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真のアップサイクルとは?NYで出会った日本人ユニット『RYE TENDER』(ライテンダー) が残糸活用のニットづくりを始めたユニークな理由

真のアップサイクルとは?NYで出会った日本人ユニット『RYE TENDER』(ライテンダー) が残糸活用のニットづくりを始めたユニークな理由

工場に眠る糸や残布の存在にずっと感じていた「もったいない」。世界に先立ってエコな取り組みへの意識が浸透していた米国NY生活での気付きを生かし、得意なニットで『RYE TENDER』を2020年10月にスタート。アップサイクルプロジェクトとしても注目を集めるブランドを手掛ける2人に、ブランド、ものづくり、ファッション業界への想いを伺った。

澤木 雄太郎さん/株式会社インターソナー代表(写真右)
同志社大学卒業後、商社の繊維部門へ就職。米国ニューヨーク州FITへ研修留学し、米系アパレル企業でのインターンシップを経て、帰国後はニットのOEMを担当したのち、独立。

小池 勇太さん/『RYE TENDER』ディレクター(写真左)
文化服装学園卒業後、渡米。澤木氏と同じ企業で商品開発、デザインの経験を積む。帰国後、テキスタイル企業で製品の開発と海外セールスを担当したのち、独立。

―おふたりの出会いはニューヨークだそうですが、出会った経緯をお聞かせください。

ふたりとも同時期にニューヨークに留学しており、同じ服飾系インターンシップ先で出会いました。当時からよく気が合い、いつか一緒に何かビジネスができたらいいねと話していたんです。帰国後、再会を機にビジネスを立ち上げることになりました。

―そこから『RYE TENDER』がスタートしたのですね。

始まりはコロナ禍でのマスク不足でした。OEM事業で長年お付き合いのあった工場がマスク製造の設備を導入した事もあり、日本での流通を打診されました。
当時、マスク不足で市場が高騰していたので、商社時代に培った物流のスキームを駆使すれば必要としている方に安くお届けできるのでは無いかと思い、DtoCでの小売りに挑戦しました。その際に経験した“生産から小売まで”ワンストップでの組み立てが今の「RYE TENDER」をスタートさせるきっかけの一つになっています。

―その後、残糸・残布のアップサイクルプロジェクト『RYE TENDER』を立ち上げたのですね。なぜ残糸・残布に着目したのでしょう?

長年に渡ってOEMを手がけていたことを活かしてビジネスができないか、と考えました。OEMに携わっていると、売る側よりも工場側の現状を把握する機会が多いんです。当時から工場に眠る残糸や残布の多さが気になっていて、これらを捨ててしまうのはもったいないと思っていました。また、世界に先立ってエコな取り組みへの意識が浸透していたニューヨークでの日常生活も、「もったいない」を活かすアイディアにつながったと言えます。
残糸や残布を原料とするなら仕入れも手頃ですし、長年の経験から得意分野であったニットならビジネスとして可能ではないかとブランドのコンセプトを固めました。

―ブランド立ち上げにあたり、大切にしたポイントを教えてください。アップサイクルへの意識もありましたか?

アップサイクルという言葉に関しては、実は後付けなんです。安い原料を使って安いものを売ることもひとつのアイディアではありますが、「安く作って安く売ろう」とは一切考えませんでした。なぜなら、ブランドとしての価値を作らなければ商品として意味がないからです。ブランドとして価値があり、本当に品質のよいものであれば、中高級の価格設定でも売れる。「安さやコンセプトで注目されるよりも、 “いいニットの素敵なブランドだから”という理由で選ばれる服を作らなければいけない」という思いは当初から強くありました。

アップサイクルもそうですが、今はサスティナブルとかエシカルなどへの取り組みが盛んに言われていますよね。もちろん環境問題への紐づけは大切ですし、新しいものを生み出すにはSDGsは避けては通れないでしょう。でも『RYE TENDER』はそこがメインではないんです。
残糸・残布といっても『RYE TENDER』は糸や布のクオリティーにはとてもこだわっています。余っている素材なら何でも使うのではなく、品質がよいものを厳選して使用しています。だからこそそれに見合う「いいもの」を作り、お客様には「いいもの」を長く身につけてほしい。それが『RYE TENDER』の一番のコンセプトなんです。

―確かに今は、何でもSDGsに紐づけられる傾向にありますよね。

作り手もお客様も皆がSDGsを意識することは大切です。でも服にしろ食べ物にしろ、SDGsとかサスティナブルに即した商品です!と声高に語られていても、品質や価格が伴わなければ、目の肥えたお客様は違和感を感じると思います。お客様は、作り手が想像している以上にモノをしっかり見て判断していますから、表面だけサスティナブルっぽいものはリピートされないんです。
今はモノがどのように作られているのか、調べようと思えば調べられる時代です。だから無理して大きいことを言わずに、自分たちの弱みも見せつつモノづくりをするほうが正直なやり方ではないか、と。仮説を出しながら作り、課題が生じたらその都度ブラッシュアップしていくことが大切だと考えています。

