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日本発の越境ECの新星 アジアのストリートブランド専門のオンラインセレクトストア「60%」―株式会社シックスティーパーセントCEO 真部大河さんインタビュー

日本発の越境ECの新星 アジアのストリートブランド専門のオンラインセレクトストア「60%」―株式会社シックスティーパーセントCEO 真部大河さんインタビュー

「60%(シックスティーパーセント)」は、韓国、インドネシア、中国、台湾、タイ、ベトナムなどアジア11か国から250以上の感度の高いストリートブランドを集結させたオンラインセレクトストアです。日本未上陸ブランドを含む、世界的に注目を集めるアジアのファッションを現地価格で購入できるとあって、10〜20代前半の若年層ユーザーを中心に、日本のみならず世界各国で人気が急上昇しています。社名でもある「シックスティーパーセント(60%)」の由来は、世界人口におけるアジア人の割合。もうひとつは、ハイブランド購入者の6割がアジア人という少し皮肉をこめた意味。世界の半分以上を占めるアジア人がファッションマーケットに与える影響力の凄さを伝えたい想いから命名したそう。今後はストリート領域のみならず、さまざまなアジアンファッションのブームを起こしていきたいという夢と、日本ブランドのグローバル展開も手掛けてきたい熱い野望を抱えています。事業拡大に向けて複数の職種やポジションの積極採用を推進中。求める人材についても詳しく聞きました。

真部大河(まなべ・たいが)さん
株式会社シックスティーパーセント 最高経営責任者(CEO)兼共同創業者
1994年生まれ。高校卒業後、海外アパレル商品の買い付け代行からスタートし、ロンドンを拠点に販売事業に従事。21歳で帰国して立ち上げたファッションメディア事業を譲渡したのちに2018年7月、松岡那苗(まつおか・ななえ/COO兼共同創業者)と共同で「シックスティーパーセント」を設立。

―「60%」では、御社が買い付けや仕入れも行うのですか?

いえ、買い付けはしません。プラットフォームとして運営しています。アジア諸国のブランドが「60%」に出店し、売れたらその都度、現地から商品が発送されます。

―アジア11か国からおよそ250ブランドを扱っているそうですが、独自で開拓・契約を取り交わしていったと?

そうです。アジアで盛り上がりを見せるストリートブランドを中心に、共同創業者の松岡が現地のブランドとコミュニケーションをとって出店数を増やしていきました。
今、ビジネス的にボリュームが大きいのは韓国。K-POPなどのカルチャーブームと連動してローカルのファッションブランドも一緒に急伸しているので、「60%」でも韓国ブランドが全体の約6割を占めている状況です。BTSやTWICE、BLACKPINKなどK-POPアイドルの愛用ブランドとして世界中から注文が殺到する「NIEEH(ニヒ)」や「A NOTHING (エーナッシング)」、若いストリートヘッズ達の間で人気を集める「paragraph(パラグラフ)」など話題のブランドを網羅していますし、日本では入手困難な未上陸ブランドも多く扱っているので、そういったところでも支持があるのかなと思っています。

―「60%」は “オンラインセレクトストア”という位置づけですが、プラットフォームと呼ばない理由は?

理由はふたつありまして、ひとつは、お客さん目線で名称を考えたときに「プラットフォームで買い物をする」とは言わないんじゃないかという疑問から。なので、呼びやすい“オンラインセレクトストア”としてます。もうひとつは、ビジネス面でAMAZONや楽天みたいな巨大ECモールを目指したいわけではなく、「60%」では思想や世界観とかメッセージ性を大切にしていきたい。「このショップが好きだからここで買い物をしたい」というお客さんが集まる地方のセレクトショップのような世界観を僕たちがデジタル上に再現し、その上で事業としてもしっかり規模も追求するということを目的としているので、あえて「セレクトショップ」という名称を残しています。

―(セレクトショップのように)出店ブランドに対して掲載商品の提案もしているのですか?

はい。松岡を中心に社内でもブランドのキュレーションは常に行っておりますし、どのブランドのどのアイテムが人気なのかをブランドとやりとりしながらピックアップする商品を選んだりもしてます。また、SNSなどを通じてお客さんに直接「どんな商品が欲しいか」「どんなブランドに入店してほしいか」といったことをヒアリングして、お客さんの声を参考にしながらキュレーションしたりもします。ただ、なんでもかんでも扱うわけじゃなく厳選はしています。

―プライシングは?

現地価格です。それぞれのブランドが値決めしているので、基本的に定価が売値となります。なので並行輸入で入ってくるよりも、価格は安いです。

―2018年7月の創業から3年弱が経ちましたが、振り返ると?

ECサイトを本格的にローンチしたのは2019年の4月だったのですが、売り上げは2019年の10倍以上でした。ビジネスとしても既に単月での黒字は達成しており、今回、出資が入ったのでさらにアクセルを踏み込みますが、健全な形でしっかり伸ばしていきたいです。

―今回の資金調達について教えてください

ヤマトホールディングスが独立系ベンチャーキャピタル大手のグローバル・ブレインと共同で設立したCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンドの「KURONEKO Innovation Fund」を通じて出資を受けたことを、4月19日に発表しました。また、三菱UFJキャピタル、ベンチャーキャピタルNOWにもフォロー投資家として入っていただいています。

―ヤマトとはどのような形で連携できると考えていますか?

「60%」は9割以上の商品が海外からの発送です。安定的かつ迅速に商品を届けられないことにはお客さんを満足させられません。越境ECにおいて物流はサービスのコアです。ここにテコ入れをしていかないと今後必ずネックになってくるので、早い段階で解決していく必要がありました。ヤマトさんはアジア全域に拠点がたくさんありますし、フレキシブルなネットワークをもっているので、「60%」の物流強化を始め、さまざまな部分で連携していけるのではないかと考えています。

―商品は海外から平均してどのくらいの期間で顧客の手元に届きますか?

