1. HOME
  2. 最新ニュース&インタビュー
  3. TikTokで共感はどう生まれるのか。「IHADA」のPRマーケティング成功事例

JOURNAL

TikTokで共感はどう生まれるのか。「IHADA」のPRマーケティング成功事例

TikTokで共感はどう生まれるのか。「IHADA」のPRマーケティング成功事例 NEW

日本国内における月間利用者数(MAU)が4,950万人に達し(※1)、マーケティング領域で存在感を高めるTikTok。若年層との接点強化を目指し、TikTokを活用したマーケティング戦略で勝機を見出したのが、スキンケアブランド「IHADA(以下、イハダ)」だ。2025年春夏・秋冬のキャンペーンでは、認知拡大から購買意向までの態度変容につながる結果を生み出した。

なぜ「イハダ」のメッセージはターゲット層に受け入れられたのか。イハダの鈴木麻緒さん、山本良子さん、TikTok for Business Japanの武井俊一さん、株式会社電通デジタルの六車優香さんと共に、2025年春夏・秋冬キャンペーンを振り返りながら、共感を生むコミュニケーション設計とフルファネル戦略の実践を紐解く。

(※1)2026年5月末時点。TikTok調べ。ユーザー数はTikTokとTikTok Liteのユーザー数(重複を除く) 

写真:左から
山本 良子さん/資生堂ジャパン株式会社 ブランドマーケティング本部 デジタルマーケティング戦略部 ダーマ・クリニカルデジタルマーケティング戦略G アシスタントブランドマネジャー

鈴木 麻緒さん/資生堂ジャパン株式会社 ブランドマーケティング本部 ダーマ・クリニカルマーケティング部 IHADAグループ アシスタントブランドマネジャー

六車 優香さん/株式会社電通デジタル プラットフォーム部門プラットフォーム3部

武井 俊一さん/TikTok for Business Japan, CPG & Luxury Unit, Senior Client Manager


「広告らしさ」を越えて届く。TikTokマーケティングが生み出す共感

― 「イハダ」は若年層へのアプローチに力を入れているとお聞きしました。TikTokマーケティングに注力することになった背景や経緯を教えてください。

鈴木 麻緒さん(以下、鈴木):「イハダ」は、年代や性別を問わずお使いいただける肌荒れ対策ブランドです。ただ、改めてユーザー層を分析すると、若年層のお客様から想定以上に高い支持をいただいていることが分かりました。

そうしたお客様との接点をさらに広げ、「イハダ」への理解を深めていただくためのコミュニケーションとして、若年層と親和性の高いTikTokマーケティングに着目しました。

以前から運用型広告などは実施していたものの、若年層のお客様とのコミュニケーションをより強化したいという考えがありました。そこで2025年春夏シーズンからは、クリエイターとのタイアップや動画コンテンツを中心としたプロモーションに本格的に投資しています。

― 2025年春夏・秋冬のキャンペーンを通じて、どのような手応えがあったでしょうか。

山本 良子さん(以下、山本):印象に残っているのが、TikTokクリエイターとのタイアップ施策です。特に、クリエイターさんを起用したプロモーションは大きな反響がありました。ブランドの「肌荒れを気にせず好きなことを楽しんでほしい」というメッセージを、クリエイターさんが得意とする“推し活”の文脈に落とし込みながら発信していただけたと感じています。

スキンケア商品のコミュニケーションでは、広告色が強くなるほどユーザーとの距離が生まれやすい傾向があります。しかし今回は共感しやすいストーリーとして伝えていただけたことで、「〇〇ちゃんが使っているなら買いたい」「どこで買えるの?」など前向きな反応が数多く寄せられました。

TikTokは没入感が高く、ユーザーがコンテンツとして自然に受け止めてくれる印象があります。広告らしさを前面に出さなくても、ブランドメッセージをしっかり届けることができました。

武井 俊一さん(以下、武井):私も投稿についたコメントを見て驚きました。「乾燥が気になっていたから嬉しいタイミングのPR」というコメントに対して、投稿から約8ヶ月時点で560件もの「いいね」がついたのです。

通常、PR色が強くなるほどユーザーとの距離が生まれがちです。しかし、TikTokではクリエイター自身の発信の延長線上で語られるものであれば、PRであっても自然に受け入れられるようです。

クリエイターとコミュニティの信頼関係がベースにあるため、広告であること自体がネガティブに受け取られにくい。TikTokならではの特徴だと改めて受け止めました。

「広告らしさ」を越えた共感のつくり方について語る、資生堂ジャパンの山本さん

ユーザーの声を次の一手へ。TikTok運用で回す高速PDCA

― 今回のキャンペーンを通じて、TikTokならではの特徴や強みを感じた点はありましたか。

山本:ユーザーからの反応が非常に分かりやすい点は、大きな強みだと感じました。コメント欄がリアルタイムで盛り上がるだけでなく、他のプラットフォームへ動画が拡散されていくケースも見られました。若年層に向けたコミュニケーションにおいて、話題化の起点になりやすいプラットフォームだという手応えがあります。

