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外資系ブランドのリテールマネージャーが語る ブランドにおけるリテールの役割とは!? 「私たちのブランドは何者か…」を伝え続けるために必要なこと

外資系ブランドのリテールマネージャーが語る ブランドにおけるリテールの役割とは!? 「私たちのブランドは何者か…」を伝え続けるために必要なこと

販売職から本社勤務へのキャリアチェンジを成功させてブランドの第一線で活躍する方々に話を聞き、仕事への姿勢を学んでいく「本社の壁」企画。今回は、外資系ブランドでリテールマネージャーを務めるH氏が登場。さまざまなハイブランドで販売やリテールを経験した知見から、リテールマネージャーという仕事について語ってもらう。自身の職種の役割は「ブランドをより良くすること」、そして大切にしていることは「少しでも時間ができたら店舗に行く」こと。明快ながらブランド運営の核になる重要なポストの醍醐味について聞いた。

H氏プロフィール
大学卒業後、大手ラグジュアリーブランドへ入社し販売を3年間経験。その後テーラー系ブランドでストアマネージャーや本社職を経験し、別の外資系ブランドにてリテール職種を経験。その経験を活かし、現職のではリテールマネージャーとして日本国内のリテールを統括している。

リテールは「本社」と「現場」の延長線上にいる職種、“本社にいない”方が良いリテールマネージャー!?

― リテールの仕事内容を簡単に説明すると?

会社やブランドの規模によってまったく違ってきますが、小さい規模のブランドでは“なんでも屋”としてトレーニングなどの業務もこなします。現職は組織が細分化されているので、いわゆるお店をよくする仕事が主な役割。ブランドのアイデンティティーがお店で正しく体現されるために維持するのがリテールマネージャーの仕事です。

オーナーや創業者の想い、ブランドの方向性をお客様へ伝えるために、ブティックの長である店長との接点を担っているんですね。

店舗がブランドの方向性と全然違う方を向いていることは多々あります。だから我々リテールマネージャーは店長を通じて「私たちのブランドは何者なのか」という部分をお客様に伝えています。そういう意味ではリテールは現場の延長線でもあり、社長をはじめとした本社の延長線でもあるというイメージです。

― リテールマネージャーの仕事を行う上で大切なことは何ですか?

自分は店舗に行くことを大切にしています。リテールマネージャーは基本的には本社内で働く人間で、社内には上司も社長もいる。本社の中で仕事をしている方が上司に気に入られるかもしれませんが、僕は“本社にいない”方が良いリテールだと思っています。主戦場は店舗なので、時間を作っては店に寄ってスタッフと他愛もない話をしながら、お客様にきちんとしたサービスが行き届いているのかを確認していますね。前職では社長に「本社で君の顔を見たくない」とよく言われていました(笑)。売り上げが悪いと、本社内でデータなどを引っ張り出してきて分析しがちなのですが、すべての答えは現場にあるということをずっと念頭に置いて仕事をしていますね。

なりたい職種を目指すには社内人事におけるディシジョンメーカーを知ることが第一歩、そしてやりたいことだけでなく、やるべきことをしっかりやる

― 販売職からリテールを目指す上で必要な素質はありますか?

組織的な話にはなりますが、社内人事におけるディシジョンメーカー(決裁者)を知るということが重要です。お店で働いているスタッフに将来何をやりたいのかと聞くと、「VMD」「マーケティング」「営業」とは言うのですが、“誰がそれを引き上げるのか”という部分を知らない。例えばリテールマネージャーに引き上げてほしい場合、前任者に自分のことを指名してもらうのが一番近道。そしてその承認を出すのがCEOかディレクターで、他の部署の人からの承認も必要なので、社内政治ではないのですが、そういったバランス感覚も大切かなと思います。

また、本社から「こうやってくれ」と指示を出しても「そんなこと、できないです」と本社の気持ちを汲み取らず、お店側の気持ちばかりを優先する…これは絶対にいけない!自らの役割をまっとうせず、言いたいことだけ言う人には仕事は回って来ないですね。あとは、自分が本社に行ったときに発信したい内容をブレずに他のスタッフに伝えることを続けていれば、自然と引き上げられるでしょう。そうやって現任のリテールマネージャーが辞めるときに、後任として名が上がるように準備しておくことで可能性はぐんと高くなると思います。

― リテールに英語スキルは必要ですか?

自分も含めて英語が堪能ではない方が多いのが実情ですが、確かに苦労はします。英語さえ喋れたら…と思うことも多々ありました(笑)。ただ、英語が堪能でも他に何もスキルがない、言っていることに具体性がない人がいることも事実です。それよりも、スキルや話している内容の具体性の方が大切なんじゃないかなと思いますね。極論、言葉は通訳を通せばいいので(笑)。自分が狙っている企業は、どういった役割を担う人材を欲しているのかを知ることが大事。もし先方が語学よりも別のことを欲しているのであれば、その部分をアピールすればいいんです。

― 現場からリテールになることができたポイントは何だと思いますか?

先ほどもお伝えしたディシジョンメーカーや社内組織の仕組みを理解していたからだと思います。上の人が後任を指名して、その後任が上司に承認される、というプロセスに乗れなければどうあがいても上には行けません。一つ上のレポートラインに評価され、その人を取り囲む他部署や直属の上司への説得力を増していくのが大切です。

― 最後にリテールマネージャーの後のキャリアパスはどんなものがあるでしょうか?

弊社ではリテールマネージャーとしてコツコツ今の仕事をしっかりと続けていくことだと思っています。ただ、自身の適性としては本社で働くよりも店舗で働く方が居心地が良いな思うことがあるんです(笑)。かつては店長よりも本社の方が上だとか、現場より本社の方が上だという思いも正直あったのですが、あと20年のキャリアを考えた時に、店に立ってスタッフたちと働く方が快適なのかなと思うこともある。

でもリテールマネージャーに上がったら、リテール畑を歩くのが一般的。リテールマネージャーからPRやディレクターなどになるよりは、リテール系で上がっていくのがベースだと思います。

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