NESTBOWLコラボサービスから誕生した「NEWYORKER60周年×genten25周年」。コラボ成功のカギとは?
NESTBOWLのコラボサービスから多くのコラボが誕生している。株式会社ダイドーフォワードは「NEWYORKER」がブランド設立60周年を迎えるにあたり、NESTBOWLのコラボレーションプラットフォームでコラボの募集を開始。NESTBOWL主催のコラボレーションイベントで「genten」と出会い、互いの想いに共感し、周年企画が重なるためコラボすることになった。コラボ商品は1月11日から特設サイトにてオンライン注文を開始、2月から「NEWYORKER」の一部店舗にて販売予定だ。このコラボは「コラボ・オブ・ザ・イヤー 2023」に選ばれた。両ブランドの担当者にコラボの経緯や成功の秘訣、コラボの価値についてお伺いした。
横田 浩之さん/株式会社ダイドーフォワード ニューヨーカーDiv マーケティング戦略部 部長(写真:左)
2002年、株式会社ダイドーフォワードに入社。婦人服の営業を5年担当した後、マーチャンダイザーを12年経験。その間に顧客管理の電子化やブランド50周年のプロジェクトリーダー、webマーケティングを担当したほか、2つの新規ブランドを立ち上げるなど様々な業務に従事。2018年からチーフMDとeコマース部門の担当を兼務し、2022年からはマーケティング戦略部担当となり、商品戦略を含めチャネルの垣根を無くす新たなマーケティング戦略の推進に取り組んでいる。
古谷 慶次さん/株式会社クイーポ 営業本部 第一事業部 事業部長 執行役員(写真:右)
神奈川県出身。1989年、大手アパレル企業に入社後、主に婦人服の営業職、MD職を経験。2008年、株式会社クイーポに入社。アパレル事業を経て、2017年にgenten事業部へ異動、販売部長、商品部長を経験し、2022年4月より現職。
コラボ成功のカギは“共感”と“尊敬”の気持ち
― コラボが決まる前、どのような周年企画を考えられていましたか。
横田さん(以下、「NEWYORKER」横田):「NEWYORKER」が60周年を迎えるにあたり、100周年に向けてリスタートする年にしたいと思っていました。改めて私たちの基本的な価値観を「Timeless Wardrobe(タイムレスワードローブ)」と定め、お客様にとって長く愛着を持って着られるものをつくろうと考えていたのです。
私たちは服づくりを行うブランドなので、服と合わせる服飾品が得意なブランドさんと何かできないかと思い、NESTBOWL主催のコラボレーションイベントに参加させてもらいました。
古谷さん(以下、「genten」古谷):「genten」25周年を記念すべき年にするべく、外に向けて発信していきたいと考えていました。特に新しいお客様を獲得するために、他のブランドとコラボできたらいいなと。
―「NEWYORKER」と「genten」がコラボに至った経緯を教えていただけますか。
「NEWYORKER」横田:イベントで古谷さんに声をかけていただいたのが始まりです。もともと「genten」を知っていましたが、改めてサイトを拝見し、環境を大切にしながら丁寧にものづくりをされている姿勢に感銘を受け、私たちの服づくりにかける想いと共通する部分を感じました。
コラボの決め手は2つあり、1つは革製品が我々のビジネスウェアと相性が良いことです。2つ目は、社内のデザインの部署もコラボに前向きだったことです。企画は経営陣だけで決めるより、実際に取り組むメンバーの共感があった方がうまく進められると思います。
「genten」古谷:「NEWYORKER」のサスティナブルで環境に配慮したものづくりの姿勢は「genten」と相通じるものを感じたので、喜んでコラボさせていただきました。
また「NEWYORKER」の象徴であるハウスタータンの柄と、我々の得意なカットワークを組み合わせたら面白いバッグができるのではと思ったのも大きな決め手です。
― コラボ前から商品のイメージがあったのですね。
「NEWYORKER」横田:そうですね。初めてデザイナーを含めて打ち合わせをした時に、商品づくりの方向性が8割ほど決まりました。スムーズに商品づくりができたのは、あらかじめ両者の共通点と強みを把握していたからではないでしょうか。
両ブランドとも素材を大切にしているという共通点があります。一方で、革のデザインや色のつけ方は、私たちの踏み入るべきところではなく、「genten」の強みを発揮する部分。その分私たちはバッグの付属品で「NEWYORKER」らしさを発揮できないかと模索しました。
「genten」古谷:共感をベースとしたコミュニケーションは大切ですね。コラボに関わったメンバーは、温度感が似ていてとてもコミュニケーションが取りやすかったです。
― コラボ商品のこだわりを教えていただけますか。
「genten」古谷:コラボ商品はカットワークバッグとサコッシュの2種類です。カットワークバッグはミネルヴァレザーに「genten」が得意とするカットワークを施し、中には「NEWYORKER」を象徴するハウスタータン柄のインナーバッグが入っています。カットワークからハウスタータンが覗くデザインです。通常、私たちは黒色の革製品をつくらないのですが、ハウスタータンに似合い、ビジネスシーンを含めた普段使いができるように黒を選びました。
