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【連載②「大名古屋展」の裏側】「ビームス名古屋」が広げる、地域の輪と販売員の成長機会

【連載②「大名古屋展」の裏側】「ビームス名古屋」が広げる、地域の輪と販売員の成長機会 NEW

今年で6回目の開催を盛況に終えた「大名古屋展」。主催者のビームス ジャパンが、企業や団体、スポーツチームとコラボして、名古屋・愛知の魅力を発信、シビックプライドの醸成、名古屋・愛知に足を運んでもらう機会創出を目指すプロジェクト。それだけでなく、地域をつなぐコミュニティの役割も担っている。本連載では「大名古屋展」プロジェクトリーダーの佐野明政さんがコラボ企業や団体の方々をゲストに迎え、名古屋・愛知のコミュニティが目指す未来について語り合う。

今回のゲストは、ビームス名古屋 店長の山田恭平さん。名古屋を知り尽くす山田さんから見た「大名古屋展」の魅力、イベントを機に感じたスタッフの成長、今後の展望とは。

山田 恭平さん/ビームス名古屋 店長(写真:右) 
愛知県名古屋市出身。学生時代に兄と訪れたビームスでファッションに魅了され、大学卒業後にアルバイトとして入社。販売スタッフ、副店長を経て2023年から現職に就任。2度の店舗移転を経験しながら、地域と共に店舗を作り上げる。お客様との対話を重視し、「お客様を知ること」をモットーに店舗運営を行う。名古屋の多様なカルチャーを愛し、「大名古屋展」を通じて地元のモノ・コト・ヒトをつなげる役割を担うなど、地域コミュニティの中心としても活躍している。

佐野 明政さん/株式会社ビームス クリエイティブ ビジネスプロデュース部 プロデューサー(写真:左)
愛知県名古屋市出身。2000年ビームスに入社。2010年に修士号取得。ショップスタッフを経験したのち、アウトレット事業、ライフスタイル業態であるビーミングライフストアの立ち上げを手掛ける。2015年よりビームス ジャパンのプロジェクトリーダーを務め、立ち上げから現在まで、「日本の魅力的なモノ・コト・ヒト」を国内外に発信する数々の企画を主導。2019年、名古屋・愛知を盛り上げるイベント「鯱の大祭典」の象徴となる名古屋グランパスの選手ユニフォームのデザインオファーをきっかけに、「大名古屋展」を立ち上げた。2021年より現職。

ビームス ジャパンが名古屋のモノ・コト・ヒトをつなげる

― 山田さんは、「大名古屋展」にいつから関わっていますか。

山田恭平(以下、山田):第3回目から、サポートで携わっているのですが、店長になったタイミングでさらに深く関わらせていただくようになりました。最初は「名古屋グランパスと何かやってるな」くらいにしか思っていませんでした。でも、いざ主体的な立場になってみると準備期間の長さと、関わっている人の多さにびっくりしました。また、イベント中は販売員として店頭にいる時間が多い中で、お客様の表情を間近で見ながらうれしい発見もありましたね。

佐野 明政さん(以下:佐野):本当に多くの方々が関わっています。ちなみに、うれしい発見とは何ですか。

山田:「ビームス ジャパンがイベントを通じ、名古屋のモノ・コト・ヒトをつなげている」と感じたこと、何よりお客様に「大名古屋展」を楽しんでいただけていると実感できたことです。「(オリジナル商品の)ドアラTシャツを買ったことをきっかけにナゴヤドームに野球観戦に行ったよ」といった声もいただいて。イベントが名古屋を動かしているんだ、と。私は生まれも育ちも名古屋で、38年間暮らしています。イベントや販売職を通じて、たくさんの方に名古屋・愛知という街をより知ってもらうきっかけとして貢献できていたらうれしいです。

― 名古屋・愛知の魅力はどんなところにありますか。

山田:名古屋・愛知は特殊な街ですね。トヨタさんをはじめとした製造業やモノ作りがベースにありながら、純喫茶やスケートカルチャー、音楽、古着などいろいろなカルチャーが交差している街。中心街の栄に来ると、よりそのミックス感が味わえるのではないでしょうか。ビームス自体がファッションを通じてカルチャーを発信・形成している部分があるので、名古屋でカルチャーを作っているヒトの価値観を紐解いていくと、ビームスにたどり着く部分もあると思うんです。

