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「今必要なのはコミュニティのためのファッション」デザイナー ピパチャラ・ケオジンダ氏

「今必要なのはコミュニティのためのファッション」デザイナー ピパチャラ・ケオジンダ氏

ハイファッションの世界で磨いたセンスと技術を、自らのブランドでは“アート(芸術)&クラフト(伝統技法)”に落とし込んだ「Pipatchara」。彼女が大切にするのはブランドの裏側にあるストーリーと、そこに携わるコミュニティの存在でした。デザイナーのピパチャラ・ケオジンダさんに、コンセプトや想い、最新コレクションについて、そして今後の展望をインタビュー。

Pipatchara Kaeojinda/ピパチャラ・ケオジンダ
PIPATCHARA

タイ・バンコク出身。アメリカ・サンフランシスコでファッションデザインの学位を取得後、ニューヨークのRalph Lauren本社でファーストキャリアをスタート。その後パリのGivenchy本社など一流ブランドでデザイナーとしての経験を積む。タイに戻ると自身のファッションブランド「Jaspal」に参画、2018年「PIPATCHARA」をスタート。

―ブランドをスタートしたきっかけを教えてください。

2018年に私と姉のJittrinee2人で始めたブランドです。私はサンフランシスコでデザイナーとしてファッションを4年間勉強し、そのあと奨学金で5年間パリに行きました。パリでデザインの仕事をして十分なファッションの経験を得たと実感できたので、そろそろ自分で何かを始めようと思い、タイに帰ってブランドをスタート。何かコミュニティ(地域社会)に関われることを始めたいと思っていたんです。今必要とされているのは“コミュニティのためのファッション”だと思ったから。タイには繋がりと、私たちにできることがあると確信していました。

お2人の役割分担は?

私はデザインやクリエイティブ、マーケティングを行っていて、姉はコミュニティとの関係を築いていったり、サステイナビリティについて取り組んでいます。

バッグができるまでの工程やマテリアルのこだわりを教えてください。

私たちのプロダクトはすべてハンドメイドで、手編みのマクラメのデザインが特徴です。タイの北部に製作してくれるローカルチームがあり、なるべく足を運ぶようにしています。販売のマーケットが拡大していくにつれて、コミュニティの広がりも大きくなるんです。マテリアルに関しては、かつてパリでソーシングを経験し、サプライヤーとも知り合えたので、イタリアやトルコ、その他ヨーロッパから取り寄せた質の高いレザーを使っています。だからこのバッグたちは数千マイルもトラベルしてきているんですよ(笑)。それをここタイで組み立てているんです。多くの人に仕事を与えられるよう、タイでプロデュースしています。PIPATCHARAはこのように“様々な要素をミックスする”こともコンセプトのひとつにしているんです。

サンフランシスコでは、アカデミー・オブ・アート大学に通っていらっしゃいましたよね。どうしてファッションの業界に興味を持ったんでしょうか?

母がアーティストだったので、アート、デザイン、ペインティングが常に周りにある環境でした。だから幼い頃から、そういう仕事に就くのだろうと漠然と思っていたんです。ただ、私はファッションファッションするのは嫌だった。私がサンフランシスコで学んだのは、衣類としてのファッションだけでなくて、もっとライフスタイルに寄り添ったもの。何を着て過ごすか、どんな人生を送るか、そこまで踏み込んだものでした。パリで働いていた時、アシスタントデザイナーとしてウィメンズからシューズ、バッグまであらゆるデザインを担当し、その後、GIVENCHYのジュニアプリントデザイナーに。ファッションと言っても本当に様々なフィールドがあります。技術的にもひとつのことだけができればいいというわけではないので、そこでたくさん学ぶことができました。

パリではGIVENCHYなどのハイブランドで仕事を経験したとのことですが、その経験や知識が今に生きている、助けられていると思うことはありますか?

それぞれの会社にそれぞれ独自の働き方、考え方がありますよね。素材の見せ方、色の選び方、コレクションをスタートするためのインスピレーション。そういうことを常に一緒に働く誰かから学んでいく。私も勤めていた各会社で、同僚から多くのことを学びました。vanessabrunoやChloéやGIVENCHYなどが、どのようにまっさらな状態からプロジェクトを一歩ずつ進めていくのかを見てきました。物事をしっかりマネージメントして、期限を守って進めること、セールをかけたり、プリショーを実施したり。今の私は、そういったことがすべて頭の中に入っています。大きな会社に勤められたのはとてもラッキーでした。この経験が自分でブランドを始めるときに、すごく役に立ったんです。まずリサーチをして、次のコレクションのコンセプトを探る。そしてそれを考えるのが一番美しい瞬間なんですよね。

日本とタイのマーケットではどのような違いがあると考えていますか。

まず、日本のマーケットに参入できたことをとても嬉しく思っています。日本のお客様に質の高い商品を提供できること、そして私たちのハンドメイドへのこだわりを伝えられることを楽しみにしています。

