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人が一番大事。-世界最大規模ラグジュアリーコングロマリット「LVMH」の社員ファーストのメカニズム

人が一番大事。-世界最大規模ラグジュアリーコングロマリット「LVMH」の社員ファーストのメカニズム

「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」をはじめ、「フェンディ(FENDI)」「セリーヌ(CELINE)」「ロエベ(LOEWE)」「ブルガリ(BVLGARI )」など。これらのラグジュアリーブランドは全て「LVMH」の傘下に収められている。LVMHは、フランス・パリを本拠地とするコングロマリット。世に存在する多くのコングロマリット企業が「LVMHみたいになりたい」と口を揃える世界最大規模ラグジュアリーコングロマリットと言っても過言ではない。

フランス国内でのビジネスを学んでいる学生が選ぶ「最も魅力的な就労企業ランキング」14年連続1位に輝くLVMHの魅力について「LVMHジャパン」のタレント・アクイジションディレクターを務める高瀬なおみさんに聞いた。

高瀬なおみさん
大学卒業までをニュージーランドで過ごす。卒業後、日本での外資系ヘッドハンティング会社、外資ラグジュアリーブランドでの勤務を経て、2017年にLVMHジャパンへ入社。エージェンシーと企業双方の採用活動に従事してきた経験を活かし、LVMHジャパンのタレントアクイジションディレクターとして、エグゼクティブ層のポジション採用実務を行う。また、グループとしての取り組みなど、会社に興味を持ってもらうための情報発信も積極的に行っている。

LVMHジャパンとブランドの関係性

―LVMHグループの、日本における規模。

社員数はグループ全体で約7300人。33ブランドのビジネスを展開しています。33ブランドの店舗総数は700店舗近くになります。

―「LVMHジャパン」とブランドの関係性。

私たちのミッションは各メゾン、ブランドへのアドバイスや、サポート業務を行い、グループならではの付加価値を生み出すことです。「ルイ・ヴィトン」や「ディオール」など、傘下ブランドは知らない人がいないぐらい有名だと思いますが、「LVMH」というグループ名を覚えていただいているのは国内では限られた範囲の方々であると思っています。グループは、最近まで「LVMH」という名前を認知していただくための努力をしてきませんでした。なぜならば、ブランドのイメージを伝えることが一番大事であったからです。LVMHを前面に出すのではなく、あくまでブランドを主役に据えることを意識していました。

3つの価値観と「人が一番大事」

―LVMHグループの3つの価値観「創造と革新」「卓越性を追求する」「起業家精神」。

LVMHグループはラグジュアリーブランドビジネスであるため、コンサバな企業風土を持っているように思われるかもしれませんがむしろ、常に挑戦し、新しいことに取り組んでいるグループです。それは、LVMHグループの3つの価値観に基づいて行っています。1つ目は「起業家精神」。自分が会社のオーナーだと思って動き、考えを持つこと。2つ目は「創造と革新」。やること全てに対して、いままでやってきたからやるのではなく、新しいこともやってみようというマインドセット。3つ目は「卓越性を追求する」。この3つの価値観に共通しているのは「人が一番大事」ということだと思います。LVMHでは、「くだらないアイデア」は存在しません。 例えば、ブランドのクリエイティブデザイナーでないとビジネスにインパクトを与えられないわけではなく、一人ひとりがどのレベルでも自分なりに影響を与えられるカルチャー作りが「LVMHらしさ」だと考えてます。

―どういう人材が「LVMHらしい」と思うのか。

ラグジュアリーブランドに興味を持って、楽しさを見出せる人であれば、他業種出身者でも気にしません。違う業界で働いていたというのも、LVMHの考えではダイバーシティの一部です。

ラグジュアリーブランドやファッション業界での経験がなくても、興味さえあれば教えることができますが興味がなければ教えることも難しくなります。「興味がない」という人より「ものを一つ作ることの技術」や、「使っている素材」に対して「面白い」と思わないと、パッションを持って伝えることは難しいですよね。

