1. HOME
  2. 最新ニュース&インタビュー
  3. Chrono24 CEO ホセ・ガステルさんが語る、中古時計市場の成熟と日本市場への期待

JOURNAL

Chrono24 CEO ホセ・ガステルさんが語る、中古時計市場の成熟と日本市場への期待

Chrono24 CEO ホセ・ガステルさんが語る、中古時計市場の成熟と日本市場への期待 NEW

2003年に創業したChrono24(クロノ24)は、60万本以上の時計を掲載する世界最大級の高級腕時計オンラインマーケットプレイスだ。2026年5月、同社CEOにホセ・ガステルさんが就任した。ファッションEC、住宅、教育、地域コミュニティなど多様な分野でデジタルプラットフォームの成長を牽引してきた実績を持つ経営者である。

現在、急速なグローバル化とAIの台頭により大きな転換期を迎えている高級時計市場。来日したガステルさんに、Chrono24の現在地と中古時計市場の変化、AI時代における信頼設計、そして日本市場の可能性について聞いた。

ホセ・ガステルさん/Chrono24 CEO
McKinsey & Companyでキャリアをスタートし、その後、Zalora、Houzz、Domestika、Nextdoorなど、ファッションEC、住宅、教育、地域コミュニティといった複数領域でデジタルプラットフォームの成長を牽引。2025年7月にChief Growth Officer(CGO/最高事業成長責任者)としてChrono24に参画し、2026年5月、正式にCEOへ就任した。

機械式時計に宿る、「時を超える魅力」

世界最大級の中古・高級腕時計マーケットプレイスへと成長したChrono24。その舵取りを担う新CEOは、プロダクトとしての機械式時計にどのような価値を見出しているのか。

まず、時計というプロダクトについてホセさんが感じる想いや、個人的なエピソードをお聞かせいただけますか。

子供の頃から、フィルムカメラのような機械仕掛けの物に魅了されており、古いカメラを買っては修理に出していました。機械式時計にも、カメラに近い親しみを覚えます。時間を教えてくれる道具であること、世代を超えて受け継ぐことができるという点も特別です。

1年前に叔父の遺品の中から、ひとつの時計を譲り受けました。それは、私の生まれ年である1979年製のオメガの「ベビー・プロプロフ」でした。とても希少なモデルですし、叔父の存在を身近に感じられるのでとても気に入っています。

Chrono24に入社してからは、時計の世界の奥深さにどんどん引き込まれ、学び続けています。

CEOに就任された今、Chrono24の現在の状況をどのように見ていますか。また、今後どのような未来を描いているのでしょうか。

Chrono24は23年の歴史を持ち、ラグジュアリーウォッチの世界ではすでに確立された存在です。コレクターや販売事業者、そして時計を取り巻くエコシステムに対して、より良いサービスを提供し続けることができていると自負しています。

ありがたいことに業績も好調ですが、「高級時計ならChrono24」と世界中の方々に思っていただけるプラットフォームを目指し、さらなるグローバル展開を進めていく考えです。 

私たちのお客様は、世界150以上の国・地域にいらっしゃいます。私たちのプラットフォームを通じて時計そのものも、国境を越えて旅(時計の売買)をするといえるでしょう。世界中のお客様により良い時計、より良いサービスを届けるため、アメリカやアジアで働いてきた経験によるグローバルな視点を活かせればと考えています。

「時計は世代を超えて受け継がれる存在」機械式時計が持つ普遍的な価値と、Chrono24が描く未来について語るChrono24 CEO ホセ・ガステルさん

拡大を続ける日本市場と中古腕時計の流通

コロナ禍を経て、中古腕時計の二次流通市場は世界的に拡大を続けている。資産や投資の対象としても注目が高まるなか、日本市場はどのような立ち位置にあるのか。

― この10年間の時計市場の進化をどのように見ていますか。

明らかに二次流通市場がメインストリームになってきていると感じます。コロナ禍とその直後には市場価格のピークや下落も起こりましたが、これは世界中の消費者が二次流通市場を積極的に利用していることを示しています。 

この市場が成立するためには、業界全体への「信頼」が必要不可欠です。20年以上の歴史を持ち、業界をリードする立場である当社はもちろん、お客様の信頼を勝ち取るということが非常に重要であると考えています。

日本における出品数や購入数などはどのように推移しているのでしょうか。

具体的な数値については公表していませんが、日本が当社にとって極めて重要な市場であることは間違いありません。コレクターや優れたディーラーが集まる中核的な拠点であり、世界最大級の輸出元市場といえるでしょう。

その理由として、日本の市場環境の質の高さが挙げられます。素晴らしい時計や販売事業者、活気あるエコシステムを通じて世界市場を支える拠点であると同時に、それ自体が巨大な国内市場でもあると捉えています。

実を言うと、私がChrono24で初めて購入した時計も、日本から出品されたものでした。 日本から出品されていたので、信頼できると確信したのです。実際、購入した時計はロンドンにいる私の手元まで2日で届きました。取引も発送も非常にスムーズで、何一つ滞りありませんでした。