サコッシュは「genten」で人気の形です。軽く、傷がつきにくい山羊革を用い、インナーにハウスタータンの布を贅沢に使用しています。どんなコーディネートにもマッチしやすい洗練されたショルダーです。
― コラボ商品のターゲットを教えていただけますか。
「NEWYORKER」横田:既存のお客様にも喜んでいただけるでしょうし、新たなお客様にも知って頂けると思います。私たちのお客様のなかには「genten」の商品を買われている方々もいらっしゃると想定しています。そのようなお客様を含めて、良いものを長く使いたいというユーザーに対して、「genten」が普段作らない黒色でコラボしたということで喜んでいただけたらと。
また、私たちは普段バッグの商品企画数は限られているので、コラボをきっかけに新たな領域で認知していただけるかなと思います。
コラボの価値は“原点回帰”と“相乗効果”
― 今回のコラボ以外に、周年記念で考えていることはありますか。
「NEWYORKER」横田:「既存のお客様に新たなアイテムを提供し喜んでいただくこと」と、「新しい販路を開拓すること」。この両軸で取り組んでいけたらと思っています。
また現在は洋服をメインに販売していますが、ライフスタイルも提案していけたらと考えています。ライフスタイルの分野で他のブランドさんとコラボできたら嬉しいです。
「genten」古谷:2024年1月から毎月、特別な商品を発表する予定です。「genten」らしい手仕事の温かみを大切にした復刻商品やコラボ商品を展開していきます。
― お話を伺っていると、周年記念を通してブランドの原点回帰につながっているようですね。
「NEWYORKER」横田:60周年に限らず、周年記念は自分たちの軸について改めて考える節目です。軸を再確認し、新たな目標を定めて、社員全員で目標に向けて意識を高める機会になっていると思います。
「genten」古谷:当社も同じく、周年記念を通して自分たちの原点に立ち帰り、足元を固めていきます。私たちの基本理念は“環境に配慮します・限りある資源を大切にします・長く愛着を持てるモノづくりを目指します”。この3つの理念を再認識する非常に良い機会だと思います。
― コラボにより生まれる価値は何だと思いますか。
「NEWYORKER」横田:相乗効果が生まれることだと思います。掛け算のように、お互いにとってプラスの影響があるのが目指すコラボの姿です。
新しい商品の価値だけでなく、新しい出会いや情報にも価値があると感じています。例えば「あの人と仕事ができて良かった」「コラボを通して刺激がもらえた」という経験が得られるのも、コラボの価値ではないでしょうか。社員の刺激になり、成長につながるように感じます。
「genten」古谷:ブランドの価値の向上だと思います。コラボを通してお客様に印象を残せているな、と。さらに横田さんがおっしゃったように、新しいお取引さまと通常の業務フローから外れた仕事をすることで、社員の成長につながっています。
― 今後はどのようなコラボをしていきたいですか。
「NEWYORKER」横田:私たちの考えるコラボは2つの軸があります。1つ目は、今回のように「NEWYORKER」の洋服と親和性の高い商材でのコラボです。
2つ目は洋服以外のライフタイルの分野でのコラボです。トータルブランドという目線で自分たちを見直すことで、アパレルだけの観点から抜け出せて、事業の拡張性が高まるのではないかと考えています。(「NEWYORKER」のコラボ募集はこちら)
「genten」古谷:業種にとらわれず、ブランドの理念が合う企業さまとコラボしていけたらと思います。(「genten」のコラボ募集はこちら)
NESTBOWLコラボサービスでの出会いは可能性に満ちている
― NESTBOWLのコラボサービスを使ってみた感想はいかがでしょうか。
「NEWYORKER」横田:まず今回のコラボが実現できたことをとても嬉しく思います。他社と出会い、交流できるコラボサービスは非常に価値があるな、と。コラボまで至らないケースもありますが、発展的な話が生まれる可能性は十分にあります。新たなコラボができるように、これからも利用させていただきたいと思います。
「genten」古谷:実は今回のコラボ以外にもNESTBOWLのコラボサービスを通して取引を開始した企業さまがいます。いろいろな企業さまと出会い、交流できる非常に利便性のあるサービスです。
― どのような方にコラボサービスをおすすめしますか。
「NEWYORKER」横田:コラボを検討しているけどうまく進まない、と悩んでいる方におすすめしたいです。いろいろな人と会うことでアイデアが見つかるかもしれないので、「まずは出会いからはじめてみませんか」とおすすめしたいです。
「genten」古谷:他社と取引したい時に、コネクションがないと難しいという場面があると思います。そんなコネクションがなくてお困りの企業にコラボサービスをおすすめしたいです。様々なジャンルのブランドの方々にお会いでき、商談に進む可能性もあるのでぜひ利用してみてほしいと思います。
NESTBOWLでは、今回のNEWYORKER×gentenのコラボレーションのように、さまざまな企業やブランドがコラボレーションを実現できるプラットフォームを提供しています。コラボを通じ新しい価値を作り出したい方は、ぜひこちらからご相談ください。
文:吉田櫻子
撮影:Takuma Funaba