―2020年10月に『RYE TENDER』がスタートし、順調に売れ行きも伸びています。

信頼の置けるPRも入れてスタートしたことで、うまく宣伝ができ、メディアが取り上げてくれたこともプラスになりました。ファーストシーズンは追加生産分も含め、商品の95%が完売しました。ベーシックな製品なので、残った分も今季再販予定です。

―これからサードシーズンを迎えるわけですが、モノづくりにおいてのこだわりを教えてください。

誰が何をどう考えて、どのように作っている商品なのかをお客様にお伝えするとでブランドへの理解が深まり、大切にご着用頂けます。同時に、お客様が何を求めているのかを作り手にフィードバックする事で、いい製品が生まれると考えています。

―うまくいっている背景には何があるのでしょう。

生産(工場)や物流、倉庫、PRとよくコミュニケーションを取り、信頼関係があることがポイントです。 モノ作りに携わる現場の人たちにも「自分たちの仕事がそれを着るお客様の笑顔につながっている」という認識が持てると、担い手のモチベーションもアップしますよね。作り手側も、お客様も、どちらもハッピーになれる取り組みをしていきたいと思っています。

―商品企画はどのように?

ふたりでアイディアを出しながら進めています。こういう良い糸があるから、編み方を考えてバリエーションをいくつか出し合って…という感じですね。トレンドや流行りを追うのではなく、良い糸から商品を考えていきます。

これまで日本のファッションビジネスというのは、「今期はこの色やデザインが流行る」というコンセプトがまず先行し、それに合わせたモノが出てトレンドになるという流れでしたよね。でも今は好みが細分化されていて、となりで何が流行しても気にしない人が増えています。つまり、作られたトレンドという流行りに乗るのではなく、自分が好きなものを選ぶというスタイルです。『RYE TENDER』も好きなものとして選ばれ、リピートされるブランドにしたいと考えています。

―『RYE TENDER』のターゲットは、どのような層ですか?

ターゲットは設定していません。年齢、性別、職種、収入など、特定のターゲット層を定めてモノづくりをするのではなく、『RYE TENDER』を購入し、共鳴してくださった方々すべてがターゲットなんです。いや、むしろターゲットと捉えるよりも、共鳴してくださった方々を大切にしていきたいというスタンスですね。
『RYE TENDER』は、誕生したばかりのブランドですから、これからどんな色にも染まっていくでしょう。だからこそこれからもピンポイントのターゲットは定めず、流動的な楽しいブランドにしていきたいですね。だから、シーズンの型数も事前には決めていないんです。そして今後は、『RYE TENDER』を知っていただくことにも力を入れていかなくてはと考えています。

―現在はECサイトInstagramで情報発信されていますね。

Instagramのフォロワーさんは1万人以下ですからまだまだです。一方でSNSを見ない世代にどうアプローチしていくか。たとえばご年配の方々にも興味を持っていただくために、地方紙だけにピンポイントで織り込みチラシを入れてみるのもおもしろいかも、なんてそんなアイディア出しも楽しみながら認知度アップを考えています。
そしてもうひとつ大切に考えているのが「商品に触れていただくこと」です。『RYE TENDER』は本当に素晴らしい原材料から作り上げているので、触って試着していただくことで、良さが実感できる。今はコロナ禍でなかなかそのような機会が持てないことがネックではありますが、定期的にポップアップストアの開催は行っています。直近ですと、10月29~31日に、代官山でのポップストア開催を予定しているので、ぜひ足を運んでいただきたいですね。

また、情報発信という点では、2022年初頭にはWEBサイトを立ち上げて、『RYE TENDER』のモノづくりの内側を発信すると同時に、お客様とコミュニケーションを図れる場を持ちたいと考えています。

―おふたりの想いってすごく熱量を感じます。その原動力はどこから?

自分たちが楽しみながらやっているからでしょうか。楽しいことをやりたい、継続したいという気持ちは、常に持っています。

―今後のお取り組みについてお聞かせください。

現在は、お茶屋さんとのコラボで、余ったお茶で染めたニットを企画中です。『RYE TENDER』は自由度が高いブランドですので、いろいろな可能性があると感じています。『RYE TENDER』の想いに共感していただける方々と出会い、この先どんな新しいコラボができるか、それを考えるのもまた今後の楽しみですね。

<10月開催ポップアップストア情報>
【大阪POPUP】
2021年10月23日(土)〜25日(月)
12:00~19:00 最終日18:00まで
大阪府大阪市西区南堀江1-11-8 ルーブルコート南堀江301  *四ツ橋駅より 徒歩2分

東京POPUP
2021年10月29日(金)〜31日(日)
12:00~20:00 最終日19:00まで
〒150-0034 東京都渋谷区代官山町17−2 アドレス ジ・アネックス 101  *東急東横線 代官山駅より 徒歩1分
➢手編みのニットやカシミアのニットが登場します。

※新型コロナウィルスへの対応について
■ご来場の際には、必ずマスクの着用と、会場入口のアルコール除菌剤をご使用ください。
■会場内の衛生環境には十分注意して開催するため、スタッフはマスクを着用しご案内させていただきます。
■熱や咳の症状がある方のご入場は、ご遠慮いただく場合がございます。
■会場に一定数以上のお客様が集中された場合には、一旦外でお待ちいただく場合がございます。

【本件に関するお問い合わせ先】
pr@ryetender.com

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