「音楽・飲食・空間のプロとセッションしながら他にはない場所を作る」――恵比寿ブルーノート・プレイスの持つ新しい魅力
「音楽」と「食」を同時に体験できる新しいエンタテインメント空間「BLUE NOTE PLACE(ブルーノート・プレイス)」が、昨年12月6日に恵比寿ガーデンプレイスにグランドオープン。吹き抜け2階建ての開放的な空間に、ライブステージとDJブース、ダイニング、バー、ラウンジなど、多様なシーンに対応するスペースを配した新業態の大型ダイニングである。毎晩繰り広げられる音楽ライブやDJイベントに加えて、ランチ、ディナー、バー、テイクアウトスタンドまで手がけるブルーノート・プレイスのこだわりと、新たな可能性を片岡さんに訊いた。
片岡 千草さん/株式会社ブルーノート・ジャパン マーケティング部 広報・宣伝担当
大学卒業後、大手銀行で企業の外国為替取引と輸出入取引業務に従事。その後、中小広告代理店で企画・営業職として、クライアントの多様な商品やサービスのプロモーションに携わる。
「ブルーノート東京」今年で開店35周年、日本一のジャズクラブが南青山にある理由
― 御社の歴史を拝見すると、南青山の「ブルーノート東京」の開店が、株式会社ブルーノート・ジャパンの設立より早いんですね。
はい、ブルーノート東京は1988年の開店で、ジャパン社の設立は2003年です。代表は元々ファッション業界出身で、ニューヨークで現地のジャズクラブを訪れた際、アーティストとオーディエンスの距離の近さ、濃密な空間に感銘を受け、そのような場所を日本に作りたいと、アパレル企業の一事業として立ち上げました。新宿や渋谷ではなく南青山にオープンしたのは、ファッションビジネスに携わってきた代表のセンスによるところが大きいと思います。1998年に骨董通り沿いから今の場所に移転しましたが、南青山という文化の醸成に適した場所だからこそ、35年間に渡って日本独自のブランドを育んでこられました。
― 現在のジャパン社の事業内容を教えてください。
ライブ・イベントを企画制作するエンタテインメント事業と飲食事業の2本柱です。現在運営しているライブレストランはブルーノート東京とコットンクラブの2店舗。飲食店はカフェダイニング店舗を中心に「ブルックリンパーラー新宿」「104.5(イチマルヨンゴー)」「セッション」などのほか、昨年12月に新業態ダイニングとして「ブルーノート・プレイス」をオープンしました。従業員はアルバイトを含めて約400名、運営を統括するバックオフィスには約30名が所属しています。
― 片岡さんのキャリアについてお伺いします。 片岡さんは入社何年目ですか。
キャリアとしては3社目で、入社から今年で7年目になりました。前職は広告代理店です。様々な業種・会社のプロモーションを担当しているうちに、事業者側に立って一貫したマーケティングやブランディングに携わりたいという思いが強くなり、ジャパン社に入社しました。もともとブラックミュージックが好きで大学時代にはアメリカの黒人文学を専攻したり、飲食のアルバイトをしたりと、音楽も食も両方好きだったのも入社理由の一つ。入社してモーション・ブルー・ヨコハマの広報・宣伝業務に携わった後、ダイニング・カフェ店舗や、大型音楽イベントなどのPR業務に従事しました。
ブランディング的な要素が強いPR。ブルーノート・プレイスに立ち上げから関わる
― 片岡さんの入社後の職歴をお聞きすると、一般的なPRとは役割・内容が少し違いますね。
そうですね、私は社外イベントや店舗開発など、プロジェクトの立ち上げや進行と並行してPRをすることが多いです。社外イベントは、「Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN(ブルーノートジャズフェスティバルインジャパン)」や、神田淡路町でのジャズイベント「JAZZ AUDITORIA in WATERRAS(ジャズ・オーディトリア イン ワテラス)」などに携わりました。店舗開発ではこれまで6店舗の立ち上げに関わりましたが、いずれも関わり方が異なり携わる領域も広いので経験値が上がりました。
― ブルーノート・プレイスの立ち上げからの関わり方を教えてください。
コロナ禍より前に、恵比寿ガーデンプレイスを運営・管理するサッポロ不動産開発社から、施設のリニューアルに際して「恵比寿の街に音楽を」というコンセプトで店作りのお話をいただきました。施設の顔とも言える場所で店舗面積も約380坪と広く、私たちとしても大きなチャレンジでしたが、街に音楽を根付かせたいという思いに賛同し出店を決めました。恵比寿の街や施設の特性をふまえつつ、「新しいブルーノート」はどういう店であるべきかを代表や各セクションとイメージを共有しながら店舗のコンセプトやコンテンツを詰めていきました。
