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ベイクルーズが打った意外な一手。副社長が語る、10ブランド×万博コラボの経緯と狙い

ベイクルーズが打った意外な一手。副社長が語る、10ブランド×万博コラボの経緯と狙い NEW

20年ぶりに日本で開催されている大阪・関西万博(以下、万博)。150カ国以上と25の国際機関が技術や文化を展示し、国内外からの来場者が連日にぎわいを見せている。開幕に先駆け、株式会社ベイクルーズでは公式キャラクター・ミャクミャクなどをあしらった公式コラボレーションアイテムを発売。大阪エリアでオフィシャルポップアップストアを出店したり、イベントを開催したりと、盛り上がりに一役買っている。意外とも思われる万博とのコラボはどのような経緯で生まれたのだろうか。そして、同社がコラボを通じて社内外へ伝えたいメッセージとは何か。取締役副社長の古峯正佳さんに詳しく聞いた。

古峯正佳さん/株式会社ベイクルーズ取締役副社長
1999年、株式会社ベイクルーズ入社。ÉDIFICE銀座店・渋谷店店長を経て、「Deuxième Classe」ディレクター、株式会社ラクラスCEO、株式会社ルドームCEOを歴任し、2016年9月より現職。

社内外に驚きをもたらした万博とのコラボレーション

2024年春より、万博とのコラボレーションアイテムを10ブランドで展開されています。取り組みの背景をお聞かせいただけますか。

これまで当社では、今回のようなイベントとのコラボレーションには積極的ではありませんでした。そのため業界内でも社内でも、意外性を持って受け止められたようです。しかし今回の万博では、フランスパビリオンで本国を代表するラグジュアリーメゾンが展示を行うなどファッションとの関わりが深いと聞き、チャレンジではあるがやってみようと決断しました。

そもそも万博の起源はフランスにあるともいわれています。当社のブランドにはヨーロッパへの憧れを表現するものが多いことから、勝手にブランドイメージとのつながりも感じました。

参画にあたり、社内では議論もあったのでしょうか。

社として参画することはスムーズに決まったのですが、実際にコラボするブランドとの調整に苦労しました。「ミャクミャク」のキャラクターとしてのビジュアルインパクトがかなり強いので、当初は調和がイメージしにくかったブランドもあったようです。そこで先ほどお話したように、名だたるファッションブランドが出展していることやフランスとの関わりを伝えることで社内理解も深まっていきました。

商品開発を担当したスタッフは、当初は自社ブランドとの整合性が少なくだいぶ苦戦したようですが、プロジェクトが進むにつれて「どんどんミャクミャクが可愛く見えてきた」と話していました。

御社にとって、大阪という街はどのような街でしょうか。

商圏としては当然、東京に次ぐ売り上げがありますので重要なエリアです。ただ、東京とは売れ筋もスタッフの気質も異なります。東京のスタッフがどこかクールな雰囲気であるのに対し、大阪のスタッフはノリがいいと言いますか、熱さがあります。例えば関西の店舗限定の商品を作ると一生懸命販売してくれるんです。呼びかけに対して熱く反応してくれるので、「焚きつけたくなる」という印象がありますね。

万博開幕前から、関連イベントも開催されていたそうですね。

当社では現在、スタッフのキャリア形成を見据えた「地方活性化プロジェクト」を推進しています。地方のスタッフは本社への転属という道が見えにくく、地元の店舗でキャリアが終わってしまいがちです。また、ブランドによっては年齢を重ねるとお客様との乖離が出てきて、その後のキャリアについて悩むスタッフもいます。そこで、福岡、名古屋、仙台に複数のブランドが入る大型複合店舗を構え、新たな経験を積みながら次のキャリアをイメージできる仕組みを作りました。同時に、地方店舗の活性化を図るため「ベイクルーズフェスティバル」というフェスイベントも不定期ですが各地で開催しています。