また、ユーザーの評価が明確に表れます。このため、「なぜこの結果になったのか」「どの要素が評価されたのか」など、スムーズな分析が行えました。さらに「次はこう調整してみよう」「この要素は継続しよう」などの判断につなげやすく、施策の改善サイクルを回しやすかったですね。

― 反応の「見え方」が、施策の改善サイクルにも直結しているのでしょうか。

鈴木:そうですね。例えば動画施策では、視聴完了率が低かったとしても、その理由を特定するのは簡単ではありません。一方、TikTokはコメントの内容や盛り上がり方から、ユーザーが何を感じ、どこに興味を持ったのかを把握しやすい側面があります。

エンゲージメントなどの定量データも確認できるため、「次はここを改善しよう」「この切り口は伸ばせそうだ」と議論しやすい。チーム内でも意見交換が活発になり、結果としてスピーディーにPDCAを回すことができました。

― コメントは、次の施策のヒントになりそうですね。

鈴木:おっしゃる通りです。施策ごとに、良い反応も厳しい反応も率直に返ってきます。若年層のお客様が何に関心を持ち、どんなメッセージに共感しているのか。そのヒントがコメントやコミュニティの熱量に表れています。

広告は配信して終わりではありません。得られた声を次のコミュニケーションに生かしていくことが重要です。その意味でも、ユーザーとの対話を通じて改善を重ねやすい環境は、大きな価値だと捉えています。

ユーザーの声を次の施策へ生かしながら、TikTokマーケティングの改善を重ねるイハダの鈴木さん

スキンケア領域でも態度変容。フルファネル戦略が生んだ確かな変化

― 今回の取り組みを振り返って、フルファネル戦略の成果をどのように評価されていますか。

武井:ブランドリフト調査(※)を実施した結果、非常にポジティブな結果が得られました。アッパーファネルの指標である広告認知やブランド認知はもちろん、購買意向やレコメンデーションといったローワーファネルの指標でも顕著なリフトを記録しています。

これまでベースメイクやポイントメイク領域での成功事例は数多くありました。お悩みにフォーカスしたスキンケア領域でも、これほど顕著な態度変容を生み出せたことは、TikTok for Businessにとっても大きな自信につながりました。 

※広告やキャンペーンがブランド認知度や好意度、購買意向に与える影響を測定する調査手法

― こうした変化を生み出せた背景には、どのような工夫があったのでしょうか。

武井:フルファネルでの施策設計に加え、ブランドアセットの活用が非常に効果的だったと考えています。動画の冒頭で「イハダ」というキーワードを明確に打ち出したことで、認知獲得に大きく貢献しました。

また、ミドルファネル以降では「肌荒れ予防」「乾燥対策」「低刺激設計」などの特徴を、クリエイターの文脈に自然に溶け込ませていました。その積み重ねが、ユーザーの理解や共感につながったのだと見ています。

六車 優香さん(以下:六車):TikTok側のインサイトも活用しながら、武井さんたちと連携して施策設計を進めました。どのタイミングで、どの広告メニューを組み合わせるか。その判断の精度を高めることが、重要な役割の一つだと考えています。

認知獲得から購買意向形成までをつなぐ、フルファネル戦略の重要性を語るTikTok for Business Japanの武井さん

― ブランド側では、どのような考えで配信設計を組み立てたのでしょうか。

鈴木:アプリ起動時に表示されるプレミアム広告枠(TopView)などを活用し、意図的に話題化の波を生み出す設計を行いました。特に秋冬キャンペーンでは、その波を二度つくるプランニングを実施しています。若年層へのリーチや話題化を後押しし、施策全体を押し上げることができました。

― 若年層との接点づくりに一定の成果が見えた今、次のテーマについてお聞かせください。

鈴木:次のテーマは、興味を持っていただいたお客様をいかに購買行動へつなげていくかです。TikTok内で購買につながるポイントや最適なアプローチについて、引き続きご提案をいただきたいと思っています。

武井:認知を獲得したユーザーをいかにミッドファネルやローワーファネルへと導くかが今後の鍵になります。既にミッドファネル向けの最適化メニュー「Brand Consideration広告(未認知・認知層を検討層に移行させることに最適化された広告ソリューション)」なども導入していただいています。こうしたソリューションを活用しながら、ユーザーを購買行動へつなげる取り組みを支援していきたいと考えています。

六車:「Brand Consideration」は、電通デジタルとしても注力しているメニューの一つです。TikTok for Businessと連携しながら、最新のソリューションやメディアプランニングを活用し、「イハダ」のマーケティング成果の最大化を目指します。

TikTokと連携しながら、マーケティング成果の最大化を目指す電通デジタルの六車さん

文:中谷藤士
撮影:船場拓真

SNSでこの記事をシェアする