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【採用選考でSNSをチェックするのはやめたほうがいい?ファッション業界人事が考えるべきこと】

【採用選考でSNSをチェックするのはやめたほうがいい?ファッション業界人事が考えるべきこと】

誰でも気軽に利用できるInstagramやTikTok、FacebookなどのSNSメディア。採用選考時に求職者のSNSをリサーチしている企業も少なくないのが現状である。では本当にSNSリサーチは採用選考にとって有益なのか?ここではファッション業界における事例を検証していく。

人事によるSNSリサーチを避けるべき、2つの理由とは 

面接はスキルで判断をするべき

結論から先に言えば、採用選考におけるSNSのチェックは避けたほうがいい。その理由はおもにふたつある。ひとつめは過去の職務経歴、面接、課題、リファレンスチェックなどを通せばスキルは十分に判断が可能だからだ。

年齢、性別などと同様にSNSの情報は選考バイアスを生んでしまう。人事も人である。一般的に、人は自分に似たひとに惹かれる傾向がある。公正な判断をするために、採用担当の個人的性質からくるバイアスを取り除こうとしても、なかなか難しい場合がある。たとえばの話だが、ヴィーガンの採用担当が狩猟の投稿画像を見ればおそらくマイナスの感情を抱いてしまうであろう。たとえそれがスキルとは関係のないことであっても…。婚姻の状況や宗教なども同じことで、これらは本来、判断基準から除外すべき項目である。

リファレンスチェックで十分

ふたつめの理由はリファレンスチェックの存在。人物リサーチそのものは、マネージャー以上の要職ならある程度のチェックは必要だろう。会社に不利益を与える可能性がある人物かどうかを見極めることが、企業にとって重要となってくるからだ。日本であれば、最終選考時に元同僚や元上司へのリファレンスチェック(電話・メール)を行っていれば、こと狭いファッション業界においてはそれで十分と言える。

SNSリサーチが有効となるケース

一通りデメリットを並べたが、それではSNSリサーチはなにがなんでも避けたほうがいいのかと言えば、取り入れたほうがいい場合もある。

発信力が求められるポジションの選考

ブランドアイコンとしての活躍が求められるモデルやバイヤー、ディレクター、また強いメッセージ力が必要となるファッションフォトグラファー、グラフィックアーティストなど、ターゲット市場への影響を左右する重要ポジションの選考であった場合にはフォロワーやいいね!の数、業界関係者との繋がりや、その人物のセンスやテイストが一目瞭然となるため、事前のSNSチェックは有効と言える。

求職者として、どこまでSNSを利用するか

事前に面接担当者のSNSをチェック

反対に、求職者が面接官の情報をSNSなどで事前チェックすることに関しては、どうだろう。これは「転職活動で成功するための対策として、大いに有り」と言えよう。面接する企業について事前に調べるのと同様に「面接官がどのような人物なのか?」を事前に把握しておくことで、面接に対する引き出しが増え、準備ができる。結果的に内定につながる可能性も高くなる。WEBでの検索はもちろんのこと、Linkedinで過去の経歴を確認するなど、その他SNSでも様々な情報収集をすることができるので、もし事前に面接担当者の名前がわかる場合はSNS活用が有効だ。

フォロワーが多い場合は、影響力アピールにも

また、自身のSNSのフォロワー数が多い場合は、面接や経歴書上でアピールするポイントにもなる。フォロワーが多いことが採用企業にとってもメリットがある場合、切り札として利用することも考えに入れてみることができるだろう。また、フォロワー数が直接影響しないポジションの面接であっても、現状ではSNSリサーチは行われる可能性があるものとして、ある程度は内容を整えておいたほうが安全だろう。

本来の人事の役割

人事は、「人材育成のプロ(人をみるプロ)」である。採用選考では、まずは目の前にいる本人、そして提出された書類を通して冷静な判断に努め、求職者のプライベートなSNSを、採用の選考材料に使うべきではないだろう。 そもそも求職者は、将来社内の人間として活躍する可能性のある存在。そして人事は、社内の人間関係で困った時や、キャリアで悩んでフラットな意見を聞きたい時、入社時に不安になった際などに、“部署外で唯一頼れる、(ちょっと厳しい)親戚のような先生のような”存在。既存社員をより幸せに長く働いてもらう方法や、新規で優秀な社員はどうしたら集まってくるか?という情報収集をし、人材育成や、自社の魅力の発信に注力することが期待されている、そんな大切な役割を担っているのだ。

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