現時点では購入から平均7〜10日で到着完了の体制を整えていますが、いずれは1週間以内を目指したい。また、「シックスティーパーセント」の物流網や越境ECとしてのソリューションをアジア全域で個別のブランドに提供していくことも長期的な展望として考えています。

―今は日本の顧客による購入がメインだと思いますが、今後は海外の顧客開拓も視野に?

実はこれまでで約40か国から注文が入っています。海外のマーケティングはこれまで何もしてこなかったにも関わらず…です。そのくらいアジアのブランドは世界中から引き合いがあるということ。さらに日本のブランドとなると、より洗練されていますし、海外には潜在顧客がたくさんいるはずなので、今後は積極的にグローバル展開をしていきます。

―となると、早急の採用強化が求められますね

はい、まず採用強化したいのはエンジニアとマーケティング人材です。現在、会社には約15名が在籍していて、経営陣は私と共同創業者の松岡。そしてメディア、マーケティング、オペレーション、エンジニアと大きく4つの部門に分かれています。
特にエンジニアチームは現在、業務委託を中心としたメンバーですので、マネジメント力のあるCTOクラスの採用を進めています。
マーケティング部門も強化していきます。顧客にどのような商品を見せればいいのか、どんなユーザーフレンドリーな施策を打てば購買に繋がるのか。また、ポップアップストアで実際に商品に触れてもらえる機会をもっと増やしていきたいので、デジタル戦略からオフライン戦略まで幅広く考えられるマーケターを求めています。

あとはやはり海外ですね。「60%」と、アジアと日本のブランドを併せて海外で売っていくのは非常に大きなチャレンジ。そこには現地にローカライズしたマーケティング戦略が必要です。海外でのマーケティングの経験がなくても、自ら仮説を立て、とにかく実行し、仮説検証を繰り返しながら学べる人がいいです。逆にそのくらいの積極性、実行力がないとなかなか務まらないと思います。

―メディア部門の採用については?

「60%」で扱うブランド紹介を始め、ミレニアル世代に向けてアジアのストリートファッションや音楽などカルチャーを発信するオウンドメディア「60MAG/SIXTYMAGAZINE(シックスティマガジン)」や各種SNSの運用を担うメディアチームは、学生インターンも含む、若いメンバーを中心に構成されています。メディアチームの仕事は、主に60%へのトラフィックを増やすこと。直近3か月でSNSからのトラフィックが3倍になったのですが、SNSの運用を任せているのは学生インターンです。ファッションや音楽が好きという気持ちが強ければ、自ら仮説検証を繰り返し、実績や経験がなくてもしっかり結果を残せる環境です。メディア部門の募集も引き続き行っていきます。

―トラフィック増大に伴って会員数も急伸していると思いますが、顧客ロイヤリティを高めるサービス戦略は?

最近はリピーターのお客様が非常に増えてきています。ただ、会員サービスの拡充にはなかなか手をつけられていません。お客さんに還元していきたい想いは強くあるので、このあたりもマーケティングチームに任せていきたいです。

―「シックスティーパーセント」はどんな会社で、どんな人物を採用したいですか?

平均23〜24歳の非常に若い会社で、輝かしいキャリアの持ち主ばかりではありません。実績はないけれど、ファッションが好きで音楽が好きで…そういう人たちが集まっています。

欲しい人物像は、職種に関係なく実行力のある人。何事も自責で捉えて自ら学び成長できる人。どんな施策にもちゃんと企み(仮説)をもち、失敗も意味のある仕事にできる人。この3つしか見ていません。バックグラウンドはそこまで重要視していませんし、もちろん経験があれば優遇はしますが、必須スキルも求めません。
完全に任せて、裁量権も委ねたいと思っています。先程のSNS運用の話もそうですが、僕はまったく介在していません。毎月数字だけ報告してもらいますが、すごい数字が出ているので何も言いようがありません(笑)。 なので、任せられたらとにかく自分でいろんな施策を考えて、しっかり企みをもって実行できて、たとえうまくいかなくても自責として捉え、自ら学び成長できる人であれば、必ず成長できて、結果も残せる環境なのでぜひ来て欲しいと思います。

ファッションと音楽が好き、というのはキーワードですね。カルチャーフィットを重要視していますか?

カルチャーは重視しますが、ただ、ファッションが好きではない人が入りづらい環境かといったらそうではなくて、他者の価値観に対して許容のある組織になっていますし、それぞれの好みが混在して、なかなか面白い企業文化を築けているのではないかと思っています。

カルチャーフィットを試す1〜2週間のトライアル雇用も実施していて、まず何かタスクなり業務なりを一緒にチームでこなしてもらって、お互いのフィット感を確認し合います。僕らだけが熱烈にアプローチしても、応募者が合わないとどうしようもありませんので。居心地が良いか悪いか、一緒に働く同僚がどういう人なのかを知るためにも大切なプロセスだと考えていますし、「シックスティーパーセント」の採用スタイルの特徴のひとつです。

―最後に。“攻め”のステージにいる「シックスティーパーセント」の今後の目標は?

世界中でどこよりもアジアのファッションブランドを売っている会社になりたいです。そのために「60%」を大きくしていくという目標がまずひとつ。長期的には、EC事業だけでなく様々な方法で、アジアのファッションを世界に最も広げる会社として世の中に貢献していきたいと考えています。アジアのブランドを世界に売っていくチャレンジを、ゼロベースから一緒に考えてやっていく仲間を求めています。

text:下村葉月

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アジア10カ国から250以上のストリートブランドを集めた海外ファッション通販サイト「60%」を運営する会社です。