世界を牽引するラグジュアリーファッションのオンラインリテーラー「YOOX NET-A-PORTER(ユークス・ネッタポルテ)」。20年以上の経験と実績を誇り、より国際的にビジネスを広げた世界最大級のコンテンツおよびコマースを有するオンラインリテーラーだ。日本では2004年からサービスを展開し、その4年後にはオフィスを設立。オンラインサイトでは日本語にも対応し、日本市場でも勢いを増している。そこで、同社の中国本土を除くアジア太平洋地域と日本を統括する日本・APACのゼネラルマネージャー/ナタリー・リー氏に、日本市場に対する考えや期待、グローバル企業ならではのカルチャーなどさまざまなお話を聞いた。

ナタリー・リー（Natalie Lee）さん／APAC・日本ゼネラルマネージャー
ナタリー・リーは、2022年にAPACゼネラルマネージャーに就任後、2023年2月より現職に就任しました。香港を拠点に、急成長を続ける日本およびAPAC全体のビジネスローカリゼーションや価値創造を統括しています。以前に勤めていたVestiaire CollectiveではAPAC副社長としてAPACを主要市場へと牽引しました。また、韓国国内で最大かつ急成長を続けるECプラットフォームCoupang、東南アジア最大のオンライン・ファッション小売企業Zaloraにて、カテゴリー ディレクターを務めました。ナタリーは高麗大学（韓国）を卒業し、コロンビア大学（米国）でMBAを取得しています。

 ー YOOX NET-A-PORTERについて詳しく教えてください。

海外における高級ファッション通販の先駆け的存在の、YOOX（ユークス）とNET-A-PORTER（ネッタポルテ）が合併し生まれたのが「YOOX NET-A-PORTER（ユークス・ネッタポルテ）」です。YOOX（ユークス）は、2000年にイタリアで設立されました。一方、同じく2000年にロンドンで設立されたのがNET-A-PORTER（ネッタポルテ）です。両者は2015年の秋に合併し、NET-A-PORTER、MR PORTER、THE OUTNET、YOOXといった4つのマルチブランド・オンラインストアを通じて、20年以上にわたってラグジュアリー、ファッション、スタイルのショッピングや体験に変革をもたらしてきました。

ー 両者は元々は全く別の組織だったんですよね？

はい、その通りです。YOOX NET-A-PORTERを構成する4つのオンラインストアは、全く別でありながら、それぞれの特徴を生かしつつ、また補完し合いながらお客様へ卓越したサービスと商品を提供しています。

ー 最近では、日本でも知名度があがってきていますね。

日本オフィスは2008年に設立しましたが、日本でのサービス展開は2004年から行っています。ですから、歴史は長くなってきていると思います。

しかし、「THE OUTNET」は日本語のサービス提供から今年でまだ5年しか経っていません。また「NET-A-PORTER」や「MR PORTER」は、日本のお客様によりショッピングをお楽しみいただくため、2023年の2月に日本語版サイトを立ち上げたばかりです。

ー ナタリー・リー氏、自身の経歴について伺います。

私は、通算すると20年ほどファッションの世界にいます。母は、ファッションデザイナーで、父はビジネスマン。母親の影響でファッションに興味はありましたが、どちらかと言うとビジネスの方により強い関心がありました。そして今ではファッションとビジネスを融合した仕事に携わっていて、とてもエキサイティングに感じています。

ー YOOX NET-A-PORTERに入社するまでのキャリアについて教えてください。

私自身のキャリアのスタートは、韓国のファッション会社から。Eコマースへ移ったのは、ニューヨークにいた時にYOOX（ユークス）と仕事する機会があり、とあるプロジェクトに参加したことがきっかけです。私はデータを見ることや、データ分析をすることがとても好きでしたし、このプロジェクトが私にとって目が覚めるような経験だったのです。それ以来、シンガポールや韓国、香港のEコマースで働いてきました。

現在では、中国本土を除いた、日本を含むアジア太平洋地域をマネジメントしています。

ー 次のチャレンジに YOOX NET-A-PORTERを選んだ理由は？

 YOOX NET-A-PORTERを選んだ理由は、ラグジュアリー、ファッション、スタイルのショッピングや体験に20年以上にもわたって変革をもたらしてきた偉大なEコマース会社だったからです。

アジアでは、国際的なラグジュアリーEコマース企業であるYOOX NET-A-PORTERにとってビジネスチャンスが広がっています。なぜなら、様々なエクスペリエンスやバリューをお客様に提供できるからです。例えば、それぞれの国でアクセスするのが難しいようなグローバルブランドの取り扱いがNET-A-PORTERでは約700、MR PORTERでは約500にも及びます。まさに、各国の国内競合他社と差別化するバリューであり、私が魅力を感じた部分でもあります。

ー 日本市場の重要性

YOOX NET-A-PORTERは、世界的に見ても最大のラグジュアリー市場の一つとして日本市場を捉えています。日本や韓国、東南アジアではさらに成長する大きな可能性を秘めています。各市場に即した顧客体験を提供できる強さや可能性がYOOX NET-A-PORTERにはあります。

