ラケットの名門「ウイルソン」がアパレルに挑む。テニスウェアからデイリーウェアへ広がるブランド構想 NEW

テニスブランドを代表する「ウイルソン」。長年、トッププレイヤーから一般層まで幅広い支持を集めてきたこのブランドが今、新たな挑戦を始めた。その中心にあるのが、テニスウェアを起点にしたアパレル・ライフスタイルブランドへの拡張だ。
コートでプレーする時間だけに限らず、テニスを楽しむ人の日常そのものに寄り添うブランドへ--そんな新たな価値を提案しようとしている。アメアスポーツジャパン株式会社の社内公募制度を通じ、「アークテリクス」から転じてウイルソンのAPACソフトグッズヘッドに就任したプーン パールさんに、挑戦の背景とブランドに託す思いを追った。
Poon Pearl(プーン パール)さん/アメアスポーツジャパン株式会社 ウイルソン ソフトグッズ ジャパン ブランドヘッド&APAC MDディレクター
香港出身。幼少期から陸上や水泳などに親しみ、13歳でイギリスへ留学。大学卒業後、外資系ファッションブランドで約13年間、欧州や日本、香港でMDや直営店の立ち上げなどを経験。その後、カナダ発のアスレチックウェアブランドでのAPAC MDをはじめ、複数ブランドでファッションやラグジュアリー、スポーツカテゴリーの経験を積む。2024年7月にアメアスポーツジャパン株式会社に入社。「アークテリクス」のAPAC MD Directorを経て、現職。
アークテリクスでは女性ファンの獲得に貢献
― パールさんのこれまでのキャリアを教えてください。
パール:イギリスの大学を卒業して、就職したのは歴史あるアメリカ系ファッションブランドでした。そこでリテールビジネスやMDとしての経験を積み、キャリアの土台を築きました。初めて来日したのも、日本の旗艦店立ち上げプロジェクトに携わるためでした。
その後、スポーツやファッション、ラグジュアリーなどの複数ブランドでMDのディレクターやVP職の経験を経て、アメアスポーツジャパンに入社。「アークテリクス」でAPAC MD ディレクターを務め、その後「ウイルソン」に異動しました。
―「アークテリクス」では日本初となるウィメンズプロジェクトを立ち上げました。「Nature Elegance」をテーマに女性層の新たな開拓を牽引されるなどしましたね。
パール:はい。機能性やデザイン性を日常に取り入れたくなるような新しいアプローチを提案し、新しいお客様との接点を作るなど、ブランドの成長に貢献できたと感じています。
― そうした中で、なぜ異動されたのでしょうか。
パール:MDという領域にとどまらず、ブランド全体のビジネス戦略やブランドビルディングにより深く関わりたいという思いが強くなったからです。「ウイルソン」に惹かれたのは、展開しているテニスウェアなど競技用ウェアが持つファッション性の高さでした。
スポーツブランドでありながら美しいデザインが揃っており、これを起点にすれば、ライフスタイルへと拡張していくような新しいアパレルの可能性を自ら創り出していけると感じたのです。これまで培ってきた経験を融合させ、新たな挑戦ができると考えました。

ラケットからアパレルへ。日常に広がる「ウイルソン」の挑戦
― ギアブランドとして確固たる地位を築いている一方で、なぜ今テニスウェアやアパレルに注力しているのでしょうか。
パール:アスリート向けのギアブランドから、人々の日常に寄り添う「プレミアム・スポーツ・ライフスタイル・ブランド」へと進化するためです。それが、今アパレル事業を強化している最大の理由です。
テニスは幅広い世代、かつ男女問わず楽しめるスポーツであり、ファッションとの親和性も非常に高い。ブランドでは、家を出てコートへ向かい、プレーを終えて帰宅するまで──あらゆるシーンを「ウイルソン」で支える「Head to toe(頭から足元まで)」、「テニス360」という考え方を掲げています。
1914年創業の「ウイルソン」は、長い歴史の中でプロアスリートに支持され続けてきました。競技を支えてきたブランドとしての確かな信頼は、アパレルにおいても大きな強みになります。
― ブランドが目指す、新たなアパレルの世界観について教えてください。
パール:テーマは「テクニカル・エレガンス」です。高い機能性を備えながら、日常にも馴染む美しさを持つアパレルを追求します。ランニングシューズがファッションとしても定着したように、テニスをしない方にも自然に手に取っていただける存在になることが理想です。デイリーウェアとしても楽しんでもらいたいですね。
― 日本市場では、テニスウェアを含め今後どのような商品展開を視野に入れていますか。
パール:現在は、グローバル基準で作られた20〜30代向けの競技用ウェアが中心です。ただ、日本市場には独自のニーズがあるため、まずはグローバルのラインナップの中から、ゆったりしたシルエットのポロシャツや露出を抑えたロングスカートなど、より幅広い年代の方に着ていただけるアイテムを選定し、展開を強化していきます。
今後は日本独自のローカライズ商品の開発にも着手します。積極的にグローバルチームに働きかけ、日本市場のニーズを反映したプロダクトをゼロから開発し しっかりと届けていきたいと思っています。


