしょうか。

林:関根の話にもあったように、我々のコミュニケーションは変わりつつあります。プロダクトそのものの説明ではなく、ギアを通じてどのような体験ができるのかを伝える段階に入っています。ものを売るのではなく、アクティビティそのものを届けていくのです。

関根:具体的な取り組みとして、「シティトゥトレイル」というコンセプトを掲げ、東京・高尾でポップアップを展開します。「茶屋」をテーマに、山に入る前後の拠点として機能させる構想です。普段は都内でランニングなどを楽しんでいる方にも、山での素晴らしい体験をして頂けるように、トレイルランニング用のシューズやベスト(バックパック)の貸し出しなどを行います。同時に、山での安全啓蒙やマナーも伝えていきたいと思っています。

かつての茶屋が旅人の休息と交流の場だったように、ここでも背景の異なる人々が出会い、次の体験へとつながる場にしたいですね。そして、将来的には都市部にも拠点を設けたいと考えています。都市で準備や情報を得て、そこから山へ向かう。そうした一連の導線を設計し、ブランドとして一貫した体験を提供していきたいです。

― 自然との関係性づくりについても教えてください。

関根:山小屋やマウンテンレスキュー、ガイドの方々と連携し、自然保護活動や、日本の山の文化を支える取り組みは継続して行っています。山の近くで地域と関わりながら、信頼関係を築いていくことが重要です。

山を愛する人たちに信頼され、街から訪れる人にも安心感を与えられる存在であること。その積み重ねが、当社のフィロソフィーを深く伝えていくはずです。

4月17日に高尾山にあるMt.TAKAO BASE CAMPにオープンした「ARC’TERYX TRAIL HUB TAKAO」。江戸時代の“茶屋”をモチーフとした期間限定のトレイルランニング体験拠点だ

「アークテリクス」のプロダクトが証明する思想

― ブランドを支えるカルチャーと、働いている方々の特徴をご紹介いただければと思います。

林:メンバーは皆、山で過ごすことを心から楽しんでおり、「アークテリクス」というブランドに強い愛着を持っています。ものづくりに対する純粋なスタンスが社内で共有されているからこそ、率直に議論しながらも、同じ方向を向いて進むことができていると感じます。

関根:また、アウトドア業界全体に共通する特徴として、横のつながりの強さがあります。競合であっても、山では自然に助け合う。そうしたリスペクトの文化があり、業界全体で価値を高めていこうという意識が根づいています。

― そうしたカルチャーの背景には、製品への信頼もあるのでしょうか。おふたりが実際に製品を使用して、ブランドの哲学を感じた瞬間はありますか。

林:「アークテリクス」のハーネスを初めて使用した時、コンフォート(快適性)の高さに驚きました。クライマー自身が「本当に必要とするもの」を突き詰めている。その原点とも言える姿勢を体感した瞬間でした。

関根:厳しい環境に入るほど、ギアの扱いはどうしても荒くなります。それでも当社の製品は、軽さや動きやすさなどの快適性と、過酷な状況への耐性を高いレベルで両立しています。使い手のことを徹底的に考えているから信頼できる。その実感があるからこそ、私たちは自信を持ってこのブランドを人に勧められるのです。

山登りに挑むアスリートのために作られたアークテリクスのプロダクト。創業時からものづくりへの想いは変わっていない

「アークテリクス」は、誰と、どこへ向かうのか

― おふたりにとって「山」は、どんな意味を持つ存在でしょう。

関根:山の中にいるだけで幸福感に包まれます。「山に行くことで人はより良き存在になれる」というブランドビリーフを、私自身が強く実感しています。

林:以前はひとりで静けさを求めて山へ向かっていましたが、今は誰かと体験を共有することに価値を感じています。キーワードは「コネクト」です。山は、人とつながり、自然とつながり、自分自身とも向き合える場所です。こうした体験を、多くの人に届けていきたいと思っています。

― 今後、日本市場でのチャレンジをどのように捉えていますか。

関根:私は長く同一のマーケットに向き合ってきたからこそ、惰性に陥ることなく、創造性を更新し続けることが大切だと考えています。新たな出会いや経験を通じて、時代に即した価値を提示し続けていきたいです。

林:「より多くの人を山へ連れていく」というミッションの実現に向け、チームとして確かなインパクトを残す取り組みを進めていきます。情報が瞬時に消費される時代の中で、一過性に終わらず、長く記憶に残る価値をどう届けるかが問われていると感じています。

お客様を「山へ」連れていくことで山の楽しさや面白さを体験してもらい、アークテリクスの良さを伝えていきたいと語る林さん

― 最後に、採用面で「アークテリクス」が求める人材像についてお聞かせください。

関根:自らの意見を持ちながらも、他者の視点を柔軟に取り入れ、新たな価値へと昇華できる方と一緒に働きたいですね。異なる視点を掛け合わせながら、次の表現を生み出していける方を求めています。

林:製品の機能やスペックにとどまらず、ブランドの背景にあるストーリーまで深く理解し、その価値を適切に伝えられる方が不可欠です。ミッションに共感し、ともに挑戦できる方を歓迎します。

「人を“山へ”連れていく、その一員へ。」アークテリクスは、プロダクトを通じてではなく、“体験”を通じて人々とつながり、その価値を届けていくブランドへと進化しています。「山に行くことで人はより良き存在になれる」というブランドビリーフに共感し、その体験を自らの言葉で伝えられる方へ。ブランドの思想を深く理解し、新たな価値を共創していきませんか?アークテリクスのカルチャーに共感し、ともに挑戦したい方は、ぜひこちらの採用情報をご覧ください。

文:中谷藤士
撮影:船場 拓真

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Brand Information

ARC'TERYX

ARC'TERYX

革新的な高機能アウトドア製品を取り扱うカナダ、バンクーバー発祥のアウトドアブランド。