タイと日本では多く取り扱う商品を変えています。レザーのクオリティに対してはどちらも一緒で、高品質かつソリッドでなければならないのですが、日本ではさらにデリケートで実用的なバッグが求められています。だから消費者がどのように商品を使うのかを考えて、機能性を高め、日常使いに最適なものを作るようにしています。また、日本はインフルエンサーや芸能人に影響を受けることがタイほど多くはないようです。タイでは広告に著名人を使ってプポロモーションを行いますが、日本では自分にとって実用的で使いやすければ購入してくれる。それが2国の大きなマーケットの違いだと思います。

日常使いしやすさも然り、 PIPATCHARAの他にないユニークなデザインも人気の理由だと思いますが。

とても嬉しいです。日本の方々はマクラメがどんなものかすでに知っていますよね。壁に掛けたり、インテリアのイメージがあると思います。それをバッグに採用するという別の方法で取り入れ、コンテンポラリーに表現していることに驚いてくれています。

今後PIPATCHARAはどのように日本のマーケットで成長していくと思いますか?

私はいつも新しいものを探していて、カスタマーをわくわくさせるようなものを作りたいと思っています。ブランドのことは知っていても、裏側にあるストーリーを100%は知らないですよね。私たちがどのように商品に向き合っているか、なぜクリエイトしているか、裏にある想いを理解してくれたら、さらに価値が上がると思うんです。ひとつの商品に対してどれほどの努力があるか、どんなコミュニティが携わっているのか、どんな生活をしていて、彼らがハッピーでいるのか。日本のマーケットにはそういったビハインドストーリーをお伝えしていきたいです。北部のローカルコミュニティを訪れたある日、今作っているものが日本に送られて販売されることを伝えたんです。そうすると作り手たちは「わあ」と目を輝かせていました。彼らは賃金だけでなく、知識と、素晴らしいものを生み出す技術を身につけていることに幸福感を感じてくれているんです。

―日本で8月19日からスタートする最新コレクション「ブループリント」について聞かせてください。

「ブループリント」はディテールが素晴らしいリミテッドエディションとなっています。作るのがとても難しいんです。実はブランドを始める際、一番始めにローンチしたいと思っていたバッグ。結局ブランドがスタートしてからも2年間ずっと頭の中で構想を練っていて、「今じゃない」「もうちょっと」とタイミングを見計っていました(笑)。すごく長い時間がかかったから「ブループリント(=設計図)」と名付けたんです。世界初のローンチが、19日に日本で行われる予定。とても楽しみにしています。

最後に、PIPATCHARAのユーザーにメッセージをお願いします。

すでに持っている方も、まだ購入してない方も、ブランドのことを知らない方も。あなたが手に取った、もしくは今後手に取る商品は私だけが作っているのではなく、PIPATCHARAチームとコミュニティのみんなで作っているものだと覚えておいてほしいんです。私はPIPATCHARAを私自身のブランドだと思ったことはなく、コミュニティのブランドだと思ってきました。今はタイだけで作っていますが、将来的には日本のローカルアーティストに製作を依頼するなどして、どんどんコミュニティを広げていきたいと考えています。このコミュニティには、いつだって、誰だって参加することができます。

例えば今、新型コロナウイルスの影響で、病院は医療機器購入のための多額の資金が必要になっています。私たちはそのニュースを拡散し、ドネーションできるようにしました。金額にはこだわらず、寄付してくれた方には小さなハンドサニタイザーをプレゼントするというプロジェクトです。他にもメディカルチームをサポートするプロジェクト”You give, We give”があります。全員がカスタマーにならなくてもいいんです。どんなかたちでもコミュニティに少しでも参加してくれることが嬉しい。大変な人を助けたいという想いを共有していたいと思っています。

PIPATCHARAのプロダクトへの想いは人への想いやりにつながっていました。

ブランドの背後に隠されたストーリーやヒストリーを知り、消費者側も責任意識を持つことが今求められはじめています。プロダクトの購入はそのブランドへのVOTE。正しいブランドの選び方と、バックグラウンドを知ることの大切さを改めて教えられたようなインタビューでした。そんなPIPATCHARAの想いがたっぷりつまった、新作も要チェック!

ポップアップストア情報
日時:2020年8月19日(水)~9月1日(火)10: 00~20:00
場所:小田急百貨店 新宿店 3F イベントスペース
キャンペーン情報
日頃のご愛顧への感謝を込めて、税込20,000円以上ご購入のお客様先着20名に、PIPATCHARAオリジナルグッズを進呈させていただきます。

text:Alice Kazama

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Brand Information

PIPATCHARA(ピパチャラ)

PIPATCHARA(ピパチャラ)

デザイナーのピパチャラはアメリカ・サンフランシスコでファッションデザインの学位を取得後、ニューヨークのRalph Laurenでファーストキャリアをスタートし、パリのGivenchyなどのハイブランドで、デザイナーとしての経験を積みました。 彼女の持つトレンドスタイルへの鋭い視点は、アート(芸術)やクラフト(伝統技法) を日常のスタイルに表現することへの情熱となり、タイ北部で高い技術を持つコミュニティの編む“マクラメ”にフォーカスしたデザインスタイルを完成させました。そして2018年に洗練されたデザインと独自の世界観をもった"コミュニティブランド"として誕生しました。