店舗から広がる、新しいスポーツコミュニティ
― 世界観を届ける場として、直営店にも力を入れている印象があります。
パール:現在は丸の内の旗艦店をはじめ都内で3店舗の直営店を展開しています。今後はブランドをリアルに体験できるタッチポイントとして直営店舗の拡大を計画しています。東京では原宿や渋谷・新宿、大阪では心斎橋や梅田さらに福岡エリアなど、全国の主要都市への出店を順次進めていく予定です。
直営店は、単なる販売拠点ではありません。ブランドの歴史やストーリーに触れながら、ライフスタイルまで含めて「ウイルソン」を感じてもらえる場所にしたいです。
― 店舗を起点にしたコミュニティ作りについては、どんなことを構想していますか。
パール:近年、世界的に広がりを見せているピックルボールに注目しています。テニスに比べると始めやすく、自然とコミュニケーションが生まれやすいスポーツだからです。今後は直営店を拠点に、テニスやピックルボールのイベントも積極的に企画実施していく予定です。
店舗で製品を手に取っていただくだけでなく、ブランドで契約しているアスリートやコーチがビギナークラスを実施するなど、実際に身体を動かしながら楽しさを共有できる場にしたい。人と人が自然につながるコミュニティを育てていきたいと考えています。
― アパレルやピックルボールなど新しい領域への展開に対して、周囲からの反応はいかがですか。
パール:既に、これまで接点のなかった層から反響が出始めています。特にピックルボールに関しては、メディア関係者や著名人、ファッション・ライフスタイル領域などの方々からも注目されており、コラボレーションの相談も増えてきました。スポーツの枠を越えて「ウイルソン」に触れる入り口が少しずつ増えています。ブランドの見られ方にも変化が生まれており、新しい可能性を感じています。

飛躍を迎えるタイミングだからこそ広がるキャリア
― 店舗展開に加えて、販路そのものもかなり広がっていきそうです。
パール:現在は、直営店やECを通じた販売強化を進めています。今後は感度の高いセレクトショップや百貨店への展開も視野に入れています。直営店を通じて直接お客様とつながるBtoC領域と、パートナー企業と連携するBtoB領域。両方を組み合わせながら、ブランドの広がりを作ることを模索しています。
― ブランドの変化に合わせて、チーム側も拡大を目指すのでしょうか。
パール:そうですね。店舗スタッフもオフィスメンバーも、体制を強化していくフェーズに入っています。ファッションやアパレルの経験がある方はもちろん、スポーツに関心があり、新しい挑戦を楽しめる方にもぜひ加わっていただきたいです。
入社時点でテニス経験は必要ありません。実際に、未経験からスタートして、働きながらテニスやピックルボールの魅力に触れていったメンバーも多くいます。スポーツを楽しむ感覚を共有できる方であれば、十分に活躍できるはずです。
― これから加わる方にとっては、かなり面白いタイミングかもしれません。最後に、これから「ウイルソン」のチームに加わる仲間に向けたメッセージをお願いします。
パール:ウイルソンを通じてお客様へテニスやピックルボールの楽しさを伝えていくアンバサダーとなっていただける方をさがしています。ブランドは今、大きな変化を遂げようとしています。完成された組織に入るというより、ブランドを一緒に形にしていく感覚に近いかもしれません。新しいことに挑戦しながら、自分自身も学び続ける。そうした「ポジティブなマインド」を持った方に来ていただき、変化を楽しみながら「これから」を一緒に作っていけたら嬉しいです。
現在「ウイルソン」ではブランドストアでご活躍いただける人材を募集しています。記事を読んでブランドの想いや考えに共感した方、新しいことに対して積極的に取り組める方など「ウイルソン」と共に成長していきたい人は、ぜひこちらからご応募ください。
Wilson ブランドストア主催「ピックルボール ビギナーズクリニック」開催
インタビューでも語られたように、「ウイルソン」ではテニスやピックルボールを通じたコミュニティづくりを積極的に進めています。その取り組みの一環として、2026年6月28日(日)にWilson アーバンドック ららぽーと豊洲ブランドストア主催の「ピックルボール ビギナーズクリニック」を開催します。
近年注目を集めるピックルボールを、実際に体験できる初心者向けイベントです。会場は有明にある専用コート「Pacific Pickle Club」。これまで興味はあったものの体験する機会がなかった方や、これから始めてみたい方に向けて、基礎から楽しく学べる内容となっています。
【イベント概要】
・日時:2026年6月28日(日)8:30~10:00(受付開始 8:15)
・会場:Pacific Pickle Club
・参加費:3,000円
・定員:先着12名
・対象:ピックルボール未経験者・初心者の方(成人限定)
・特典:ウイルソン公式オンラインストアで11,000円(税込)以上のお買い物時に利用できる3,000円OFFクーポンをプレゼント
・申込締切:2026年6月26日(金)18:00まで
・申込フォーム:https://forms.gle/4LNF2SzTqrnDHpAf7
※雨天中止の場合は、6月26日(金)までにメールにてご連絡いたします。
【コーチプロフィール】
渡邉すみれ コーチ
2003年生まれ、鎌倉育ち。湘南で10年間サッカーに打ち込み、「トビタテ!留学JAPAN」第15期生としてオランダ・アムステルダムへサッカー留学。帰国後にピックルボールと出会い、その魅力と人をつなぐ可能性に惹かれる。現在はソーシャルピックルボールイベントを展開するBloomy Pickleballの代表を務める。
文:中谷藤士
撮影:加藤千雅
Brand Information
Wilson
ウイルソンは、ハイパフォーマンススポーツグッズ、アパレル、シューズ、およびアクセサリーの世界をリードするメーカーです。