― 今回のブルーノート・プレイスの開店は、想定外のコロナ禍で、何が大変でしたか。
「ライブ、外食、人が集まる」こと自体がネガティブとされる雰囲気で、オープン日の見通しが立たない中プロジェクトを進めるのは物理的にもモチベーション的にもしんどい部分はありました。たとえばメニュー開発ひとつとっても、スタッフで集まって試作や試食が出来なかったり。「音楽が聞こえる街」というイメージはありましたが、コンセプトも手探り状態の時期が長かったように思います。昨年の5月に工事が始まり、そこから一気に並行してコンテンツを作り始めたので、動き始めてからのスピード感もかなりタイトでしたね。
― 試行錯誤を経て、昨年12月6日にオープンしましたが、片岡さんが考えるブルーノート・プレイスの“こだわり”のポイントは何でしょうか。
まず空間の面では、上質なカジュアル感にとてもこだわりました。昼間は自然光が入り、吹き抜けの開放感があります。設計は乃村工藝社A.N.D.の小坂竜さんのチームが手がけており、音楽と会話の両立に配慮した席の配置や、1階と2階で異なるステージの景色など、贅沢なインテリアと空間設計に皆さん驚かれます。照明には本物の楽器の弦を使うなど、細かな部分に遊び心も。音響も田口音響研究所製で、飲食店としてはこの上ないサウンドクオリティーになっていると思います。
料理は今回「モダンアメリカン」をテーマとしています。昨年7月にシェフや立ち上げメンバーと一緒にニューヨーク、ニューオーリンズ、サンフランシスコを視察でまわったことで、色々とアイディアを膨らませることができました。たとえばジャズ発祥の地ニューオーリンズには、アメリカ南部とフレンチなど複数の食文化が混合した独特なクレオール料理というものがあるのですが、その代表的なスープ料理“ガンボ”や、揚げドーナツ“ベニエ”をブルーノート流にブラッシュアップして提供するなど、音楽とも親和性のあるブルーノートならではのメニューになったと思います。食事とのペアリングや飲み心地の良さからワインはナチュールに力を入れています。
ライブやDJイベントは毎晩開催しており、新世代のプレイヤーやジャズに限らず幅広いジャンルを意識したラインナップと、基本1100円のテーブルチャージでライブとともに食事を楽しめる気軽さが特徴です。ライブの日もミュージックセレクター(DJ)が入るのですが、ライブ演奏の前後と間に音楽を繋いでくれることで、良い時間の流れ・リズムが生まれるのと、お客様がDJに声をかけたり曲を質問したり、新しいコミュニケーションや音楽との出会いが循環しているのがすごく良いなと感じています。
― 店舗が完成、オープンしていかがでしたか。
イメージしていたものが予想以上に形になりつつあるなと実感しています。ランチではベビーカーを連れたママ友が集まったり、ご近所の常連さんもすでに多くいらっしゃいます。ディナーは出演アーティストやライブ目当ての方はもちろん、食事目的の方や新しい話題の場所として訪れてくれる方も多く、色々な入り口から興味を持っていただけている印象です。まだオープンして3ヶ月程で、改善点も今後のアイディアも色々あるのですが、ブルーノート・プレイスだからこそできることに積極的に取り組んで行きたいです。ジャズやジャズクラブにハードルの高さを感じていた方や、ブルーノートに食のイメージがなかった方などにも来ていただけるよう裾野を広げていきたいですね。
ブルーノートは新しいモノに対する探究心がある人の活躍の場
― 片岡さんが感じる、ブルーノートの会社としての魅力は何だと思いますか。
自分が働いていて楽しいなと感じるのは、音楽も食も、お客様の反応をダイレクトに見られるところです。エンタテインメントのリアルな体験や感動を肌で感じることが、モチベーションになっていますね。音楽と食の両方を自社でやっている企業は意外と珍しく、セクションごとに個性やこだわりも強いので苦労することもありますが(笑)。「自分たちが本当に良いと思うものを届けたい」という気持ちとクオリティーに妥協しない姿勢が皆共通している点は強みだと思います。
― では、御社が求める人材像を教えてください。
ブルーノート東京は今年で35周年になりますが「さりげなく常に進化する」ことができる店であり、企業でありたいと思っています。店舗それぞれに異なった魅力のある職場ですので、音楽や飲食の経験値が少なくとも、常に本質を見極めながら新しいことへの探究心がある人にぜひジョインしていただけたらと思います。
現在、「ブルーノート・ジャパン」では、正社員及びアルバイトの募集を行っています。記事を読んでご興味を持った方、働き方や考え方に共感した方は、ぜひこちらからご応募ください。
撮影:Takuma Funaba
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