ただ、大阪ではそうした試みをしていなかったこともあり、万博開幕を半年後に控えた2024年10月に、大阪のうめきた公園でフェスを開催しました。当日はコラボ商品の販売ブースを特設し「ミャクミャク」も来場するなど、大変盛り上がりました。そのほか、2024年のゴールデンウィークにはルクア大阪でポップアップショップを出店。開幕前からお客様と接触の機会を持てたことで、プロモーション面を含めて大変良い経験となりました。

うめきた公園で開催されたBAYCREW’S FESTIVALの様子
会場を訪れた大阪・関西万博公式キャラクター『ミャクミャク』」

ブランド×アイテムの圧倒的なバリエーション

万博という国際的な舞台で、御社が発信したい「ベイクルーズらしさ」とはどのようなものでしょうか。

当社の特徴として、まずは展開ブランドの数が多いことが挙げられます。ヨーロッパテイスト、アメリカテイスト、それ以外にルーツを持つブランドなど、コンセプトもさまざまです。また、シューズや時計、インテリア、飲食などアパレル以外のラインナップも豊富です。この掛け合わせで生まれるバリエーションの多さが、当社の強みのひとつだと思っています。また、海外では我々の様な中価格帯のセレクトショップは、あまり多くないと思います。

今回コラボしているブランドも、「JOURNAL STANDARD」や「Spick & Span」をはじめ10ブランドにのぼります。

確かに、バリエーションの多さは圧倒的ですね。なかでも御社ならではの商品というとどんなものがあるでしょうか。

MIZUNOさんへ「ÉDIFICE」、「IÉNA」が別注した「ミャクミャクスニーカー」は注目度が高かったです。「JOURNAL STANDARD relume」から出しているバンドTシャツも反響が大きく、追加生産しています。キャラクターを直接的に扱うのではなく、普段のファッションにも取り入れられるようなデザインが人気の理由ではないかと思っています。

ÉDIFICE/IÉNAが別注したMIZUNOとのコラボスニーカー
JOURNAL STANDARD relumeが手がけた万博限定バンドTシャツ

万博コラボでは、さらに別のブランドと組んだトリプルコラボも実現しています。共創先はどのように選定されているのですか。

率直に言って、やはり掛け算の要素が増えるほど希少性が高まります。話題のアイテムを狙って手に取ってくださる方も多いので、万博に限らず意義があると思っています。共創先は各ブランドに任せており、よりお互いの魅力を増幅できるようなブランドと組ませていただいています。

アグレッシブにチャレンジするという社内外へのメッセージ

万博を通じて、社会やファッション業界にどのようなインパクトを与えたいとお考えですか。

「ベイクルーズもこういうことをやるんだ」と業界関係者に知ってもらえたことで、新しい取り組みの協業先としてお声がけいただけるきっかけになればと思っています。社内的にも今回のプロジェクトは意外だったと思いますが、万博の意義を理解して相乗効果を得られたと、ポジティブに受け止めてもらえれば嬉しいですね。

新しいチャレンジをしていくという、ステークホルダーへのメッセージでもあるのでしょうか。

そうですね。新しいことにチャレンジする風土は必要だと思います。年に1度、社員が新しい事業をプレゼンする機会を設けていますが、今後もアグレッシブに挑戦していきたいですね。

ベイクルーズとして今後チャレンジしたいことや、社会に発信したいメッセージをお聞かせください。

現在、当社ブランドをご利用いただいているお客様の多くが既存のメンバー様です。大変ありがたいことです。しかしもちろん新しいお客様にも知っていただかないと企業としての継続性はありません。そのためのブランド開発は引き続き行いながら、全く違う切り口でベイクルーズを知っていただくための活動も続けていきたいです。

今回の取り組みを通して、万博というイベント自体の意義も実感することができました。大阪は今後さらに国際的な都市になっていくと聞いています。そのキックオフという意味

も含めて、この機会に日本がモノ・心の両面でさらに豊かな国になればよいなと思います。

文:大貫翔子
撮影:船場拓真

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