ー 日本における事業ポートフォリオを教えてください。

日本では、「NET-A-PORTER」「MR PORTER」「YOOX」「THE OUTNET」といった、マルチブランドを扱う4つのオンラインストアを運営しています。また、日本にはオフィスと流通センターにそれぞれローカルチームがいます。

現地オフィスを構える唯一の市場が日本であり、より日本のお客様のニーズに沿ったサービスを提供したいと考えています。まさにYOOX NET-A-PORTERにとって日本が重要な市場である表れです。また、私たちはローカライゼーションとパーソナライゼーションを大変重視しています。現地にチームを置くことで、お客さまの傾向を理解するのに役立ち、カスタマーケアを現地の言語で提供できます。市場に即したサービスの一例ですが、日本のYOOX（ユークス）やOUTNET（アウトネット）では、日本のお客様にはなじみ深い代金引換払いに対応しており、香港や他のアジア市場ではサービスの提供をしていません。このように、私たちはカスタマー・エクスペリエンスの最適化に尽力していきます。

ー 日本における「量より価値を重視する」戦略で大事なことは？

お客様は単にトレンドだけを求めていらっしゃるわけではありません。より長く愛用できるものを買いたいというニーズが高まっています。この世界的な潮流は日本のお客様にもよく当てはまっています。私たちにとってはクオリティーがすべてです。ブランドがどのように製品を製造しているかという点も重視しています。例えば、NET-A-PORTERに「NET SUSTAIN（ネット・サステイン）」というプログラムがあるのですが、製品がどのように作られているのかを理解し、よりサステナブルな商品をラグジュアリーカスタマーへご紹介しています。

ー  YOOX NET-A-PORTERカルチャーとは？

 YOOX NET-A-PORTERでは、スタイルを知り尽くし、お客さまに最高の商品を提供しようとする「心からの販売者」と、ファッションの無限の未来を創造する「サステナビリティの革新者」、そして”シームレス”な顧客体験を実現できる「テクノロジーの革新者」を掲げています。

弊社は、伝統的なラグジュアリー業界の気質とスタートアップの環境を融合させた会社です。

また、多種多様なカルチャーに囲まれた環境も魅力的で、イギリスやイタリアなど、グローバルチームと一緒に仕事をする機会が多く、大きく羽ばたきたいと願う人にとっては最適な環境です。

ー 福利厚生について。

YOOX NET-A-PORTERでは、スマートワーキングポリシーに基づき、リモートワークができ、カフェなどの好きな場所で仕事をすることができます。またリモートワークができるのは全体の出勤日数のうち40％。これはフレックス制を希望した全従業員に適用されます。休暇や産休といった、スペシャルケアプログラムも存在します。

ー 有休休暇

 YOOX NET-A-PORTERでは20日間の有給休暇を付与し、従業員に取得を奨励しています。なぜなら、エネルギーに溢れた人材はパーソナルライフとプロフェッショナルライフのバランスが取れていると考えているからです。

ー キャリア育成プログラムも。

そうですね、年齢や勤続年数に関係なく、活躍への平等な機会が与えられます。実力主義に見合うと証明できれば、昇進のチャンスもあります。より早く昇進できるかどうかは、実力とコミット次第です。

また、組織内でのキャリアアップを支援するため、トレーニングや人材育成の取り組みを行っていますし、他国で経験値を積むという選択肢も提供しています。

ー YOOX NET-A-PORTERに入社してよかったというストーリーを教えて下さい。

私はワーキングマザーです。ファッション企業ではマネージメント層は男性が占めていることが多い。しかし、YOOX NET-A-PORTERへの入社当初に参加したワークショップでは、女性（そしてママたち！）であるマネージメント層の同僚の多さに驚きましたし、そのようなことは私にとっては初でした。実際、弊社日本のオフィスの72％が女性従業員です。そういった点でYOOX NET-A-PORTER は他企業とは大きく一線を画していると思っています。

そして会社がオープンで包括的であることをとても大事にする文化があり、私自身とても気に入っています。一人ひとりの違いを理解しようとしてくれるため、あなたがあなたらしく快適に過ごせる環境になっています。

社員が最高の自分になれるよう、地域社会へ積極的に貢献することを目的とした年間 2日間のボランティア休暇を社員に対して付与しています。例えば、今年は東京・表参道での清掃活動や香港でのビーチクリーン活動をおこないました。

ー 今後、 YOOX NET-A-PORTERに入社される人はどんな人を希望しますか？

様々な事業を展開するグローバル企業で活躍するために、知的であり、常に学び続けることに貪欲であり、問題解決力のある人材を求めています。

また、カスタマージャーニーを理解する顧客主義の思考を持つことも非常に重要です。

YOOX NET-A-PORTERのキャリアに関しては、YOOX NET-A-PORTERキャリアサイトをご覧ください。
https://www.ynap.com/careers/