―ブランドの垣根を超えたトレーニング、「クロスメゾン」という考え

トレーニングはブランド別にも多数行っていますが、グループレベルで行うトレーニングも多数あります。所属するメゾンの垣根を越えて学び、交流できる「クロスメゾン」の考え方が浸透しています。同じグループとはいえビジネス上は競合する部分もありますが、やはり大きな家族の一員でもあります。だからこそ、共有できることもたくさんあります。

―具体的なトレーニング。

新型コロナウィルスによる自粛期間中に、「COVID-19という危機がもたらすインパクトと変化」について考え「変化よりも速く学び、未来を創る」ためのオンライントレーニングが12週間開催されました。店舗やオフィスで働く全てのスタッフが対象者となり、各セッションでは今まで知り合いではなかった人々と小グループに分かれて「今の気持ち」や「今後どのような気持ちで仕事をしたいか」等についてディスカッションをする時間を持ちました。

4月末、COVIDにより急激な変化を体験した社員の心を鎮め、未来に立ち向かう準備をする為、まずは「ゴングメディテーション」でスタート。鐘の音を聴きながらゆっくりと自分を内観し「今ここhere and now」を感じて皆とつながるワークを行いました。期間中は「デジタルトランスフォメーションとサスティナビリティー」「これからのワークスタイルについて」「サプライチェーンの未来」「リーダーシップの自己開発」など様々なテーマでトレーニングを行い、累計1,400名以上の方が参加、録画ビデオは4000回以上視聴されました。

「コミュニティ」

―社員が自発的に推進する「コミュニティ」

社員が自分たちでやりたいと思ったことを、実行に移す。会社が「こうしなさい」と言うのではなく、「場所などのサポートは会社から受けるが、社員が自発的に推進するサークル」が「コミュニティ」です。所属しているブランド、性別など関係なく自分が興味を持っているコミュニティに参加することができます。

― 一番最初のコミュニティ「サステナビリティ コミュニティ」

フランス本社のLVMHは、27年前に「環境ディヴィジョン」という部署を立ち上げました。27年前は「サステナビリティ」という単語がまだ浸透していない時期でしたが、CO2削減に向けて大きいKPIを立てた歴史があります。そんな中、環境ディヴィジョン設立25周年のタイミングで、もともと自然との調和や共生の歴史や文化がある、日本においてシンポジウムを開催し、パリからLVMHサステイナビリティディビジョンの主要メンバーが来日しました。その際、私を含めた社員が「こういう催しを日本のオフィスでもやりたい」と盛り上がったんです。そこでの会話がきっかけで「コミュニティ」という概念が生まれました。日本には専門部署がないぶん、自分たちでサークル始めよう、という動機ですね。

―コミュニティから広がる全グループへの影響

サステナビリティコミュニティで「自分たちが社員として何ができるのか」や「自分たちは会社にどう動いて欲しいか」を考えた末に出来上がったのが、LVMHジャパン傘下全メゾンが導入している「ウェイスト・リダクション・ガイドライン」です。ごみを減らすプランを全メゾンが実施し、ブランドごとにポイントを競い合うのです。そのポイントによって、ブロンズ・シルバー・ゴールド・プラチナという称号が与えられます。最初はどのブランドもブロンズぐらいでしたが、少しずつ平均がシルバー、ゴールドと伸びていきました。興味があるものを自発的に行う「コミュニティ」発信で、全ブランドがサステナビリティに取り組んでいるため、一過性ではなく継続的に取り組めているのかもしれません。

―広がる「コミュニティ」の輪

最初は「サステイナビリティコミュニティ」から始まりましたが、その後LGBTIコミュニティや、メンターシップコミュニティ、ワインコミュニティ、犬の里親探しを応援するコミュニティなど、色んなコミュニティが自然に出てきました。「自分たちがやりたい」と声を上げたトピックを、会社がサポートしてくれるのはLVMHらしさだと思います。ちなみに、社員はもちろん派遣社員も参加しています。

