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日本コカ・コーラが取り組むサスティナビリティーとは?「ペットボトル=悪」のイメージを覆すファクトをわかりやすく伝える手腕!

日本コカ・コーラが取り組むサスティナビリティーとは?「ペットボトル=悪」のイメージを覆すファクトをわかりやすく伝える手腕!

ビジネス界のトップランナーのキャリアと仕事への想いを「丸ハダカ」にする、新感覚対談「Career Naked」。今回登場いただくのは、日本コカ・コーラ株式会社 広報・渉外&サスティナビリティー推進部 シニア・サスティナビリティー・マネージャーである田口美穂氏。大学卒業後、飲料業界に長く従事してきた「飲料業界のスペシャリスト」田口氏に、同社が取り組むサスティナビリティーの現状や、環境問題に関する想いについて伺った。

田口 美穂さん
日本コカ・コーラ株式会社 広報・渉外&サスティナビリティー推進部 シニア・サスティナビリティー・マネージャー
大学卒業後、大手国内飲料メーカーなどを経て、日本コカ・コーラに入社。直近では、ロングセラーのミネラルウオーターとして定着した「い・ろ・は・す」のマーケティングのブランドマネージャーを務めたのち、2021年3月より、同社のサスティナビリティー推進部門を担当。

北川 加奈さん
エーバルーンコンサルティング株式会社 ヴァイスプレジデント
静岡県浜松市出身。大学卒業後イギリスへ留学。帰国後は地元の静岡にて塾講師として勤務。2008年ウォールストリートアソシエイツ(現エンワールド)入社のため上京。2017年にAllegis Group Japanに入社し、ASTOM CARTERプリンシパルコンサルタントとして勤務。2021年1月、エーバルーンコンサルティング入社。

エコボトルの先がけ「い・ろ・は・す」を担当したことが、環境問題を考えるきっかけに

― 田口さんは、ずっと飲料業界で仕事をされていますが、そもそもなぜこの業界を選んだのでしょう。

昔からおいしいものが大好きで、食品に興味があったので、食に関する仕事がいいな、と思っていました。飲料も食のひとつですしね。いまだにおいしいものは大好きで、いい大人になった今でも「食いしん坊」って周囲からは言われるんですよ(笑)。

― 日本コカ・コーラに転職されてからは、どのようなお仕事を?

最初はチャネルやカスタマー担当の仕事をし、その後マーケティング部門に移り、お茶、スポーツ飲料を担当、直近では日本の天然水「い・ろ・は・す」(以下「いろはす」)を担当していました。サスティナビリティー推進部に異動したのは2021年3月です。国内外でSDGsやサスティナビリティーの意識が高まってきたこともありますし、コカ・コーラシステムでも、サスティナビリティーの取り組みを強化する体制になっていました。それまでは、環境に配慮したブランドの「いろはす」を担当していましたが、今度はコカ・コーラがシステムとして推進するサスティナビリティーの活動を発信していきたいと思いチャレンジしました。

―「いろはす」を担当されたことが大きかったのですね。

「いろはす」は、環境を意識したブランドとして2009年に発売されました。私はこの数年「いろはす」に関わり、環境への意識が高まっている消費者の反応も見てきたので、これまでの経験が活かせたらいいな、と。

― サスティナビリティー部門を担当されて1年が過ぎましたが、やってみていかがですか。

マーケティングを担当していたときは、アイデアや仕掛けを作る側でした。今は会社としてやっていることを発信する立場です。でも伝えるメッセージの本質はどちらも変わりませんから、いろいろ学びつつ、楽しみながら仕事をしています。

「いろはす」のマーケティング経験が、現在の仕事に繋がっている

「ペットボトル=悪」は、大きな誤解

―「いろはす」のボトルは、発売当初から、軽くてつぶしやすいので、回収しやすいペットボトルとしても知られていましたね。でも今って、脱プラスチック・脱ペットボトルという風潮があって、ペットボトルも悪者扱いされていますよね。

そうなんです。ペットボトルって、海洋ゴミの悪者代表みたいに言われています。でもペットボトルが全プラスチックのなかで占める割合は約7%。そのうえリサイクル率が高く、再利用しやすい資源です。世界中でペットボトルのリサイクルが推進されていますが、日本における回収率はとても高くて、実は約96.7%も回収されているんです。(2020年実績)

― それは意外!私も日本での回収率はそれほど高くないと思っていました。

海外での回収率は意外と低く、再利用のための設備も国によってはあまり整っていません。一方、日本は回収率も高いし、サプライヤーの設備も整っています。ただし、回収されても何にリサイクルされるのかが重要です。当社も含め、飲料業界全体で、ボトルtoボトル、つまりペットボトルを、再びペットボトルにリサイクルすることを推進しています。

― ボトルへの再利用のための条件はあるのですか?