― ビームスのカルチャーと「大名古屋展」の理念の共通点はありますか。

山田:そこに「大名古屋展」のさらなる可能性があると思っています。昨年は名古屋で人気の飲食店とコラボレーションする喫茶文化を伝える企画がありました。名古屋のカルチャーと「大名古屋展」がミックスされることで、よりビームスらしい発信が、今後、更に行えると思っています。

佐野:喫茶企画に関しては、ビームス 名古屋のスタッフたちが本当に頑張ってくれました。お店のセレクトから交渉まで一任したのですが、関係者も驚くような人気店とのコラボが実現できました。まさにスタッフの力と人脈のおかげだと思っています。

販売員としての成長、仕事の幅、可能性が広がる

― 「大名古屋展」はビームスにとって新しいチャレンジにもなっているんですね。

山田:販売員としての可能性が広がったと思っています。店頭で接客しているときも単に接客するのではなく、「このお客様と繋がることで、イベントで何か一緒にできるんじゃないか」と考えるようになりました。同世代のお客様や友人で起業する方々も増えてきたので、将来的に一緒にできたらイベントの可能性はもっと広がりそうです。

佐野:ビームスでは様々なプロジェクトが進行していますが、ほとんどが東京発信になっていることが現実です。でも「大名古屋展」は地元スタッフも企画に参画してくれている。これってなかなかないことでは、と思います。昨年の喫茶企画をはじめ、「大名古屋展」の初期からご一緒している名古屋グランパスさんとの繋がりも、実は名古屋のスタッフがきっかけです。ビームスが洋服の販売以外にもいろいろとやっていることはまだあまり知られていません。ファッションを通じて企業様のお役に立てることはたくさんあると思うので、イベントや店舗からもっとそういうことを発信できるといいですよね。

― イベントを通じて起こった、スタッフの変化はありますか。

山田:スタッフの成長を感じるようになりました。普段関わりのない企業様やコミュニティとの関係が生まれることで、気配りができるようになったり、ビジネスマナーが磨かれたりと視野が広がっているのを実感しています。

佐野:すごくいいことです。イベントに携わってくれた方々と話していると、皆さんコミュニティが広がったことを喜んでくれています。「大名古屋展」をきっかけにビームスのファンになってくれる人たちがいることは嬉しいですよね。

山田:イベントをきっかけにビームスに通っていただくことになった方々が本当にたくさんいらっしゃいます。企業同士のコラボだけでなく、ヒト同士のコラボでも長く関わっていける関係を築いていけたら素敵だなと思っています。

ビームスを代表する名古屋店へ

― 最後に、山田さんの今後の目標や展望を教えてください。

山田:お客様からも、ビームス社内からも「地方のビームスといったら名古屋だよね」と言われるような店舗にしていきたいです。そのためには、ただ店頭で接客をするだけでなく、自分たちから地域に出ていき、企業様やクリエイターの方々に直接声をかけて、一緒にイベントをつくっていくような姿勢が大切だと思っています。参画する企業様に自ら営業・交渉してイベントを引っ張っていけたら、もっと楽しいだろうし、後輩にも店長として良い背中を見せられるはずです。

長い間販売員として店頭に立っていて、常に「お客様のためになりたい」「お役に立ちたい」という気持ちを持ってきました。店長になってからは、「まずお客様を知ろう。そのために、どんどん会話をしよう」ということをスタッフとも共有しています。そうした“人との関わり”の積み重ねが、「大名古屋展」のようなプロジェクトにも必ず活きてくると思っています。

今後は、名古屋という街をもっと深く掘り下げながら、「大名古屋展」を通じて地元の方々や企業様、クリエイターがつながる“ハブ”のような存在になりたいです。そして、ビームス名古屋が地域の人々にとって「何か面白いことが起こる場所」として愛されるような、そんな店舗づくりを続けていきたいです。

佐野:他のエリアでも同じようなプロジェクトを行っているのか聞かれるのですが、この規模感や企画力でやっているのは「大名古屋展」だけ。これからはさらに関係各所との繋がりを広げて、関係人口を増やしていきたいです。昔のように人々のファッションに対するプライオリティが少し低くなっている中で、「大名古屋展」のような入り口からファッションに興味を持ってもらえることはすごく重要だと考えています。そして、その繋がりからさらに関係人口が増えていったら、このコミュニティはもっと面白くなっていくのではないでしょうか。

撮影:Wataru Sato

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