それでは、日本の時計ブランドそのものはどのように評価されているのでしょうか。

高く評価され、リスペクトされています。日本は素晴らしい伝統や歴史を持っているだけでなく、非常に高品質な技術製品を生み出しています。セイコー、グランドセイコー、シチズン・グループといった、世界的に極めて重要なブランドから、小規模ながら素晴らしい独立系時計メーカーもあります。

そうした意味で、日本の時計ブランドは時計の世界に実に見事に溶け込み、際立った存在であると思います。スイスの老舗メゾンも深い敬意を抱いているのではないでしょうか。

日本市場における今後の展望をお聞かせください。

現在の最優先事項は、日本における販売事業者のネットワークを拡充することです。当社のプラットフォームには、素晴らしい時計を求めている月間900万人ものグローバルユーザーという圧倒的な需要があり、日本はその重要な供給源の一つだからです。また、日本国内に拠点を置き、ブランドの認知度と信頼感を高めていく必要も感じています。だからこそ、私たちは日本専任のチームを配置しているのです。

Chrono24 CEOホセ・ガステルさんが取材で着用していたのは、「TUDOR BLACK BAY 58 GMT」

AI時代の真贋判定と、プラットフォームが担う信頼設計

Chrono24はかなり早くからAIを使用し始めていると伺っています。真贋判定にも活用しているのでしょうか。

複数のベンダーとテストを繰り返しながら、真贋判定にAIを活用しています。現状の判定精度は95%ほどでしょうか。かなり信頼のおける結果にはなってきているのですが、百万円、数千万円の取引では、残りの5%、あるいは最後の1%が決定的な意味を持ちます。最終的な判断にはやはり人の目が必要であり、弊社ではその点にも対応しています。 

AIをビジネスに積極的に活用する一方で、AIを必要としない点も腕時計というカテゴリーの魅力です。アナログの動力でカチカチと動き、過去のものを未来へよみがえらせる腕時計というプロダクトは、AIとは対照的な、詩的な一面があると感じています。

― AIが存在感を強める中、プラットフォームとして信頼性を高めるためにどのような取り組みをされているのでしょうか。

Chrono24に出品する販売事業者は厳格な審査を経て選ばれています。もちろん、これまでに積み重ねられてきた評判やレビューも重要です。さらに、「パートナーCertified(真贋鑑定)」というプログラムも用意しています。ありがたいことに、売り手や買い手自身がこのシステムへの信頼を築き上げてくれているのです。

もう一つ重要な点として、14日間の返品返金保証期間があります。お支払いいただいた代金は14日間、預かり金として当社のエスクロー口座に安全に保管され、購入者が商品に満足したことを確認して初めて、販売者に支払われる仕組みです。これによって非常に多くのトラブルが未然に防がれています。

AIを積極的に活用しながらも、人とプラットフォームによる信頼設計を重視する姿勢が印象的だった

需給の変化を読み解き、販売事業者と消費者の選択肢を広げる

近年、日本ではロレックスをはじめとするラグジュアリーウォッチの価格が高騰しています。プラットフォーマーとしては、需給の歪みともいえるこの状況をどのように分析していますか。

当社では「ChronoPulse(クロノパルス)」という独自の価格指数を用いて、特定の時計の価格を測定・追跡しており、確かに全体としては上昇傾向が見られます。ただし、価格を引き上げても好調に売れ続けるブランドがある一方で、価格維持に苦戦し、二次流通市場の価格が追随しないブランドもあります。つまり、個々のブランドの状況次第だといえるでしょう。

ブランド自身が認定中古品に取り組む動きが広がっています。この流れをどのように見ていますか。

ごく自然な流れですし、素晴らしいことだと思います。ロレックスが認定中古(CPO)プログラムを本格展開したことで、お客様にも二次流通市場の魅力を認識していただけるようになったと感じています。サーキュラーエコノミーの観点も重要ですが、それ以上に消費者にとっては「選択肢が増える」という点が大きいでしょう。

時計との出会い方が多様になることは、業界にとって非常に健全なことだと考えています。Chrono24の役割も、まさにそこにあります。世界中の購入者様と販売者様をつなぎ、透明性のある情報と信頼できる取引環境を提供することが私たちの最大のミッションです。

素晴らしい時計が、時間や記憶、そして持ち主の物語を受け継ぎながら次のオーナーへと受け渡されていく。そのための透明で信頼できる市場を支える仕組みを、これからも磨き続けていきたいと思います。

「Chrono24 Japan」では、事業拡大により新しいメンバーを積極的に募集しています!Chrono24 Japanと一緒に新しいチャレンジをしていきたい方はぜひこちらからご応募ください。

文:大貫翔子
撮影:船場拓真

SNSでこの記事をシェアする

Brand Information

Chrono24

Chrono24

世界最大級の高級時計マーケットプレイス「Chrono24」