きれいなペットボトルを回収することです。例えば自治体などで行う回収は、文字通り資源の回収であって、ペットボトルはゴミじゃなく資源という意識が多少なりともありますよね。だから回収されるペットボトルもきれいなものが多い。でも自販機の横などにある回収ボックスには、タバコの吸い殻や、お弁当のケースなどのゴミ類、飲み残しが入ったままのボトルが捨てられていることも多くて、こうなってしまうときれいなものが回収できません。回収ボックスには「ゴミは捨てないで下さい」などと大きく表記されているものの、いろいろなゴミが捨てられているのが現状です。

今は外のゴミ箱の数そのものが減っていますよね。そのせいもあって、自販機横やコンビニの回収ボックスが、ゴミ箱がわりになってしまっていることも影響していると思います。

― きちんときれいなものが回収されればペットボトルは有効に再利用されるのに、もったいない話ですね。

ペットボトルは正しく回収・リサイクルされれば生まれ変われる素材です。だからいかにそれをたくさんの方々に認知していただくかが、私たち飲料メーカー側の役割でもあると考えています。

でもこうした話題って、少々小難しい話になりがちです。そこをいかにわかりやすく伝え、気軽に実行していただくにはどんな表現がいいのかを私はいつも模索しています。

ペットボトルの再利用を促すため、リサイクルの啓蒙活動を積極的に行っている

「めんどくさくない」「気持ちいい」が続けられる秘訣

― ペットボトル以外の環境への取り組みについてはいかがでしょう。

飲料を製品化するには「水」をたくさん使うので、製造過程で使用した水を自然に戻す取り組みも行われています。日本のコカ・コーラシステムでは水源涵養(かんよう)率355%を達成、つまり、使った水の3.5倍の量を自然に戻しています。

日本のコカ・コーラシステム独自の「ピークシフト自販機」の活用によって節電するなど、さまざまなプロセスにおいてCO2の削減を行っています。

これらは企業内での大きな取り組みなので、消費者にはわかりにくい部分だと思いますが、目に見えるものだと、先ほどからお話しているペットボトルの回収&リサイクルだったり、ラベルレスボトルなどがわかりやすいのではないでしょうか。

― 商品名がそのままボトルに刻印されたペットボトル、あれってカッコいいですよね。回収の際、ラベルをはがす必要もないですし。

「いろはす」「コカ・コーラ」などのラベルレスボトルは、まだオンライン販売が中心なのですが、売上も伸びています。

ラベルレスボトルの商品ラインナップも増加中だ

― めんどくさくない、ってすごく大事ですよね。

そうなのです。メーカー側が、リサイクルとか環境に配慮したとかを言っても、めんどうなことってやりたくないですよね。消費者にきくと、ラベルレスのメリットは、環境問題に貢献しているという意識もありますが、ラベルをはがすわずらわしさがないところが実は評価されているのです。

― めんどうじゃないから続けられるメリットもありますね。

環境に配慮した活動って、手間がかかるというイメージが多少なりともありますよね。数年前から流行ったマイボトルもやってみるとちょっと手間がかかるから、一時期はみんなマイボトルを持っていたのに、めんどうくさくてやめてしまった人も多いようです。

― 確かに私も「ペットボトル=悪」というイメージがあったので、マイボトルブームにのっかって、マイボトルを持ち歩いていましたが、毎日洗う手間がめんどうで。洗うために水も洗剤も使うし、本当にこれってエコなのかなと思いながら洗っていました(苦笑)。水を補給するための場もあまりないですしね。

ペットボトルは悪者ではないのです(笑)。実行できて、続けられないと意味がありません。今はブームだから何となくやっているけど…ではなくて、気軽に続けられないと定着しませんよね。

あるとき、「環境のよいことをすると心地よい」、とおっしゃった消費者の方がいて、あ、これだ!と思ったのです。環境に良い行動=心地よい、と感じられたら、心にとってもヘルシーだし続けることができますよね。消費者から学ぶことって本当に大きいのです。

― すばらしいお話ですね。確かに少し前だと、身を削って貢献してこそエコ!みたいなイメージがありましたが、我慢したって続きませんよね。

このところ、SDGsとかサスティナビリティーという言葉が一人歩きしているような気がします。サスティナビリティーなことをやりましょう!やらなくちゃ!という意識ではなく、自分ができることをやってみて、それが心地よければ、それでいいと思います。

― そのためにも企業としてはどう取り組み、発信していくべきだとお考えですか。

まずは日本のコカ・コーラシステムとしての活動をファクトと数字で示し、正しく発信していくことが必要だと思います。私たしがこうしたサスティナビリティーの取り組みをなぜやるのか、それによってどのような効果が出ているのか。消費者の方が、それを理解して、私たちの取り組みに共感し賛同いただけたらいいなと思います。

「いろはす」は、2020年3月には100%リサイクルのPETボトルを導入していますし、2021年5月には、コカ・コーラの主要製品も100%リサイクルPETボトルに切り替えました。100%リサイクルPETボトルに切り替えることによって、1本あたり約60%のCO2が削減できます。こうした事実をしっかりと消費者に提供することが大切だと考えています。

― 日本のコカ・コーラシステムとしては、環境に関する具体的な目標を定めているのでしょうか。

今お話ししたように、「いろはす」「コカ・コーラ」を含め、現在5つのブランドで100%リサイクルPETボトルを使用しています。現在販売している飲料のPETボトルへのサスティナブル素材使用率は、2021年には40%を達成しました。

また、2030年までには、すべてのPETボトルを100%サスティナブル素材へ切り替えることを目指していますので、それに向かって努力しなければなりません。私の立場としては「ペットボトルはゴミではなく資源である」ことを発信し続け、消費者の皆様のご理解を広げていきたいです。

自分ができることからやってみることが活動の第一歩目。まずは正しい知識を身につけることが大切だと語る

取材:伊藤郁世
撮影:Takuma Funaba

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「エーバルーンコンサルティング(A Balloon Consulting)」は、東京と大阪を拠点にしたファッション業界に特化した人材紹介サービス会社。販売スタッフからエグゼクティブクラスまで、ファッション業界の優良な人材と企業をつなぐエージェントとして、多くの紹介実績を持つ。