現役販売員のリアルな給与実態
ファッション業界の販売職といっても、扱う商材はさまざまだ。商品によって給料はどのように違うのか。
今回は販売職のカテゴリー別の特徴や、扱う商品によって異なるサラリーについて解説する。販売に関わっている方に向けて、ファッション業界の水準を知る機会、さらには自身のキャリアアップへの指標として、ぜひデータを活用していただきたい。
データ提供元:エーバルーンコンサルティング株式会社
東京と大阪を拠点にしたファッション業界に特化した人材紹介サービス会社。販売スタッフから主要ディレクター、エグゼクティブクラスまで、ファッション業界のほぼ全ての職種への転職活動をサポートしている。
ファッション業界は、主に次の4つにカテゴリ分けされる。時計・宝飾を扱う「ウォッチ&ジュエリー」、高価格帯のウエアやレザーアイテムを扱う「ラグジュアリー」、インポート系アパレルの「プレミアムカジュアル」、日系アパレルが展開する「国産ブランド」だ。この4カテゴリの中では「ウォッチ&ジュエリーの年収コアゾーンが最も年収が高い」という結果になった。
コアゾーンとは、給与データを取る際、年収最高値、最低値から当分に分けてゾーン分けを行い、ゾーンの中で割合の高かったものをコアゾーンとしている。 順位は次の通りである。
4つのカテゴリー別の年収内訳は次のとおりである
データ対象:“役職のついていない”販売従事者 1,651人 (※店長、副店長など役職者は含まず)
各カテゴリーの特徴
■ウォッチ&ジュエリー
商品単価が高いことが大きな特徴。また、基本給に追加で支給されるインセンティブのウエイトが大きい。そのため売れれば売れるほど個人の収入は増える。販売の現場では、長く働く経験者が活躍する傾向があり、販売職の平均年齢も高め。VIP対応に長けたプロフェッショナルのなかには、年収1000万円を超えるプレイヤーも存在している。
■ラグジュアリー
年収格差が大きく、実力によって年収が異なることが大きな特徴。ウォッチ&ジュエリー同様、年収1000万円を超えるプレイヤーも存在する。また、リピーター顧客を多く持つエキスパートとして、年齢50代でも活躍している販売員がいる。
■プレミアムカジュアル
販売スタッフの平均年齢は、ウォッチ&ジュエリーおよびラグジュアリーよりも若く、20-30代がメイン。年齢による年収格差があまりないことも特徴。例えばデニムやアメカジなど、こだわりのあるスタイルやカルチャーに興味がある方には、世界的なインポートブランドで本場の専門知識が身に付くのでおすすめ。また、ラグジュアリーやウォッチ&ジュエリー系は制服であるのに対し、プレミアムカジュアルはそのブランドのウエアを身につけて接客を行うので、自身もファッションを楽しむことができる。
■国産ブランド
給与テーブルの上限に限りがある場合が多い。インセンティブ制度あるところがめずらしく、あっても少ないことも特徴のひとつ特徴のひとつだが、注目すべきポイントが、「販売職から本社へ異動できるチャンスが格段に高い」ところ。販売職の先を見据えたキャリアアップ形成において、他の3カテゴリと比較すると、圧倒的に本社異動のチャンスがある。接客時の制服がないところも多い。
総括
ファッション業界の販売職で高所得を目指すのであれば、もともとの商品単価が高い商材を扱うブランドやカテゴリーでの仕事を選択したほうがよいだろう。しかし、そうした仕事はインセンティブが占める割合が多いため、実力主義が重視される。高所得を実現させるためには、高い接客力、商材への専門知識、経験などが欠かせない。
その一方で、年収はあくまで、仕事における一つの側面であり、業務内容ややり甲斐、キャリアアップや教育制度の充実さ、福利厚生や人間関係など、転職してみなければわからないこともあれば、転職前に確認すべきポイントは年収以外にもある。例えば、教育制度が充実している国産ブランドの会社で接客のベースを学んだのち本社異動をし、現場経験を活かした商品企画やマーケ、デジタル担当として活躍したい方には、国産ブランドはもってこいの選択肢と言えるし、専門性と個性を磨き、“接客のプロフェッショナル”として極めることも一つの道である。
コロナ禍によって、顧客と直接向き合う販売職の仕事は大打撃を受けた。しかし世界的なコロナ禍の始まりからおよそ2年を経た今、販売職への求人数やニーズはコロナ禍以前の状況に戻りつつある。Eコマース市場の拡大が着目されるなかにおいても、人にしかできない「接客」は、ファッション業界においてもなくなることはないだろう。年収アップで転職されたい方も、将来のキャリア形成を見据えた転職をしたい方も、企業研究の際は本データを参考にしながら、ご自身の仕事観や転職における優先事項について向き合って頂ければ嬉しい。
Salary Survey提供のご依頼は、エーバルーンコンサルティング株式会社まで。
今回は、役職なしの販売職にフォーカスしましたが、エーバルーンコンサルティング株式会社では、他職種のSalary Survey提供の依頼も有料で承っています。お見積りを含め、どうぞお気軽にお問合せください。