―「クロスメゾン」を体現する「コミュニティ」の存在

上司や、自分の所属するメゾンの中にメンターがいても、普段からの距離が近すぎて話しにくいケースもあると思います。そういう時、他の共通の認識を持っている「コミュニティ」の人が話し相手になってくれるかもしれない。コミュニティは、クロスメゾンという垣根を超える仕組みを体現していると思います。

成長やキャリアの幅広い選択肢の提供を実現できる「モビリティ」


―傘下ブランド内を異動する、インターナルモビリティ制度

会社の財産である人をいかに活かすかと言うことを常に考えています。人の成長を図る手段の一つにトレーニングがありますが、仕事を通して経験や学びを積み重ねる事も大変重要です。そのため、グループでは幅広い仕事やキャリアの選択肢を提供する手段として、ブランド、ビジネスセクター、あるいは働く地域や国を超えたインターナル・モビリティ(グループ内異動)を推進しています。もちろん、傘下ブランドであると同時に競合ブランドでもあるので、その間で人材が行き来するのは簡単なことではありません。次のステップに進みたい、転職したい気持ちがある方の多くは、成長の機会が欲しい、キャリアアップしたいという理由が多いです。であれば、ぜひグループ内で提供できる様々な選択肢を紹介し、グループ内にいて、さらに成長をして欲しいという想いがあります。一人一人、自分の人生があるので転職を希望する人全員を止めることはできませんが、その人のために「なぜ異動や転職をしたいか」「どういうことを学びたいか」などをヒアリングした後にサポートを行っています。

―スマートフォン向けアプリ「Being Retail」

LVMH全メゾンの全てのリテールでのオープンポジションが載ってます。グループ社員が外部企業に行かなくても自分たちのグループ内でどういう求人があるのかを確認できるアプリです。アプリをローンチしたのが昨年の7月で、7月から12月の間で16名が新しい場所で勤務を始めています。最初はインターナルモビリティ用に作りましたが、今年の4月からは同じアプリを外部の人も見れるようにしました。

―「Being Retail」は会話のきっかけ

グループ社員がアプリを使う時、「応募ボタン」を押すと二つ質問されます。1つは「上司に報告済みですか?」という問い。もう1つは、上司にまだ報告してない人のための「人事と相談したい」と言う選択肢。このどちらかをクリックしないと進めない仕様になっています。上司に相談済みの人は異動を希望するメゾンに通知が行き、まだ上司に相談してないけど人事と相談したい人は面談の機会が設けられる仕組みになっています。

―「Being Retail」は「異動」だけが目的では無い

モビリティアプリは、「異動」だけが目的ではありません。応募するからと言って、異動先を絶対に決めなくてはならないというプレッシャーを感じることはありません。例えば、あるスタッフが東京から大阪にロケーションを移したいとアプリで応募してきたことがありました。選んだ選択肢は「人事と相談したい」。よく話を聞いたら「違うメゾンで働きたいから大阪に行きたい」と言うわけではなく、「自分の親が入院をしたので介護できるように近くに行きたい」と言う目的の異動希望だったんです。勤務時間を減らしたりシフト制をやめてみたりと、本人が置かれている今の状況でキャリアを積むための手段を人事、本人、メゾンで相談を重ねた結果、そのスタッフは異動をせずに済みました。「迷惑かけるからダメだろう」と決めつけずに、違う選択肢や機会を生み出すアプリだと考えています。アプリで応募することで、キャリアの悩みや、学びたい経験を会社に伝えるきっかけになればいいですね。

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LVMH Watch & Jewelry

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市場でも最もダイナミックなブランドに数えられる、LVMHウォッチ & ジュエリー事業のメゾンは、
高級時計およびジュエリー & ハイジュエリーの2つのセグメントで事業を展開しています。
卓越と創造、革新の追求こそ、この事業分野におけるメゾンの原動力です。